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「山神の花嫁_昔話」
冬の月影

冬の月影(3)

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鳥居をくぐり森へと歩み入る。
歩みを進める度に妙な違和感を泉は覚えた。
薄いベールを潜るような、もどかしい感じ。
それを繰り返すと腕も身体もだんだん重くなる。
「……翡翠様」
たいして歩いてもいないのに心臓の拍動が増し、息が上がって、泉は翡翠の名を呟いた。
前を歩く翡翠が振り返った。
「どうした。泉?」
普段の泉ならこのくらいの距離でへばったりはしない。深窓のお姫様ではないのだ。山で育ち、山を歩くのは慣れている。
にもかかわらず、何故?
後ろを振り返るとまだ鳥居が見えた。
ほとんど進んでない。
「翡翠様。空気を掻きわけているようで。まるで薄布を押しやっているようなのです」
「そうか。結界だ」
忘れてたと翡翠が呟いた。山の宮もそうだが、同格以上の神ならともかく、普通は神域に許可なく入ることはできない。
翡翠は問題ないが、泉はその結界に引っかかったのだ。
「今頃、結界に触れる者がいると宮で騒いではいるだろうが。面倒だな」
泉の腕を支えてやりながら、翡翠は思案顔だ。
「ここは呪が複雑なんだ。俺が解いてもいいが、手間がかかりすぎるか……」
そういえば、どうして人の世界に竜胆様の館があるのかと泉が空で問うた時、ここは人界と神界が重なっているのだと銀王が説明してくれたことを思い出す。
翡翠は泉を見下ろした。泉も翡翠を見上げる。
しばらくして、翡翠が琥珀の瞳に悪戯な光を浮かべながら、笑った。
「泉。お前、青の主を呼び出せ。あいつが認めればすんなり中に入れる」
「呼び出せって、翡翠様。どうやって」
「お前が名を呼べば出てくるだろう。訪いの口上を述べればいい」
簡単に言ってくれる翡翠を泉は上目づかいに睨んだ。
口上を述べると言っても作法もなにも知らないのに。
「いいから適当にやれ」
泉の心を読んだかのようなセリフに泉は深く息を吐き出した。
翡翠様は好きだけど、この適当さ加減には時々ついていけない。
そう思いながらも泉は姿勢を正した。まっすぐ前を向いて立つ。斜め後ろに翡翠が寄り添ったのを感じながらも泉は大きく息を吸った。
「失礼します。私、山の宮の泉と申します。竜胆様にお取次をお願いしたく……」
朗々と述べるとふわりと泉の髪が舞った。
「泉。本当にお前か」
泉の口上が終わらないうちに目の前に竜胆が立っていた。風は竜胆が現れた時に立ったらしい。
「今日も美しいな」
現れるなり讃辞を贈る竜胆に泉は困ったような微笑みを浮かべた。
あんなことをして、翡翠を怒らせたのにまったく懲りた様子がない。
それにしても、いつも竜胆様はきちんとしているんだと泉は感心した。
自宅にいたにもかかわらず、濃紺の直衣姿できちんと髪を結っている。冠まではしていないが、少しの隙のない男ぶりだ。
「よう。青の主」
泉しか目に入っていない竜胆に翡翠が声をかけると竜胆は嫌そうな顔をする。
「なんだ、泉だけじゃないのか」
「当たり前だ」
泉の後ろで不敵に翡翠は笑った。
「なんで、私を呼んだんだ?お前がいるのに」
「お前の許しがないと泉が宮に入れない。手順を踏むよりお前が許可した方が早い」
「それはそうだが。お前が許可したってよかったんだぞ」
竜胆は睨むように翡翠を眺めやるが、翡翠はどこ吹く風だ。
「確かにお前がやるより面倒ではないだろうが、それだけで呼び出すか普通……」
ぶつぶつ言いながらも竜胆は泉に向かいあう。にっこりと微笑まれ、瞳には柔らかい光が踊っていた。
「ようこそ。泉。我が屋敷に。ごゆるりと滞在されるがよかろう」
竜胆がそう告げた途端に泉を取り巻いていたまとわりつくような空気が霧散した。違和感が消滅し、呼吸すら楽になる。結界が泉を認めて通したのだろう。
「ありがとうございます。お邪魔します」
泉は深く頭を下げた。
顔を上げても竜胆は柔らかく微笑んで泉を見つめていた。
「来てくれて嬉しいよ」
「竜胆様」
「こっちだ」
竜胆は二人を伴って歩きはじめる。泉は後ろを振り仰いだ。翡翠が頷くのを確認して後に続いた。
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