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「天空国の守護者」
地上編

嵐雲(2)

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「おっと。逃げられませんよ」
行方に緑の髪を肩口で切りそろえた守護者が立っていた。前後を守護者で固められて、キリスエールは足をとめ、前後の守護者を交互に眺める。
「はじめまして。私はカミール。そんな怖い顔しなくても、あなたに危害は加えません」
緑の髪の守護者が、口端を上げて微笑んだ。
「そう、ちょっとだけ一緒に来てもらいたいだけです。用事がすんだら無事にお返しします。用事があるのはあなたにではないので」
背後の白い髪を背に流した守護者が距離を詰める。
どうしようとキリスエールは思った。守護者2人に囲まれて、逃げられるとは思えない。
二人とも微笑んでいるが、雰囲気はまったく友好的には見えなかった。
「俺のようなただの人間になんのご用事でしょうか。あなた方が何をおっしゃっているのかわからないのですが」
関係ないと思ってくれればと望みをかけてできるだけそっけなく告げると、カミールと名乗った緑の守護者が笑い出した。
「なるほど。動揺しているわりには、度胸がある。でも、しらばくれても無駄です。私もそちらのヴァイスにもあなたが何を考えているかは筒抜けですからね」
ぎくりとキリスエールは背を震わせた。守護者は心を読めることを思いだす。セインもレイラースも普段はキリスエールの考えをみたりしないから、忘れていたが、考えればそれだけで伝わってしまう。
「そうですよ。あの3人から意識をそらそうと必死のようですが、それも無駄です。でも、フェアではないので、ご説明だけしましょう。我々がなぜ、ここに現れたのかね」
ヴァイスは面白そうに目を瞬いて、キリスエールに告げる。
「立ち話もなんですから、一緒に来てもらえますか。お茶を振る舞いましょう」
キリスエールは首を横に振る。彼らに捕えられるわけにはいかない。また、セインたちに迷惑がかかる。
「さあ。我々はあの3人に話があるだけです。何度か話し合いをしようと言ったのですが、ことごとく無視されてましてね。彼らはあなたにご執心のようだから、あなたがいれば我々の話を聞いてくれると思うのです」
「一人で街を出てくださって本当に感謝しています」
二人が徐々に近づいて、口々に説明をするが、それはキリスエールにとっては絶望以外の何物でもなかった。
ルイスが現れたことがすでに罠だったということだから。
きっと、ルイスは知らなかっただろう。キリエと旅ができてうれしいと言っていた。
だが、キリエは?彼は守護者だ。
自分の迂闊さ加減にキリスエールは腹が立つ。
「なかなか察しがいいですね。そう、あの二人はあなたを誘うための餌でした。手間暇はかかりましたが効果的だったでしょう?」
くすくすとカミールが笑う。
「さて、わかったらこちらへ」
手を差し伸べられて、キリスエールはじりっと後ろに下がる。とにかく逃げなければ。
捕まるわけにはいかないとキリスエールは息を吸い込み、道ではなく、草原に足を踏み入れ走り出す。
「往生際が悪いですね」
呆れた声が聞こえたが、キリスエールは後ろも見ずに一目散にかけていく。だが、草が足を擦って、なかなか走りにくい道なき草原を進むしかできない。
距離は稼げないが、街の大門が見えるところまでくれば、彼らが引くとキリスエールは思った。人に見られたくないはずだ。守護者が人間界に降りるのは禁止されているのだから。
キリスエールは懸命に足を前に進めて、走る。
「無駄ですよ」
音もなく目の前にヴァイスが現れ、口端を上げた。キリスエールは、足を止めると別の方向へと向かう。
守護者は空間を飛べるのだ。走って逃げても無駄なのはわかっていたが、ここでつかまったら、彼らがセインたちに何をするかわからない。
大体、ルイスが現れた時点でおかしいと思わなければいけなかったのだ。
パラドースに故郷のあるルイスが、キリスエールの消息を聞いたからって、こんな遠くまで来ることも、それに守護者がついてくることもだ。
久しぶりにルイスに会って、嬉しくて浮かれていたから、わからなかった。いや、見ないようにしていたのかもしれない。
「あなたと鬼ごっこも悪くありませんが、そろそろ終わりにしたいですね」
ふっと微笑んだカミールの姿がかき消えて、次の瞬間は耳の後ろから声がした。
「ほら捕まえた」
背後から腕を伸ばして、腰を捕まえられ、キリスエールは身動き叶わない。
「おとなしくしていれば、何もしません」
腕の中で暴れるキリスエールに呆れた声を出し、腕の力が強まった。たおやかに見えるのに、腰に回った腕はびくともしない。
「ヴァイス」
「ああ」
名を呼ばれたヴァイスが、腕をゆっくりと上げ、指先で天を指す。足元の草が風に散り、大きな音をたてた。
「さて、誰が一番か」
微笑んだヴァイスが、上げた腕を振り下ろした。白刃が舞ったように見えた。ヴァイスの腕から指先から小さな白い刃が何枚も何枚も現れて、まっすぐに飛んでいく。見えるものは緩やかな丘とその向こうに大門の先端のみであるのに、どうするんだろうとキリスエールは瞬きを忘れて、白刃に見入る。
きいん。
鋭い音を立てて、何もみえないのに、まるでそこに壁でもあったかのように、白刃がすべてはじけ飛ぶ。
「おや、強化されてますね」
後ろからのんびりした声が聞こえ、キリスエールは首を回して後ろを見る。
「結界ですよ。街中を囲む大きなね。これに守護者が触れると………ほら、来た」
嬉しそうなカミールの声と白刃がはじけ飛んだ上空に人影が現れたのが同時だった。
陽光が髪に反射してきらりと光る。
「レイラース様……」
キリスエールは忽然と現れたレイラースを見上げ呟く。
「ヴァイスか」
白い髪を認めたのか、色違いの瞳をきらめかせて、レイラースが不敵に笑った。
「久しいですね」
ヴァイスも笑い返す。
「レイラース」
「何があった?」
続けて、黒と銀の色彩が加わって、レイラースの後ろに、タミルとセインが現れる。
「キリスエールっ」
だが、ざっと見渡して状況を把握したタミルが声を荒らげた。
「カミール、その手を離せっ」
急降下してくるタミルに向かって、カミールは微笑み、キリスエールの首筋に冷たいものを押し当てた。
カミールの喉元にタミルの剣が差し迫るのと、カミールがキリスエールの喉に赤い筋をつけたのが同時だった。
ちりっとした痛みにキリスエールが顔をしかめた。
「剣をひいてもらえますか?手元が狂って、さらに深く切ってしまうかもしれない」
「カミール。卑怯だぞ」
「次はないと言いましたよ。この者の命と引き換えにおとなしく捕まってくれれば楽ですけどね。投降してくれますか」
カミールの言葉にタミルがぎりりと唇を噛んだ
「さて、セインもレイラースも武器を捨ててください。大事なんでしょう、この人間が」
レイラースもタミルも射殺しそうな瞳で、カミールを睨む。
「カミール。あなたともあろうものがそれで、我ら3人を相手にできると本当に思っている?」
落ち着いた冷たい声音で、セインがカミールに告げる。
「さあ、どうでしょう。やってみないとわかりませんね。こちらにはヴァイスもいますし、それに、私たちがたった2人でここに来たとまさか本気で思ってませんよね」
レイラースとタミルがはるか上空へちらりと視線を流す。だが、空には雲一つない。
「我々3人を捕まえるのに、カミールは軍を率いてきたとでも?」
どこまでがはったりで、どこまでが真実か。
軍師カミールとセインは見えない腹の探り合いをする。
キリスエールはカミールの意識がセインに移り、首から刃が離れたのを確認して、身体を身じろがせた。いまなら、腕を振り切って逃げられるかもしれない。
ほんの少しでいいのだ。ちょっとでもこの腕から離れれば、近くにいるタミルが、捕まえてくれるだろう。
「おっと、子ウサギはちっともじっとしていませんね」
一瞬のすきをつこうと身体に力を込めたら、その動きを感知されたのか、カミールが苦く笑った。喉を手でぐっと押さえられる。
「ぐっ……」
苦しくて喉の奥からつぶれたような声が出た。
「おとなしくしていないと首をこのまま折ります」
キリスエールはひくんと身を震わせた。
「キリスエールっ」
レイラースが叫び、腕を振うとレイラースの指先から小さな炎の球が飛び出して、カミールに襲い掛かる。だが、カミールの手前でそれはしゅんと姿を消した。
「無駄です。すでにシールドを張りましたから」
薄く笑うカミールに舌打ちして、レイラースが槍を脇に挟んで突進してくる。と、同時にヴァイスが空に向かって白い光を放った。
一斉に空から、それに呼応するような光の束が土砂降りの雨のように降ってくる。
視界は真っ白に染まった。
「……っ!」
声も出なかった。目の前にいたはずのタミルすら見えなくなるほどの光の束に瞼の裏が焼けるようだ。
キリスエールの周りも白く光るが、背後のカミールが何かをしたらしく、キリスエールにもカミールにも触れることなく、光は見えない球体の表面を滑り落ちるように地面に消える。喉からは手を離されたが、ひりつくように痛んだ。だが、それよりもレイラースたちのことの方が気になった。
もちろん、彼らも同じように攻撃を防いでいるだろうが、もしかしたらと怖くて、キリスエールは汗で湿った手のひらをギュッと握った
「どういうつもりだ。こんなものでは我々は倒せないと知っているだろう?」
頭上からセインの声が聞こえる。
「もちろんですよ。だが、これだけの光の束を落としたのは果たして誰でしょうかねえ」
ヴァイスの声にかぶさるように羽音が耳を打った。それも一つではない、何百、何千、いや万いるかもしれない。
セインたちも頭上を見上げて、驚きに目を瞠っている。キリスエールはぞっと背を震わせた。
青い空一面、守護者で埋まっている。どれだけの数がいるのか見当もつかなかった。
「まさか、俺たちを捉えるのに、白軍、碧軍を連れてきたのか?」
「ええ。そういう命令でしたから」
カミールがうっすらと笑う。
「3人を2万の兵で捕まえると?」
ありえないとセインが首を横に振った。
「愚かな作戦だと思いますか?でも、あなた方でもこれだけの人数は防げませんよ。命に係わる。どうです。潔く、投降しませんか?」
くすくすと笑うカミールの声が遠くなる。
「レイラース様」
思いのほか近くまで移動していたらしいレイラースが腕を伸ばし、セインに気をとられていたカミールの隙をつくやキリスエールを奪い返した。キリスエールも手を伸ばし、ぎゅっとレイラースに抱きついた。
「さすがですね。レイラース」
人質を奪われたというのに、カミールの声は暢気なものだ。
「ですが、その人間をかばいながら、これだけの軍とどうやって戦うつもりです。言っておきますが本気ですよ」
きつくキリスエールを抱きしめながら、レイラースが舌うちした。
「あなた方がやられるまえに、その人間の命が消えているでしょうけどね」
追い打ちをかけるようなカミールの声に、レイラースが奥歯をかみしめた。腰を抱く腕の力が強まって、レイラースはキリスエールの耳に唇を寄せる。
「キリスエール。あれははったりだ。いいか、地面に下ろすから、門を目指して走って。後ろを振りかえらずに、まっすぐに街に飛び込むんだ、わかった?」
まるで愛をささやくようにレイラースが告げ、こめかみに口づけを落とした。キリスエールは小さく首を縦に振った。
レイラースはセインとタミルに視線を向けると頷く。彼らも頷き返す。
「よし、行け」
レイラースが大きく羽ばたいて、キリスエールを地面に下ろすところをカミールから隠し、それと同時に、セインとタミルが、上空の守護者の群れに向かって飛び立つ。
後れてレイラースがカミールに向かって飛び掛かる。
いきなり戦闘が始まり、守護者の羽音が空に響いた。
キリスエールは言われた通りに後ろも見ずに走り出した。自分がしなければいけないことはわかっている。彼らの足手まといになりたくなかったら、レイラースの言うとおりにするのが一番いい。
怖くて足が震え、まるで水の中を走るようになかなか前に進まないが、それでもキリスエールは懸命に足を動かした。
上空では突っ込んできたセインたちに対応が遅れた守護者が陣形をくずしている。
剣を振りながら、タミルが守護者の群れを横切る。応戦してくるものの刃を躱し、向かってくる剣を剣で跳ね返す。
「暴れるのは久しぶりだ」
セインは口端を上げるといきなり力を解放する。セインを始点にして八方に波動が伝わり、まともにくらった兵士が唸り声を上げて、堕ちる。
レイラースの槍を紙一重で避けたカミールが空へと舞った。
「怖いですね。あなたとはやり合いたくなかったのに」
口元の笑みを消して、上空から睨んだカミールも力を放つ。クモの糸のような細かい光が手から出て、レイラースにかぶせるように膨らむ。
ざんっ
レイラースは槍であっけなく、光の檻を切り裂いた。
「こんなもので捕えられるほど、安くないんだ」
地面を蹴って空へ駆け上がるとカミールのいたところでレイラースが槍を揮う。その瞬間には、カミールは後方へ退く。
のらくら逃げてまともに相手をしないカミールに苛立ちを覚えて、レイラースもそのあとを追う。
カミールとヴァイスさえこちらに引きつけて置けばキリスエールが逃げられると踏んでの好意だが、こう逃げられてはどうにもならない。追っては引かれ、ヴァイスのほうに向かおうとすれば攻撃を仕掛けられて、どうにもレイラースは身動きがとれない。その間にもタミルとセインは力と剣で、上空の守護者を戦闘不能へと追い込んでいた。
キリスエールは走る。走って走って、息が切れても、足をとめない。だが、最後の丘を超え、門までは下り坂と言うところまで来て、キリスエールは足を止めた。
「うそ。門が開いていない……」
呆然と呟いて、キリスエールはその場に立ち尽くす。
上空のおびただしい守護者の群れを見ただろう門兵が街を守るために大門を閉じてしまったらしい。
上空を見上げて、それから、かなり遠くなったレイラースをなんとか認めて、ぐっとキリスエールは唇を噛む。
みんな戦っていた。自分だけ、こんなところで立ち止まっている場合ではない。見晴らしのいいところより、門の側の方が、見つかりにくいかもしれないとキリスエールは、震える足に鞭打って、丘を下り始めた。
しかし、数歩もいかないうちに、わあっとざわめく声が聞こえ、キリスエールは顔を空に向けた。守護者の軍の一角が外から突っ込んできた黒い軍団にくずされているのが見えた。
「クアール」
守護者が叫ぶ声が聞こえ、守護者の軍勢が進路を変えた。
白銀の軍団と黒い軍団が青空を背景にまじりあっていくのをキリスエールは呆然と見つめた。
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