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【  2013年05月  】 

神無月(4)

神無月

2013.05.06 (Mon)

 この腕が翡翠様だったらいいのに。ぼんやりとする頭の片隅でそんなことを思ったが、いまだ泉の意識は手の中の水晶にある。見たくない。他の人に笑いかける翡翠は見たくないと思う。しかし、それでもなおこの目に翡翠様を映していたい。会いたい。……会いたい。…………会いたい。泉は意を決して身体を起こした。竜胆は引き止めなかったが、抱き締める腕の力は緩まない。泉は両手を持ち上げた。また視線を水晶に戻す。一度、意識が削がれ...全文を読む

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神無月(5)

神無月

2013.05.06 (Mon)

 「いやあぁぁ……翡翠様っ!!」泉が叫んだ。力の限りに。泉の涼やかな声が、翡翠の名を紡ぎだす。それはいつも泉が翡翠を呼ぶのとは違う音。耳ではなく心に刻まれる音色……。ごおうぅっすさまじい風が部屋の中を渦巻いた。ぴしぴしと何かが割れる音が続く。泉の上の竜胆は泉をかばうように身を低く伏せた。泉も瞳をあけていられない。風に泉の黒髪が散る。「泉っ!」風が収まると同時に、今、一番聞きたかった男の声がした。腕が抜け...全文を読む

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神無月(6)

神無月

2013.05.06 (Mon)

 翡翠が白の君の肩を抱いていた。ぎくりと泉の身体がこわばった。さっき見た場面。そして、もう二度と見たくない場面。「目を逸らさずちゃんと見ろ」思わず顔を背けそうになった泉に翡翠の声が突き刺さる。泉は水晶を見た。『どう?私の方が華奢でしょう?』今度は音が聞こえる。鈴を転がしたような綺麗な声で、白の君が言葉を紡ぐ。腕にしなだれかかっているのもさっきと同じだ。『泉の方が華奢だな』にっこり笑って、翡翠が言う。...全文を読む

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神無月(7)

神無月

2013.05.06 (Mon)

 濡れた熱い粘膜に包まれて、泉は足の先まで身体をこわばらせた。泉自身を翡翠に咥えられて、舐め上げられるともう何も考えられなくなった。竜胆が見つめているかもしれないことすらどうでもよくなり、身体が熱くて、溶けて無くなってしまうような、翡翠に全てを埋めてもらいたいような切なさが押し寄せてくる。ひっきりなしに艶めかしい声が上がり、まるで全てが自分でないようだ。それでも、翡翠を感じたくて、自分より高い体温で...全文を読む

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神無月(8)

神無月

2013.05.06 (Mon)

 ゆっくりと髪を梳く指の感触。節ばって長い指が髪を滑って行く。その感触が気持ちが良くて、夢見心地で泉はゆっくり瞳をあける。すっかり見慣れた、それでも慣れない小麦色の肌が見えた。厚い胸板は呼吸に合わせてゆっくり上下し、力強い鼓動を頬で感じた。翡翠の胸に頭を乗せて、自分が微睡んでいたことに泉は気付く。何度か瞬くと「目が覚めたか?」と低く甘い声が、頭上と押し付けた頬から聞こえた。まだ、眠りにたゆとうていて...全文を読む

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エピローグ

神無月

2013.05.06 (Mon)

 湯呑を盆に乗せ、泉は廊下を行く。その口元に微笑みをたたえて。廊下に盆を置き、からりと襖をあける。「翡翠様、お茶をお持ちしました」「ああ。ありがとう」自室で書物を読んでいた翡翠は顔を上げ、眩しそうに瞳を眇めた。「お前もこっちに来い」呼ばれて、泉は翡翠に茶を渡すと翡翠の隣に座る。「違う」膝を叩いて、翡翠がにっと笑った。「翡翠様……」泉は頬から耳から首筋まで真っ赤になって翡翠を睨む。「嫌?」ふるふる首を横...全文を読む

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旅路

地上編

2013.05.06 (Mon)

 ぱちぱちと火の爆ぜる音が夜の静寂(しじま)を縫っていた。今宵は月の明るい晩で、さびれた旧道が灰色にくすんだ平原を横切っているのがぼんやりとわかる。膝を抱えながらキリスエールは、オレンジ色の火を見つめていた。風に炎が揺れ、ぱちりと音が立ち、ふわりと灰が舞い上がる。旅を初めて、15日ほど経過していた。細い月がすっかり丸くなるくらいの月日、キリスエールの故郷から旅立った3人は、パラドース国を出て、隣国トド...全文を読む

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旅路(2)

地上編

2013.05.06 (Mon)

 旧街道からかなり外れた森の入口。間隔をあけて立ち並ぶ木々の一つに腕を組んで、幹に背を預けて、タミルは立っていた。月明かりが木々の間から下生えの草を淡く照らしている。「説明を求めてもいいですよね、隊長」タミルと対峙する形で、立っている男にタミルはちらりと視線を投げた。茶色の長い髪を一つにくくって後ろに流している。黒軍副隊長ルシードだ。「その地位は捨てた」きっぱりと告げられた言葉に苦しげに瞳を眇めたル...全文を読む

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旅路(3)

地上編

2013.05.06 (Mon)

 近づく気配にレイラースは顔をあげた。濃い闇のなか、さらに黒い闇の塊が近づいてくる。たき火の光が届く範囲に影が入ると眉間にしわを寄せたタミルが見えた。苛立たしいような気配を纏って、それでもゆっくりと歩いてくる。レイラースはタミルの顔を見上げたまま視線で「どうだった?」と聞いてやるとタミルはため息を一つこぼして、首を横に振って、どさっと地面に座った。「キリスエールは?」「よく眠っている。さすがに疲れが...全文を読む

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冬の月影(1)

冬の月影

2013.05.06 (Mon)

 小春日和の師走。やわらかく暖かい日差しが空から注いで、気持ちがいい。空は抜けるように青く、高い。遠くにうろこ雲が見えた。外廊下に立ちながら、泉は空を見上げ、ほおっと息をつく。あったかいな。このまま廊下で日向ぼっこをしたいような気分になる。午前中に済ませなければいけないことはすでに終わっていたので、そうすることに何ら問題はない。そうしようかと泉が外廊下に座ろうとすると奥から泉を呼ぶ声が聞こえた。「泉...全文を読む

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月の月影(2)

冬の月影

2013.05.06 (Mon)

 「で、乗せるのは泉だけか。お前もか?」「泉だけでいい。俺は自分で飛べるからな」「じゃあ、泉。こっちへ来い」銀王に呼ばれて泉はそちらに足を踏み出す。側まで行くと、銀王がこちらを振り向き、乗れと首を振った。「すみません。よろしくお願いします」泉はそっと銀王の背に手をかけるとふわりと身をその背に躍らせた。「軽いな」泉の身体を背に乗せて、銀王はまた笑う。「しっかりつかまって、身を伏せておけ」「はい」泉の返...全文を読む

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新作SSアップ_5月6日

雑記

2013.05.06 (Mon)

 こんばんは。とうとう楽しみにしていたGWも終わってしまいました。当初の予定通り、掃除&引きこもりの1週間でしたwww執筆も頑張ったけど、読書もかなりしました。アニメも見たし。けっこう、休み!!を満喫した気がします。というわけで、執筆の成果というか、「巡る季節と恋の順番」のSSをアップしました。おまけのSSに入ってます。これから、SSはこっちに入れてみようかと。増えてきてどうにもならなくなったら、各サイトに入れ...全文を読む

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(1)

春の花咲く頃に

2013.05.06 (Mon)

 身を切るような寒さが嘘のように、日差しもやわらかく、乾いた温かい空気に満ちている。文字通り春到来のせいか、道行く人々も浮かれている気がする。否、浮かれているのは自分かも知れないと一條は、歩く足を速めながら苦く笑った。今朝、恋人に電話をした。何度かのコールの後、「何?」とひどく寝ぼけた声で恋人の遠海美玖(とうみよしひさ)は返事をする。美玖は居酒屋で長いことバイトをしていたが、この4月から正式に社員と...全文を読む

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(2)

春の花咲く頃に

2013.05.06 (Mon)

 「すごかったね」まだ、興奮冷めやらぬ様子で美玖は昼間の桜を思い出して言う。桜を見てから、ターミナル駅まで戻ってきて、夕食を共にした。食事中も美玖は、さっき見た桜が気にいったようで、はしゃいでいた。「ああ。初めて見に行ったが、見ごたえがあった。かなり歩いたが、疲れなかったか?」「まさか。俺、若いんだよ」くすくすと笑う美玖につられて、一條も笑う。美玖の家までの道を歩きながら、美玖はやけに嬉しそうだった...全文を読む

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プロフィール

水梨 なみ

Author:水梨 なみ
こんにちは。
水梨なみ(みずなし なみ)です。
BL大好きな物書きです。
いろいろ書き溜めたので、ここにアップしていくことにしました。
メンズラブ、ボーイズラブで、現代もの、ファンタジーといろいろです。
全て性描写を含みますので、そういうのが苦手な方、18歳未満の方は回れ右でお願いします。
それでもOK。大好物というかたはぜひ、水梨ワールドをを楽しんでいってくださると嬉しいです。
よろしくお願いいたします。

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