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煉獄の恋

第16章 吉井

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「おはよう。逃げずに戻ってきてよかったよ」
「って、休暇中も電話しなかった日はなかっただろう」
朝、出社するなり皮肉気に吉井が告げた言葉に神栖はむっとした顔をする。確かに10日間の休暇中、吉井が連絡しなかった日はなかった。
年度末が近く、仕事は山積みで、後回しにできないものがかなりあったせいだ。恨まれても仕方がないが、神栖は会社の代表なのだから割り切ってもらうしかない。
「その割には、休んでリフレッシュしましたって顔してる」
顔色もよく、気力も体力も充実してそうな神栖をみて吉井は意地の悪い笑みを向けた。聖とうまくいっているだろうことを揶揄したのだが、吉井の言葉をとりあわず神栖は曖昧に笑って、自席に着いた。だが、付き合いの長い吉井はそんな神栖の取り繕いには騙されない。冷静さを装いながら、照れくさそうな神栖がおかしくて、笑いをかみ殺していると不機嫌そうに睨まれた。
「今日のスケジュールは?」
「午前中は、おまえが休んでいた間にこっちで片した仕事の報告会議。午後は俺がおまえに引き継ぐ分の書類の打ち合わせ。客先へのアポはないから、残りこまごました案件の処理だな」
それに神栖は頷く。PCを立ち上げて、仕事の準備を始めた神栖を横眼で見ながら、本当に元気になったと吉井は思った。
あの恐ろしく荒んだ感じも苛ついた感じも綺麗に払拭している。体重も戻りつつあるのだろう。やつれた感も前ほど感じない。
ここまで他人(ひと)に想い入れられるのはある意味すごいことかもしれない。自分をなくすほど他人に執着する。無くしたら生きていられないほどの恋情。
俺には真似できないな。
吉井はそう思って頭を左右に振った。
「武流、お前が休んでいる間のスケジュール管理なんかは、あの新人君でなんとかなるのか」
「そろそろ一人立ちしてもらわないといけないだろう。もう、4か月だ。大体、秘書は初めてじゃないんだし。いい機会だ」
言いきったものの吉井には不安が残る。あいつは能力もあるし、よくやっているが、この間の神栖を見てかなり怖がっているのが現実だ。
誰だって、あんな社長を見れば不安になるのが当たり前なのだが。
「じゃあ、引きつぎ会議にも出席させて、ちゃんとしてってくれ。で、どのくらい休むんだっけ?」
「1週間。今週末から来週末まで。俺はお前と違って休み中は仕事しないからそのつもりで」
しっかり釘をさすと神栖は嫌な顔をした。
「俺だけかよ」
「お前は社長で、おれは補佐だからな」
大仰に神栖は溜息をついた。しかし、ものすごく迷惑をかけられたのは事実なので、文句は受け付けない。
「まあ、少しペース落とし気味で適当にやっとく。3月に入ったら、それどころじゃないしな」
「そうだな」
吉井はこの男の気分を急上昇、急下降させられる唯一の男を思い出す。こいつと友達やるのも大変だが、真面目に恋愛するにはもっと大変に違いない。
二人が向き合って、問題が解決したことは喜ばしいが、果たして自分が応援したことが二人にとっていいことだったかは定かでない。
ま、それは、俺が考えることではないと吉井は内心、独りごちた。
「そうだ、聖がお前に礼を言ってた」
「礼を言われることはしてないけどな」
背中を押したことだろうか、神栖の現状を伝えたことだろうか。そこで、吉井ははたと思いだした。
「なあ、輝。あの部屋の惨状は、どうしたんだ?片付いたのか?」
そのセリフに神栖は一瞬、言葉を失い、その後豪快に笑いだした。
「気になるのはそこなのか」
笑いながら言う。
「聖にも同じことを訊かれたんだ。あのままにして出かけたけど、今頃恐ろしいことになっているんじゃないかって」
まだ、笑いが残りながら、神栖は答える。
「自宅の清掃は、もともと清掃会社と契約して任せているんだ。知っているだろう。さすがに今回は自分でも酷いと思ったからな。連絡して、専門の人を派遣してもらった。特別コースで料金上乗せで。だから、次の日には片付いていたはずだ」
「あれ見て、なんか言われなかったのか」
「みんなで酒盛りして暴れたって言っといたから、不審には思われなかったが」
吉井は溜息をついた。確かに、酔っ払いが何人かで暴れればああいう風にもなるかもしれない。まさか、失恋しそうな男が一人でやったなんて思わないだろう。
「業者が気の毒だ」
しみじみ言ったら、神栖は憮然とした。
「聖にも同じことを言われた。お前ら気があうな」
「気が合うんじゃなくて、常識があるんだ」
益々、吉井は聖の選択は誤りだったのではないかと思わずにいられなかった。
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