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「天空国の守護者」
地上編

バゼル(1)

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空が青白い。青い空を量が多めの雲がゆっくりと流れていく。
キリスエールは、宿屋の部屋の窓辺に座り、雲が流れ行く空をぼんやり眺めていた。ちょっと出かけてくるとタミルが宿の部屋を出てから、すでに半刻が過ぎた。レイラースも下の食堂に用があると降りていったが、まだ戻ってこない。
トドス第2の都市、バゼルの街に入って、数日が過ぎた。
久しぶりにやわらかい布団の上で眠り、湯を使って身体を清めて、心身ともに充実した感がある。キリスエールは一度も野宿がつらいとも嫌だとも思ったことはないが、慣れない旅程に確かに疲労が蓄積していたのは事実だった。
タミルもレイラースも全く普段と全く変わらなかったのに、情けないとキリスエールは思う。特にレイラースは普段あんな優雅な生活をしていたにもかかわらず、地面で眠ってもまったく堪えた様子もなかったのだ。
結局、二人に守ってもらっていることにキリスエールは心苦しさを覚える。それでも野宿をしている間は、薪になりそうな枝を拾ったり、水を汲んだり、キリスエールでもすることがいろいろあり、それなりに対等だと思えた。だが、街に入って宿に逗留してからは、キリスエールの仕事は何もなく、この憂鬱さに拍車をかけていた。
「キリスエール」
レイラースの声が背から聞こえて、キリスエールは振り返った。その目の前に飛んできた丸いものを慌ててキャッチする。手の中に重みを伝えているのはリンゴだった。
「買い物に行ってたんですか?」
「いや、下でもらった。なんか、厨房で余ったらしいよ」
そういって微笑むレイラースの顔を見て、キリスエールは苦笑いを返した。レイラースは鮮やかな金の髪を茶色に変え、瞳も両目とも青になっている。だが、その白皙の美貌は隠しようがなく、宿屋のおかみさんがうっとりと見つめていたことをキリスエールは思い出した。
「キリスエールは何をしていたんだ?」
リンゴに視線を落としたキリスエールは首を横に振って「何も」と答える。
「退屈?」
「そういうわけでは。だけど、俺にも何かさせてほしいと思っています。子供でもか弱い女性でもないんですから」
呟くように告げると目の前に歩いてきたレイラースの指に顎を掬われた。
「安全だって確認できたら、外も自由に歩けるよ。ここがいいか、首都まで行った方がいいのかタミルが調べているから」
キリスエールは目を伏せる。そう、それはわかっていた。タミルもレイラースも守護者の追手を気にしている。キリスエールも守護者相手に何かできるとは思っていないからそこは納得しているが、それにしても何もできない自分が歯がゆい。
「キリスエール」
呼ばれた声に色が増した気がして、キリスエールは瞳をあげて、レイラースを見上げた。
「いいよね」
言いながら、レイラースが腰をかがめるのが見える。唇にやわらかくて温かい感触を覚えて、キリスエールは目を見開いた。
啄むように口づけられて、唇を舌でたどられる。
「キリスエール」
促されて、キリスエールは口を薄く開いた。レイラースの舌がその隙間を押し分けて、口の中に入ってくる。
「……んっ……くっ……」
舌先で舌をたどられて、キリスエールは瞳を閉じた。レイラースの手がキリスエールの髪に差し入れられて、ぐっと手前に引かれた。口づけが深くなる。キリスエールの手からリンゴが落ちて、てんてんと床を転がった。
口の中を舌で好き勝手に蹂躙され、キリスエールの息が上がる。
「はぁっ……うっ……ん」
口の中に唾液があふれ、それを啜られて、濡れた音がした。顎を掬いあげていた手が首筋を通って、シャツの上からキリスエールの胸をまさぐった。胸の突起に指が触れるとキリスエールの背がぴくんと揺れた。
「キリスエール」
唇を離すと切なそうに艶を帯びたレイラースの囁く声が聞こえた。
膝裏に腕を差し入れられて、あっという間に抱えあげられる。
「レイラース様」
抗議の声もあっさり無視されて、キリスエールは寝台の上にそっと置かれた。身体を起こす間もなく、レイラースの身体に抑え込まれ、また唇が降りてくる。
「レ……レイラース様」
唇に頬に耳に口づけを降らすレイラースの胸をキリスエールは押し戻す。
「待って……」
「待たない。もうどれだけキリスエールに触っていないと思ってる?外はいやだっていうから我慢してきたけど、ここはベッドの上だし、タミルも当分帰ってこない。もう、拒絶する理由はないよ」
シャツのボタンをもどかしげに外して、キリスエールの胸をさっさとあらわにするとレイラースは鎖骨から胸へと唇を滑らせる。
「だめ」
「きかない」
シャツの上から弄られて、つんと尖った胸の先をレイラースはきれいな白い歯で甘噛みする。
「やっ……」
なじみのある感覚が背を走って、キリスエールは身体を突っ張り背をしならせた。
レイラースはキリスエールの反応に気をよくしたらしく、あいている指で反対の胸の突起を擦った。
「はぁっ……あぁっ……」
身体を足の先まで、しびれるような感覚が伝って、キリスエールは頭を横に振る。
「いやっ……」
もう、守護者と贄じゃないといったのはレイラースなのに、こうやって求められるとキリスエールにはどうしていいかわからない。ここは天空国ではないし、もう、慰めも必要ないはずだ。
「どうして……」
「キリスエール。おまえが欲しい。もうおかしくなってしまいそうなくらい」
甘く囁いて、レイラースは身体でキリスエールの抵抗をさっさと封じると熱心に身体を愛撫する。肌のすべてをキスと指の感触で埋めるつもりらしい。
「だめです。レイラース様」
キリスエールは熱くなる身体に反して、必死に抵抗を試みる。散々、慣らされた身体は、愛撫を受ければたやすく反応する。それもよくなじんだレイラースの肌なら余計だ。
「キリスエールのだめはダメじゃないよ。ほら」
艶めいた声でささやきながら、レイラースはキリスエール自身を握りこんだ。
「やっ」
足をばたつかせてキリスエールはレイラースの下から逃れようとする。レイラースの言うとおり自分の身体が反応しているのはよくわかっている。それでもだめなのだ。快楽だけの関係はもう終わりにしたい。
「キリスエール?」
さらに逃げようとするキリスエールを訝しく感じたのか、レイラースが射るようにキリスエールを見つめた。瞳に怒りと抑えようもない情欲の炎が踊っている。
「やめてください。レイラース様。もう、お願いですから……」
キリスエールはレイラースの瞳をまっすぐに見つめ返しながら、レイラースの手を抑える。
「……どうして……」
「俺は自分の気持ちがわからない。こういうのは、好きなもの同士がする行為で……だから……」
「キリスエールは僕が……嫌い……?」
瞠目したレイラースの声が震えていた。
「違います」
はっきりと否定するとレイラースが大きく息を吐いた。
「じゃあなぜ」
「俺はレイラース様もタミル様もセイン様も好きです。だけど、それはきっとレイラース様と同じじゃない。同じ想いが返せないのに、快楽だけ分け合ったら、いままでと変わらない。たぶん、誰に求められても応えてしまう」
「キリスエール」
「でも、それじゃダメなんだ。それだとレイラース様もタミル様もセイン様も俺も心が痛いだけ」
それが本心だった。身体だけでいいというならいくらでも差し出す覚悟がキリスエールにはある。それしか返すものがないからというのもあるが、一時の快楽だけならあげられる。だが、心を伴った行為にはならない。だから、誰にでも身体を差し出すことになるだろう。
「どうして……」
レイラースはキリスエールの上に覆いかぶさると、ぐっとキリスエールを抱きしめた。髪に顔を伏せて、絞り出すような声を出す。それを突き放す残酷さを知りながら、キリスエールはゆっくり目を瞬いた。
「レイラース様。狂おしいくらい誰かを想うことが、俺にはまだわからない……」
恋も知らないまま、身体だけ快楽に敏感になるように仕込まれてしまったせいかもしれないし、誰しもが自分に優しすぎて何が恋なのかわからないからかもしれない。誰かを想って眠れぬ夜を過ごしたことはキリスエールにはない。
「みんな俺には大事な人で、だけど、だれか一人じゃないんです」
「もう……もういい」
ぐっと力を込めて抱きしめられて、キリスエールは口をつぐんだ。キリスエールを抱くレイラースの腕がかすかに震えていた。キリスエールは心の奥底がずきんと音を立てるのを聞いた。
どうして、大事な人を傷つけないといけないんだろう。声なくレイラースが泣いている気がして、キリスエールは唇を噛む。
「身体だけだったら僕にくれるの」
かすかに聞こえた声に、キリスエールは頷いた。
「残酷だね」
レイラースの言葉にキリスエールは心を貫かれた気がして、ぐっと瞳を閉じる。しばらく熱い身体がキリスエールを抱きしめ、それからそっと上からどいた。
「レイラース様……」
「出てくる。キリスエールはここにいて」
キリスエールの顔を見ずにレイラースは部屋から出て行った。ぱたんと閉じた扉がレイラースの背を隠す。
「くっ……」
喉を鳴らして、キリスエールは腕を目の上に置いた。何もかもがうまくいかない。こんなにも大事にされて守ってもらって、なのに、レイラースの望み一つかなえてあげられない。
目じりから涙がこめかみに一筋流れ、キリスエールはぐっと奥歯をかみしめた。
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