スポンサー広告

スポンサーサイト

 ←クアール ロト →逃亡の旅(2)
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。


にほんブログ村 小説ブログ BL小説へ

もくじ  3kaku_s_L.png 未分類
もくじ  3kaku_s_L.png はじめに
もくじ  3kaku_s_L.png リンク集
もくじ  3kaku_s_L.png Novel lists
もくじ  3kaku_s_L.png 奇跡の刻
もくじ  3kaku_s_L.png 平行線の恋
もくじ  3kaku_s_L.png 煉獄の恋
総もくじ  3kaku_s_L.png 天空国の守護者
総もくじ  3kaku_s_L.png 巡る季節と恋の順番
もくじ  3kaku_s_L.png 雑記
総もくじ  3kaku_s_L.png 山神の花嫁_昔話
もくじ  3kaku_s_L.png 告白の向こうへ
もくじ  3kaku_s_L.png 空の月を恋う
総もくじ  3kaku_s_L.png おまけ番外編ショート
もくじ  3kaku_s_L.png 遠回りの片恋
もくじ  3kaku_s_L.png 腕の中の迷い猫
総もくじ  3kaku_s_L.png 蒼い闇の化身
  • 【クアール ロト】へ
  • 【逃亡の旅(2)】へ
  • TB(-)|
  • CO(-) 
  • Edit

「天空国の守護者」
地上編

逃亡の旅(1)

 ←クアール ロト →逃亡の旅(2)
暗闇を引き裂くような火の明かりが地面でゆらりと揺れた。
街道脇の小高い丘の上でキリスエールはたき火をみつめる。暖かい空気が火から漂い、キリスエールは手を火にかざした。
「どうした?キリスエール寒い?」
隣に座すレイラースに問いかけられて、キリスエールは首を横に振った。寒さは感じない。だが、火の温かさが無性に心地よく感じられただけだ。
レイラースから伸びてきた腕からキリスエールは身を躱す。
「キリスエール……?」
「何があったんです?」
西門から馬を駆って、暗くなっても街道をひた走ってきた。東の空に上がった月が天頂に上がるまでレイラースは馬の速度を落とさなかった。タミルも異議を唱えずにキリスエールの後ろを守るように黙々と馬を進める。2人に守られるようにキリスエールは街道をやってきたが、誰もキリスエールに何も説明してくれない。
ここで野宿を決めた時も簡単にとった夕食時も2人は口も利かずに黙々とまるでただの作業をこなすようだった。
簡単な話は確かに聞いた。追手が現れて街中で暴れて、それで逃げなくてはいけなくなったことはキリスエールにもわかっている。だが、詳しいことは2人の胸の内だ。
キリスエールは立ち上がって、自分を振り仰ぐ2人を見下ろした。
「確かに俺は頼りにならない。だけど、何があったかくらい話してくれてもいいんじゃないんですか」
キリスエールは悔しかった。この旅の間中、街についてからは特に2人はキリスエールをまるで深窓の姫君か、何もできない子供のように扱う。対等は無理でもせめて足手まといにはなりたくないとキリスエールは思う。
「キリスエール。座って」
静かだが凛とした声でレイラースがキリスエールに言った。キリスエールは首を横に振る。
「いいから、座って」
声に苛立ちが混ざるのを感じて、キリスエールはレイラースを見た。
「見えないだろうけど、キリスエールの一歩後ろあたりに気配を断つ為に結界を張ってある。人間に気配を察知されないようにね」
キリスエールはその言葉にそっと後ろを振り返る。まったくなにも見えないがレイラースが言うことは本当だろう。門衛が野獣が出るからといった言葉を気にしているんだと思った。
「触れると解けてまた張り直すのはちょっと骨が折れる」
キリスエールは、一歩後ろにあるという結界に触れないようにと、たき火に沿って、小刻みに2、3歩横にずれてから腰を下ろした。レイラースとタミルから均等に距離を取る形になる。そのまま腰を下ろすとレイラースに抱き込まれそうで、キリスエールは嫌だったからだ。
自分から離れて座ったキリスエールを寂しそうに見たレイラースは、顔を前に向けてたき火の向こうのタミルを見た。
「詳細は僕も聞いていない。そうだろう、タミル?」
レイラースの声には相変わらず苛立ちが潜んでいるような気がした。昼間、拒絶したことも関係しているだろうとキリスエール思う。
「詳細も何も説明した通りだ」
組んだ両手を握ったり開いたりしながら、タミルが答える。
「いきなり街中に現れたカルアにいきなり切りつけられた。応戦したが、騒ぎを聞きつけた騎士団がやってきて、逆上したカルアが力をそいつらに向かって放った」
「カルアって?」
キリスエールの問いにタミルの背がひくりと波打った。
「俺の部下だった男だ」
「キリスエールを殺そうとしたバカだ」
タミルの苦しそうな言葉とレイラースの怒りを含んだ声が重なった。
ああとキリスエールは思う。あのときだ。シスルが自分をセインの館から連れ出したあの時。廊下で争う声が聞こえた、あの相手だろう。
「ほかの黒軍の奴らは?」
レイラースの問いにタミルは首を横に振った。
「単独だったようだ。もう、カルアは黒軍所属ではないと言っていた。フレミールの監視下にあったらしいんだが」
「一人でお前を捕える気だったのか?」
呆れた声音にもタミルは首をゆっくりと横に振った。
「いや。殺すつもりだったらしい。裏切り者は許せないと言っていた」
キリスエールは息をのんだ。そのカルアという守護者はタミルを惑わせた自分を許せずに殺そうとしただけでなく、タミルその人を殺めようと思うくらいタミルに心酔しているのだということがわかったからだ。
「しかし、カルアも無謀だな。剣でも力でも一度もお前に勝てたためしなどないだろう」
「剣技と物理的な力なら俺が上だ。だが、感応力を使われたらどうなるかわからない」
たき火をみつめながら呟くタミルの口調に寂寥が混ざっている気がしてキリスエールは拳を握る。
「それもお前がしっかりしていれば効かない。動きを止められても振りほどける」
レイラースの言葉にタミルはどうかなと答える。
「実際、気配も消していたし、人の気配を纏っていたつもりだが、カルアには俺の居場所がはっきりわかったようだしな」
気弱なタミルの発言にレイラースが眉を顰めた。
「確かにお前はそっち方面の力の振り分けが下手だが、それでも感応力の呪縛はお前が本気でほどこうとすれば解ける。セインと国主だと厳しいかもしれないが」
それにタミルは言葉を返さなかった。目の前で揺れる火を黒い瞳に映して何かを考えているようだった。
それがまるでかつての部下だったら殺されてもしかたがないと思っているようにキリスエールには思えて、背をぞっとする感覚が走る。
誰にも傷ついてほしくない。ましてや死んでしまうと考えたら恐ろしさが足元から上がってきて身体が震えた。守られたいんじゃない、守りたいんだとキリスエールは膝で立ちあるがる。そのまま膝でにじり寄るようにタミルに近づき、キリスエールは身体を投げ出すようにタミルの首にしがみつく。
「キリスエール!?」
驚いたタミルの声が耳元でし、身体を離そうとするのを、キリスエールは腕をからめて逃がさない。
「だめです。絶対にあきらめないで。何があっても死んじゃだめだ」
抱きしめる腕に力を込める。
「……キリスエール」
タミルは抱き返すこともできずに呆然とした声を漏らした。驚きと戸惑いが抱きしめた身体から伝わってキリスエールはますます腕に力を入れた。
「腕をゆるめてくれ、苦しい」
身じろいだタミルにはっとしてキリスエールは腕の力を抜いて身体を離した。だが、首に絡めた腕は解かない。
「約束してください、あきらめないって。勝手にその守護者様に命をあげたりしないって」
ひたとタミルの瞳を睨み付けてキリスエールは告げる。目の前で黒い瞳が揺れていた。
しばらくタミルはそのまま微動だにしない。ただただ、瞳にキリスエールを映して、固まっていた。キリスエールも視線を外さない。沈黙が落ちた。
「……わかった」
かすかな声で答えたタミルにキリスエールは抱きつく。タミルが喉を鳴らしたのが聞こえたが聞こえないふりをした。高い体温が服越しに伝わってくる。命の証のように思えてキリスエールは愛しいと思った。タミルが自分に触れるのを怖がっているのを知っていたが、離れる気にならない。気にしているのはタミルだけだったから、それを伝えるいい機会だと思うことにして、安心するためにもキリスエールはタミルをしばらく抱きしめていた。
タミルが抱きしめ返してくることはなかったけれど、振りほどかれなかったことで、タミルが自分の願いを聞いてくれたとキリスエールは思うことにする。
時間にしたら短かったかもしれない。だが、しばらくの間、キリスエールはタミルの体温を感じていた。
「キリスエール」
そっと肩に手を置かれて、キリスエールは顔をあげ、身体を離す。声にもタミルの表情にも戸惑いが見え隠れしていたが、キリスエールはふわりと微笑った。
「約束ですからね」
「ああ」
ぎこちないながらも笑い返してくれたタミルに笑い返して、キリスエールは身体を離して、タミルの脇に腰を下ろした。
ぱちんと火の粉がはじけて闇に散る。その向こうからレイラースがキリスエールをみつめていた。口元が引き結ばれて難しい顔だ。
「レイラース様」
声をかけるとレイラースははっとした顔をし、キリスエールからタミルへ視線を移す。
「で、この後どうする?僕たちを追う準備が整ったとみるべきか」
まるで何もなかったかのようにレイラースはタミルへ話を振った。
「まあ、いままで追手がなかったことの方が不思議だったからな。次々になるだろうな」
キリスエールを見ていたタミルは気付かなかったのだろう。レイラースの思いつめたような昏い瞳の色に。
キリスエールはうつむいた。何をしてもレイラースを傷つける。昼間、拒んではいけなかったのかもしれない。わかってくれたと思ったのはキリスエールの思い込みだったのか。
だが、抱かれてしまったら、そこに心がないと知ったらさらにレイラースを傷つける。それでは何も変わらない。
「このまま、人のいない街道を逃げる方がいいだろう」
タミルとレイラースの会話が頭の上を素通りする。
「だが、追手が隊を成すと2人では追い払うのが面倒だ」
「だな。だから、街中を選んだ。だが、街の中で騒ぎを起こされたのでは人間にも追われる」
人と守護者の両方から逃げるのは難しいと二人は街ではなく、人のいない街道を今後どちらの方に行くかを話し合っていた。
地図が必要だとタミルが荷物に手を伸ばした。
レイラースがキリスエールがいるのとは反対側から、タミルに近づき開かれた地図を覗き込んだ。
レイラースの指が現在位置を指すのをキリスエールはぼんやり眺めた。
関連記事


にほんブログ村 小説ブログ BL小説へ

総もくじ 3kaku_s_L.png 天空国の守護者
総もくじ 3kaku_s_L.png 巡る季節と恋の順番
総もくじ 3kaku_s_L.png 山神の花嫁_昔話
総もくじ 3kaku_s_L.png おまけ番外編ショート
総もくじ 3kaku_s_L.png 蒼い闇の化身
もくじ  3kaku_s_L.png 未分類
もくじ  3kaku_s_L.png はじめに
もくじ  3kaku_s_L.png リンク集
もくじ  3kaku_s_L.png Novel lists
もくじ  3kaku_s_L.png 奇跡の刻
もくじ  3kaku_s_L.png 平行線の恋
もくじ  3kaku_s_L.png 煉獄の恋
総もくじ  3kaku_s_L.png 天空国の守護者
総もくじ  3kaku_s_L.png 巡る季節と恋の順番
もくじ  3kaku_s_L.png 雑記
総もくじ  3kaku_s_L.png 山神の花嫁_昔話
もくじ  3kaku_s_L.png 告白の向こうへ
もくじ  3kaku_s_L.png 空の月を恋う
総もくじ  3kaku_s_L.png おまけ番外編ショート
もくじ  3kaku_s_L.png 遠回りの片恋
もくじ  3kaku_s_L.png 腕の中の迷い猫
総もくじ  3kaku_s_L.png 蒼い闇の化身
  • 【クアール ロト】へ
  • 【逃亡の旅(2)】へ

~ Comment ~

管理者のみ表示。 | 非公開コメン卜投稿可能です。

~ Trackback ~

卜ラックバックURL


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

  • 【クアール ロト】へ
  • 【逃亡の旅(2)】へ
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。