スポンサー広告

スポンサーサイト

 ←誤字修正_5月5日 →神無月(5)
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。


にほんブログ村 小説ブログ BL小説へ

もくじ  3kaku_s_L.png 未分類
もくじ  3kaku_s_L.png はじめに
もくじ  3kaku_s_L.png リンク集
もくじ  3kaku_s_L.png Novel lists
もくじ  3kaku_s_L.png 奇跡の刻
もくじ  3kaku_s_L.png 平行線の恋
もくじ  3kaku_s_L.png 煉獄の恋
総もくじ  3kaku_s_L.png 天空国の守護者
総もくじ  3kaku_s_L.png 巡る季節と恋の順番
もくじ  3kaku_s_L.png 雑記
総もくじ  3kaku_s_L.png 山神の花嫁_昔話
もくじ  3kaku_s_L.png 告白の向こうへ
もくじ  3kaku_s_L.png 空の月を恋う
総もくじ  3kaku_s_L.png おまけ番外編ショート
もくじ  3kaku_s_L.png 遠回りの片恋
もくじ  3kaku_s_L.png 腕の中の迷い猫
総もくじ  3kaku_s_L.png 蒼い闇の化身
  • 【誤字修正_5月5日】へ
  • 【神無月(5)】へ
  • TB(-)|
  • CO(-) 
  • Edit

「山神の花嫁_昔話」
神無月

神無月(4)

 ←誤字修正_5月5日 →神無月(5)
この腕が翡翠様だったらいいのに。
ぼんやりとする頭の片隅でそんなことを思ったが、いまだ泉の意識は手の中の水晶にある。
見たくない。
他の人に笑いかける翡翠は見たくないと思う。
しかし、それでもなおこの目に翡翠様を映していたい。
会いたい。
……会いたい。
…………会いたい。
泉は意を決して身体を起こした。
竜胆は引き止めなかったが、抱き締める腕の力は緩まない。
泉は両手を持ち上げた。また視線を水晶に戻す。
一度、意識が削がれたせいか像が薄くなった水晶に再び念じる。
翡翠様、と。
集中するとまた像がはっきりとする。
泉は息を飲んだ。
翡翠が白の君を抱き締めていた。白の君は翡翠の肩に顔をうずめて表情は見えない。
少し目を離した間に何があったのか。
翡翠が白の君をその腕に抱えて立ち上がる。
翡翠……様……
「こ、ここに映っているのは本当のこと……」
信じたくなくて、泉は呟いた。
なにかまやかしなのではないか、悪い夢なのではないか、そう思いたかった。
「残念ながら、真実だ」
耳元で竜胆の声がする。
見たくないのに、視線は水晶から離れない。
もう、いやだ。このあとどうするかなんてわかりきっているじゃないか。
見たくない。
翡翠様、その手を離して……。
それでも、泉の瞳は水晶を見続ける。瞬きも忘れて。
翡翠は白の君を抱えながら、長の廊下を歩いて行く。白の君の右手が翡翠の着物をきつく握りしめている。
翡翠が扉の前で立ち止まり、その扉をあける。
中は、床が伸べてあった。
広い部屋の真ん中に布団が見える。翡翠はその傍らまで行くと膝を折る。そっと、白い君をその上に横たえた。


とんっ!
畳を硬いものが打つ音が遠くに聞こえた。
トン、トン、トン、ト…………
それが弾んで転がる音も。
でも、泉の瞳には何も映っていなかった。涙があふれて何も見えない。
手から水晶が落ちて、畳を弾んで転がっていったことにも気付かなかった。
衝撃が強すぎて、身体が空っぽになってしまった気がする。
泉は瞳を閉じた。
労わるようにそっと布団に白の君を横たえる翡翠の映像が何度も瞼の裏で揺れた。
何度も何度も。
呆然とした身体の向きをかえられて、腕の中に抱きこまれていることにも泉は気付かなかった。
「泉。泉」
何度も自分の名を呼ぶ声がする。凛として涼やかな声で。
泉は瞳をあける。黒曜石のような瞳が涙で濡れてさらに艶を増していた
瞳を開いても何もその目には映らない。
「泉。泉。こっちを見て」
囁かれる言葉にそうしようと目の焦点を必死に合わせる。だんだん、人影がはっきりしてきて、それが竜胆だと気付いた。
「りんどう……さま……」
「よかった。心が攫われたかと思った」
ほっとした声音で囁かれて、でも意味は泉には掴めなかった。
「君と緑のの契約は?」
「拒絶しないこと。側にいること」
問われるままに答えていた。
ここに来てから竜胆が何度も尋ねた問いだ。翡翠との秘密だから話したくなくて、泉はずっと「言いたくありません」と拒み続けていた。
でも、今はもうなんでもいい。
何も考えたくない。
「じゃあ。これは契約違反にならないね」
囁かれた意味もわからず、ゆっくりと竜胆の瞳が近付いてくる。それが何故かもわからない。
徐々に大きくなる黒い瞳を泉はぼんやり眺めていた。
どうしてこんなに近いのだろうと思いながら。
焦点が合わなくなる。
視界は黒い色に染められた。
唇に柔らかい感触を感じる。温かく湿った舌で唇を辿られ、唇の隙間から無理やり舌をねじ込まれた。
「……んっ……」
ぐっと抱き締められて、口付けが深くなる。舌を絡みとられ、まるで食べられているかのように舌が舌の上を這う。
熱くて、苦しくて、何が何だか泉にはわからない。
泉は瞳を閉じた。口付けの時には瞳を閉じるものだと言われたから、翡翠様に……。
翡翠様……。
心が悲鳴を上げる。もう、自分に口づけているのが誰かなんて泉にはわからなかった。心はただ一心に翡翠を求めている。
首筋に熱いものを感じる。
ああ、首筋に口づけられているんだと思って、泉は吐息をついた。
着物の合わせ目に手のひらが入って、肩から着物が滑り落ちた。するりと撫でられて、身体が震える。
身体に落される口付けは、下へと移動し、泉の薄桃色の胸の突起に辿りつく。唇でやわやわ挟みこまれ、舌先でつつかれて、その刺激に泉は背を反らした。
手を伸ばし、自分に熱を分け与えている相手の髪を掴む。
泉の手の中でさらさらとした柔らかい感触がこぼれた。
びくりと泉は身体を震わせる。そっと視線を自分に覆いかぶさっている人影に落とす。黒い髪が見えた。いつの間に解いたのだろういつもきっちり結いあげられている髪が泉の肌に散っていた。
翡翠様……じゃない
「やっ……離してっ……」
いきなり暴れ出した泉を竜胆は身体で押さえつける。
「泉?」
「離して下さい。やだ。なんでこんな……」
身を捩って泉は逃げようとした。それを後ろから竜胆は抱き締める。
「泉が気に入ったから。翡翠もお楽しみ中だし。いいだろう」
泉の身体が動きを止めた。
そうだった。翡翠様は今頃……。
心臓を掴まれて爪を立てられたような衝撃に息が詰まった。痛くて苦しくてこのまま殺してもらいたい。
「泉……」
するりと竜胆の手のひらが泉の胸を滑る。
「……あっ……やっ……」
背に唇を寄せられて、泉が頭をのけ反らす。ダメだと思うのに、身体は勝手に反応する。的確に泉の弱いところを舌と唇が這って、身体が震えた。
それでも、これは翡翠様じゃない。
欲しいのは翡翠様だけなのだ。
「いや……竜胆様、やめてください」
弱々しく告げる声も竜胆を煽ることにしかならない。
いま自分を抱こうとしているのは竜胆だ。
翡翠じゃない。
泉は心の中でくりかえす。
他には何もいらない。誰にも触られたくない。
翡翠様が誰を抱いても。
翡翠様だけが欲しい。
竜胆の手のひらが裾を割って、内腿を撫で上げる。
どくん。
泉の鼓動が跳ね上がる。
嫌だ……。
滑らかな肌を確かめるように何度も手のひらが内腿の肌を行き来する。
嫌……。
泉自身に竜胆の指が絡んだ。
関連記事


にほんブログ村 小説ブログ BL小説へ

総もくじ 3kaku_s_L.png 天空国の守護者
総もくじ 3kaku_s_L.png 巡る季節と恋の順番
総もくじ 3kaku_s_L.png 山神の花嫁_昔話
総もくじ 3kaku_s_L.png おまけ番外編ショート
総もくじ 3kaku_s_L.png 蒼い闇の化身
もくじ  3kaku_s_L.png 未分類
もくじ  3kaku_s_L.png はじめに
もくじ  3kaku_s_L.png リンク集
もくじ  3kaku_s_L.png Novel lists
もくじ  3kaku_s_L.png 奇跡の刻
もくじ  3kaku_s_L.png 平行線の恋
もくじ  3kaku_s_L.png 煉獄の恋
総もくじ  3kaku_s_L.png 天空国の守護者
総もくじ  3kaku_s_L.png 巡る季節と恋の順番
もくじ  3kaku_s_L.png 雑記
総もくじ  3kaku_s_L.png 山神の花嫁_昔話
もくじ  3kaku_s_L.png 告白の向こうへ
もくじ  3kaku_s_L.png 空の月を恋う
総もくじ  3kaku_s_L.png おまけ番外編ショート
もくじ  3kaku_s_L.png 遠回りの片恋
もくじ  3kaku_s_L.png 腕の中の迷い猫
総もくじ  3kaku_s_L.png 蒼い闇の化身
  • 【誤字修正_5月5日】へ
  • 【神無月(5)】へ

~ Comment ~

管理者のみ表示。 | 非公開コメン卜投稿可能です。

~ Trackback ~

卜ラックバックURL


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

  • 【誤字修正_5月5日】へ
  • 【神無月(5)】へ
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。