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「天空国の守護者」
地上編

狂い始めたシナリオ

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店は雑多な人々で賑わっていた。狭い店内を泳ぐように給仕の人々が料理の皿や飲み物の壺をもって行き交っている。
時折、野太い怒声が店内を飛ぶ。
交易の盛んなところだけあって、旅人のほとんどは商人やその用心棒だから、こういった酒場はそんなものだ。威勢のよい声は、耳にうるさいが、それだけ活気があるということだろう。
そんな賑わった酒場にマントで全身を覆った細身の男性がふらりと入ってきた。だが、みな飲み食いや話に夢中で誰もそちらに視線を向けることはない。
男はざっとかしましい店内を見渡す。店の一番奥の隅のテーブルにいる黒髪の男が、ふいっと片手を挙げた。マントの男は、軽くうなずきを返し、黒髪の男にいるテーブルへと足を向けた。
「よう」
テーブルに近づくとにやけた顔を向けて、挨拶を寄越す。ロトだ。
「音沙汰がないと思ったら、何をしているわけ?」
マントのフードを跳ねあげて、緑の髪を揺らして、エミールは眉の間に皺を寄せる。
「見てわからないか。食事」
悪びれずに笑うロトにエミールは嫌味なほどのため息をついた。
「こんな人間だらけのところで、食事とは酔狂だね」
言いながら席についたエミールを見ながら、ロトは酒で満たされた杯を持ち上げた。
「ばーか。こういうところの方が、気配がまぎれていいんだよ。同調もしやすいしな。見つかってもこいつらを盾にして逃げられるし」
エールを喉に流し込んで、ロトはにやりと笑う。髪も肌もつややかで、あの不健康そうなやつれ方が嘘のようだった。
「腕は?」
「ほとんどいいな。握力がまだ本調子じゃないが、力も使えば何とかなるって感じ」
何度か手のひらを握ったり開いたりして見せるロトにエミールは内心、安堵の息をつく。だが、表面はいたって冷たく睨み付けた。
「それで?」
先を促すと「おまえも何か飲め」と言われる。
どうでもよかったが、酒場で何も頼まないのも却って目立ってしまいそうで、エミールもエールを注文した。
壺から杯へと酒を注ぎ、軽く持ち上げるとエミールもそれに口をつけた。
さわやかな苦みが喉を擦りぬけて、エミールは感心したように杯を見る。
人間はいただけないが、彼らの産物は驚くほど質がいい。食べ物や飲み物に対する人間の感覚の良さと貪欲さにかけては、人間を好まないエミールにしても認めざるえない。
エールの味に巡らしていた思考はロトの声に遮られた。
「見つけたぜ、黒の守護者」
エミールはふと顔をあげた。ロトはにやにやと笑いながらエミールを見る。嬉しそうにも怒りを湛えているようにも見えるその表情にエミールは少し背が寒くなる。
「ほかにも色付きが2名。何をたくらんでいるかは全くわからない」
「隊長クラスが3名」
ロトのもたらした情報にエミールは目を瞠った。ありえないことだったからだ。
守護者は人間界には降りないのが掟だ。クアールにもそういう掟はあったが、あまり守られていない。好きな奴は人界に降りちゃ、好き勝手にやっていた。キングも大量に殺さない限りは口を出さなかった。
「すごい秘密の任務?やっぱり人間狩り?」
「あのな、前におれがそれを言ったら、おまえじゃあるまいしと否定したのはエミール、おまえだからな」
ロトにあきれられるとひどくむかついた。こいつには言われたくないと思う。
「じゃあ、なんだ?」
「だから言ったろう。わからないって。一人は占い師とかってふれこみで、領主の館にしょっちゅう呼ばれている。それに付き添う騎士っていうのも、守護者だ。で、黒の野郎は、街を歩き回っている」
そこで、ロトは面白そうに口元を歪め、それから言葉を継いだ。
「人間のガキを連れてな」
「は?」
エミールはますます訳がわかならない。人間を嫌っているのは、クアールより守護者だ。人間を守る使命を帯びている彼らの方が人間を毛嫌いしているのは皮肉だといつも思う。
その守護者が人間を連れ歩いている?それもガキ?何のために?
「それ、何者?パラドースの王子とか?」
一気に疑問が渦巻いて、一番ありそうなことをエミールは口に出した。
「違うな。薬草屋で働いている。守るようにそばにいるのは確かだが、身分とかは感じない。おもちゃかとも思ったが、それも少し違うようだ」
何かをたくらんだ時の表情で、ロトが笑う。
「姫君を守る騎士のようにも見える」
ぐっと杯を煽って口元をぬぐうロトがやけに人間臭く見えて、エミールは苦笑する。まだ、言いたいことがあるようなロトに目線で続きを促した。
「あれにちょっかい出したら、突っかかってくっかなあと思ってさ」
「はあ」
「なんだ、気がないな。せっかく調べたんだからさ、おまえも遊ぶかと思ったのに」
ロトの言葉にエミールは、ため息をつく。もう少し、なにか守護者の陰謀とか、クアールに対する牽制とかなにか出てくると思っていたのに、人間のガキを守っているって情報だけなのはどうなのかと呆れることしかできない。
それに本当に守っているのかという疑問も払しょくできずに、エミールは眉間に皺をよせ、嫌な顔をする。
「人間のガキには興味はない。それより、もっとなんか裏黒い企みとか、キングをも動かせるようなネタはないわけ?」
「ないな。この街であいつらを見つけたけど、他の守護者は見ないし、戦闘にもあわねえ。その上あいつら、気配まで人間にまぎれて生活している」
その事実がどれだけ信じられない驚愕ものかロトにはわからないのだろうか。色付きの守護者は人間の気配など纏ったりしない。彼らの人間嫌いは、どんどんひどくなる。
命を懸けて守っているくせに、その命に一篇の価値も見出していないのだ。
エミールの驚いて固まった表情にロトは口端をあげて、皮肉気に笑った。
「俺だって最初は驚いたさ。あのプライドの塊みたいな連中が虫以下にみなしている人間に紛れるなんてありえねえ。それも権力者に取り入って、どうする気なんだとも思った。この街をまるごと乗っ取る気かも勘ぐったが、そんなことして、あいつらになんの得がある?ないだろう。そんなの心理操作か、力で奪えばいい。大体、守護者はパラドース以外どうでもいい連中なはずなんだからな」
エミールに言葉はなかった。ロトにも重要性はわかっているのだろう。それでも目的は探り出せなかったのだ。
「まあ、こっちから手を出してみたら反応もあるだろう」
壺からエールをエミールと自分の杯に満たして、ロトは笑う。しばらくは無言で二人で杯を重ねた。
陰謀だとしか思えない。パラドースが領土を広げる画策でもしているのだろうか。人間の欲は果てがない。栄えている近隣の国を羨ましく見ているだけでなく、すぐに手に入れようと画策する。
だが、この土地はパラドースからは遠すぎる。遠征をする意味も見いだせない。
点をつないでも、領土は増えないからだ。
まったくわからない話にエミールは思考をとめて、ため息をついた。テーブルに空の杯を音を立てて置いた。
ふと目をあげると憂いを含んだように見えるロトと瞳があった。
「エミール……、そういえばさ」
ロトはふと思いついたように、エミールに声をかける。その迷いさえ見える口調に、らしくないと思いながらもなんだと目線で答える。
「ファイは……、あいつはどうしている?」
ロトが出かけている間、あの人間の世話をエミールは頼まれていた。とはいってもたまに屋敷に顔を出して、様子を見るだけだ。彼の世話は屋敷に残っている他の人間と、ロトの従者が行っている。それでも人間だからとほうっておかれたら困ると思ったのだろう、ちゃんと暮らしているかをエミールは見に行くよう頼まれていた。
まあ、頼んだ手前、気になるのだろうとエミールは、杯を差し出す。ロトがその杯をエールで満たす。
「ああ、元気だ。ロトが留守だからね、のびのびやっているみたいだよ」
嘘だった。
顔を出すたび、ファイは「ロトはいつ戻るか」と訊いては泣く。
あんな扱いを受けていたにも関わらず、どうしてロトを待っているのか、エミールには皆目見当もつかない。
「そうか」
呟いて、ロトは杯をテーブルに置くと目を伏せる。寂しげにさえ見えるロトに、不気味なものすら感じて、エミールは言いも知れぬ不安を覚えた。
「嘘。いつ行っても泣いている」
形のない不安はさらに不安をあおり、エミールはつい本当のことを口にした。
「そうか」
先ほどと同じように返答して、ロトは杯を煽った。
「たまには顔を見せに帰れば、気になるならさ」
気落ちしていそうなロトに、エミールはそう告げて、杯を傾けた。
ロトは答えを返さなかった。
何もかもが、微妙に狂い始めているような予感を消してしまいたくて、エミールは杯を満たしていたエールすべてを飲み干した。
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