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「山神の花嫁_昔話」
冬の月影

月の月影(2)

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「で、乗せるのは泉だけか。お前もか?」
「泉だけでいい。俺は自分で飛べるからな」
「じゃあ、泉。こっちへ来い」
銀王に呼ばれて泉はそちらに足を踏み出す。
側まで行くと、銀王がこちらを振り向き、乗れと首を振った。
「すみません。よろしくお願いします」
泉はそっと銀王の背に手をかけるとふわりと身をその背に躍らせた。
「軽いな」
泉の身体を背に乗せて、銀王はまた笑う。
「しっかりつかまって、身を伏せておけ」
「はい」
泉の返事を合図に銀王は前足を掻いた。すっと身体が宙に舞う。
まるで、地を蹴って駆けるように、銀王は空を走る。その後ろを守るように翡翠が追った。
慣れない浮遊感に泉はぎゅっと銀王の首にしがみつく。
顔の横を風が唸りを上げて通り過ぎる。空を行くことには泉はいつまでも慣れない。さらに銀王の柔らかい毛並みに顔を伏せる。
「大丈夫だ。泉。前を向け。地上は紅葉が見事だ」
身体の下から銀王の声が響いて、泉は瞑っていた瞳をあけた。怖々身体を起こし、周りを見渡す。山々が足もとに広がるのが見えた。
遥か眼下に山並みが広がり、その向こうに大きな湖が見えた。陽に輝いて、白く光を放っている。周りを囲む木々は秋の装いで、紅や黄や茶、また黄緑色が混ざり合って、その美しさを誇っていた。
泉はしばしその光景に目を奪われる。様々な色の競演。それも自然の色は優しく美しい。
「すごいな、大地が燃えるようだ」
横に並ぶように移動してきた翡翠の声に泉は視線を流す。まるで、宙を滑るように翡翠は空を移動していた。
こういうとき、翡翠は神なんだと人間ではないのだと思い知らされる。普段、翡翠はほとんど力を使わずに生活しているから忘れそうになる。自分と翡翠は違うのだということを。
横に並んだ翡翠を泉は見つめた。
美しく雄々しい神……。
溜息が出るほど美しい眼下の景色さえ、翡翠にはかなわないと泉は思った。
銀王は地を駆けるのと同じように空を駆け、すっと湖の中央に浮かぶ島へと降りて行く。
島の入り口に赤い鳥居が見えた。
あとは木々に隠れてわからない。
軽々と地面に降りた銀王の背から泉は降りた。
「ありがとうございます」
泉の礼に銀王はその鋭い眼を細めた。つと近寄ると鼻づらを泉の耳に寄せる。
「泉」
「はい」
律儀に答える泉に苦笑を浮かべて、銀王は囁く。
「お前が呼ぶなら俺はどこへでも馳せ参じよう。どこへでも乗せて行ってやる。用があれば俺の名を呼ぶといい」
それから銀王は真名を告げる。人の耳には響かない心に響く音色の名を。
「銀王さま」
「緑の主に飽きたら俺のところに来い。いつでも可愛がってやる」
舌で泉の耳を銀王はするりと舐めた。熱い息が耳の中まで入って泉はふるると身を震わせた。
「勝手に人のものを口説くな」
腕の中に抱きこんで、翡翠が泉を銀王から引きはがす。
「泉も嫌なら嫌ってはっきり言え。まったく、次から次へと……」
イライラと告げる翡翠の声に泉は嬉しそうに微笑んだ。
「何笑ってるんだ?」
怒ったような声でさえ、泉には嬉しい。翡翠が泉を自分のものだと言ってくれる度に泉の心が温かくなるのを翡翠は知らない。
翡翠様に飽きる時も側を離れる時も永遠にこないと思う。
翡翠が自分を捨てる時まで。
「なんでもありません」
口元に微笑みを浮かべて、泉は翡翠を見つめた。視線が絡み合い、離せない。
ぎゅっと翡翠に抱き締められて、泉は翡翠の胸に顔を伏せた。
「そんな顔するな。このままここでお前を抱きたくなる」
耳に注ぎ込まれた翡翠の言葉に泉は顔が熱くなった。きっと耳まで真っ赤だろう。
あまりのことに絶句した泉をそのままに、翡翠は頭を上げ、銀王を見る。
「銀王。お前も行くか?青の主に会うのも久方ぶりだろう?」
銀王は首を横に振った。狼なのにその表情が呆れている。
「確かに久方ぶりだが、今日は遠慮しておく。緑の主の惚気に付き合うのはまっぴらだ。どうせ見せびらかしに来たんだろう?」
翡翠がはじかれるように笑った。
「それもいいかもしれないな」
豪快に笑う翡翠につられたのか銀王も笑いだした。
「帰る時にまた呼ぶといい。迎えに来よう」
笑いながら告げ、銀王はふわりとその身を宙に躍らせる。その姿はあっという間に青い空に溶けて見えなくなった。
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