スポンサー広告

スポンサーサイト

 ←トレジャ →金の天使
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。


にほんブログ村 小説ブログ BL小説へ

もくじ  3kaku_s_L.png 未分類
もくじ  3kaku_s_L.png はじめに
もくじ  3kaku_s_L.png リンク集
もくじ  3kaku_s_L.png Novel lists
もくじ  3kaku_s_L.png 奇跡の刻
もくじ  3kaku_s_L.png 平行線の恋
もくじ  3kaku_s_L.png 煉獄の恋
総もくじ  3kaku_s_L.png 天空国の守護者
総もくじ  3kaku_s_L.png 巡る季節と恋の順番
もくじ  3kaku_s_L.png 雑記
総もくじ  3kaku_s_L.png 山神の花嫁_昔話
もくじ  3kaku_s_L.png 告白の向こうへ
もくじ  3kaku_s_L.png 空の月を恋う
総もくじ  3kaku_s_L.png おまけ番外編ショート
もくじ  3kaku_s_L.png 遠回りの片恋
もくじ  3kaku_s_L.png 腕の中の迷い猫
総もくじ  3kaku_s_L.png 蒼い闇の化身
  • 【トレジャ】へ
  • 【金の天使】へ
  • TB(-)|
  • CO(-) 
  • Edit

「天空国の守護者」
トレジャ編

報告

 ←トレジャ →金の天使
ノックの音に男は顔をあげ、
「入れ」
と鋭く命じた。
「失礼いたします」
扉を開けて入ってきたのは、黒い長髪に褐色の肌のタミルだった。今日も銀の甲冑に黒いマントをはおっている。部屋の主の前に直立不動で立つ。
「報告を」
大きなデスクの前に座った男は銀糸の髪を肩から払い、肘をデスクについて両手を組み合わせ、タミルに視線を合わせた。タミルを迎えにきた金と銀の天使の片割れのセインだ。
「すでに報告が言っているかと思いますが、本来の任務は無事に終了しております。我々は作戦通り、敵が作戦展開中の陣に到達。そのまま壊滅作戦に入り、敵部隊を殲滅しました」
「確認は?」
「もちろん行いました。特に強い感応能力者が感知しましたが、残存者はいませんでした」
セインが頷く。
「作戦終了後、帰還の途につきましたが、途中で襲撃を受けました」
淡々と報告をしているものの、ここでタミルの声が少し震えた。悔しげに頬を歪めた。
「感知できなかったのか」
「できませんでした。襲撃者は人間だったのです」
その答えに銀の髪の男は目を見張った。まったくもってありえないことだ。
遥か高みを移動する守護者を人間の武器では傷つけることはできない。
「しかし、人間の武器は届かないだろう」
セインの問いにタミルは頷いた。
「その通りです。人間だけだったなら、届かなかったでしょうし、そんな無駄なことはしなかった。武器を放ったのは人間ですが、それを増幅したのはクアールの奴らです。奴らは気配を消し、能力を使わず、人間が武器を放った瞬間に力を放出し、感知した時には遅かった」
忌々しげにタミルは答えた。思い出すだけで屈辱を感じるのだろう。身体の横に垂らされた手が握りこまれる。
「こちらからも応戦しましたが、形成は不利。撤退を決め、部下を先に行かせ、殿(しんがり)は自分が務めました」
「隣国の奴らが、クアールと手を組んだとみた方がいいということか」
セインの問いにタミルは首を横に振る。
「一部の狂信者でしょう。クアールを神の使いとあがめている一部の民がいるようです。その者たちに我々は邪神と言われている」
タミルの言葉の皮肉にセインは苦く笑った。この国では守護者は善で、クアールは悪だ。しかし、他国では違うという。
人間は信じたいものを信じる。勝手なものだ。
「早急な対策が必要だな」
セインの言葉にタミルは深く頷いた。
「ご苦労だった。次の軍議にこの問題はかけよう」
重々しく告げるとタミルが、胸の前で拳を握った腕を横に掲げる敬礼をする。
二人の視線が交叉した。しばし見つめ合う。
セインはふわりと笑った。いままでの上下関係がここで消失する。緊迫感も共に消えた。
「ところで、ここからは個人的な質問なんだが、なんで、下界に落ちる羽目に?」
それにはばつが悪そうにタミルは笑った。笑うときつい顔が、少年のような顔になる。
「最初の襲撃で、傷を負ったのも原因の一つっていえばそうなんだが、最後の移動の瞬間に頭に矢が掠って、移動中に意識をなくしたらしい」
「それで落ちたのか。怪我の具合はどうだ。もう平気なのか」
心配そうな顔で、机から立ち上がり、タミルの横までセインは歩いてくる。
「ああ。あの高さを意識なしで落ちた割にはな。それでも、あのままほっておかれたら危なかった」
「まったく、剣も戦闘中に落としたりするから探せなくて苦労したんだぞ。その上、意識をなくしているから、気配も掴めなくて、俺とレイラースがどれだけ心配したか」
「悪かったよ。お前たちが現れるちょっと前まで完全に意識がなかったからな」
困ったような顔に笑ってやり、セインはちょっと真面目な顔をした。
「本当に全く意識がなかったのか」
「どういう意味だ?」
「いや、他意はない。確かにお前の気配は全くと言っていいほど途絶えてたからな。そうなんだろう」
「ああ。熱っぽくて、変な夢ばかり見ていたな。昔のこととか。あんまり覚えてないけど、小さいころのセインも出てきた。抱き締められて安心して、抱き返したりしたかな」
そうなのという顔をして、セインは悪戯を思いついたように笑って、タミルを抱き締めた。
「こんな風に?」
「小さい頃っていったろ。いま、こんな図体のでかいやつに抱きつかれても嬉しくない」
二人とも同じくらい背が高い。すらりと細身だから余計そう見えるのかもしれないが。
銀色の天使が黒の天使に抱きついている様を誰かがみていたら、一幅の絵と思ったかもしれない。
「あの少年は……」
言いかけるとタミルに言葉を攫われた。
「なんか子猫みたいだったよな。茶色の柔らかい毛並みのさ。でも、あいつ俺が守護者だって知ってた」
「そうだろうな。屋敷の感じからも、支配階級だろう。領主の一族だったかもしれない」
瞳を覗き込んだら、恐怖で瞳が揺れていたのをセインは思いだす。
タミルの手当ても的確だった。タミルがあんなに深手でなかったらそれで完治していただろう。
なにごとも起こらないといいのだが。
セインはタミルにわからないように溜息をついた。
「でも、人間でもあんな可愛いのがいるんだな」
「タミル。それどういう意味だ」
つい声に険が含まれてしまう。人間に魅せられるなどあってはならないと。
「そのままさ。撫でたら、目をくりくりさせて、みゃあって鳴いてくれそうだ」
タミルの答えにセインは一気に力が抜けた。力なく笑う。
「はいはい。そうですか」
「ちゃんと礼をしたかったな」
セインはタミルの言葉に驚きを示し、両肩に手を置くと瞳を覗き込む。
「本気か?この間は事故だったから仕方がないが、俺たちは人間の世界には降りられない。わかっているんだろう」
静かな瞳でタミルはセインを見つめ返す。
「そうだったな」
残念そうに呟くタミルから、セインは離れ、姿勢を正した。
向かい合って立つ。
「今日から部隊に復帰か」
「ああ。将軍殿。この落とし前はつけてやらないとな」
口の端の鋭い犬歯を見せて、にやりとタミルは獰猛に笑った。
関連記事


にほんブログ村 小説ブログ BL小説へ

総もくじ 3kaku_s_L.png 天空国の守護者
総もくじ 3kaku_s_L.png 巡る季節と恋の順番
総もくじ 3kaku_s_L.png 山神の花嫁_昔話
総もくじ 3kaku_s_L.png おまけ番外編ショート
総もくじ 3kaku_s_L.png 蒼い闇の化身
もくじ  3kaku_s_L.png 未分類
もくじ  3kaku_s_L.png はじめに
もくじ  3kaku_s_L.png リンク集
もくじ  3kaku_s_L.png Novel lists
もくじ  3kaku_s_L.png 奇跡の刻
もくじ  3kaku_s_L.png 平行線の恋
もくじ  3kaku_s_L.png 煉獄の恋
総もくじ  3kaku_s_L.png 天空国の守護者
総もくじ  3kaku_s_L.png 巡る季節と恋の順番
もくじ  3kaku_s_L.png 雑記
総もくじ  3kaku_s_L.png 山神の花嫁_昔話
もくじ  3kaku_s_L.png 告白の向こうへ
もくじ  3kaku_s_L.png 空の月を恋う
総もくじ  3kaku_s_L.png おまけ番外編ショート
もくじ  3kaku_s_L.png 遠回りの片恋
もくじ  3kaku_s_L.png 腕の中の迷い猫
総もくじ  3kaku_s_L.png 蒼い闇の化身
  • 【トレジャ】へ
  • 【金の天使】へ

~ Comment ~

管理者のみ表示。 | 非公開コメン卜投稿可能です。

~ Trackback ~

卜ラックバックURL


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

  • 【トレジャ】へ
  • 【金の天使】へ
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。