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「山神の花嫁_昔話」
神無月

神無月(8)

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ゆっくりと髪を梳く指の感触。
節ばって長い指が髪を滑って行く。その感触が気持ちが良くて、夢見心地で泉はゆっくり瞳をあける。
すっかり見慣れた、それでも慣れない小麦色の肌が見えた。厚い胸板は呼吸に合わせてゆっくり上下し、力強い鼓動を頬で感じた。
翡翠の胸に頭を乗せて、自分が微睡んでいたことに泉は気付く。
何度か瞬くと「目が覚めたか?」と低く甘い声が、頭上と押し付けた頬から聞こえた。
まだ、眠りにたゆとうていて、それでも泉は微かに頷く。
しばらくこうしていたい。翡翠様の体温を感じて、お側にいたい。
ぼんやりする頭で泉はそう思い、幸せそうに微笑う。
「そんな表情をするな。また、お前を喰らってしまいたくなる」
翡翠が囁きながら笑う。泉は僅かに顔を上げ、上目づかいに翡翠を睨んだ。
どれだけ貫かれたかわからない。一度、精を一緒に吐き出した後、臥所に運ばれ、何度も身体を重ねた。繋げたところが溶けて一つになってしまうと思ったほど。
「お前に飢えていたからな」
笑みを含んだ声色で、翡翠が囁く。
「私も……ずっとお会いしたかった……」
泉はそっと呟く。
「寂しい思いをさせたんだな」
翡翠は泉の髪を梳く。自分の言葉に寂しさを読んだのだろうかと泉は少し身を起こした。翡翠を見つめる。
翡翠もまっすぐに泉を見つめていた。
「連れていければいいんだが」
翡翠は泉の頤に手を伸ばし、指でそっと撫でた。
「お前が見た通り、最後は会議とは名ばかりの宴会になる。青の主のように不埒な奴も多いからな」
お前に危害が及ぶと困ると呟きながら翡翠は泉を見る。竜胆の名に泉は身体が震えるのをぐっと抑えた。
それでも翡翠にはわかったのだろう。泉の腰に腕をまわして力を込める。
「あいつはいつここに来たんだ?」
抱き締められながら問われた問いに、「5日前に」と泉は答える。
「5日」
面食らった顔で、翡翠は泉をみつめ、そして喉の奥でくつくつと笑う。
あの綺麗なものには見境のない青の主が、5日もとか言いながら翡翠は笑っている。
「来年はお前を置いて行かない方がよさそうだ」
そう言って泉のこめかみに翡翠は唇を落とした。
泉はどういう意味だと瞳に力を込めた。
「からかわれたわけではないってことさ」
意味のわからない答えに泉は睨んだ瞳をきつくする。
「そんな睨むな、泉」
お前には誰もが魅せられるということだと翡翠は笑い、泉を引きあげる。
「お前に真名を教えておいてよかった」
吐息の触れる距離で翡翠は囁く。
寝物語に聞いた神々の名に纏わる話。真実の名を正しい発音でのみ発せられたものを真名と言う。
『俺がお前と交わした契約は、「お前の望みをかなえること」。お前の望みは、心からの望みは俺でなんとかできることなら叶うだろう』
腕に泉を抱きながらいつだったか翡翠は語った。
『だが、俺が側にいないとき、どうにもならないときは俺を呼ぶがいい。お前のためならどこへでも駆けつけよう』
神々は真名には逆らえない。真名を呼ばれたらどこへでも呼び出される。そして、それが契約を交わした相手ならなおさら。
ああ。だから、竜胆は翡翠を緑の主とよび、翡翠は竜胆を青の主と呼ぶのだと泉は思う。
間違っても真名を呼んでしまわぬように。
翡翠様の真名は翡翠の正しい発音名。そして、もしかすると竜胆様の真名も……。
泉は微かに首を傾げた。それは自分にはどうでもいいこと。自分が竜胆様の真名を呼ぶことは未来永劫ない。
そう思いながら泉は瞳を閉じる。口付けの時には瞳は閉じるものだから。
翡翠が笑った。吐息の触れる距離で。
そして、泉の願いどおり、翡翠は泉の唇に唇を重ねた。
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