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 ←第11章 決意(1) →第12章 失恋
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煉獄の恋

第11章 決意(2)

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意識が浮上し、覚醒を意識した。ゆっくりと瞳をあけて見慣れない部屋の様子に何度か瞬きを繰り返す。ここはどこだろうと部屋を見渡すが覚えがない。
「代休だけだってかなり溜っているだろう」
薄く開いた扉の向こうから、低くて耳に甘く響く声がする。
「神栖さん……」
俺、まだ夢を見ているのか。
目が覚めて神栖の声が聞けるなんてと、天井を見つめて、聖は幸せな夢だと思った。夢なら覚めないでともう一度、瞳を閉じる。
「だから、一番大事な決裁は終わらせた。あとはおまえの判断でどうとでもなる」
電話の相手は吉井だろうか。きこえてくる電話の内容が、脳に浸透してくると、夢にしてはリアルだと思った。
そういえば、昨夜……。
現実がじわじわと戻ってくる。
「そういうわけだから、長期休暇申請したからな」
長期休暇!
神栖の言葉に聖はいきなり起き上がった。お前がいれば他はなにもいらないと言った昨夜の神栖のセリフを思い出し、夢と現を揺蕩っていた意識が一気に覚醒する。
起き上がって自分が一糸纏わぬ姿であることに気づいた。慌てて、薄い掛布を肩から身体に巻きつけ、そのまま、声のする扉に向かい、大きく開いた。思ったより大きな音がして、驚いた顔の神栖が振り返り、聖を認識すると嬉しそうに微笑う。
「おはよう、聖」
「俺の言ったことちゃんと聞いていたのか」
すでに電話は切ってしまったらしく、神栖の前のローテーブルに携帯が乗っているのが見えた。
挨拶も返さずに、つかつかとソファの肘掛に座っている神栖に近づく。
「長期休暇ってなんだよ」
唸るような声で問うた。
「ああ、聞こえたか?」
「そんなこと俺は望んでないって言わなかった?」
この男は何を聞いていたんだと聖は怒りが沸き起こってくるのをとめられない。
「俺の話をちゃんと聞いていたのかって訊いている」
「もちろん、聞いていた。可愛い顔で抱いてって囁いたこともな」
聖は絶句した。昨夜のことが脳裏によみがえり、自分が何をしたか何を口走ったかを思い出して、みるみる間に頬に朱が上り、首筋まで紅く染まった。
その様子を目尻を下げて見つめた神栖は、立ち上がると目の前の聖の後ろ髪に掌を滑りこませ、軽く引く。上向いた聖の顔に唇を寄せ、気付けば神栖の唇が自分の唇に重なっていた。右腕を腰にまわされ、神栖の身体がぴたりと密着する。
「はっ……ん」
舌で唇を辿られると唇がわなないて聖は口を薄く開く。そこに舌を滑り込ませ、神栖はさらに深く口づけた。
ごまかされないと手で神栖の身体を押すが、びくともしない。
舌を絡ませ、口腔内のあらゆるところを舌でくまなく辿られる。息が上がり、背筋を痺れが駆けあがる。神栖にキスされるといつも感覚が鋭くなって、身体の奥からおきびのように熱い疼きを感じた。だんだん足に力が入らなくなり、身体を離そうともがいていた身体は、神栖にもたれかかる。
肩から掛布が滑り落ち、腰までの肌が顕わになった。
腰にまわした手を離さず、神栖は唇を離した。髪を引いて固定されたままなので、顎が上がったままで、神栖と視線が絡んだ。潤んだ瞳で神栖を見て、聖は大きく息を吐いた。じっと自分を見つめたまま神栖は動きを止める。喉が一度、大きく上下した。
「綺麗だ」
神栖に囁かれ、恥ずかしくて聖は視線を逸らす。顕わになった肌が、昼の光を受けて白く光っているのが見えた。手を伸ばして、掛布を引き上げる。
「質問に答えてない」
それにくすりと笑われて、聖は神栖を睨みつけた。面白そうなそれでいてどこか獰猛な気配で神栖は聖を見つめ返す。
「休暇だ。今度の週末、どこか旅行へと約束したのを忘れたか」
思っても見なかった言葉を掛けられて、そういえば、そんな話もあったと聖は思った。あまりにもいろいろなことがありすぎてすっかり頭から消えていた。
「忘れてたって顔だな。今度の週末と思っていたんだが、まあ、一週間早まってもどうってことないだろう」
「今日、明日とここにいるってこと」
長期という言葉とあわないと思い悩んで聖は訊いた。
「せっかくだから、休みを追加して、予定通り来週末までここにいる」
「俺の都合はお構いなしだな」
どうしてなんでも相談なく勝手に決めるのだろう。いつも偉そうで自分を中心に世界が回っているとしか思えない。
「試験は今月末だろう」
「そういう問題じゃない。バイトだってあるし、講義も全部休ませるつもり?」
急なスケジュール変更も決まったことを反故にするのも好まない聖にしては当然の問いだ。「たまには俺にお前の時間をくれ。ずっと一緒にいたい。側に」
低く甘く囁かれ、鼓動がどくんと跳ね上がった。
「お前こそ昨夜俺が言ったことを聞いていたか。お前といたいんだ。お前とだけ」
熱い囁きに嬉しさと恥ずかしさがこみ上げて、聖は返事ができなかった。
そこに神栖の携帯が軽やかな音をたてた。
緩められた抱擁から逃れ、聖はテーブルに放り出されていた電話を素早く取り上げると勝手に通話ボタンを押した。
「おい」
神栖の制止にも耳を貸さない。電話は案の定、吉井からだ。
「吉井さん、高郡です」
『きみが一緒なのか』
電話口の向こうの声は酷く驚いていた。
「はい」
『君が輝と一緒にいるってことは、ちゃんと話ができたんだな』
ほっとしたように語られて、やはりかなり心配されていたのだと聖は思った。
「この間は、失礼しました。逃げているだけではなにも解決しないとやっとわかったんです」
「聖、なんの話だ」
横から携帯を取り上げようとする神栖の手を払いのける。
『それは、よかった。そこに輝はいる?』
「いますけど……」
ちらりと神栖を見やって、聖は大きく息を継いだ。
「来週頭には神栖さんはお返しします。だから、俺からもお願いします。神栖さんにお休みを上げてください」
『高郡くん……』
電話の向こうの吉井は困惑気味だ。それも当然だろう。神栖の休みは聖が口をはさむことではない。しかし、吉井は神栖を救ってくれと聖に頼んだ。救えたかどうかはわからないが、二人のことに決着がついた以上、聖が係わっている問題は片がついてる。
「聖」
横でやり取りを聞いているだけの神栖も唖然としている。
『輝にかわってくれるかい』
溜息のあとに語られた言葉に聖は頷き、神栖に携帯を差し出した。
神栖が電話を受け取り、聖に頷き返してくれた。

「武流、今回だけは俺の我儘をきいてくれ」
聖から電話を受け取って神栖は、吉井に懇願する。勝手だというのもわかっている。だが、ここできちんと聖と向き合っておかないと望んだ関係を得られない。
『今回だけって、俺はいつもお前の我儘しかきいていないような気がするよ』
熱意が通じたのか、聖の無茶ぶりに呆れたのか、さっきの電話ではあんなに怒っていたのに、吉井の口調は諦めたような静かなものだった。
「そうだな」
『キチンと睡眠をとって、食事して、来週の月曜には元通りなんだな』
「ああ、10日後に戻る。苦労を掛けるが頼む」
神栖は目の前にいない吉井に頭を下げる。今週も迷惑をかけ通しだ。
『了解。俺はやっぱりお前には甘いよ。ただし、お前の仕事はきっちり残しておくからな。復帰したら覚悟しておけよ』
「ああ」
『それと、この騒ぎが一段落したら俺も休むからな』
吉井の言葉に神栖は軽やかに笑った。
「いくらでも休暇をやるよ。やっとプロジェクトも一段落したしな。お前も俺も年末から働き過ぎだ」
『そうだな』
そこで言葉を切って吉井は少し黙った。
『どこにいるってきいてもいいか』
その言葉に苦笑いして、
「それは言いたくない。携帯はいつでもとれるようにしておくから、緊急時だけかけてこい」
神栖の言葉に大きな溜息が重なった。長い付き合いで、こういうときの神栖に何を言っても無駄で、こうと決めたら梃子でも動かないということを知ってるのだろう。
『わかった』
一言残して、電話は切れた。
「聖」
携帯を置くなり、聖を呼ぶ。薄い掛布を肩からかけなおし、聖は窓際に立って外の雪景色を眺めていた。
神栖の声に振りかえる。
「輝のせいで、俺は今週一杯病気にならないといけないよ」
どういう意味だと神栖は片眉をあげた。
「あんたと一緒だから、講義を休むとは言えないだろう」
その言葉に神栖は聖に近寄って思い切り抱き締めた。聖も抱き締め返す。
「お前が好きだ、聖」
「俺も」
どちらからともなく顔を近づけ、唇を重ねた。
二人きりの休暇が幕を開けた。
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