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告白の向こうへ

告白の向こうへ(1)

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ざわめきが潮騒のようだ。
オフィスビル12階にあるカフェテリアは昼時ともあって混み合っていた。食事を取りに行くカウンターの行列は解消したようだが、スーツ姿やら作業着姿の社員で、席はほとんど埋まっていて、彼らが話す会話がざわざわと空気を震わせていた。
広いカフェテリアの隅の方にある2人がけのテーブルに1人で席についていた霧森実生(きりもりみお)は、トレイの上に乗った深皿にスプーンをつっこんで透明に光るスープをすくった。色のきれいな唇にスプーンをあてて中身を口へと運ぶ。
短く切った黒髪はくるくると巻いていて、小さな顔は白く滑らかそうだ。長い睫毛で縁取られた目はアーモンド形で、すっきりとした鼻筋にぽってりとした唇という容姿をした実生は、陰で一部の女子社員に王子系と呼ばれている。知らないのは本人だけだ。
熱いスープに息を吹きかけ、冷ましながら食べる。
「実生」
いきなり近距離で聞こえた甘い声に、スプーンをもったまま実生は顔を上げた。
一人で食事をしていたはずなのに、目の前の席には小野原律人(おのはらりつと)が口元に微笑みを浮かべて頬杖ついて座っていた。
「なあ、実生」
浮かべた笑みをそのままに律人が実生の名を呼んだ。大きく息を吸う律人になんだと問う視線を実生は向けた。
「おまえが好き……だって言ったらどうする?」
実生は大きく一つ瞬いた。律人は頬杖ついたまま同じ顔で微笑っている。
なんて言ったんだ?
突きつけられた言葉の意味がのみこめずに実生はまじまじと律人の顔を見つめた。あまりに驚いたためか、先ほどまで聞こえていたカフェテリアのざわめきが遠ざかって消え、まるで誰もいない世界に2人きりになった気がした。
コンピューターのハードを作製している小森製作所は、工場と研究所も併設されていることもあって男性の数が圧倒的に多い。そんな中にあってさえ、律人はワイルドでかっこいいと営業部以外の女性にすら騒がれているかなりの有名人だ。大学時代には、ミスターにも選ばれたこともあると誰かが噂していた。面長の顔、ちょっとつり上がった切れ長の瞳、高い鼻筋に薄く形の良い唇。長めの髪はワックスで散らしてあって、同性の実生から見ても確かにカッコイイと思う。
無言のまま実生は、律人の顔を凝視してしまっていたが、相手は気にならないようで、実生が何かを言うのを待っていた。
実生は大きく息を吸って吐いた。だんだんカフェテリアの喧騒が耳の中に戻ってくる。
そして、ありえないと脳の中で全てを否定した。
こいつはいつも俺をからかう。前にもおまえってかわいいなと頭を撫でられたことだってある。子供じゃないっていうのに。
「ありがとう」
返事をするのもバカバカしかったし、だけど無視するには距離が近すぎて、一番無難だろうと思う言葉を実生は返す。口調がそっけないのは当然といっちゃあ当然だろう。
実生の返事を聞くなり、律人は片眉を軽く持ち上げた。心なしか怒っている気がした。
「意味わかってる?」
声にも少し棘がある。なんで怒るのか実生にはさっぱりわからない。からかったのに反応が薄かったからか。まったく意味もわからず、実生はスープに視線を戻した。
「ああ、俺がいい奴だとかそういう意味で褒めてくれたんだろう」
だから感謝したんだと答えると、律人は大げさに溜息をついた。
実生は少しむっとする。いきなり現れて、まったく脈絡もない言葉を投げつけたくせに、この態度はないだろう。
「じゃあ、俺と付き合ってくれって言ったら?」
「どこに?」
『俺と』と聞こえたが、『俺に』の訊き間違えだろうと解釈し、実生は間髪いれずにそう返した。
律人が黙る。じっと実生を見つめて、身体を起こした。
「わかった。じゃあ、今晩、飲みに行こう」
何がわかったのかも、どうして飲みに行くのかも実生にはさっぱりわからない。だが、律人ともそう浅い付き合いではない。それどころか、入社3年目になる技術営業の同期で、常に一緒に行動しているのはこの男だった。律人は時々、前後のない事を言ったりするが、まあ、それで特に迷惑を被ったこともなかった実生は、「別にいいけど」と軽く答えた。
「じゃあ、決まりな」
嬉しそうに返答する律人の声を聞きながら、スープをスプーンで、実生は口へと運ぶ。それを前の席から、律人は微笑んで見ていた。
あまり見つめないでほしいと実生は思う。人に見つめられるというのは慣れていないから、ひどくどぎまぎする。だいたい、俺が食事しているのを見てなにが楽しいのだろう。
「小野原はなんか食べないの?」
パンをちぎって口に入れる前に実生は訊く。
「ああ。もう食事は済ませた」
口の端を上げて、笑う律人にどくんと一つ鼓動が跳ねた。ちょっと意地悪気な何もかも見透かしたような笑みは心臓に悪い。
こういう顔をしている律人はろくでもないことを考えているに違いない。
「そう」
ひとこと返事をすると自分をじっとみつめる律人はほうっておいて、実生は黙々と食事を続けた。
律人の視線の強さを気にしながらも、実生はそちらを一度も見なかった。
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