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「天空国の守護者」
トレジャ編

キリスエールの気配

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大きな窓から日が燦々と差し込んで、食堂は白い光に満たされていた。いつもなら、多くの少年や青年でさんざめく場所はひっそりとしていた。
「よかったよね」
遅めの昼食に付き合っていたルイスがキリスエールに笑いかける。
時間が遅いため、二人の他は食堂には誰もいない。
「何が?」
パンをちぎって口に放り込み、キリスエールは訊いた。
「キリスエールが暇じゃなくなって。見たんだ、僕。黒髪の守護者だよね」
咀嚼していたパンをごくんと呑み込んで、キリスエールは驚いた顔をルイスに向ける。
「どこで?」
「最近、噂にもなってるよ。キリスエールのもとへ黒髪の守護者が通ってきているって。それもかなり頻繁だもんね」
頻繁?確かに、タミルはよくやってくるが、言うほど頻繁でもない。
「剣の稽古したり、部屋でずっとその人と過ごしているって」
榛色の瞳をキリスエールは見開いた。そして、大きく一度、瞬く。
驚いた。タミルだけでなく本当は3人が入れ替わり立ち替わり訪れているのだが、どうもタミル一人ということになっているらしい。
「僕も一回、見かけたけどカッコいい守護者だよね」
「確かに整った顔だと思うけど……」
タミルのすごいのは見かけではないのだとキリスエールは思う。彼はとにかく思いやりがあって優しく、剣の腕も超一流だ。
「みんなも羨ましがっているよ」
キリスエールは再度、大きく瞬いた。
あの湖に人が来ていたとは意外だった。人影はまったくなかったようだったのに。多くの者に見られていたのだろうか。
守護者が通って来なければ奇異な目で見られ、通ってくればまた注目されて困ったと、キリスエールは思う。
「なんで俺なのかとは思うよ」
手元のパンに視線を落として、キリスエールはぽつりと呟いた。キリスエールにはあの3人が自分を構う謂れがわからない。
入れ替わり立ち替わり訪れる彼らのおかげで、生活は充実したものになったが。
ちぎったパンを口に運ぶ。
どうして俺なんだろう。
そんなキリスエールを見ながら、テーブルに両肘をつき、上向けた手のひらに顎を乗せてルイスはにこにこ笑う。
「床上手なんでしょう」
あっけらかんと言われ、飲み込みかけていたパンをキリスエールは喉に詰まらせた。
「ぐっ……げほ、げほ」
慌てて水で流し込む。
強く咳き込んで、苦しくて涙が滲んだ。
「……な、何を言っているんだ」
懸命に息を整えながら抗議する。
「冗談だけど。気にいっているから来るんであって、あながち外れって訳ではないと思うけど」
ふふふとルイスは笑った。
まだ指一本触れられてませんけど。
喉まで出かかった言葉をキリスエールは飲みこんだ。言うとまた大騒ぎになってしまう。タミルはキリスエールにはそういう風には触れない。セインとレイラースはいいように身体中を触ったりキスしたりするけど。
それでも、彼らにだって一方的に触られてイカされているだけで、これは相手をしているとは言わないとキリスエールは思っている。弄られているだけだ。
それをどう思っていいかもキリスエールの中に答えはなかった。ただ混乱だけがある。
嫌ではない。だけど……。
「る、ルイスには……」
これ以上、突っ込んだことを訊かれたくなくて、キリスエールは話題をルイスに振った。
「特定の守護者がいるんでしょう」
ルイスは瞳を驚いたように見開いて、ちょっと赤くなり、恥じらうように笑った。
ああ、好きなんだな。その人が。
思い出すだけで、幸せそうなルイスをちょっと羨ましいと思う。自分は一体あの3人のことをどう思っているのか皆目わからないから。
「いるよ。特定ってわけじゃないけど。まだ、たまに他にも来る守護者がいるからね。だけど、その人が一番多いかな」
きらきらとルイスの瞳が輝く。それだけでもその人が好きなんだということがわかった。
しかし、特別な思い入れのある守護者がいても他から請われれば断れないのかとキリスエールはトレジャの掟を思い出す。理不尽な掟に腹が立つと同時に悲しみを覚えた。
「どうかした、キリス……」
表情を曇らせたキリスエールを心配したのか、何かを言いかけたルイスのセリフがいきなり途切れる。
「ルイス、見つけた」
柔らかく甘い声が突如、耳を打った。ルイスの後ろに人影が現れ、首周りに後ろから腕をまわして抱き締めた。目を閉じてルイスの首に唇を押しつけている。
「……キリエ様」
抱き締められて、困惑と歓喜の入り混じった表情をしてルイスは後ろを振り返った。
その動作にキリエは身を起こし、目を開ける。
「あれ、こいつ誰?」
腕は首筋に絡めたまま顔をあげたキリエはかなり驚いた顔でキリスエールを見つめた。キリスエールも突然現れた守護者を凝視していた。
「ルイスが一人だったから飛んできたのに。おかしいな」
首を傾げるキリエの腕にそっと自分の手をルイスが添える。
「キリエ様、ずっとキリスエールとここで話してましたよ」
キリエは身体を起こして周りを見渡し、ここが食堂で、ルイスはキリエの食事に付き合って話をしていたことに気付いたようだ。
「気配なかったよ。ルイスの分しか」
しきりと首を傾げ、キリエは、まじまじとキリスエールを眺めた。何かを探るように何度も視線を上下させた後、にやりと口端を上げる。
「な、なんですか……?」
「なるほど、ルイスが言ってた新人だ」
言葉と同時にルイスの肩越しに手がキリスエールに向かって伸ばされた。ぎくりとキリスエールは身体を硬くする。キリエの指が首の脇の髪に触れ、上にかきあげられた。
「印付きか」
キリスエールの首筋をじっと見つめてキリエは呟き、得心がいったとばかりの表情を浮かべた。
「だから気配が見えなかったんだな。よっぽど高位のモノらしい。俺ですら気配に気づきもしなかった」
「何を言って……」
「ふうん。可愛い顔している。こういうのが好みなのか。知らなかったな」
キリスエールは動けないまま、キリエを瞳を見開いて見つめた。何を言われているかがよくわからない。この守護者はタミルを知っているんだろうか。
アーモンド形の目を細めて自分を見る男にキリスエールは怖れに似たものを感じた。
キリエの指が首筋を辿る。
「くっ……」
印にキリエの指が触れると痺れるような感覚が広がった。キリスエールは片目を閉じる。
「熱いな」
面白そうな顔で、キリエは指を印の上で止めた。触れてほしくないのに、その手をキリスエールははねのけられない。
痺れが指先まで広がって、腕があがらなかった。ただ、目の前の男を見つめるしかできない。
「感度もよさそうだ」
「キリエ様っ!」
自分の頭越しに呟くキリエの言葉にルイスが叫んだ。
「僕の目の前で他の子を褒めるのはやめてください……」
怒ったようにそれでも徐々に小さくなる声で言われた抗議に、キリエはくすくす笑い出した。妙に緊迫した空気が霧散する。
離れた指に、キリスエールはつめていた息をはいた。
キリエは腕を曲げて、ルイスの首筋に絡ませ、耳に唇を寄せた。なにが面白かったのか、まだ、くすくすと笑っている。
「バカだな、ルイス。俺が気に入っているのはお前なんだから、そんな可愛いこというな。印付きに手なんて出さないよ」
耳に唇を押し当ててキリエは囁いた。
「印付きって?」
訊きかえしたルイスの耳の縁をキリエはぺろりと舐めた。
「あんっ……」
人前なのに甘い声が漏れて、さすがのルイスも肩越しにキリエを睨む。
「ルイス、お前の食事は終わっているんだろう」
甘く妖しげな声がルイスの耳元で響く。ぴくんとルイスは背筋を跳ねさせた。耳に舌を差し込んで、ちろりと舐められて、ルイスは熱い吐息を洩らす。頬が上気し、ルイスの艶が増す。情事に疎いキリスエールにすら、ルイスの身体に火が灯ったのがわかった。
「キリエ様……」
くるりと身を反転させ、ルイスはキリエの胸に顔をうずめる。
「お前の部屋に行こう」
キリエに抱き締められて、ルイスが小さく頷くのが見えた。
ルイスがキリエに縋るように立ち上がる。ルイスを胸に閉じ込めるように抱き締めて、キリエはキリスエールを見下ろした。
「じゃあな。お前もせいぜいあの方の機嫌を損ねないようにな。人間なんて飽きられたら、即、消されるぜ」
口端を上げて嗤ったキリエの瞳には冷たい光が躍っていた。一言も発せられないキリスエールからキリエは視線を外すと踵を返す。
ルイスの肩を抱いたまま歩き出し、振り返ることもなく、片手をあげるとキリエは去って行った。
「消される……?」
誰もいなくなった食堂にキリスエールの呟きが妙に響いた。
タミル様が俺を……消すのかこの世から。
天空の遺跡で俺を襲ったあの男のように?
あの時を思い出す。
どちらかというとレイラース様に消されそうだとキリスエールは苦く笑った。
そうしたら楽になれる……だろうか……。このどうにもならない苦しさから……。
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