スポンサー広告

スポンサーサイト

 ←第17章 会えないか? →エピローグ
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。


にほんブログ村 小説ブログ BL小説へ

もくじ  3kaku_s_L.png 未分類
もくじ  3kaku_s_L.png はじめに
もくじ  3kaku_s_L.png リンク集
もくじ  3kaku_s_L.png Novel lists
もくじ  3kaku_s_L.png 奇跡の刻
もくじ  3kaku_s_L.png 平行線の恋
もくじ  3kaku_s_L.png 煉獄の恋
総もくじ  3kaku_s_L.png 天空国の守護者
総もくじ  3kaku_s_L.png 巡る季節と恋の順番
もくじ  3kaku_s_L.png 雑記
総もくじ  3kaku_s_L.png 山神の花嫁_昔話
もくじ  3kaku_s_L.png 告白の向こうへ
もくじ  3kaku_s_L.png 空の月を恋う
総もくじ  3kaku_s_L.png おまけ番外編ショート
もくじ  3kaku_s_L.png 遠回りの片恋
もくじ  3kaku_s_L.png 腕の中の迷い猫
総もくじ  3kaku_s_L.png 蒼い闇の化身
  • 【第17章 会えないか?】へ
  • 【エピローグ】へ
  • TB(-)|
  • CO(-) 
  • Edit

煉獄の恋

第17章 会えないか?(2)

 ←第17章 会えないか? →エピローグ
ビールの缶を傾けて、喉に流し込む。風呂上がりの身体に冷たいビールが心地よい。
リビングのローテーブルには、聖が入浴している間に、神栖が用意してくれたのだろう酒の肴が所狭しと並んでいた。それには手をつけず、冷蔵庫から取り出したビールをテーブルの前のソファに座って飲みながら、聖はここに来たことを神栖が喜んでくれてよかったと思った。
仕事の邪魔をしたのではないかと、迷惑だったんじゃないかと心配していたのに、聖が寒空で待っていたことを心配し、息せき切ってかけつけてくれたことも嬉しかった。
「なんだ、ビールにしたのか」
バスルームから出てきて、聖のそばまで来た神栖は聖の手にしたビール缶を見て言うと、
そのまま聖の横にどさりと座る。
髪をバスタオルで拭きながら、ちらりと横目で聖を見る神栖を見るともなく眺めて、聖はビールを傾けた。白い喉元を晒してごくりと嚥下する。
神栖はちょっと悪戯心がでたらしい、ビール缶をあおった聖の首筋に神栖がいきなり唇を押しつけた。びっくりして、聖はむせた。
「輝さん!」
キスされたところを掌で押さえ、聖は身を離す。
「ははは。綺麗だったから、つい」
いつもにも増して神栖は機嫌が良い。笑いながら、神栖は用意しておいたワイン瓶を取ると栓を抜いた。
「飲むだろう」
驚いてむせた上に笑われた聖は、神栖を睨みつけるが、神栖は聖に瓶を掲げて見せてきて、怒る気も失せた聖は小さく頷いた。それを確認すると神栖は2つのグラスにワインを注ぐ。
グラスを渡されて、聖はそれを受け取る。口をつけるとさわやかなブドウの香りが口に広がった。
「この間飲んだのとまた趣が違うだろう」
神栖の言葉に聖は頷く。
「あんまり渋めのものは好きじゃなさそうだったからな。こういう方が口に合うだろう」
神栖の選んでくるワインはいつも聖の好みの味だ。いい酒を教えてやると言った言葉通り、神栖は聖の気に入りそうなものを探してきては飲ませてくれる。
「結構、いろいろな味のものがあるんだな」
感心して、さらにもう一口含む。
「そりゃあね」
これもおいしいと思いながら、聖はグラスを傾ける。そしてふと神栖がチーズやらハムやら摘んでいるのに気付いた。
「食事していないの?」
「ああ。お前は?」
「俺は食べてから来たけど。そんなに忙しかったの?」
神栖は手を伸ばして、聖の頭をポンポンと叩いた。
「気にしなくていい。駄目な時は、駄目って言うから」
忙しいところ邪魔したかもしれないと聖が気にすると思ったらしく、神栖に先を制される。
「忙しかったというか、今週は会議が多くてな。来週、武流が休みを取るから引き継ぎとかいろいろあるんだ。就業時間のほとんどが会議で、それ終わってから自分の仕事してたら食うのを忘れてた」
「吉井さん、何か言ってた?」
心配そうな聖の肩を神栖が抱き寄せる。聖は神栖の肩に頭を預けた。
「逃げずに帰ってきてよかったって。あんまり信用されてなかったみたいだな」
そりゃあ、あんなに突然休んだから当然だろうと思うが、口には出さない。
「約束だからな。武流も来週1週間、休みなんだ」
「仕事の補佐なしは大変だ」
「秘書はいるから大丈夫だろう。秋から来ている奴だが、なかなか気も利くし」
吉井以外の人の話は初めて聞くので、聖は横目で神栖を流し見た。その視線に気づいたのか、神栖は驚いたように聖を見る。
「おいおい、部下だからな。なんにもないから」
「そんなこと訊いてない。あんたが他人をほめるのは珍しいと思っただけ」
「いや、だから部下だから」
こんなことで疑われては堪らないと思ったらしい神栖は言い募る。聖は気にしていなかったのに、あまりにムキになる神栖にちょっと面白くない。
「そんなにむきになると余計に気になる。でも、吉井さんが選んだ人なんだから、できる人なんだろうね」
そっちなら信用するのかと神栖は肩をすくめた。
「お前はどうなんだ。そろそろ試験だろう」
「ああ、休んでた分のノートは借りられたから大丈夫。試験は来週だし、なんとかなるだろう」
言いながらグラスを傾け、聖はグラスの残りを一気に飲んでしまう。
「あのさ、輝さん」
改まって声をかけると何だと目線で問われた。
「誤解もされたくないし、いろいろ後で言われるのも困るんだけど」
そこで言葉を切って、聖は神栖を見つめた。
「ノート貸してくれたの岸なんだ」
「岸って誰……?」
言いかけて神栖はハッとした顔した。思いあたることがあったらしく神栖の目つきがきつくなる。
「岸は友達なんだ。あいつが俺をどう思っていても、俺はあいつと友達をやめたくない」
「それであっちは納得するのか」
声に怒りが含まれる。神栖にとってみれば岸は自分の恋人に横恋慕している恋敵だ。
聖は首を横に振った。
「諦めないって、友達とは思えないからって言われた。隙を見せたら口説くとも」
「だろうな」
神栖なりに岸に対する評価があるらしいと聖は思う。岸にも神栖にも悪いと思うがそれは譲れない想いだった。
「それでも側にいるのか。友達として」
聖は頷いた。神栖は苛立ちを隠さない。
「俺が好きなのは、そういう意味で好きなのは、輝さんだけだ。他には誰も何もいらない」
「それは疑ってもいない」
神栖の言葉に聖は少し安心する。そのくらいの信用はあるようだと。
神栖はひどく心配そうだ。何を気にしているんだろう。
「俺、吉井さんと輝さん見てて、羨ましいと思った」
「武流はストレートで、俺たちの間に恋愛感情はない」
「わかっている。それでも、俺は岸と友達でいたい」
神栖は大きくため息をついた。聖が神栖に相談しているわけではないことに神栖が気付いたらしい。この件に関しては、神栖が何を言い募ろうが聖は聞く気はなかった。これは、相談ではなくて、報告なんだから。
神栖はそれがわかって面白くないらしい。
「怒ってる?」
「違う。心配しているんだ」
かなりぶっきらぼうに言われて、聖は困った顔をする。
「怒っているじゃないか。俺は他の誰ともなんかあったりしない」
「そういうことを心配しているんじゃない。人はお前が思っているより弱い。長年想い続けてそれに疲れた時、自暴自棄になっていきなり聖を襲うかもしれないだろう。いきなり押し倒されても対応できるのか」
「それは……」
聖はうなだれた。確かにそういうことが無いとは断言できない。あって欲しくないとは思っているが。
「そのくらいの覚悟が必要だって思っているだけだ」
覚悟を持てと言われて、聖は顔をあげた。
「これはお前の問題だ。俺はおまえの隣におまえを想っている人間がいるのは面白くない。言ったろう。誰の目にも触れさせず、俺だけのものにしておきたいと。だが、現実にお前を閉じ込めておけない以上、お前が決めたのなら俺は見守るしかないんだろう。でもな、覚えておけ。また身体を投げ出したりしたら許さないからな。自分でも何をするか予想がつかない。そんなことを俺にさせるな」
聖は腕を伸ばして神栖の首筋に絡め、そのまま抱きついた。
「輝さん、俺……」
心の奥底から神栖を愛しいと思う自分が溢れてきて、聖は眩暈がするくらいの幸福感を噛みしめていた。
聖の意思を認め、それすら抱擁してしまう大きさ。
やっぱり輝さんが好きだと聖は思った。自分でもどうしていいかわからないほど好きだ。
不意に湧いてきた感情が、身体も熱くする。この胸に抱かれて、全身で輝さんを感じたいと身体が心が要求する。
こういう感情をいつもの聖なら、恥ずかしくて、どことなく悔しくて目を反らし、見ないふりをしてきた。例え身体の奥が疼くように神栖を求めていようと、その熱が切なげに聖に欲求を伝えようと意思の力でねじ伏せてきた。
しかし、今夜はそれも無理かもしれない……。
首に絡めた腕を解き、聖は両手で神栖の頬を挟み込むと、神栖の唇に自分の唇を重ねた。そのまま深く口づける。グラスを持ったまま、聖は舌で神栖の口腔内を辿る。歯ぐきを舌をそして最後にゆっくり唇を舐めた。
「聖」
名前を呼ばれて聖は神栖に再度抱きついた。
「輝さん」
唇を神栖の耳につけて聖は神栖の名を呼ぶ。
「あなたが欲しい」
じぶんでも熱で浮かされたような声だと思う。だが、それくらい神栖が欲しかった。
神栖は聖が抱きついているのをそのままにテーブルにグラスを置いた。そして、聖を抱き締める。
「抱いて欲しいのか」
耳元で甘く囁き返されて、聖は眉を寄せ、吐息で答える。神栖の首筋に唇を押しあて、
「俺をあんたで埋め尽くして」
と囁いた。
口角をくっとあげ、神栖は獰猛に微笑んだ。
「ああ。お前の望みのままに」
関連記事


にほんブログ村 小説ブログ BL小説へ

もくじ  3kaku_s_L.png 未分類
もくじ  3kaku_s_L.png はじめに
もくじ  3kaku_s_L.png リンク集
もくじ  3kaku_s_L.png Novel lists
もくじ  3kaku_s_L.png 奇跡の刻
もくじ  3kaku_s_L.png 平行線の恋
もくじ  3kaku_s_L.png 煉獄の恋
総もくじ  3kaku_s_L.png 天空国の守護者
総もくじ  3kaku_s_L.png 巡る季節と恋の順番
もくじ  3kaku_s_L.png 雑記
総もくじ  3kaku_s_L.png 山神の花嫁_昔話
もくじ  3kaku_s_L.png 告白の向こうへ
もくじ  3kaku_s_L.png 空の月を恋う
総もくじ  3kaku_s_L.png おまけ番外編ショート
もくじ  3kaku_s_L.png 遠回りの片恋
もくじ  3kaku_s_L.png 腕の中の迷い猫
総もくじ  3kaku_s_L.png 蒼い闇の化身
  • 【第17章 会えないか?】へ
  • 【エピローグ】へ

~ Comment ~

管理者のみ表示。 | 非公開コメン卜投稿可能です。

~ Trackback ~

卜ラックバックURL


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

  • 【第17章 会えないか?】へ
  • 【エピローグ】へ
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。