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「天空国の守護者」
トレジャ編

嵐の前(1)

 ←出撃 →はじめに
それからの毎日はひどく慌ただしかった。
守護者の軍は総じて出撃準備に追われ、会議の5日後にはタミルの部隊から潜入部隊と後方部隊がそれぞれ出発した。
タミルは後方部隊の指揮を執る。セインの告白はタミルに理由のわからない衝撃を与えていたが、もともと武人気質のタミルは、目の前の戦闘に集中することでそれを心の底に沈めた。怪我をして人間界に落された屈辱は晴らさなければならない。そして、人間を守ることに意義は感じないが、セインの言ったようにキリスエールを守ることについてはやぶさかではない。
全てが終わって戻ってきたら、心に沈めたこの感情と向き合おうとタミルは決め、天上界を後にした。
レイラースも自身の隊の出撃準備を早々に整えると潜入部隊の出発に1日遅れて、南側の守りへと向かった。自身の隊の半分5千を連れての出陣だ。補給や移動を考えてあえて後の半分を首都に副隊長とともに残した。
各隊からの報告をうけセインは戦況を分析していく。彼は都から動けない。戦いの責任全てがセインの上にあり、また国主へ戦況の報告をしなければならない立場だからだ。
もっとも多忙を極めたのはセインかもしれない。

しばらくはキリスエールのところへは通えないな。
執務室で報告書を書きあげながら、ふとセインは窓の外に視線を投げた。
キリスエールが語ったとおり、印のせいで下位の兵士にキリスエールの気配が見えないのなら、我々が通わなくても身の安全は保障されるだろう。
その話を聞いてから、この間身体を重ねた時に実は自分の印をキリスエールに授けた。彼には内緒で。2重の守りになればいいと思ったから。印は見えないところにつけた。誰にも悟られたくなかった。
あれから、何度かキリスエールのもとに通って彼を抱いた。通うたびに深くキリスエールを思うようになる自分を自分で不思議に思いながら。かなり長く生きてきてこんな想いを抱くことになるとはセイン自身にとってみても予想外だった。
キリスエールがトレジャにいてもできる限り安全でいられるようにとセインはかなり早い段階で彼の部屋に結界を張るつもりだった。しかし、すでに気配が読まれないように声が漏れないように、部屋と廊下の間、隣室との間に異空間の隙間が作られていた。やったのはレイラースだろう。セインはそれにさらに部屋にいるものの気配が完全に遮断されるように力を加えておいた。
そのせいもあって、キリスエールのところにセインとレイラースが通っていることを誰にも悟られていない。
『俺のところを訪ねてくるのは、すべてタミル様ってことになっているんです。何故でしょうね』
そう尋ねたキリスエールの言葉がそれを証明している。キリスエールにとっても高位の守護者が3人も自分のところに通ってきていることを知られない方が良い。
それにしてもレイラースまで。
セインは溜息を禁じ得なかった。いつまで自分はこの共有に耐えられるだろうか。あまり物事に執着をしたことがなかったが、キリスエールに関してはどうなるか自分でも予想がつかない。すでに自分の物だという自覚があって、誰にも触れさせたくないとどこかで思っている。考えないようにしているが。
友人を無くすかもしれないな。
セインは再度溜息をついてから、目の前の仕事に戻る。この作戦を成功させ、しばらくは守護者とことを構えたくないとクアールに思わせるくらいの成果をあげないと人間界の安全を保証できない。
なんとしても戦果をあげ、キリスエールを守りたいとセインは切に願った。



それより3日前。
その晩は月もない闇夜だった。
満月の晩にセインと初めて身体を交わしてから15日近い日が経っている。その間にも何度かセインはここを訪れ、キリスエールを求めた。
嫌悪感もなく、セインのことも好きだと思っていたからキリスエールは一度も拒絶はしていない。しかし、求めているかといわれれば、答えはわからない。
ここ5日ほどは誰の訪れもない。あれだけひっきりなしだったのにぴたりと誰も来なくなった。
なにがあったのだろうか。
いつもと違うことがキリスエールの不安を煽る。
キリスエールは窓に近寄り、闇に沈む庭園を見た。他の守護者の訪いもほとんどないとルイスが言っていたので、きっと天空国で何かが起きているのだ。
ここにいても情報は入ってこない。天空国での出来事は人間界にはなにも伝えられることがないから。
窓に手をついて、キリスエールは溜息を落とす。月の光のない庭園は完全に闇に沈んで何一つ輪郭すら定かでない。
「キリスエール」
不意に背後から声がした。キリスエールは驚いて振り返る。
そこに立っていたのはレイラースだった。いつもの通り、黄金の髪を肩にたらし、白いレースの多いシャツと黒のズボンといういでたちだった。
「いつからそこに……」
キリスエールの言葉に、「今」と返して、レイラースはつかつかとキリスエールに近寄った。
全く気配も音も光もなかった。いつもはレイラースが部屋に入ってくる直前に金の光が見えるのに。
「あれは、キリスエールを驚かさない為の前触れ」
言葉に出さなかったのに、先に答えを返される。
「今日は目立ちたくなかったからね」
そう言って、キリスエールをレイラースは抱き締めた。
「しばらく会えなくなりそうだから」
耳元で囁かれた言葉にキリスエールは驚く。
「何かあったのですか」
「ちょっとね。出撃することになったからね」
そこまで出かけてくるからというような軽い言葉でレイラースは告げた。
「大きい戦いがあるのですか。全部の守護者様が戦いに行くような」
キリスエールの言葉にレイラースは、身体を離し、キリスエールを見つめた。キリスエールの瞳が不安げに揺れている。
「そうだ。いままでよりは大きな戦がある。しばらくはここにも誰も来れないだろうね。セインもタミルも」
レイラースはごまかさなかった。嘘をついてもキリスエールの不安を取り除くことができないと知っていたからだ。
「下級兵士も同様だと思うよ。しばらくトレジャは静かになる」
「そんなに大規模な戦が……」
「これは内緒だよ。キリスエールが不安に思わないように話したけど、人間は知る必要のない情報だ」
真剣なレイラースの眼差しにキリスエールは頷いた。
「キリスエールは、ここにいれば安全だよ。外からお前の気配を見えないように細工をしたから。ここにいれば、誰もお前を感知できないから、俺たち以外は誰も来ない。それでも視覚をごまかすことはできないから、直接誰かと会うとそれはどうにもならない。だから、しばらくは部屋からできるだけでない方がいいかもしれないよ」
赤と緑の瞳が安心させるようにキリスエールの瞳を覗き込む。
それにもキリスエールは頷きを返した。下級兵士の訪れも減るだろうがゼロではない。戦が始まるなら荒れる兵士も出るだろう。それらに襲われないようにとレイラースは心配してくれているのだ。
「ありがとうございます」
いろいろな意味を込めてキリスエールは言葉にした。
「うん」
それに応えて、レイラースはまたキリスエールを抱き締めた。先ほどより強く。
「しばらく会えなくなる」
耳元で囁くレイラースの声が寂しげに響いた。
「僕を忘れないで」
抱き締めて囁かれる。
「忘れませんよ。どうしたんです、レイラース様」
ひどく寂しそうな声にキリスエールは抱き締め返して答えた。どんなに長くここを訪れなかったとしてもこの金の天使を忘れるような者はいないだろうに。
「お前が僕を忘れないように、僕がお前に会えない間、寂しくないように。今夜お前の全てを僕に……」
レイラースはキリスエールの答えを聞かなかった。いきなり噛みつくようにキリスエールに口づける。
深く口づけられ、歯を割るように舌を差し込まれ、口腔内を辿られた。
「あっ……レイ……息が……」
言葉すら絡みついた舌に攫われて意味をなさない。深い深い口づけはキリスエールにまともな呼吸すら許さなかった。
苦しいのに、自分の口のなかを辿る舌は甘く切なくて、キリスエールの視界が白く濁る。
「んっ……」
ゆっくり名残惜しそうに唇が離れ、レイラースの瞳がキリスエールをまっすぐに射る。
キリスエールは浅く呼吸を繰り返す。肺に大量の空気が流れ込み苦しい。足に力が入らず、レイラースに寄りかかり、身体を支えた。レイラースはそんなキリスエールを抱き上げる。
「レイラース……さま?」
横抱きにかかえられて、キリスエールは戸惑いの声を上げる。レイラースはそのまま無言でキリスエールをベッドまで運ぶとそっと降ろした。
起き上がろうとするキリスエールの肩を両手で押しとどめ、再度、唇で唇を塞いだ。
「んっ……」
確かにいつもレイラースはここへ来るとキリスエールを抱き締めたり、キスしたり、好き勝手に扱うが、今夜は様子が変だ。
いつもはこんなに性急ではないのに。
瞳を閉じて、キリスエールはレイラースの口づけを受けながら余裕のないレイラースを不思議に思う。
いつもは、散々じゃれて、キリスエールの身体に火をつけては乱れるのを見るのを楽しんでいるようだったのに。
「レイラース様」
唇が離れると荒い息の下からレイラースを呼ぶ。レイラースは何も言わずに首筋に唇を寄せ、キリスエールの首筋を舐め上げた。
「ああっ……」
訊きたいことがあるのに、レイラースに触れられると甘い喘ぎが勝手に喉をつく。
彼の愛撫は手慣れていて、優しく、ひどく官能的だ。
「んっ……、レイ……ラース様っ!」
吐息が上がったのに満足したのか、レイラースは首筋へさらにキスを贈る。身体の奥から疼くような背筋を駆けあがるような感覚を唇を噛みしめて堪え、キリスエールはレイラースを叫ぶように呼んだ。
レイラースは顔を上げ、キリスエールを見つめた。赤と緑の瞳が哀しそうに瞬く。
何かあったのですか。
そう訊きたかったのに、レイラースの瞳の色があまりに切なくてキリスエールは見つめ返す以外何もできなかった。
しばらく言葉も動きもなく二人は見つめ合う。
ほんの数秒のことだったが、キリスエールにとっては長い沈黙に感じられた。キリスエールの瞳が瞬いた。
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