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 ←あらすじ →落ちてきた黒天使
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「天空国の守護者」
トレジャ編

プロローグ

 ←あらすじ →落ちてきた黒天使
「やぁぁ……はなして……いやっ……」
嬌声と甘い吐息が行く手、右側に等間隔に並んだ扉の向こうから聞こえる。
その扉の前を男に先導されて歩きながら、キリスエールは舌打ちをした。
何もこんなところを通らなくてもいいだろうに。
わざとここを選んで通ったのなら、嫌がらせかそれとも好きものかのどちらかだと先導する男の背中を睨みつける。
扉を通過するたびに聞こえる嬌声も拒絶の声も全て若い男の声で、あげている声から何をされているかは明白だ。
「やめっ……お願いっ……」
「あぁぁ……いい……」
できるだけ、早足で扉の前を通り過ぎる。そのたびに耳の奥底に溜まっていく声にキリスエールは両手を耳につけて聞くまいとし、小走りで廊下を抜けた。
建物の裏口だろうか、廊下の突き当たりの小さな扉を出て建物を出ても声が追ってくるようで、キリスエールは耳を塞ぎ続ける。
できるだけ早足で建物から離れた。
何メートルか進んだところで、じんわりと肌に伝わる熱を覚え、キリスエールはわれ知らず瞑っていた目を開けた。
一瞬、外の明るさに目が眩むが、瞬きを繰り返すと視界がはっきりした。
「綺麗……」
ピンクや白の草花が煉瓦で区切られた花壇の中で風に揺れている。4つをひと組に配置された花壇を取り巻く細い小道、それを囲むように植えられた腰高の木々も美しく刈られていた。新緑が目に眩しい。
足を止めたキリスエールを先導の男が振り返り、「早く来い」とせっつく。
慌てて、男とあいてしまった距離を走ってつめる。
庭園まわりを巡る回廊を、点在する色とりどりの花々を見ながら歩いていると、先ほど通過してきた建物の存在の方が夢のような気がした。しかし、後ろを振り返れば、木々の向こうに、屋根が見える。すぐさま目をそらして、キリスエールは前を向くとさらに足を速めた。
庭園をめぐる回廊を2辺分抜け、左に折れると白い壁に赤い屋根の大きな3階建ての建物が現れた。男は迷いなくそこの玄関へ向かう。建物の真ん中に大きな鉄の扉がそびえ、その中ほどにある小さな扉を開けて男は中へと消えた。
建物を見たとたんに、先程声の聞こえた扉の情景が頭をよぎり、一瞬、気リスエールの足が止まった。
「どうした?」
建物入口の扉にぽっかりと開いた空間の向こうから男の怪訝そうな声がする。キリスエールがついてこないから、おかしいと思ったのだろう。
キリスエールはそこへ行こうとするが、足は鉛のように重く、なかなか前に進まない。
「そんなところに突っ立ってどうするつもりだ。お前の部屋はこの建物の2階だ。早くしろ」
一度、外へと戻ってきた男に怒鳴られ、キリスエールは足をとめた。膝が震える。
怖い。
そう思うが、それを悟られたくなくて、また、こんなところに来なければならなかった理不尽さに腹が立って、キリスエールは男の顔を睨みつける。
男もキリスエールを睨み返した。しばし、無言で睨みあった。
空気を震わせる風が二人の間を割って吹き抜けた。
木々のざわめきが遠くに聞こえる。
キリスエールは一度、瞳を閉じ、それから開けた。大きくため息をついてうつむいた。
そして重そうに足を前に1歩出し、踵を返した男の背に向かって歩き出した。

2階に上がると片側に扉が並んだ廊下を左へ向かう。ここでは、声は何も聞こえなかった。音と言えば、時廊下に敷き詰めた絨毯を擦る2人分の足音だけ。少しだけ、ほっと息を吐いて、キリスエールは歩みを速めた。男は、その扉の一つの前に立ち無造作に開く。
「ここがお前の部屋だ。必要な物は全てそろっていると思うが、入用なものはいつでも言うといい」
広めの二間の部屋だった。手前側の部屋には木製の書きもの用の机と椅子、さらに窓際に赤い布を張った寝椅子が備えてある。奥の部屋は寝室のようだ。開け放たれた扉から、群青色に複雑な文様を織り込んだカバーのかかったベッドが見えた。
こざっぱりと片付いていて、清潔な感じの部屋だ。キリスエールはバルコニーに続く窓に歩み寄る。窓からは芝生の広い庭と奥に森が見えた。日の光に遠くの緑の葉がきらきらと輝いていた。
「好きに使って構わない。説明されたと思うが、どこに行くのも何をするのも自由だ。あの門からは出られないが」
窓の傍まで行き、部屋から遠くに見えるひどく巨大な門へと視線を走らせ、案内役の男は言った。キリスエールもそちらに視線を向ける。木々の上にそびえる鉄の建造物が見えた。鋭い槍をたくさん並べたような飾りが門の上に配置され、門は威圧的に見えた。あれでは、よじ登るのも越えるのも不可能だ。そして、この世界の入り口はあそこだけ。
窓にあてた手のひらをキリスエールは拳の形にぐっと握りこむ。
「守護者(ガーディアン)には逆らうな。彼らの望むままに。それがここの掟だ」
男の言葉を背で聞きながら、キリスエールは奥歯を噛みしめた。
「それ以外は、お前は自由に。わかったか」
その言葉に振り向きもせずに頷く。
その仕草に一つ溜息をついて男は出て行った。ばたんと扉が閉まる。
かつん。キリスエールは額を窓に押し付けた。ガラスの冷たさが心も冷やす。
贄という名の奴隷。
そう思って、自嘲する。
こんなことになるとは、全くあのときは想像もしなかった。
ただ、あの人を助けたかっただけなのに。
キリスエールはきつく瞳を閉じて、拳で窓を殴った。びりりとガラスが震えた。
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