スポンサー広告

スポンサーサイト

 ←新年の寿 →均衡の崩壊(2)
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。


にほんブログ村 小説ブログ BL小説へ

もくじ  3kaku_s_L.png 未分類
もくじ  3kaku_s_L.png はじめに
もくじ  3kaku_s_L.png リンク集
もくじ  3kaku_s_L.png Novel lists
もくじ  3kaku_s_L.png 奇跡の刻
もくじ  3kaku_s_L.png 平行線の恋
もくじ  3kaku_s_L.png 煉獄の恋
総もくじ  3kaku_s_L.png 天空国の守護者
総もくじ  3kaku_s_L.png 巡る季節と恋の順番
もくじ  3kaku_s_L.png 雑記
総もくじ  3kaku_s_L.png 山神の花嫁_昔話
もくじ  3kaku_s_L.png 告白の向こうへ
もくじ  3kaku_s_L.png 空の月を恋う
総もくじ  3kaku_s_L.png おまけ番外編ショート
もくじ  3kaku_s_L.png 遠回りの片恋
もくじ  3kaku_s_L.png 腕の中の迷い猫
総もくじ  3kaku_s_L.png 蒼い闇の化身
  • 【新年の寿】へ
  • 【均衡の崩壊(2)】へ
  • TB(-)|
  • CO(-) 
  • Edit

「天空国の守護者」
地上編

均衡の崩壊(1)

 ←新年の寿 →均衡の崩壊(2)
いくつもの緊張をはらみながらも夏は過ぎ去り、些細なことはあるにせよ、特記すべきこともなく日常は流れていく。
違うことと言えば、セインがこの街の長の権力者トラヴィヌス候の晩さん会にちょくちょく呼ばれることと、それにレイラースが付き合って出かけるようになったことだろうか。
セインの占いはことのほか評判がよく、トラヴィヌス候の奥方がひいきにしているらしいとか、護衛として一緒に現れる騎士が、絶世の美青年で、貴族の奥方達が取り巻いているとか、街にいても噂を聞くほどだ。
キリスエールは、シーツの端をぴっと引っ張り、たるみをとりながら、ため息をついた。
夏も終わり、いつ出発してもおかしくないのだが、セインもレイラースもタミルも動く気配はない。セインは不便だからと、昼間には屋敷の世話をする使用人すら雇っていた。
このままこの街で暮らすつもりなんだろうか。
薬草屋の助手にも慣れてきたし、それならそれでもいいような気もするが、旅はどうするんだろう。彼らはそれでいいのだろうか。
考え出すとキリがなくて、キリスエールはなんとなく釈然としなかった。
かちゃりと扉の開閉音がし、キリスエールは布団を手にしたまま、扉の方へ振り返る。
「あ、おかえりなさい、レイラース様」
レースをふんだんにあしらったドレスシャツに、紺のジャケットと同色のズボン姿のレイラースが扉を開けて立っていた。
気怠そうに部屋の中へ、つかつかと足を進めたレイラースは、キリスエールのところまで来ると、ジャケットポケットに手を入れ、無造作に何かを掴みだし、ベッドにザラリと落す。
「レイラース様……」
「あげる」
ひどく声が不機嫌で、キリスエールはベッドに落とされた数々の宝石とレイラースを見比べた。
ブローチだの指輪だのが、燭台の灯りを反射させる。
「これ……」
まただ。とキリスエールは思う。レイラースの気をひきたくて、貴族のご婦人がたが、レイラースに贈ったものだろう。
すでに、贈り物は、中くらいの皮袋いっぱいになるほどになっている。セインは路銀が増えるねと笑っていたが、なんとなくキリスエールは胸の中がもやもやした。
ご婦人がたに囲まれるレイラースを想像すると面白くないのだ。トレジャでも天空国でもキリスエールの世界は4人で閉じていて、それ以外の入り込む余地はなかった。だが、人界に戻ってくるや、世界が広がり、4人だけでいるわけにもいかない。
もしも、レイラースやセインにお気に入りのご婦人でもできれば、キリスエールをそういう意味であきらめてくれれば、キリスエールは念願かなって、彼らの従者として働ける。
でも……。
なんとなく気に入らない。家族をとられるような、誰も割り込んでほしくないような説明のつかない気分が胸の中をかき回す。
子供っぽい独占欲だ。
自分で自分を叱ってみるが、面白くないものはどうにもならない。
キリスエールは、ベッドの上の宝石のついたアクセサリーを集めた。
「ありがとうございます。かなり溜まってきましたよ」
もやもやする気分を押し殺して、キリスエールはレイラースを振り返って笑った。
「だれかお気に召した方はいらっしゃいました?」
不機嫌そうに眉間にしわを寄せていたレイラースだったが、キリスエールと目があうと、瞳を見開く。
腕を伸ばして、キリスエールの二の腕を掴んでひきよせる。
「キリスエール。もしかして妬いてる?」
吐息が触れそうな距離で、レイラースに見つめられ、囁かれ、心拍が跳ねた。ついで、しまったと思う。
レイラースと近距離で二人きりにならないように気を付けていたのに。
「え?ま、まさか」
心の中をのぞき見されたような気がして狼狽したキリスエールに、レイラースが口元をほころばせた。色香のある微笑みにキリスエールは視線を外せなくなってしまった。
「ふうん。あんな魔窟で我慢していた甲斐があったかな」
レイラースがキリスエールの頬に指を置いてそっと撫でる。
「キリスエールが妬いてくれるなら、もう何度かなら耐えられるか……」
「ち、ちがっ……」
キリスエールは身を捩って、逃げをうつ。だが、二の腕を掴むレイラースの力は緩むどころか逆に痛いくらいだ。
嫉妬なんてしていない。ただの独占欲だ。守護者が自分の方を見ていてくれないと嫌だなんて、子供すぎて嫌になった。
「逃げないで、キリスエール」
さらに抱き寄せられて、レイラースの顔が近づいてくる。赤い唇がキリスエールの頬に触れるくらい顔を寄せる。
どうしよう。
キリスエールは蛇に睨まれた蛙のように、身動きもままならないまま、身体を強ばらせた。
「キリスエール」
囁く、レイラースの雰囲気が一変した。見つめる目元が艶っぽく、言葉に熱がある。
「キスしていい?」
熱い吐息とともに耳に言葉を吹き込まれ、キリスエールはギュッと目を閉じて、首を横に振った。
「本当に?」
キリスエールの身体が震え、レイラースの唇が耳に触れ、軽く歯を立てられた。
「レイラース……さま……」
ぴくんと身体を跳ねさせて、キリスエールはレイラースから離れようと身を捩る。だが、レイラースはキリスエールの腕をつかんだまま抱き寄せた。
「セインが来ただろう?」
身体を抱き込まれて、囁かれた言葉にキリスエールはぎくりと身体を固くする。昨夜、確かにセインが部屋に来た。
「ど、どうして……」
声が掠れて上ずった。
『眠れないんだ』
昨夜のセインの声が耳の中に甦る。キリスエールは身体をさらに小さくしながら、昨夜のことを思い出した。
関連記事


にほんブログ村 小説ブログ BL小説へ

総もくじ 3kaku_s_L.png 天空国の守護者
総もくじ 3kaku_s_L.png 巡る季節と恋の順番
総もくじ 3kaku_s_L.png 山神の花嫁_昔話
総もくじ 3kaku_s_L.png おまけ番外編ショート
総もくじ 3kaku_s_L.png 蒼い闇の化身
もくじ  3kaku_s_L.png 未分類
もくじ  3kaku_s_L.png はじめに
もくじ  3kaku_s_L.png リンク集
もくじ  3kaku_s_L.png Novel lists
もくじ  3kaku_s_L.png 奇跡の刻
もくじ  3kaku_s_L.png 平行線の恋
もくじ  3kaku_s_L.png 煉獄の恋
総もくじ  3kaku_s_L.png 天空国の守護者
総もくじ  3kaku_s_L.png 巡る季節と恋の順番
もくじ  3kaku_s_L.png 雑記
総もくじ  3kaku_s_L.png 山神の花嫁_昔話
もくじ  3kaku_s_L.png 告白の向こうへ
もくじ  3kaku_s_L.png 空の月を恋う
総もくじ  3kaku_s_L.png おまけ番外編ショート
もくじ  3kaku_s_L.png 遠回りの片恋
もくじ  3kaku_s_L.png 腕の中の迷い猫
総もくじ  3kaku_s_L.png 蒼い闇の化身
  • 【新年の寿】へ
  • 【均衡の崩壊(2)】へ

~ Comment ~

管理者のみ表示。 | 非公開コメン卜投稿可能です。

~ Trackback ~

卜ラックバックURL


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

  • 【新年の寿】へ
  • 【均衡の崩壊(2)】へ
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。