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「天空国の守護者」
地上編

逃亡の旅(2)

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旅は続く。
できるだけ人のいない街道を選んで進み、進路は北西にとった。
あまり北に近づくとクアール信仰の圏内に入って厄介だという彼らの見解からだ。だが、南に下れば、再度パラドースを通らなければならない。それを避けるために、北西へ進み、大陸の端へ出ることにした。
大陸の端には海と呼ばれる湖より大きな水たまりがあるらしい。パラドースは山に囲まれた内陸の国だったから、キリスエールは海を見たことはなかった。
湖より水量の多い水たまりとはどんなものかと想像をめぐらすが、結局はよくわからなかった。
そして、レイラースが言うには、さらにその海の向こうに守護者もクアールも関係ない大陸があるらしい。守護者がそちらから渡ってきたという古い文献を見たことがあるとレイラースは地図の端の街、シイハンを指しながら言った。
それが真実かどうかわからないが、とりあえず海を目指して旅することに決めたのだ。
だが、街道を行くことにした途端、守護者の追手の数も増した。
すでに、街を出て10日が経っていたが、すでに、3回も守護者の隊に襲われた。
アルタイルを並足で進ませながら、キリスエールは旅のマントについたフードを深くかぶり直す。できるだけ人間の旅人に見えるようにとレイラースとタミルも茶色のフード付きマントでその目立つ風貌を隠していた。
それでもとキリスエールは思う。あれは街を出てから2日目だった。
街道をゆっくりした足取りで馬を進めていたレイラースの歩みがピタリと止まった。
「どうした?」
タミルもその横で馬を止め、キリスエールもそれに倣う。
「待ち伏せされている」
レイラースが街道の奥を目を眇めて見通すとタミルも同じ方向へと鋭い視線を投げた。なだらかな丘を細い街道がずっと奥まで続いている以外何も見えない。新緑の草々が風にその身を倒してざわりと音を立てた。視線を街道のはるか先に置いたままタミルは腰の剣に手をかけた。
レイラースがキリスエールの脇に馬を寄せた。
「キリスエール。あの森が見えるか?」
右手奥に見えるこんもりとした木々をレイラースは指さした。キリスエールは頷く。
「合図をしたらあそこまで一気に馬を駆けるんだ。止まってはいけない。振り返っても。
森に着いたら木々の間に身を隠せ」
キリスエールは馬上で青くなって首を横に振る。だが、キリスエールをみつめるレイラースの瞳はいままで見たことがないほど厳しい。
「二度は言わないし、答えもイエス以外認めない。いいな。後で迎えに行く。それまで何があっても出てくるな」
口調すらいつもと変わったレイラースをキリスエールは不安げに見上げ、さらにタミルにも視線を向けた。タミルも険しい顔で頷く。
レイラースはアルタイルの鬣に手を伸ばし、それをゆっくり撫でた。
「アルタイル。お前の主人を頼んだぞ。行けっ!」
その言葉を解したのかそれとも驚いたのか、アルタイルがいきなり走り出す。
キリスエールは慌てて馬上に伏せた。スピードを緩めようと手綱を握ってもアルタイルは言うことを聞かない。疾走する馬体から振り落とされないようにするのが精いっぱいで、キリスエールは振り返ることもできないまま街道を外れていく。
後ろではレイラースとタミルの馬のひずめが地面をたたく音が聞こえた気がした。
森に入るとアルタイルは足を止め、キリスエールは慌てて転がるように馬から降りた。木の間に姿を隠しながら、森の外、レイラースたちが見えないかと視線を巡らせた。そして、キリスエールは息をのむ。
白い翼をひらめかせて、空を急降下する複数の守護者が見えた。彼らの向かう先は見えなかったが、当然、あの2人だろう。だが、キリスエールの位置から見えたのはそれだけだ。さすがに遠くて何が起こっているかは全く分からない。息を殺して、様子をうかがう。すがるように木の幹についた手が震え、握りこんだら木皮が爪に食い込んだ。祈るように、白い翼が翻ったあたりを凝視する。
こんなところで隠れていたくない。彼らとともに戦いたい。
だが、剣をいくらか使えるといっても守護者相手では、足手まといは必至だ。熱くなる眦に力を込めて、歯を食いしばる。何が起きているかわからないまま、キリスエールは息を詰めてレイラースとタミルの姿を追い求めた。

タミルとレイラースは、キリスエールの隠れた森から遠ざかるように馬を走らせた。当然、こちらに注意を引くためだ。青い空を滑空してくる守護者の一団が見える。一様に剣を抜いている様を見上げて、タミルは獰猛に笑った。
守護者一の腕前と讃えられた剣聖であるタミルに剣で挑みかかるとは無謀にもほどがあると思ったと同時に面白く感じたためだ。
「白軍だ」
耳の横で唸りをあげる風切音に混ざって、レイラースの冷静な声が届く。見上げた先は小隊の半分ほどか、きれいな隊列を組んで、二人のもとに降り立ってくる。
タミルは馬上で剣を抜いた。纏っていた人間の気配を取り払うと背に黒い羽が出現する。
並走するレイラースの背にも白い翼が見えた。
「いくぞ」
「ああ」
声をかけて、降りてくる一軍に突っ込んでいく。本来ならば無謀な戦いだ。2人対50人。
タミルは太腿で馬の胴体を挟んで操ると手綱から手を離す。利き腕には愛用の剣を構え、左手に力をためていく。
いくらなんでも一人で切り結ぶには相手が多すぎる。大勢で取り押さえられたら、さすがに面倒だ。
十分に近づいてきた白軍に左手を差し出す。途端に烈火がタミルの手の中から白軍に向かって帯のように伸びた。隊が割れる。
炎をかいくぐり、タミルのもとに辿り着いた先頭の兵士が空から剣を振りかざす。それをなんなく、はたき落とし、返す刃で相手に深手を負わせる。
タミルもレイラースもすでに相手を敵とみなしている。相手がこちらを捕縛するつもりだろうが、同国人だろうが、彼らの戦闘本能に刷り込まれた命令は、仇なすものには容赦なしだ。
レイラースもタミルも存分に剣を振う。叩き込まれる剣を受けてははじきかえし、隙があれば、力を叩き込む。砂塵が舞い上がり、地面に白い羽が散る。
ちらりと視界の隅にとらえたレイラースも同じように、剣で敵を落としているようだ。
戦いにおいて、レイラースほど頼りになる武人もいまい。口角をあげて、タミルは目の前で剣を薙いだ守護者に剣を振う。剣戟の音が響き、相手が後ろに跳び退る。
なるほど、白軍にもそれなりの使い手はいるってことか。
「やるな」
つい褒め言葉が口をついて、タミルは剣を両手で構えた。相手がぐっと唇を引き結ぶ。
「来い」
挑発する言葉を吐くと相手が、ぐっと腰をかがめて、飛び込んできた。
上段に構えた剣を下から掬うように受ける。鋭い金属音が響いて、火花が飛ぶ。
勢いのまま剣を上にはじいて、がら空きの胴に流れるように剣の切っ先を向けた。体勢を崩した相手は、身体を逆へ倒す。タミルの剣が空を切る。空中にいるからこそできる技だ。
馬上で空からの敵に対するのは不利だなとタミルは内心で呟き、それでも馬からは降りない。
相手は、剣を構えなおし、上空にいる利点を生かして高いところから突っ込んできた。馬の腹を軽く蹴り、タミルは相手とすれ違うように馬を前に走らせた。相手の振り下ろす剣がスローモーションのように見える。得意なのが上段からの打ち込みのようで、ワンパターンの攻撃にタミルは苦笑をこぼした。剣をからげるように掬いあげ、勢いを利用して、外へはじき、そのまま駆け去る。
きらりと陽光に光る軌跡を残して、相手の剣が宙を舞い、地面に突き刺さった。
馬首を巡らせて、相手に向き直る。
乾いた唇を舌で舐めあげた。
「空手で挑むか?」
挑発すると悔しそうに相手は顔をゆがめ、空高く舞い上がる。
それに面白くもなさそうにタミルは鼻を鳴らした。もう、誰も突っ込んでこない。頭上では羽をひるがえす音が聞こえ、タミルは上へと視線を投げた。
すでにその数を半分以下に減らした守護者が空の高みから2人を見下ろしている。実力差に恐れをなしたか、なすすべがないと思ったか様子を見るばかりで降りては来ない。
レイラースがタミルに馬を寄せた。
「大丈夫か?」
タミルが問うと
「誰に言っている?」
ざんと空中で剣を振って、レイラースが獰猛に笑った。全く心配はないようだ。怪我一つしていない。
「どうするつもりだろうな?」
構えも殺気も解かずに二人は空を見上げる。あそこまで行って蹴散らす気にはならない。
睨み合いがしばし続いた。
ふぁさりと羽をはばたかせて、先頭の守護者が踵を返す。後にほかの守護者が続いた。潮が引くように退却していく守護者をタミルとレイラースは見送った。
姿と気配が完全に消えるまで、二人は青い空の向こうをにらみ続けた。

どれだけの時間が経ったのだろう。馬を駆る影が街道を外れて森へと疾走してくるのが見えた。キリスエールは大木の幹の後ろに身体を隠すように張り付き、息を殺す。アルタイルもぴくりとも動かずに木の陰に佇んでいた。
「キリスエール」
馬のひずめが森の地面に堆積した落ち葉を蹴散らす音とともに聞きなれた声に名を呼ばれ、キリスエールは木の陰から飛び出した。
「レイラース様」
馬を引いてレイラースとタミルが現れる。キリスエールを見つけると二人は鮮やかに微笑んだ。その笑みに守護者は撤退したんだとキリスエールは安堵の息を吐いた。
そんなことがすでに3度。
いまのところ2人は怪我もなく、捕まることもないが、こんな頻繁ではとキリスエールは不安に思う。いくら体力があっても疲れがたまってそのうち、戦えなくなってしまうのではないかと思ったのだ。
「キリスエール」
自分の名が呼ばれて、キリスエールははっと顔をあげた。並走した馬の上からタミルが心配そうな視線を自分に向けていた。
「眠っていたのか?」
「いえ。ちょっとぼうっとしていました」
顔を伏せたまま馬を駆っていたので、心配されたようだとキリスエールはタミルに笑みを返す。だが、キリスエールは気付いていなかったが、その目元にも頬にも疲れの跡が垣間見えている。
「そうか」
一言そう返すとタミルは先行するレイラースの隣へ馬を走らせ、二人は馬上でなにやら相談を始めた。
だんだん馬の速度が下がり、なだらかな丘がくぼみを作るあたりで、レイラースとタミルは馬の足を止めた。
「今日はここで休もう」
振り返ったレイラースに宣言されて、キリスエールは頷いた。
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