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煉獄の恋

第3章 別離の果てに

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身体がだるい。まだ、どこもかしこも痺れているようだ。
あれからどれだけ時がたったのだろう。
身体じゅうに神栖との行為の残滓がまとわりついている。もうこれ以上はできないのに、まだ満ち足りないと身体が叫んでいるようだ。
聖はだるく、熱っぽい身体を無理やり起こした。
ローションや汗やらで濡れた身体が気持ちが悪い。
動くと身体の奥から鈍い痛みが襲ってくるが、奥歯を食いしばってやり過ごし、バスルームへ向かった。
熱いお湯を頭からかぶると少し人心地がつく。壁に手をついて、大きくため息をついた。
目の前の鏡に映り込んだ自分を見て苦笑する。身体じゅうに神栖の残した紅い痣が残っていた。
何度身体を刺し貫かれたのか、何度イカされたのかもわからない。神栖が聖の体内で何度果てたかも。
長い時の飢えを満たすように、お互いがお互いを貪りつくすような交わりだった。なのに、一向に満たされず、身体はさらにもっとと要求する。何度も意識が途切れ、また、激しい刺激に目覚め、快感が体内中の神経を巡って、そして、意識を完全に手離した。
こんなにも神栖さんが欲しかったのかと聖は嗤った。
それでも、まだ足りない。
全てを俺に。
俺があなたに告げた言葉通りになったのなら、俺は神栖さんを壊してしまうだろう。
なにもかも破壊し、奪いつくすような激しい想いが自分の中に眠っていたことに聖は驚くと同時に恐怖した。
誰にも渡したくない、どこにも行かせたくない、俺だけのものに。
神栖が誰かに心奪われるときがきたら、いっそそれを知る前に殺してほしいとすら思う。
俺はとうに狂って、壊れているのだろう。こんな想いを他人に持つなんて。
頭を左右に振り、襲いくる重い思考を振り払った。
手を伸ばして、ボディーソープをとる。昏い思考すら洗い流すかのように、聖は身体を泡で包んだ。

冷蔵庫から、ミネラルウォーターのペットボトルを取り出し、聖は一気に流し込んだ。
渇ききった喉に冷たい水が流れ込み、凝った想いが溶けて行く気がする。タオルで頭を拭きながらソファに移動すると電話が鳴った。
聖は受話器を上げる。
「輝?」
受話器の向こうから聞いたことのある声が聞こえる。
「吉井さん?」
「あれ、高郡くん」
受話器の向こうは神栖の会社の副社長の吉井だった。神栖を起こしてしまうととっさに出てしまったがまずかったかと思う。
「来てたんだ。そうそう、試験終わったんだってね。お疲れさん」
「あ、ありがとうございます」
吉井は秋に神栖の会社でバイトして以来、会っていないが、相変わらず気のきくいい人だ。
「なんか、声違うね。風邪ひいたか」
掠れてしまう声に吉井は聖が風邪をひいたのだと思ったらしい。実は、聖も声を出してびっくりした。すっかり声は涸れて、掠れ声しか出なくなっている。
まさか、神栖さんのせいですとも言えるわけもない。
「そうなんです。なんか、今朝から変で」
「そう、それは御大事に。最近、めっきり寒いからな」
なんかしみじみ呟くものだから、聖は笑ってしまった。
「それはそうと、輝は?」
「まだ、寝てますけど」
ちらりと時計を見上げ、まだお昼少し前だと確認して、寝ていてもおかしくないと判断した聖は正直に答えた。自分がここにいてもおかしくない時間であると思ってほっとする。吉井は聖が資料を借りにこの部屋に出入りしていることを知っている数少ない人だ。
「そうか。このところ、忙しかったからな。携帯にも何度か電話したんだけど出ないんで、こっちに掛けたんだ。もう、そのうち起きるだろうから、そしたら電話くれって伝えてくれないか」
「わかりました。伝えます」
「頼むな」
そう言って、電話は切れた。
受話器を戻し、水を一口飲み、肩に掛けたタオルを左手で持ち上げると頭の水気を拭く。
と、肩越しに持っていたペットボトルを取り上げられ、聖は上を向いて睨んだ。
「俺のを取るなよ。新しいの持ってくればいいだろう」
なんだか顔を合わせずらくて、聖はぶっきらぼうに答えた。睨んで文句を言った聖に神栖は軽く片目を瞑って、水をうまそうに喉に流し込んだ。恥ずかしがっていることはバレバレらしい。
「ひどい声だな」
「誰のせいだと思っているんだ」
嬉しそうな神栖からペットボトルを奪い返し、そのままソファに移動してどさりと腰を下ろし、聖は残りの水を飲み干した。
そのままソファの背に頭を乗せ天井を見上げる。
もう一本、冷蔵庫から水を取り出した神栖も聖に近づき、上から聖を見下ろした。
神栖の髪も濡れており、電話している間にシャワーを浴びたんだと気づいた。
「大丈夫か」
「訊くな」
答えると顔が近づいて唇が聖の唇に触れた。軽く啄ばみ、それから深く重ねる。冷たい水のせいで冷えた口の中が気持ちがいい。舌を絡めて、吸われて、それからゆっくり離れる。
「キスは拒まないんだな」
視線が交差し、神栖が呟く。聖の頬に朱が差した。神栖はソファの背に掌を置き、上から聖を見下ろす。
ソファの背に頭を預け上向く聖は何度か瞬きし、視線を逸らした。
「神栖さんとキスするのは嫌じゃない」
「それ以上は」
言った瞬間神栖を聖は強く睨む。
「嫌だったらあんなことできないだろうっ!」
肩にかけていたタオルを投げつけると、それを片手で掴んで神栖は聖を睨んだ。
「だったらなんでいつも俺を拒む?」
「あんたがいつも時を選ばないから。いつも突然で、俺のことなんか、俺がどう思っているかなんてお構いなしだからだろう」
睨みつけたまま聖は、怒る。明るいところは嫌だといったのに、無理やりしたのは神栖じゃないかと言外に告げた。
「じゃあ、訊けばいいのか。抱いていいかと」
恥ずかしくて顔じゅう血が上ってしまいそうだ。
しかし、こんなこと言う神栖の眼差しはやけに真剣で、切ない。
心臓がとくんと跳ねた。神栖はいつもまっすぐに自分の気持ちを瞳に映す。恥ずかしくて、でも嬉しくて、聖は小さく頷いた。
「忘れるなよ」
囁くように言って、神栖は再度唇を聖の唇に重ねた。


「そういえば、さっき、吉井さんから電話があった」
昼食をとキッチンに立った神栖を聖はソファから眺めていた。
「武流から。なんだって」
こういうところ神栖はやたらとまめだ。男の一人暮らしなのに冷蔵庫はいつも食材で一杯で、料理の腕前もなかなかだ。
それに引き換え、聖はあまり料理は得意ではない。手伝ったほうがいいのだろうが、前に手を出したら何もしないで座ってろと溜息をつかれたので、今は見ているだけだ。出来上がったら食器を並べる手伝いぐらいしかさせてもらえない。
「電話欲しいって言ってた。携帯にも何度も電話したって」
そうか。といいながら、電話を見にも行かない。
「いいの。ほっといて」
「食事がすんだらな」
言いながら料理の手は止めない。まあ、確かに朝から何も食べていないのだから、これで食事抜きは勘弁してほしいのかもしれない。
手際良く味付けしたり、焼いたりするのを聖は何をやらせても様になると思いながら眺めていた。
「聖、もうできるから、適当に皿とか並べてくれ」
見惚れていたら声を掛けられて、聖は立ち上がる。
少しふらついた。とにかく、身体がだるくて熱っぽく動くのが億劫だ。
全く普通で、昨日より格段に元気な神栖に瞳をやって、少し恨めしい気がした。
渡されるままスプーンやらフォークやらをテーブルにセッティングしていると、神栖が料理を運んできて席に着いた。
「何を作ったの」
見たことのない料理が並んで、聖が驚きの声を上げる。
「リゾット。食べたことないのか。西洋風のおかゆってとこだな。かなりチーズが入っているが」
感心した表情で、聖はいただきますと告げると口に運んだ。
「熱っ。あ、おいしい」
ブイヨンが利いていて、その割にあっさりしていて、かなりおいしい。
「それはよかった」
神栖も嬉しそうに笑う。
「朝抜きになったからな。あまり胃に負担にならないものがいいかと思ったんだが、気にいったのなら、嬉しいよ」
「こういうのどこで覚えてくるわけ」
あれだけ忙しくて、料理をしている時間があるのも驚きなのに、作り方や技術はどこで仕入れてくるのだろうと聖はいつも疑問に思っていた。
「高校の途中から、自炊だからな。料理の基礎はそのくらいの時に、だいたい理解したからな。あとは、外食した時に気に入ったものはとりあえず作ってみるかな」
「作り方はどうするんだよ」
「食べれば大体分かるだろう」
あまりな答えに、普通はそういうことはないと思うと聖はなんだか脱力した。
自分もかなり周りからなんでもできると思われているが、聖は神栖といると自分は普通の男だと思わざるを得ない。
黙ってしまった聖にどうしたと視線を向けてくる神栖に、どうでもよくなってしまった聖は曖昧に微笑んだ。


「俺だ」
かすかに電話の声がきこえてくる。
ゆっくり食事をし、食後の珈琲を楽しんで、神栖は吉井に電話を掛けに行った。
食事を作らせたから洗い物は俺がと聖はキッチンで食器を片づけていた。
「なんだって……なんとかならないのか……」
切れ切れに声が聞こえるが、仕事のトラブルだろうかあまりいい話ではなさそうだと聖は思った。
何度か相槌をうつ声がする。
「聖」
会話がすんだのか、神栖が聖のもとにつかつか寄ってきた。
「何、なにかあった?」
洗い物の手を休めずに聖が訊く。
「ちょっと、仕事のことで、どうも俺が行かないといけないようだ」
「そう」
聞こえた会話の切れはしからそんなところかと想像していた通りだった。
「悪いな、聖。出かけてくる」
「俺もこれ片付けたら帰るよ」
月曜の朝まで一緒にいる約束だったが、こうなってしまった以上、無効だろう。
「何故?待ってろよ」
聖は顔を上げて神栖を見た。
ここで、あなたを一人で待ってろと言うのか。いつ帰ってくるかもわからないのに。二人で過ごした時間の残滓が色濃く残っているこの部屋で。
それは、かなり残酷な仕打ちだ。
「仕事なんでしょう。俺、帰るよ。時間ができたらまた連絡して」
全ての皿を洗い終わったので、水を止め、手をタオルでふきながら、聖は答えた。
その聖を神栖は抱き寄せた。
「そんなこと言わずに待っていて欲しい。昨夜は俺が待っていた。そうだろう?」
顎に手を掛け上向かせて、神栖は聖の瞳をまっすぐに見つめる。その瞳にまた切なげな光を認めて、聖の胸がきゅっと痛んだ。
「…神栖さん」
「聖、待っていて」
神栖は唇を寄せた。ゆっくりと優しく聖の唇に触れる。そのしぐさが願いの強さを物語っているようで、聖は目を閉じる。待つのは辛いが、それでも神栖と一緒にいたい。
「今日中に戻ってくるって約束するなら」
唇を触れ合せたまま、聖は答えた。
「約束する」
低い独特の声で告げられ、深く唇を重ね合わせた。
胸が痛いのは自分の我儘だと聖は閉じた瞼に力を込めた。
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