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「天空国の守護者」
トレジャ編

黒い天使(2)

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高位の守護者のモノには手を出せない。
レイラースが告げたことが本当だったかのように、キリスエールはあれからさらに半月経っても、他の守護者には会わずに過ごしていた。
そして、君なら来られるといわれたにも関わらず、森を何度も散歩したのに、二度とあの遺跡には出られなかった。森の奥は崖で行き止まりになっている。いろいろな方向で試したが、どこも結果は同じ。森の奥はすべて天空へつながる峰によって遮られていた。
「夢でも見たんじゃない」
食堂で朝食を摂るルイスに、このあたりに遺跡はないかと尋ねると興味なさげな答えが返った。向かい合って座っていたキリスエールは、溜息を落とす。
朝も遅いこの時間、食堂のテーブルに数人が点在するようにつき、軽い食事を摂っていた。目の前のルイスは食欲がないのか、椅子に腰を下ろし、頬杖をつきながら、反対の手で紅茶のカップをいじっている。
いつもにもまして気怠げなルイスをキリスエールは心配して見つめる。首筋に紅いあざがいくつも散っていた。
「そうかもしれない。トレジャは三方を天空へ繋がる峰に、反対側をあの門で囲まれているんだよね?」
自分を見もしないルイスを見つめてキリスエールは問う。
「そうだよ。だから、僕たちはここから出られない」
細い指をカップの取っ手に絡めて持ちあげ、ルイスは呟く。
キリスエールは息を吐く。
あれはどこだったんだろう。そして金の天使はなぜ……。
キリスエールは指で唇を辿った。
金の天使の唇が触れた場所。
感触が甦って、キリスエールは苦く笑う。
「キリスエール、ほんとにここで守護者に会ってないの、もうここに来て1カ月だよね」
カップをソーサに戻すとルイスはまっすぐにキリスエールを見て問う。ぎくりとキリスエールの背が揺らいだ。こんなに長い間、守護者と接触のないことを周りが奇異な目で見ているのをキリスエールは知っていた。ルイスの態度は変わらないが、おかしいと思っていることも。
「……一度だけ」
両手で抱えたマグカップに視線を落とし、キリスエールは呟く。指先が痺れて、カップの中の液体の表面にさざ波が立った。
思い出すだけで身体が震える。早く忘れたい嫌な記憶だ。
「すれ違っただけだけど……」
本当でも嘘でもない。真実は金の天使だけが知っていればいい。
そう、ここで出会った守護者は一人ではない。夢のように豪奢な金と銀の天使にも出会った。だが、それについて、キリスエールは誰にも話していなかった。
だって、あんな綺麗な守護者は他に見たことがないんだ……。
窓越しに見かける守護者はだいたい茶色か栗色の髪に、目も髪と同色の者が多い。金と銀の天使のような守護者は他に見かけなかった。だから、話してはいけない気がして、キリスエールは口を閉ざす。
「新入りは告知されるから最初はいろいろな守護者が来るものだけどね」
自分の時を思い出しているのか、ルイスは首をかしげる。
「どこかに行かないと会えないとかじゃないの?」
「何言ってんの。守護者はトレジャ内なら出入り自由なんだから、どこにだってやってくるよ。気に入った子がいたら、直接部屋に来るしね」
物憂げにルイスは髪をかきあげた。ここにいる者の中でもかなり美麗と評判のルイスはいつも誰かの訪れがあるようだった。服の隙間からのぞく肌に散るあざは消えることがない。
「もっと力がない兵士だとあの建物で見繕っているみたいだけど」
ルイスが細い指で窓の方を差し示す。その方角を見て、キリスエールはそれが最初に通らされた扉の並んだ建物だと気づく。
ふるると身体を震わせた。あの扉の向こうから聞こえてきた嬌声はいまだに耳の底にこびりついて離れず、時折、キリスエールを苦しめた。
あの扉の向こうに連行される夢。
羽を広げた守護者が舞い降り、何人もの守護者に押さえつけられる夢。肌を這う舌を思い出して、叫んで目が覚める。
耳を塞ぐように両手をあげる。
「キリスエール?」
ルイスに名前を呼ばれて、はっと我に返った。あげかけた両手をはたりとおろす。
「大丈夫?真っ青だよ」
「うん。大丈夫」
頭を振って、幻影を追い払う。あれは夢。
「それより、力がないって言った?」
「とべないっていうらしいけど、よくわかんない。あそこは門から出入りする守護者が自由に入って行けるから、各部屋の扉に『空き』って札が出てる。中の子があいていれば、どの扉にでも入って良くて、お好きにどうぞって感じなんだ。何年もここにいるのに、特定の守護者がつかなかった子があそこに入れられる。あとは、後ろ盾もなく贄になった子かな。荒くれた力自慢の守護者が多く通っているらしくて、殺される子もあそこが多いよ」
背筋がぞっとする。やはり身体だけではないのだ。命もまた守護者の所有物。無情に命をとられても罪にも問われない。
そんなキリスエールの表情にも興味がないのかルイスは小さくあくびを洩らす。
「眠……」
「大丈夫?」
「うん。昨夜もさ、寝てたのを叩き起こされて、朝まで散々されたからさ。やっぱり、も一度寝なおそうかな」
あっけらかんと話されて、キリスエールは赤くなった。
「何赤くなっているのさ。僕たちはそのためにここにいるんだから。それにさ、せっかくだから楽しまないと損だよ。うまい人が多いしね。良い人にあたれば何人も相手にしなくてすむし」
テーブルに両肘をついて、上向きの手のひらに顎を乗せて、ルイスは笑った。キリスエールは返答にこまって、頬をひきつらせると曖昧に笑い返す。
黙って笑っているとルイスが表情を引き締めた。
「あ、あのさ……」
わりと思ったことを口にするルイスにしては珍しく、口ごもる。何度も視線を彷徨わせる。舌で唇を舐め、口を開いては閉じる。
そして、キリスエールをまっすぐに見つめた。
「な、何?」
「経験ないってホント?」
逡巡したわりにズバリと訊かれて、さらにキリスエールの頬に朱が上った。
何と答えていいかわからず、口をぱくぱくと開け閉めする。
しかし、ルイスの顔は真剣で興味本位で訊いているのではないことにキリスエールは気がついた。
「な、なんでそんなこと……」
「初めてで乱暴されたら、死んじゃうこともあるから」
あっさり告げられた言葉の中に、キリスエールを気づかっている気配を感じて、ルイスが自分のことを心配しているんだと思う。
「ルイス……」
「だからさ。守護者に無理やりされちゃう前にさ、僕が馴らしてあげようか」
続いたルイスの言葉に、まるい目をこれ以上ないくらい開いて、キリスエールは驚きのあまり固まった。
守護者の夜の相手をしているのは知っているが、人間同士でもそういう交流があるのだろうか。
「身体が馴れていれば無理にされても壊れないで済むし」
ルイスの視線はあくまで真面目で、口説いているわけでも、からかっているわけでもないことを知る。だが、いくら本気で心配してくれるのが嬉しいとはいえ、それとこれは別問題だ。男としたいと思ったことがない以上、無理な話だ。
「ありがとう」
礼だけ言うが、身体が後ろに逃げた。その仕草で拒絶していることが分かったのか、ルイスはさらに心配そうな顔をする。
「僕が嫌なら、自分でしてもいいんだからね」
自分で身体を馴らす?どうやって?
何を言われているか全くわからず、キリスエールは、ルイスの言葉に曖昧に笑って、
「ありがとう」
と繰り返した。
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