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「天空国の守護者」
地上編

逃亡の旅(3)

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オレンジの光が闇を照らす。ゆらりと揺れる炎が唯一の光源だ。月明かりもないこんな夜は、星の明かりさえ明るく思える。
タミルとレイラースはたき火の側で地図を広げ、進路の確認をしている。キリスエールはそれをぼんやり眺めていた。
「この辺に村がある。ここらで水とできるだけ食料を調達したほうがよくないか」
タミルが指す先を覗き込んで、レイラースが考え込む。
「そうだな。だが、人間の少ない道を選んで進んでいるからか、やっぱり襲撃は頻繁だな」
「まあ、雑魚ばっかりだがな。白軍も翠軍も大したことがない」
ここのところ彼らの捕縛に動いているのは白と翠の両軍だ。指揮官が感応力が強く、軍師であるから、陣形も狙いも悪くはないがいかんせん力の差が大きい。タミルとレイラースが力を振えば、下級兵士は束でかかっても敵ではない。
「それはそうだが、カミールが指揮を執っているからな、あまり甘く見ない方がいい」
地図をにらみつつレイラースが言う。
「もっと視界を妨げるような山沿いをいくか。森を通るもの手か……」
いくつかの地点を指さしてこぼされた呟きが途中で途切れる。
「誰だ」
レイラースが声を荒らげ急に立ちあがり、その声にタミルが腰の剣に手をかけて身体を起こした。キリスエールも二人に倣い慌てて立ち上がる。
タミルの視線の先の空気がゆらりと揺れて、人の形が現れた。
「街の方が安全だと思うよ」
現れるなりそう言葉を発した人影を3人は言葉なく見つめる。
月光で作ったかのような銀の髪が風に揺れ、菫色の瞳が懐かしそうに3人を映していた。ほっそりとした肢体にトーガのようなゆったりとした服を纏っている。
「セイン」
先に我に返ったのはレイラースだった。名を呼ぶとセインはうれしそうに微笑んだ。
「久しぶり、レイラース」
足を前に出して火の側に向かってセインが歩き出す。
「おまえ、今までどこにいたんだ」
タミルの言葉にセインは困ったような顔をし、視線をキリスエールで止めると感慨深げに見つめた。キリスエールはそんなセインの菫色の瞳から目が離せない。
「国元の片田舎に隠れてたんだが見つかってしまってね」
まっすぐキリスエールに向かって歩み寄るとセインは腕を伸ばしてキリスエールを抱きしめた。
「会いたかった。キリスエール」
ぬくもりを確かめるかのように胸に抱き寄せて、セインはキリスエールの首筋に鼻先を埋めた。
「よかった無事で。どこも壊れてない」
「セイン様」
キリスエールもセインの背に腕を回して抱きしめ返す。今にも消えてしまうんじゃないかと思うほど、セインは儚げに見えたから。
「それにずいぶん、背も伸びた」
ぎゅっと抱きしめる腕に力を籠められて、キリスエールはさらにセインに抱き込まれた。セインが無事だったことにキリスエールは心から安堵する。ずっと気になっていたもう一人の守護者。
「キリスエール」
セインの呟きに反応したのはレイラースだった。セインの肩に手を置いて、ぐっと手前に引く。
「セイン、キリスエールから手を離せ」
だが、セインはさらにキリスエールを抱き込む。
「元気そうに見えるが、旅に次ぐ旅に、キリスエールは参っている」
レイラースの言葉はこの場にそぐわないように聞こえた。だが、セインはキリスエールを解放した。
「無意識に摂ろうとしただろう?」
そういいながら、レイラースはキリスエールの腕をとらえるとさっさと自分のところに引き寄せる。
「キリスエールはだめだ。タミルか僕にしておけ」
話が見えなくてキリスエールは3人の守護者を交互に見回した。セインはじっとタミルとレイラースを見ていたが、ほうっと息を吐き出した。
「悪い。キリスエールに会ったら、抑えが利かなかったようだ」
セインはそういいながらタミルに歩み寄りその腕を取る。
「ちょっといいか」
セインの言葉にタミルが頷き、二人は連れ立ってたき火から離れて歩き出した。
「セイン様、タミル様」
声をかけるがレイラースに腕を取られてさらに抱きしめられた。
「レイラース様、いったい何がどうなっているんです」
訳が分からず、抱き込まれたキリスエールはレイラースの腕の中で身をよじる。
「説明するから暴れない。そんなに嫌がられるとさすがに優しくできなくなりそうだ」
レイラースの声に自嘲が潜んでいてキリスエールはもがくのをやめてレイラースを見上げた。
「キリスエール。そんなに僕が嫌?」
訊かれてキリスエールは首を横に振る。それだけはない。
レイラースは肺の底から息を吐き出すようなため息をついた。
「そうだったね。君は決められないんだった」
言いながら、レイラースはキリスエールの顎に指を添えると顔を近づけた。
「レイラー……」
名を呼んだ呟きはレイラースの唇に遮られる。やわやわと唇を食まれて、舌先で唇をたどられ、キリスエールはかすかに吐息をもらす。その隙をつくように、舌先がキリスエールの口内に滑り込み舌の上をざらりとなめられた。
「あっ……」
その感触にぞくりと腰の奥が震える。ぐっと腰を抱き込まれて、レイラースは口づけを深くする。舌を喉の奥まで伸ばされて、口蓋を舌先でそっと辿られ、キリスエールは苦しくて甘い感覚に身体をよじった。
「んっ……はぁっ……」
口の中いっぱいにレイラースの舌が侵入し、息ができなくて苦しい。だが、レイラースに巧みに口内をたどられ、舌で舌を掬われると足が震えてくる。
「……やっ……んっ……」
鼻から抜ける息はまるで続きをねだっているように甘く漏れた。その反応に気をよくしたレイラースがさらにキリスエールの口内を蹂躙する。
抱きしめる腕の力にもかき回される舌の動きにも翻弄されて、キリスエールの意識はだんだん薄霧がかかったようにぼんやりとした。
「キリスエール」
唇をゆっくり離すと、かすれた声でレイラースが名を呼び、濡れて赤く光るキリスエールの唇を舌先で愛おしそうにたどった。
「ん」
それにすら感じて、キリスエールは身体を震わせる。
「こんなになっているのに、それでも僕を拒む?」
荒い息を吐くキリスエールを胸で抱きとめて、レイラースは甘く囁いた。身体が熱い。レイラースのキスは巧みで、簡単にキリスエールの欲望に火をつけるのだ。だが、これはあくまで身体が要求しているだけで、心がレイラースを欲しているわけでないことをキリスエールはわかっている。
「僕が嫌い?」
キリスエールは緩慢に首を横に振る。
「じゃあ、好き?」
「尊敬しています」
キリスエールの答えはレイラースの気に入らなかったらしい。レイラースは再度、キリスエールの唇に自身の唇を重ねる。
「敬愛なんていらない」
キリスエールの唇をぺろりとなめて、レイラースは囁く。レイラースにもう一度、本気の口づけをされたら、自ら膝を折ってしまいそうで、キリスエールは顔を横にそむけた。
「もう……やめてください」
頬にも耳にも首筋にもキスを落として、レイラースはキリスエールの肌をさざめかすのをやめない。
キリスエールはレイラースの胸に手をついて、ぐっと彼の身体を押しのけた。だが、大して力が入らない。すでに息は上がり、瞳が潤んで、体温が上がっていた。慣れ親しんだ愛撫に身体が勝手に快楽を思い出しているのだ。このままだと気持ちを置き去りに、レイラースにねだってしまいそうだ。
「レイラース様、お願い……やめてください」
レイラースの身体が一歩後ろに下がって、キリスエールはレイラースにすがるように膝から地面に崩れ落ちた。
レイラースがキリスエールの前に膝をついて、ふわりと抱きしめた。
「わかった。でもこの腕を振り払うのだけはやめてくれ。何もしないから、お前の体温を感じていたい」
ぐっと身体を引かれ、レイラースの膝に抱えられた。毛布で体をくるまれて、抱きしめられた。
レイラースの指がキリスエールのやわらかい髪を掬っては指からこぼす。
キリスエールは息を整え、身体の熱を逃がした。
「セインはずいぶんやせたと思わないか?」
頭上からレイラースの感情の伴わない声が聞こえた。何の話か分からなかったが、キリスエールはセインを思い出して、頷く。
「たぶん、かなり力を使ったか、食事をきちんととっていなかったんだろう。だから、お前に会ったとたんに、いや、生気に触れた途端、取り込もうとした」
キリスエールは先ほどの抱擁を思い出す。だが、いつも生気を吸われたときに感じるめまいは感じなかった。首をかしげたキリスエールにレイラースはくすりと笑う。
「取り込まれる前に止めたから」
どういうことかキリスエールにはよくわからなかったが、自分からは何もセインは摂っていかなかったんだと思う。タミルと連れ立ってセインがこの場を離れたのは、タミルから力を分けてもらうつもりだからだとキリスエールは思う。
「セインに同調されると人間は気を吸われるというよりは快楽を感じる」
びっくりしてキリスエールはレイラースを見上げた。緑と青の瞳がキリスエールを見下ろしている。
そして、キリスエールは思い出した。最初に会ったときに、セインが言った言葉を。
『身体を繋いだのと同じ感覚だった?』
キリスエールは頬に熱が上がるのを感じる。
「憶えがあるようだ」
苦く笑われて、キリスエールはうつむく。その体をぐっと抱き寄せられて、レイラースの懐深くに抱かれて、キリスエールは息をつめた。
「誰にも触らせたくない。ずっと僕だけを感じていたらいいのに」
小声で呟かれた言葉はあまたずキリスエールの耳に届く。
「僕を選んで」
苦しげに吐かれる言葉になすすべもなくキリスエールは身を小さくした。
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