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平行線の恋

覚悟(2)

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閉じた扉を聖は見ていた。神栖の姿が消えても、扉から目が話せなかった。
あんな困った顔をした神栖を見るのは、初めてかもしれない。
だが、あれで、謝っているつもりなんだろうか。言葉は相変わらず偉そうだったと、プルタブを引き上げて一気にビールを流し込みながら、聖は閉じた扉に背をむける。
神栖が、何を考えているか結局のところ全然わからない。
行動も不可解、思考は不明。ましてや自分のことをどう思っているかなんて、想像もつかない。
聖はどさっとソファに身を沈めた。ふーっと息を吐き出し、ふとテーブルに置かれたグラスが目に留った。琥珀色だった液体は、すっかり水増しされて色が淡く変わっている。飲まれないまま氷だけが解けて薄まった感じだ。
飲んでいたんじゃないのか。ここで何を考えてたんだろう。反省?まさかね。
苦く嗤って、聖は、ビールを喉に流し込む。長めにシャワーを浴びていたせいで、火照った身体に冷たいビールは染み渡るようだ。
帰ってしまえばいい。
何度も考えたことが頭を再度過ぎる。待っているいわれはない。服はサイズが合っていないが、別にこれでタクシーを拾えないわけでもない。怒っているんだから、このまま神栖がシャワーを浴びている間に帰ってしまえばいいのだ。
何度も思ったことで、現時点で実行に移していないのだから、そんなこと自分にできるはずもない。それでも、考えずにはいられない。
何故できないと問うが、その答えは聖の中にはなく、すっきりしない感情だけが胸の底を漂う。ただ、このまま帰ったら終わってしまうという予感だけがある。それは嫌だった。
でも、終わるって何が。自分たちの関係ははっきりしないままで、終わるどころか始まってもいないのではないのか。
自問を繰り返しても答えは返らない。
どう考えたって、神栖が本気の訳はない。ただの大学生でガキの自分なんかに。
じゃあ、自分は?神栖に対して、本気なのか?本気って何が?
天井を見つめてきつく目を瞑った。思考が負のループに入ってしまっている。考えてはいけない。こういうときは正確な判断はできないのだから。
そのまま目を瞑り、腕で目を覆う。眠ってしまいたいと思った。何も考えずに眠って朝になったらこんな嫌な感情と、堂々巡りな考えはどこかに消えているだろうことが希望的観測だとわかっていても、それでもこのまま眠ってしまいたかった。
かちりと扉が開く音がしても聖はじっと動かなかった。人の気配がソファの後ろを通過し、冷蔵庫の開閉音がして、ソファの左側が人の重みで沈むのを目を固く瞑りながら感じていた。
プルタブの開閉音がし、隣で神栖がビールを飲んでいるのだと思う。
風呂上がりはビールなんだな。
どうでもいいことを考えている自分に聖は少しおかしくなった。
神栖は黙って横でビールを飲んでいる。聖はじっと動かない。長くもあり短くもある時が流れていく。
結局、たまりかねて口を開いたのは神栖だった。
「聖、眠っているのか?」
返事をしないでいると神栖の膝が聖の腿にあたり、ソファに膝立ちで神栖が聖を覗き込んでいるのだと知れる。
「聖」
再度、名前を呼ばれ、頭に大きな手が置かれ、くしゃりと髪をなでられた。そして、優しく触れるだけのキス。
このまま寝たふりするつもりだったのに、聖は驚いて腕を目の上からどけてしまった。
「聖」
目を開く前に神栖の唇が瞼に触れる。触れるか触れないかの優しいキスに戸惑いを隠せない聖を神栖は、そっとまるで壊れ物を扱うかのように抱きしめた。肩口に顔を寄せる。
「神栖さん」
名前を呼んでも顔を挙げない。ふわりと抱きしめられたまま聖も動けずにいた。あまりにも落差の激しい対応に聖は思考がついていかない。
「聖」
再び名前を囁かれ、低く耳に心地よい声が、聖の耳朶をくすぐる。
「さっきは、本当に悪かった。何故かは聞かれても困るんだが、不安なんだ、多分」
不安……?神栖さんが……。まさか。
自信の塊で強引な神栖が不安を覚えることがあるとは想像もできなかった。
「いつも触ろうとすると逃げるだろう。それが今日に限って素直で。驚くと同時に不安になった」
「それは、あんたがいつも俺をモノ扱いするから…」
「モノ扱いはしていない」
「してるよ。借金の形にしようとしたり、したい時だけ連絡してくる……」
何を言っているのだろうと聖は自分の言葉に自分で驚いた。心の中で渦巻いていた想いが口をついて出てしまったことに戸惑う。
「したい時って……。おまえ、俺がどれだけ我慢しているか知っているのか」
神栖はぱっと身を離して聖を食い入るように見つめた。声には苦さが潜んでいる。
「俺はいつでもおまえに会いたい、おまえに触れていたい。おまえを抱きたい……。余裕が持てない。自制も利かない、おまえには……」
「っ!神栖さん」
「無理強いなんてしたくないんだ。いつだっておまえの嫌がることはしたくない。でも、できない。止められない。気づけばいつも傷つけている……」
強い瞳で見つめられ、視線をそらすこともできずに聖は神栖の瞳を見返した。
「好きなんだ、聖」
「神栖さん……。俺」
欲しかった言葉だったはずなのに、そんなものより、この神栖の瞳に浮かんでいる狂おしい光が聖の心を撃った。瞳が叫んでいる。
おまえが欲しい、おまえの全てが。奪いたい。大切にしたい。無くしたくない。壊してしまいたい……。
いつもこんな瞳で俺を見ていたのだろうか。全てを奪い尽くさずにはいられない気持ちで、自分を抱いていたんだろうか。
言葉で何を返してもこの想いと対等なものは返せなくて、でも、この部屋に、誘いに乗ろうと決めた気持ちは本物だと知ってもらいたくて、聖は、両手で神栖の頭をかき抱くとそのまま唇を重ねた。
「聖」
一瞬、何が起きたかわからないという顔をして、神栖は呟いた。聖からした初めての口づけ。これが意味することは一つだけだろう。
「キスするときは瞳ぐらい閉じるものじゃないか」
驚きに瞳を見開いている神栖の頭をかき抱いたまま唇だけ離して、聖は微笑った。驚愕に動きを止めていた神栖は、聖の笑みに我に返ったらしい。片目を瞑り、口端をあげて、ほれぼれするような顔で笑う。
「あのな。まだまだ、こんなんじゃ駄目だ。ちっともそそられない。俺が、本物のキスってやつを教えてやる」
神栖の顔が近付いて、唇で唇を覆われた。
「……っん……」
言葉通りの息をも吸いつくすような深く激しい口付けに、身体が熱くなる。
舌が口腔内に差し入れられ、聖の舌に舌に絡めてくる。いつもよりさらに激しい口付けに吐息すら奪われて、頭の中が白くなる。
「……はぁ……」
唇が解放され息が大きく吐き出された。キスされただけなのに身体に力が入らない。
「ここでするか、それとベッドへいくか」
拒絶のつもりもなかったが、動けなくて聖は左右に首を振った。神栖が顔を覗き込んでいるのが気配でわかったが顔が上げられない。身体が熱くて、何かに急き立てられるようにざわざわして、どうしていいかわからなかった。
「聖」
動かない聖に数秒動きを止めた神栖は、ついばむように口づけて、名を呼ぶ。
「おいで」
優しく手を取られ、身体おまえに引かれた。聖は抵抗なく神栖の胸に倒れこむ。
「もう待てない。焦らしているのならやめてくれ。言ったろう。おまえには理性の制御が利かないって」
聖はまた左右に首を振った。
「焦らしてなんかいない。どうしていいかわからないだけ……」
息だけで呟いたら、ふっと笑われて、神栖が聖の腕をとった。
「俺の首にしがみついて」
言われるがまま聖は、神栖の首にしがみつく。ふわりと身体が浮き、横抱きに抱かれて運ばれていることに気づく。
「あ、じ、自分で歩ける……」
「いいよ、運んでやる」
痩せているとはいえ、大の男がお姫様抱っこだなんて恥ずかしい。
「いい、歩く」
首から手を離そうとすると、神栖はため息を一つついて、聖を下してくれた。代わりに手を差し出される。
「おいで」
その手をとって、今度は自分で歩き出す。
「神栖さん」
何も言わずに寝室に向かうのがやけに気恥ずかしくて、聖は名前を呼んだ。返事はなく、代わりに握った手に力がこもる。
「逃げないよ」
腕を引かれ、とんと肩を押され、聖はベッドに倒れこむ。さらっとした感触のシーツが受け止めた体重に音を立てる。
ぎしりと神栖の膝がベッドに乗り上げ、スプリングが軋んだ。
「聖」
低く甘い声で聖の名を呼び、首筋に唇を寄せる。耳の後ろに舌を這わせ、耳たぶを甘噛した。
「……あぁ……はっ……」
Tシャツの裾をたくしあげられ、長い指が忍び込み、薄い肌を撫で上げられ、聖から甘い吐息が漏れる。
肌を味わうように大きな形の良い手が触れていき、唇は喉から肩へ胸へと降りていく。
身体が熱くて、優しく柔らかく触られているだけなのに、聖の背が反り腰が浮く。
胸の突起を唇が掠る。
「――はぁ……やっ……」
「ここ、気持ちがいいのか」
突起に唇をあてながら囁かれ、その都度、唇がかすめてビクリと身体がすくむ。舌で突起を転がされ、頭を左右に振る。髪がシーツを滑る音がしゃなりと響く。
「ハア……ァ……」
「こっちも」
「……っや……」
逆の胸の突起を指で弄ばれ、身体の芯をざわざわ何かが走る。身悶える姿を神栖が見つめているのが気配でわかる。薄く瞳を開くと面白そうに見つめている神栖の視線と聖の視線が交差する。
「な……に……」
「可愛い」
にっこり微笑まれ、言われたこともないことをさらりと口にする。
「なっ……何言ってんだ!」
余裕で自分を翻弄する神栖が憎く思える。睨みつけてやると神栖は、ふっと口元をほころばせた。
「こっちも感じてる」
すでに、高ぶっている聖自身に手を伸ばすと撫で上げられて聖は息をのんだ。
「……くっ……やぁ……」
恥ずかしくて声を殺そうとするが、隙間から手を入れられ、直接先端を撫で上げられて、息とともに声が漏れる。
「な……なに余裕ぶってるんだよ……」
言葉というよりは吐息だけの声で悪態つく。
「誰が余裕だって」
低く唸るような声で告げられ、神栖が身体を起こすと、着ていたバスローブをばさりと脱ぎ捨てる。下には何も身につけていない。神栖の脚の付け根に目をやって、聖は動きを止めた。
「言ったろう。おまえ相手だと歯止めが利かない。でも、傷つけたくないんだ。優しくしたい」
「――あぁ……」
自身を強く握られて、悲鳴に似た聖の吐息が宙を舞う。
扱かれて、頭がのけぞり白い喉元が闇に浮かぶ。
「きれいだ」
囁かれた言葉に聖は薄く目を開く。白く闇に浮かぶ肌が妖艶で、普段のきつい瞳の青年と同じとは思えないと神栖が思っているとは想像もできない聖は怪訝そうに神栖を見た。
神栖はその喉に噛みつくように口づけた。
「……くる……す……さん」
激しい愛撫に体内を電流が走るみたいにぞくぞくする。頭が白くなり、何もかもぼうっとする。これ以上はないと思うのに、濡れて熱い神栖の口内に自分を含まれたら、気がおかしくなりそうな感覚が襲ってきた。
「……や……やだ……やめ……」
自分が何を言っているのかも認識できない。して欲しいのか、止めて欲しいのかもわからない。
神栖は何も言わない。舐め上げて、口に含み、先を喉の奥で絞り上げながら、聖の啼く声だけを楽しんでいる。
先端の割れ目に舌先を這わされ、聖は身体をしならせた。
「や……やだ……かみ……す……さん、離して。だめっ……イっちゃう……」
「いいぜ」
口に含みながら神栖が答える。聖は何度も首を横に振り、せりあがってくる感覚から気をそらす。このままだと神栖の口の中に放ってしまう。
「っん……いやだ……」
下腹に力を入れ、耐えるが、先を絞られ、ぐっと吸われたらひとたまりもなかった。
「あっ……あぁぁ――」
神栖の口腔内ではじけた聖は、白濁を吐き出した後も余韻を味わうようにビクリビクリ波打っている。それ愛しそうに神栖にが口の粘膜で宥められ、聖はいやいやと首を振る。
全力疾走した後のような呼吸に胸が苦しい。なのに、身体の熱は一向に去らない。
右足を軽く後ろに引かれ、腰に手をかけてくるりと身体をうつぶせにされる。次に何をされるか察して聖が身を固くする。膝裏を押され、膝を立てさせられる。肩で身体をささえ、尻をつきだす格好はいつしても羞恥を誘う。嫌なのに、次に起こるだろうことを期待して身体が勝手にわなないた。そっと後蕾に神栖が指を這わす。
「んっ……」
挿ってくるだろう指を期待して、それから、熱く硬い神栖自身を思い聖は身体に力が入った。
だが、何度か指が蕾を行き来したと思えば、双丘を手で宥めるように撫でて、聖の敏感な蕾に神栖は唇を寄せた。吐息がじかに触れて、聖は何をされているのかに気付く。
「……嫌だ……」
聖の腰が逃げる。それを右手で抱きとめて、神栖は聖の蕾を舌でつつく。
「神栖さん。嫌だ。止めて」
「逃げるな、聖」
「嫌……」
「気持ち悪い?」
神栖が問いかけると息が触れて、背筋に震えが走る。また舌でつつかれ、舐め上げられて、自分のものではないような甘い声が上がる。熱い舌が、別の生き物のように、聖のピンクに色づく後蕾を撫で上げる。おかしくなるような耐えきれない快楽に聖は腰を逃がそうともがく。
「いいだろう?」
神栖の問いかける声に首を左右に激しく振る。
「いやだいやだいやだ」
あまりに暴れると、異変を察したのか上体を起こして神栖は、聖を見つめた。
「聖」
背中から抱きしめられて髪にキスをされた。本気で嫌がったのがわかったのか、安心させるように神栖は抱きしめた腕にギュッと力を込める。
「……はぁ……神栖さん、ごめん、それは、いやだ」
「謝らなくていい。大丈夫か?」
うなずく聖を確認し、神栖が再度髪に口づける。
自分でも触ったこともないところを舐め上げられて快く感じるのは怖い。おかしくなりそうな感覚に聖は背筋を震わせた。
「聖の嫌がることはしない。約束する」
「俺、おかしいんだ。あなたに触られていると自分が知っている自分でなくなってしまう」
うつぶせのままシーツを固く握りしめて聖は告げる。怖くて、身体が震えた。
「考えるな聖。感じたままでいい。俺が最上級の快楽をおまえにやろう」
髪を撫でる神栖の手を頭を左右に振ることで振り払った。
「そんなものは欲しくない」
「聖」
「欲しいのは……」
聖は顎を引いて目を伏せた。恥ずかしくて、それでも言わずにはいられなかった。
「……あなたなんだ、神栖さん」
消え入りそうな声で囁かれた言葉ははたして神栖に届いただろうか。
欲しいのは熱い神栖の体温、身体で感じる神栖の息吹だ。そう、もう俺はとっくに狂ってる。神栖に酔わされ、魅かれ、取り憑かれている。
聖の言葉が聴こえたのかどうか、身体を起こした神栖はベッドサイドのテーブルの引き出しを開け、ジェルを取りだした。自分の指にたっぷりジェルを取り、聖の蕾をこじ開け、周りに塗りこむ。
「……あぁ……」
指が差し込まれ出し入れされて、腰が揺れる。時間をかけてゆっくり神栖はそこを解していく。身体の中をさすられる慣れない感覚に、聖はシーツをきつく掴んで、吐息を漏らす。身体は熱くて、その熱が出口を求めてさまよっていて、どうにかなりそうだった。
神栖は、柔らかく湿ってくるまで何度も何度も優しく、入れる指の本数を増やし中をかき回す。
「俺を受け入れろ、聖。なんでもくれてやるから。俺のことだけ感じろ」
囁く神栖の声がさらに聖を煽る。
「――あぁぁ……や……あっ……」
頭の中に靄がかかり、囁かれている言葉の意味が形をなさなくなってくる。ただ、神栖の低い声が耳までも犯しているようで、意味のない喘ぎだけが聖の喉を震わせ、身体の熱は溜っていく一方で、頭のなかではじけはじめたスパークは止むことがない。
神栖の3本の指を根元まで飲み込み、聖の内壁が神栖の指に絡みついて引き留める。その感覚が恥ずかしくて、聖は腕で顔を隠す。濡れた水音が神栖の指の動きに合わせて起こり、聖は小さく首を振った。
「聖、おいで」
腕をとって引き起こされる。快感に白く霞んだ視界に、身体を起こし、ベッドヘッドに寄り掛かった神栖が見えた。手を差し出され、それを握り返す。全てに現実味がなく、追い立てられるような感覚に聖は、神栖にそそのかされるまま動く。
「膝で俺をまたいで」
腰を手で支えてもらいながら、聖は両手を神栖の肩にかけた。頭の中に霧がかかり、耳を犯す神栖の言葉だけがすべてになる。
「座れ、聖」
命じられて、頭を左右に振るが、捕えられ、下げられていく腰は逃がしようもない。神栖の先端が聖の蕾に触れて、聖の身体がビクッと震えた。熱くて濡れた感覚に勝手にからだがすくみ上る。
神栖は聖の双丘に手を移動し、大きく左右に開く。
「腰を落とせ」
言われるがまま聖は腰をぐっとさらに下へ下げた。堪え切れずに聖は、神栖の膝に座る格好になる。すでに蕩けさせられていた聖は、難なく神栖の熱い塊を飲み込んだ。身体を貫く塊のような違和感に聖は闇を震わす悲鳴を上げた。
「力、抜いて。俺の首に抱きつけ」
「痛い……神栖さん」
「ゆっくり動いて。おまえのいいように。じきに良くなる」
腰に添えられた手が身体を上に上げろと促す。それに逆らわずに聖は膝立ちになろうとし、神栖が添えた手で下へと誘うのに、身体を下げる。
動くたびに、熱い吐息とともに甘い声が漏れる。
「――ああぁぁ……や……やっ……」
自分で腰を上下に動かして、聖は嫌だと呟き続ける。
「聖、感じるなら、いいって言えよ」
神栖も囁く言葉に荒い息遣いが混ざる。
「奥まで届いているだろう」
「……やっ……」
頭を左右に振って頑なに拒む。言葉は拒んでいても、上下する身体は徐々に動きの速度を増していく。快楽が聖の思考を奪って、自分が何をしているかも自覚できず、快感が頭の中を灼く。
聖の動きに神栖の吐息もさらに荒くなる。
「聖……」
「くる……す……さん」
身体が熱くて、神栖の熱さがさらに聖の内臓を抉る。哀願のような聖の声に、神栖は身体を起こした。聖を抱きしめそのまま、聖を仰向けに倒れこませる。一度、自分を引き抜いた。聖が身じろぐ。抜かないでと身体が訴えている。聖の右足を胸の方にぐっと折り、左足を抱えあげて、神栖は一気に自身を聖に突き挿れた。
衝撃に聖の背が大きくしなった。神栖はその背を抱きしめると、聖を激しく責め立てた。甘い悲鳴が闇に散り、焦点の合わない瞳が神栖を探す。
「くるす……さ……ん……いい……」
「せい……」
神栖が動くたび、昂ぶって勃った聖のモノがこすられ、さらに聖を煽る。快楽に身悶える聖は妖艶で、それが神栖を煽りたてる。
「……もう……だめ……」
聖の背が大きくしなり、聖は限界を告げる。達して敏感になった身体を抱きかかえたまま神栖はさらに聖を攻め立てる。それにすら甘い悲鳴を上げ続けた。
何度かの抽挿ののち、
「……くっ……」
頭上で聞こえた呻き声に神栖もまた、背を丸め快楽の果てを味わったことを知った。


果てた後も動くのが億劫で、まだ身体の中の名残が疼いて、聖はうつぶせになったままじっとしていた。大きな手が髪を梳くのを気持ちよく感じながら、聖は目を閉じる。
神栖も聖の横に寝転がり、何も言わずにただ聖の髪を優しく撫で続けた。言葉がなくてもお互いの気持ちが見えるようで、聖は安心感と幸福感が自分を満たしていくのを感じていた。
「今、何時?」
このまま眠ってしまいたいと思いながら夢と現を彷徨っていた聖は、目を開けて横にいる神栖を振りかえる。
「今日はこのまま泊っていけ。明日は土曜日で大学も休みだろう」
眠っているかと思った神栖は片腕で頭を支えて、聖を見下ろしていた。
瞳に心配そうな気配が見えるが気のせいだろうと聖は思う。目を細めて、神栖は聖の髪を大きな手で撫でた。
「そうなんだけど……明日、セミナーなんだ」
帰りたくないのはやまやまだが、明日のことを考えると帰ったほうがいいと聖は思う。それに、このままここにいたら、また、身体が熱くなってしまう気がする。
「ここから行った方が近いだろう」
「テキスト一式、うちに置いてきたし……」
帰ると続けようとした言葉を神栖が指を唇に押し付けて遮った。
「送ってやるよ、明日な、だから帰るな。今夜はずっとおまえといたい」
真顔で告げられて、聖はどうしていいかわからない。困ったように神栖を見つめ返す。
「また、しばらく会えない」
「え?」
神栖の言葉に聖は瞳を見開いた。
「明日から海外出張だ。空港までは車で行く予定だから、ここを9時に出て、おまえのうちでテキスト拾って、セミナー会場まで送っても十分間に合う」
「海外って、どこへ」
身体が重くて、だるくて、言葉が億劫だ。いつもよりぞんざいな言い方になってしまう。それに、神栖がしばらく遠くへ行く事実にも打ちのめされていた。
「寂しいか」
「そんなわけないだろう」
無性に恥ずかしくて顔を逸らす。こんな風に甘くされたあとに聞きたい言葉ではなかった。やっと少し素直になれたのに、遠くへ行ってしまう神栖が恨めしい。
「俺は寂しい」
後ろから神栖の小さな呟きが聞こえた。その言葉に、ずきんと胸が痛んだ。
「ど、どのくらい、いないんだよ」
怒ったような声になる。神栖らしくない甘い言葉に嬉しい気もするし、恥ずかしい気もしたからだ。
「期間は2週間だ。ニューヨークとヨーロッパの主要都市、ロンドン、パリ、ウィーンをまわる」
だからわざわざ時間作って食事に誘ってくれたのだろうか。こうして腕に抱いてくれたんだろうか。
「しばらく会えないが、いい子にしているんだぞ」
頭をなでられ、聖はあまりの言われように神栖を振り向くと睨みつけた。
「どういう意味だよ」
「キスしていいか」
聖の問いには答えず、真顔のまま、神栖が尋ねる。
「神栖さん、話が噛み合ってない気がするんだけど」
「キスしたい」
聖の抗議は頭から無視された。
「いつも勝手にしているくせに、なんで今だけそんなこと言うんだ。あなた時々、ガキみたいだ」
「おまえの前でだけな」
そういえば、レストランであった仕事関係の人とかにはやたらと冷たい視線を送っていたことを思い出す。
でもと思う。いくらなんでも、あの他人行儀は、嫌いな奴だったんだ、きっと。
そうでもなければ説明がつかないくらい愛想がなかった。
「あ、だけど、吉井さんの前でも甘えてるよな」
取締役副社長で秘書を兼ねているクールな吉井の顔を思い出して、聖は言った。とたんに神栖が嫌な顔をする。眉間に皺が寄り、目尻が上がった
「あいつのことは言うな。あれとはガキの頃からの付き合いで、ああいうのは例外」
ついと神栖は左手が伸びてきて、聖の顎を捉える。
「聖……」
瞳をのぞきこまれて、一瞬神栖が語っていることがわかって、聖は視線を逸らす。
「キスしていいか」
神栖は先ほどの科白を繰り返す。
「キスだけなら……」
軽く啄ばむように、唇が唇に触れる。そのまま頬も首筋も外耳もキスされて、聖が身を引く。聖の腰に手を回すとぐっと逃げないように抱きよせる。
「神栖さん、くすぐったい」
「キスだけならいいんだろう」
首筋を辿られ、肩にも唇を寄せる。
「キスしてやるよ、全身、余す処なくな。俺を忘れられないように」
神栖の低くて耳に心地よい声が聖の肌を震わせた。切なくなるような言葉を何度も囁きながら、聖の身体じゅうに神栖はキスを落とし、所有の印を刻む。
夜は甘く蕩けていった。
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