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「天空国の守護者」
地上編

闖入者(1)

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季節は本格的な秋へと移った。内陸の湖の側のこの辺りでは、気温は下がるものの、毛皮がいるほどでもない。
湖から渡ってくる風が強くなるのと雨が増えたことが季節を感じさせた。
だが、肌寒さにさらされると人肌が恋しくなる。それが愛しい人のものならなおさらだ。
レイラースは、今夜も帰ってくるなり自室にも戻らず、そのままキリスエールの部屋へと足を向けた。
身体の周りに香水の残り香と穢れが纏わりついているようで、気分が悪い。足元に視線を落としながら、階段を上ったが、自分の行先に見知った気配を感じて、レイラースは顔をあげた。
キリスエールの部屋のドアの前に誰かが座っているのが見えた。
「タミル」
気配でわかっていた相手に声をかけると扉の前でうずくまっていた影が身体を起こした。
「ここで何を?」
片膝を立て、扉を背にして座った姿勢のまま顔をあげたタミルにレイラースは訊いた。
タミルはひどく疲れたそれでいて苦々しい顔で、レイラースを見上げていた。
タミルは知っている。レイラースが繰り返しキリスエールの部屋で夜を過ごしていることを。もちろんセインもだ。
レイラースには、キリスエールを抱いたことを隠す気はさらさらなかった。
ここでキリスエールを初めて抱いた次の日、そろって朝食に降りて行った時の二人の表情は忘れられない。タミルは硬直したように顔をこわばらせてから瞳を伏せ、セインは瞳を細めて、大きなため息をついた。
多分、自分はかなり満足した顔をしていたのだろうとレイラースは思う。そうでなければ、ただ、一緒に食事に現れただけであんなに二人が落胆することはないのだから。
意地が悪いと自分でもレイラースは思った。だが、キリスエールは自分のものだと主張しておきたかったのだ。余計な手出しも口出しもされたくなかったのが理由だ。
だが、さすがにそれ以降は、キリスエールの部屋に泊まっても、朝、そこから仕事に出かけるキリスエールを見送っていた。それでも彼らはレイラースが頻繁にキリスエールの部屋で過ごすことを知っている。
「そこをどいてくれないかな。部屋に入れない」
しばし、睨み合った後、レイラースはため息をついた。
キリスエールの部屋をタミルが守っているのは、一目瞭然だ。問題はそれをキリスエールが頼んだのか、タミルが勝手にやっているかだ。
「もう、やめてやれ、レイラース」
何をいわれているかわからないとレイラースは首を傾げた。
「ひどく疲れた顔をしているんだ。無茶をさせるな」
苦しげに言うタミルこそ、眠っていないのか、顔色が悪かった。
「無茶なんてさせてないよ。それにキリスエールは拒まない」
「拒めないの間違えだろう。俺はあいつを守るためにいる。それはおまえからも例外ではない」
タミルの言葉にふっとレイラースは笑った。それは的を射ていると思ったからだ。守るべきは僕たちからだ。タミルも含めて、守護者から守るのが正しい。
だが、それはすでに手遅れで、自分はもうキリスエールを手放す気がない。
「無理強いも強要もしてないよ。わかっているんだろう?だから、こんなところに座っているんだ、違う?」
タミルは鋭くきつい瞳でレイラースを睨み付けた。キリスエールが助けを求めれば、タミルは飛び込んでくるだろう。だが、そうならないから、こんな風にそっと扉の前で番をしているのだ。
キリスエールの要請でないと知って、レイラースは胸をなでおろす。
「そこをどいて。こんなところで押し問答をしていたらキリスエールが眠れない」
タミルは下からレイラースをさらに鋭い視線で見つめた。
「彼の扉を守っていたいなら、そこにいるのは構わない。だけど、タミルに僕をとめる権利はないよ」
キリスエールが自分の腕の中で甘い声を上げるのを聞いていたいのなら、好きにしろと言う意味で告げるとタミルは射殺しそうな瞳でレイラースを見た後、立ち上がった。落ちくぼんだ瞳が哀しげに伏せられる。
「おやすみ」
横をすり抜けて、レイラースは扉を潜った。
「キリスエール……」
後ろ手に扉を閉めるときに、タミルが呟く。その声があまりにも悲愴な響きを帯びていて、レイラースはそっと瞳を伏せた。
部屋に入るとすでに明かりは落とされていた。ベッドまで行くとキリスエールはすでに眠りの中だ。外でのやりとりは彼の眠りを妨げなかったようで、レイラースは眠るキリスエールをみてほっと息をつく。
着ているものをすべて脱ぎ落して、レイラースはキリスエールを起こさないようにそっとベッドへ身体を滑り込ませた。腕にキリスエールの身体を抱き込むとかすかにキリスエールが小さく呻いた。
「キリスエール」
声をかけるが深い寝息が返事をし、レイラースはくすりと笑った。よっぽど疲れているらしい。昨夜、少し可愛がり過ぎたのかもしれないとレイラースは柄にもなく反省した。
「生き返る気がする」
腕にキリスエールを抱きしめて、レイラースが深い息とともに告げる。
人間と接する時間が長くなってくると瘴気がたまる。それも、貴族なんて人種は魂の色がひどく濁っていて、話をするだけでも自分が穢れていく気がする。
それに聞きたくもない心の声が次々流れ込んできて、レイラースの精神を疲弊させていた。路銀のためとセインの要請がなければ、あんな人間の多いところに共に行ったりしなかった。
セインは目的を達成しつつあるらしい。情報を仕入れるルートを確立し、守護者の動向を知ることができるようになったと言っていた。また、今後の旅に必要なさまざまな便宜も手に入れたと話していた。
あの精神力の強さとしたたかさは尊敬に値するとレイラースは笑う。
自分はこの腕の中のぬくもりがなければ壊れてしまう。キリスエールだけが自分が生きている糧のような気さえする。
「キリスエール」
腕の中のキリスエールの髪にレイラースはそっと唇を落とした。

腕の中の気配が身じろいだのにレイラースは瞳を開けた。
困惑顔のキリスエールがレイラースを見ていた。
「おはよう」
微笑むとキリスエールの頬に朱が散って、小さく「おはようございます」と応えが返る。
「いらしていたんですね。気が付かなかった」
髪を撫でるとこれも消え入るような声でキリスエールが呟いた。
「よく眠れたんならよかったよ」
キリスエールを抱えなおして、額にキスをするとぴくんとキリスエールが身体を震わせた。
「明るいのは嫌なんだろう?」
からかいの問いにキリスエールが頷くのに、レイラースは笑った。
「今は何もしないよ」
ふわりと抱きしめて、髪に口づける。くすぐったかったのかキリスエールが身じろいだ。
「休みだったよね?しばらく、僕の腕の中にいて」
ばっと顔をあげて、キリスエールはレイラースを驚いたように見つめた。
「キリスエールを感じていたい」
「そ、そんな……」
空いている手でキリスエールの唇を指でなぞる。キリスエールの頬が赤く染まった。
「あんまり可愛い反応を見せると食べたくなる」
くすくす笑うレイラースに、キリスエールは怒った顔を見せた。
「からかわないでください」
「からかってない。本当に可愛いと思っただけ」
このまま、組み敷いて食べてしまいたいが、何もしないと言った以上約束は違えない。キリスエールの本当に嫌がることはしない。
「もう少し、眠りたいな。いい?」
良い匂いがキリスエールからして、その体温が優しくて温かく、レイラースはキリスエールの首筋に鼻先を押し付けると目を閉じる。
「レイラース様」
「キリスエールもたまには朝寝しようよ」
言いながら、眠りに囚われていく意識の隅に何かが引っかかった。
涼やかな音が耳の底をひっかく。結界が立てる警戒音。
舌打ちして、身体を起こした。穏やかで優しい空気を邪魔されて、腹の底から怒りが湧く。
「どうしたんです」
尖った気配を察知したのか怪訝そうな顔をして身を起こすキリスエールにレイラースはふっと微笑みを浮かべて、キリスエールの肩を押した。反動でベッドに横たわったキリスエールの唇に、小さくかすめるようにキスを一つおとすとベッドから滑り出る。
さっと身支度をして、腰に剣を差した。
「レイラース様……?」
一気に張りつめた空気にキリスエールも感じるものがあるのだろう。不安の滲んだ声で名を呼ばれた。
「キリスエールはここにいて」
振り返るとレイラースは艶やかに笑った。
「大丈夫だから」
そう告げながら、窓際まで歩いて、宙に向かって声をかける。
「タミル、北の街壁からまっすぐ北上」
答えは聞かなかった。こういっておけばわかるだろう。セインにも連絡が行くはずだ。
移動されると見失う。そうすれば、探すのが厄介になってしまう。
レイラースは、その場所へと跳んだ。
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