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「山神の花嫁_昔話」
冬の月影

冬の月影(7)

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からりと襖があいて、泉と耀華が戻ってきた。
「泉、どうだった、青の主の館は?」
笑顔で泉が答えを返すだろうと翡翠は水を向けた。
「素晴らしかったです。人もたくさんいて」
声は普通だが、笑顔が心なしか暗い。いつもなら、新しいことや知らないことを見たり聞いたりすると輝く瞳が憂いを帯びている。
「どうした?何かあったのか?」
翡翠の問いにも泉は首を横に振った。
「何もありません。耀華様がいろいろ案内して下さって、とても楽しかったです」
泉は翡翠をみてにこりと微笑む。
「その割には疲れた顔をしている」
「かなりあちこちお連れしてしまいましたので、お疲れになったのかと」
心配げな翡翠の言葉に耀華が、口を挟んだ。
「まあ、この屋敷はやたらと広いからな」
「お前のところが手狭なんだ」
翡翠の言葉に竜胆が文句を言った。
「泉と二人なんだ。あんなもんで十分。広くて掃除が大変だといつも泉に怒られているくらいだからな」
「泉にやらせないで、もっと人を雇えよ」
竜胆が呆れたような声を出す。
「人はいらない。泉だけで良い。あとは人型が適当にやるからな」
翡翠は泉を手招いた。
「泉、こっちへ来い」
呼ばれると翡翠の側まで行き、少し離れて泉は腰を下ろした。
いつもなら拳一つ分くらいしか離れない泉がどうしたのだろうと翡翠は泉を見つめた。
座布団がそこにあるからなのか、青の主の前だからなのか……。
肩を抱いて、引き寄せようと腕を伸ばすが、手のひらが肩に触れただけで泉は身体を固くした。
「え?なんでしょう?」
困った顔で泉は翡翠を見上げる。しかし、視線は合わせない。
「疲れたなら、俺に凭れていればいい」
泉は首を横に振る。
「大丈夫です。いうほど疲れたりしていません」
「でも、顔色が悪いな」
竜胆も心配そうに泉に声をかける。
「本当に大丈夫ですから」
安心させようというのか泉は竜胆ににこりと微笑んだ。
「そうか……」
竜胆には泉の微笑みがいつも通りに見えたらしい。瞳に安堵が浮かんでいた。しかし、翡翠にはそれは無理した笑みにしか見えなかった。
泉の作った笑みを見分けるなど翡翠には造作ない。泉の本当の笑顔はこちらがつられて微笑んでしまうようなきれいなものなのだ。
「泉、帰るぞ」
何があったかわからず、ここで泉はそれを告げるつもりのないことがわかって翡翠は立ちあがった。
「夕餉までいてくれるんじゃないのか?」
急に立ちあがった翡翠を竜胆が慌てて引きとめる。
「急に来たからな。今日はやめとくよ」
「お前の口からそんな殊勝な言葉を聞くとは……。いつもふらりとやってきて勝手に飯、食ってくくせに」
竜胆は呆れた声だ。
「あんまり、礼に適ってないと泉に怒られる。それに、泉の調子も悪そうだ。今日はこれで暇する。悪いな」
「いいけど。唐突なのはいつものことだし。次に来たときはしばらく滞在してくれ。如月くらいがいいな。湖に氷が張ってそれはみごとなんだ。泉に見せたい」
翡翠が立ちあがったために、それに倣った泉に翡翠はどうする?と視線を流した。
「湖が凍るんですか?」
驚きに目を見開いて、泉は竜胆に問う。
「そう。それも全部」
視線を向けられて嬉しいのか竜胆はにこにこと笑った。
あの広い湖が全部凍るのを想像しているらしい泉を皆が見つめる。
「そのころまた来るか?」
翡翠は泉の瞳を覗き込むように訊いた。
「ええ。ぜひ」
答える声は弾んでいたが、泉は翡翠から僅かに視線を外す。
なんだ?
翡翠は苛々とした感じにとらわれる。先ほどからの泉の態度がわからない。
俺を避けている?
バカバカしいと翡翠は思う。翡翠は何もしていないし、さっきまで泉はすこぶる機嫌が良かった。
耀華と何かあったのだろうか。
しかし、泉の身体から耀華の香はしない。
耀華にいじめられたとか?
それもないだろう。泉は翡翠の花嫁なのだから。
「じゃあな。青の主。また、その頃に世話になる」
埒もない考えを頭から払拭し、翡翠は暇を告げた。

「青の主。久しいの」
屋敷の車寄せに降り立った銀王は、見送りに出ていた竜胆を見るや挨拶を述べた。
鳥居まで歩くと主張した翡翠に車寄せから帰れと竜胆が提案したのだ。
「銀王、元気そうじゃないか。最近は、山にばかりいるそうだが、たまにはこちらにも顔を出してくれ」
「こっちは人界が近くて面倒でかなわん。山奥では人間の匂いすらないからな」
挨拶に答えた竜胆に銀王は鼻の頭にしわを寄せた。
「青の主が緑の主の館に来たら顔を出そう」
「つれないね、銀王。それとも泉がいるところにいたいってことか?」
銀王が泉を気に入ったということを踏まえての発言に銀王は竜胆をぎょろりと睨んだ。
「青の主は節操なしだからな。泉に手を出したらわしとて容赦しない」
「はいはい。その言葉はそっくり返すよ、銀王」
ぐるると銀王は唸りを上げて、竜胆を睨んだ。
「そこまで。泉は俺のだからそういう話はなし。誰にもやらないって言ったろう?」
二人の視線の間に翡翠が割り込む。
「緑の。100年も経ったらいいだろう?」
「やらん。100年経とうが、千年経とうが、泉は誰にもやらない」
泉は横で俯いて、この3人の戯言を聞いていた。表情は見えないが笑っているわけではないらしい。
「下らないこと言ってないで、帰るぞ。銀王、悪いが、また泉を山の宮まで頼む」
銀王は泉の側によって、鼻面を泉の頬に擦りつけた。
泉はその頭をかき抱く。
「銀王さま。よろしくお願いします」
そうして、2人は山の宮へと帰還した。
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