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「天空国の守護者」
トレジャ編

誘惑

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いつものように天空の遺跡で昼寝をしていたレイラースの機嫌は最悪だった。
ここのところ出動命令がでては待機というのが続いているのもその原因の一つだったが、お気に入りにしていた女神に昨夜拒絶されたのが最たる原因だ。
『一緒にいるときに他のことを考えているなんて失礼だわ。片手間で口説かれるほど相手に不自由はしてなくってよ』
良いムードになりかけるや目尻を吊り上げて怒る彼女を宥めるのもめんどうくさくて昨夜はそのまま退散した。
お気に入りの女性の機嫌を取るのをめんどうくさいと思ったことなどいままでにない。どうせ相手も本気で怒っていないのだ。それすら楽しみの一つと甘い言葉とテクニックで籠絡してきたのに。
「なんか素直じゃないのがちょっとね。興ざめしちゃったかな」
そう呟いてみるが、それが本心でないのをレイラース自身よくわかっていた。
初めて興味をもって、しばらく遊べそうだと楽しみにしていた人間。最近、こればかりが気になる。昨夜も天空一の美姫を相手にしながら、時折目の前にあの少年が浮かんでは消えていた。
あの人間は結局、ここに2度と現れない。この天空の遺跡で出会ってから優に1カ月は経っているのに。
僕を拒絶することが人間にできるなんてね。
円柱の残骸の上で寝ころんでいたレイラースは身を起こした。
今日は一日暇だし、こんな気になって仕方がないのだから元凶に直接会って揶揄うに限る。
トレジャには行ったことも行く気もなかったが、向こうから出向いてこない以上仕方がない。
どんな顔をするかな。
それを想像するだけで悪かった機嫌が浮上してくるような気がするからおかしい。
にっこり微笑んで、レイラースはトレジャまで一息に跳んだ。

守護者の彼にとって目当ての人間を探すことなど取るに足らないくらい簡単だ。トレジャの上空に降りたレイラースは視線を全方位に向けて、目当ての気配を探り出す。
ちょうど左手方向に柔らかく光るキリスエールの気配を見つけ、レイラースは口端を我知らず微笑みの形にあげて、そこへと移動する。
金色の光で身体を包んで、レイラースは小さな部屋に降り立った。ベッドが部屋の中央に置かれただけの部屋だ。ベッドに背を向けて、着替えをしていたのか、シャツを素肌に羽織ったキリスエールが見えた。レイラースは楽しくなって微笑みを深くする。
キリスエールはレイラースが発した光に目が眩んだらしい。大きな瞳が何度も瞬いた。
「久しぶりだね。キリスエール」
声をかけると、キリスエールはこちらに顔を向けて何度か瞬く。瞳の中にレイラースの輪郭を捕らえ、金の髪と左右色の違う瞳を映したキリスエールは次の瞬間、大きく息をのんだ。
「レイラース様」
目をまるくして驚いているキリスエールにレイラースは気分を良くした。
はたと我に返ったキリスエールは自分の格好を思い出したのか、真っ赤になってシャツの前をかき合せた。
「どこかに行くところだった?」
前に会った時もシャツは裂かれて白い肌が見えていたのだから、気にしなくてもいいのに、必死に隠しているキリスエールが可愛くて、レイラースはにっこり微笑んだ。
「さ、散歩に。天気が……いいから」
答えながら、キリスエールの視線はレイラースから離れない。レイラースの笑みを見慣れない者は大抵こういう反応を返す。この壮絶な微笑みに目を奪われてどうしていいかわからないのだ。この手の反応には慣れているレイラースはひたとキリスエールの瞳を覗き込む。
驚かせすぎたかな。
頭の隅でそう思うが、素直な反応をするキリスエールにさらに興味が湧いた。
「ど……どうして、ここへ……?」
「待っていたんだけどな」
一歩前に踏み出して距離を縮める。キリスエールは下がろうとして膝裏にベッドがあたった。後ろをちらりと見て、これ以上は後退できないとわかったらしい。前に向き直り、自分を抱き締めるように立ちつくした。
「さ、探したんです。あの遺跡を。気になって、どうやってきたとあなたに問われた意味を知りたくて遺跡を探した」
言いながら、視線を左の床に流す。
「でも、存在しなかった。森の奥には峰へと連なる絶壁があっただけで」
それはそうだとレイラースは思った。あそこはトレジャじゃないのだから。
「僕に会おうとしてくれたんだ」
さらに距離をつめるとキリスエールがレイラースを振り仰ぐ。柔らかそうな栗色の髪が目の前をふわりと舞って、顔をあげたキリスエールと視線が絡んだ。上からキリスエールの榛色の瞳をレイラースは覗き込む。
「ちがっ……あなたは俺を助けてくれたから……」
「違うの?僕はキリスエールに会いたかったけど」
さらりと告げるとキリスエールは何を言われたかわからないという顔をし、それから真っ赤になった。
反応が初々しくて面白い。やっぱり来てよかったな。
レイラースが機嫌良く微笑むとキリスエールはレイラースから視線を外して俯いた。栗色の髪の間から見える耳まで真っ赤に染めて、キリスエールの視線はレイラースの足もとを彷徨っていた。
レイラースはそんなキリスエールの様子を見つめる。
見ているだけで飽きないっていうのは初めてかも。この小さい頭で何を思っているんだろう。
心を読めばいいのだろうが、それでは面白くない。さて、どうしようかな。
目の前で困ったように床に視線を送っているキリスエールを見つめながら、レイラースは思案する。想像していたより、キリスエールとの邂逅に心が躍っている。
レイラースは床ばかり見ているキリスエールに手を伸ばした。上を向かせるつもりだった。
だが、それより少し早く、キリスエールは何を思ったのか、急に顔をあげて、レイラースを怯えた目で見た。
「お、俺を狩りに来たんですか。魂をとるって……」
声が震えている。紅かった顔から血の気が引いている。
「魂を取られたら……狩られたら、俺、し、死ぬんですよね?」
さらに震えた声で問われ、レイラースは一瞬呆気にとられた。何を言われたかが頭に染み込んでくるまでキリスエールの震える瞳を見つめ、そして、理解した途端に腹の底からおかしさがこみ上げた。身体を二つに折って、声を大きくしてレイラースは笑いだす。一度、笑いだしたら止まらなくなった。そのまま身体を折って笑い続ける。
笑いの発作はおさまることなく、レイラースは身体を起こして、天井に顔を向けると腕で目元を覆って、それでもくすくすと笑い続けた。自分の言葉に過剰に反応したレイラースをキリスエールは驚いたように見ている。
「お、おかし……い」
こんなに面白いことは何年振りだろう。一体どうしたら、そんな考えになったんだか。前に会った時、魂を狩ると言ったことを覚えていたんだろうが、それにしたって、僕が会いたいといった理由をそれに結びつけるなんて……。
「キリスエール。僕に狩られたい?」
笑いながら問うと、レイラースを困惑した顔で見つめていたキリスエールは首を横に振った。かなりぶんぶんと。必死に頭を横に振るキリスエールにまた笑いを誘われる。
「魂は取らないよ。前にも言ったよね。人の一生は僕たちには短いものだと。お前の魂が汚れないうちは取ったりしない」
笑いを収めて告げるとさらに近付いてキリスエールに腕を伸ばし腰を攫った。後頭部の髪に手を差し入れ、上を向かす。
「だけどお前を狩るのは面白そうだ」
見つめながら囁くとキリスエールは、レイラースの瞳を睨みつける。大きな瞳がまっすぐにレイラースを射る。
「そんな物騒なことを言わないください」
掠れた声に、そんな風に睨んだら僕を煽ることになるなんて、キリスエールは露とも思わないんだろうなとレイラースは思った。
可愛くなって、レイラースが口元に微笑みを浮かべるとキリスエールが息を飲んだ。それを見逃さずにレイラースはキリスエールの唇を唇で覆う。引き結ばれた唇を舌先で辿って、舌先でゆっくりとくすぐるように行き来すると、キリスエールが微かに喘いだ。薄く開いた唇から舌を捻じ込む。
「はんっ……」
舌で舌を嬲り、口腔内を辿ると、あっという間にキリスエールの息が上がる。初心な反応にレイラースは気を良くする。
「息が……できな……」
抗議の声を洩らすのもキスで塞ぎ、吐息すら吸いつくすような口付けを繰り返す。腕に抱いたキリスエールの身体から徐々に力が抜けていく。
「あっ……」
深く深く唇を合わせ、腕にキリスエールが身を預けるのを感じてから、レイラースはゆっくりと唇を離す。濡れた唇を舐めて、音を立てて軽いキスをすると、腰を支えていた腕を解いた。キリスエールは膝を崩すようにベッドに座りこむ。
苦しそうに荒い息を繰り返し、必死に呼吸を整えている。
何をしていても可愛いと心から思った。からかうために来たのに、それすら忘れてしまいそうだ。
からかうだけなら、十分目的は果たしたけど……。
じっとキリスエールを色違いの瞳で見つめ、濡れて赤い自らの唇を舌で舐めて、レイラースはキリスエールに向かって妖艶に微笑んだ。この顔で見つめられたら大抵の者はここで自分から身体を開く。それに逆らえたものなど今まで存在しない。
ベッドに座ったキリスエールは引き寄せられるように、レイラースに向かって手を差し出した。
ほら、例外はない。
キリスエールの動作に気を良くしたレイラースは満足気に身をかがめてやる。キリスエールが首筋に抱きついてくると思ったからだ。
近づいたレイラースに腕を目いっぱい伸ばして、キリスエールは金の髪を一房指で絡め取った。
「柔らかくて、綺麗」
あまりにも想定外の行動とセリフにレイラースは赤と緑の瞳を見開く。おかしさがこみ上げてきた。くすくすと笑いだす。キリスエールは何もかもで予想を裏切ってくれる。
僕の誘惑にのらなかったのはお前が初めてだ。
喉の奥で笑いながら、レイラースはキリスエールの肩へ手を伸ばす。
「お前は可愛いな。キリスエール」
肩に手を乗せるとぐっと力を込め、ベッドにキリスエールを押し倒した。
「決心はついた?僕のモノになるだろう」
ベッドにあおむけに倒れたキリスエールの耳上の髪へ手のひらを滑らせ、かきあげる。
「レイラース……さま……?」
疑問形に上がる声を無視して、首にかかる髪を指で梳き、首筋に唇を寄せてレイラースの動作が止まった。
「何これ?印?」
首筋の花形の印にレイラースはきれいに弧を描いた眉を寄せた。身体を起こして、腕を押さえつけ、ベッドにキリスエールを縫い止めたまま上から睨みつける。
「キリスエール」
温度の下がった声にキリスエールが身体を震わせるのを手のひらで感じた。
「誰のモノになったの?この印は高位の者だ。言って。誰だ」
声が尖っていく。自分の誘惑にも靡かなかったお気に入りのおもちゃが手をこまねいているうちに誰かに攫われていたのは面白くない。せっかく浮上し始めた機嫌がまた急降下していくのを感じながら、レイラースはキリスエールを睨む。
「レイラース様?」
あまりのレイラースの剣幕にキリスエールは目を白黒させている。
「高位のモノには下の者は手を出せないが同じ高位なら関係ない。言わないと僕の印もつけるよ。二度とそいつには会えなくなるけど」
キリスエールは何を言われているかわからないし、何故、レイラースが怒っているかもわからないらしい。困った顔で、レイラースを見返し、どうしたらいいかと瞳が揺れている。
「キリスエール」
名を呼ぶと、キリスエールは溜息一つをついた。
「ご存じだと思ってました」
そう前置きして、キリスエールがタミルを助けた時のことを話し出す。もちろんレイラースは良く知っている話だった。タミルからも顛末を聞いたし、迎えに行ったのはセインと自分だ。
「あのときの」
人間には興味がなかったので、覚えてもいなかった。タミルを名で呼んだ人間に不快感を覚えたこと以外は。
キリスエールはセインに告げられたことも交えて、印がついた説明も付け加えた。淡々としたキリスエールの説明を聞きながら、レイラースは驚きの表情を浮かべた。
「タミルを助けたのはお前だったのか。そればかりか、タミルがお前の生体エネルギーを無意識に吸ってたなんてね」
それはよっぽどのことだ。タミルは無意識にこの人間を認めたことになる。
「でも……ということは、印は事故だってことだよね」
面白くないことは変わらないが、最悪ではなかった。レイラースは口端を笑いの形にあげた。悪戯を思いついた猫のように。
印をつけたのが知っている守護者の仕業でそれも無意識ならここでレイラースがキリスエールに手を出してもなんら問題はないと勝手に決める。
初めて興味を持った人間を共有するのは面白くはないが、それで手離してしまうには、深入りしすぎた。
「……レイラース様」
まだベッドに押さえつけられている状態で、キリスエールは思考内で一人納得しているレイラースを呼ぶ。遠回しの拒絶だったのだが、レイラースには誘っているように聞こえた。
「キリスエール」
甘く名を呼ぶとレイラースは顔を傾けて近づけるとキリスエールの唇を唇で塞いだ。キリスエールは大きく目を見開いた。
「感じて。僕を受け入れて。怖いことはないから」
唇をつけたまま囁いてやり、再度深く口づけた。抵抗する間を与えず、口腔内を余すところなく舌で辿った。舌を絡みつけ、きつく吸う。
苦しげに喉で喘ぐキリスエールを感じながら、舌を解き、舌の上を舌先で撫であげる。時折唇を離すと甘い吐息がキリスエールの口をつき、それに誘われるようにレイラースは口づけを繰り返した。
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