スポンサー広告

スポンサーサイト

 ←2 →4
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。


にほんブログ村 小説ブログ BL小説へ

もくじ  3kaku_s_L.png 未分類
もくじ  3kaku_s_L.png はじめに
もくじ  3kaku_s_L.png リンク集
もくじ  3kaku_s_L.png Novel lists
もくじ  3kaku_s_L.png 奇跡の刻
もくじ  3kaku_s_L.png 平行線の恋
もくじ  3kaku_s_L.png 煉獄の恋
総もくじ  3kaku_s_L.png 天空国の守護者
総もくじ  3kaku_s_L.png 巡る季節と恋の順番
もくじ  3kaku_s_L.png 雑記
総もくじ  3kaku_s_L.png 山神の花嫁_昔話
もくじ  3kaku_s_L.png 告白の向こうへ
もくじ  3kaku_s_L.png 空の月を恋う
総もくじ  3kaku_s_L.png おまけ番外編ショート
もくじ  3kaku_s_L.png 遠回りの片恋
もくじ  3kaku_s_L.png 腕の中の迷い猫
総もくじ  3kaku_s_L.png 蒼い闇の化身
  • 【2】へ
  • 【4】へ
  • TB(-)|
  • CO(-) 
  • Edit

「巡る季節と恋の順番」
夏の恋

3

 ←2 →4
一條隼也は有言実行の男だった。
美玖がもうできないとすすり泣くまで、その夜は抱かれ、本当に側から離れない。
一緒にご飯を作って、泳ぐときも抱きしめたままで、お風呂だって、シャワーだって、全部一緒に入った。
たった2日のことなのに、会って外食してホテルで抱き合うだけではわからないことをずいぶん美玖は知った。
食料調達と言ったように、一條は仕掛けと呼ばれる方法で、美玖と鯛を釣っている間に、7匹ものアジを釣って、それをあっという間にさばいてしまった。
アジはフライに、鯛は刺身になって、テーブルに並ぶ。
包丁を握らせても皿をサーブさせてもそつなく、かっこよくこなして、美玖は手伝いながらも感嘆しっぱなしだ。
居酒屋で作り慣れている枝豆とサラダだけ担当している間に、テーブルにはレストランみたいにきれいに盛り付けられた皿が置かれ、さらに、白いタオルでくるんだスパークリングワインの栓を見惚れるほど鮮やかに抜いた。
今夜はもう、船は動かさないからと二人でワイングラスを傾け、一條の料理に舌鼓を打った。
料理ができることだって、今回初めて知った。
「できないことなんてないみたいだ」
後ろから抱きしめられながら、波に揺られて、美玖がぼそっと呟くと、「そんなことないさ」と笑われる。そう言いながらも泳ぎも完璧で、美玖を抱きながら、立ち泳ぎだって軽くこなす。
「だって、釣りだって、魚をさばくのだってすごかった」
口をとがらすと一條が後ろで忍び笑う。
「美玖は、釣りは向いてないな。これからも、俺とだけにしておけ」
釣るところまではいいのだが、生魚をさばけなくて、血を見るたびに悲鳴をあげていたことをからかわれて、美玖は膨れる。
文字通り頬を膨らませた美玖のその頬に一條は唇をおとす。
「そういうかわいいことするとこのまま襲いたくなるからやめてくれ」
まさか、こんな海のなかでことをいたすのかと青くなるとまた後ろで笑われた。
「結構、イジワルなとこもあるんだよな」
デッキの手すりに腕と顎を乗せて、波間を見つめながら、美玖は呟いた。この怒涛の2日間の艶っぽいことを思い出し、ちょっと頬が赤くなる。
「ほら。何ぼおっとしているんだ」
目の前に缶ビールがぬっとあらわれて、美玖は上を向いた。覗き込むように一條がビールを差し出している。受け取ると、それはひどく冷えていて、夜になっても和らがない暑さを一時忘れさせた。
おいでと声を掛けられて、一條に言われるままデッキの真ん中に行ってみるとすっかり晩餐の用意が整っていた。
今晩は外で食べようと、甲板に出した折り畳みテーブルの上に、ゆでトウモロコシだの枝豆だの、一條特製の焼き鳥や串に刺した焼き肉などが並べられていた。ピクニックかキャンプの様だ。
渡された椅子を一條の向かいに置くと、そっちじゃないと隣を指差される。
一條の隣に椅子を置いて、船の舳先に向かって並んで座る。
「じゃあ、乾杯」
掲げられた缶ビールに缶を当てた。今夜は外だからグラスなしでいいだろうと言ったのは美玖だが、乾杯の音がならなくてちょっと失敗したかと思う。
「そろそろだな」
一條が呟いたのに、一瞬辺りが明るくなって、大きな音がかぶさり、美玖はびくっと肩を揺らした。
黒い夜空に赤い大きな華が咲く。花火だ。
「わあ」
感嘆の声を上げた美玖に一條が満足げに笑いかける。
何十発も一気に打ち上げが始まって、あたりは赤や紫や青い光に包まれた。
「少し遠いが、このくらい離れたほうがきれいに見える」
もっと岸に近いところであげているらしい花火は、確かに花火が開くと音が聞こえる。
一際高いところまで金色の光が上がり、どうなるんだろうとわくわくしていると金色の花が垂れ下がるように開いた。そのまま滝のように光が落ちてくる。
「すごい……」
辺りがきらきらと煌めいて、すごく幻想的だ。
「ほら、美玖。見ながらでいいから、ちゃんと食えよ」
串を渡されて、ついでに枝豆を唇に押し当てられた。そこで初めて、美玖は一條がこの花火大会に合わせて、食事を用意したんだと気付く。
「隼也さん」
「花火大会だからな。1時間半で1万6千発も上がるらしいぞ」
じっと一條の顔を見つめると、一條が苦笑して美玖の頭をぐしゃぐしゃと撫でた。
「ほら、串もって睨んでないで」
別に睨んでなんかいない。ただ、感激して、ついでに、花火の光に照らされた一條がかっこよくて目が離せなかっただけだ。
でも、そんなことは素直に口にできずに、美玖は、ぱくっと串にかぶりつき、空を見上げる。
空には次々に大小さまざまな花火があがり、夜空を彩っていた。そのうち、形に見えるようなものも上がり始め、星だったり、ニコちゃんマークだったり、魚だったり、はたまた、どこぞの子供用のキャラクターだったりして、美玖は驚くやら感心するやらで、空を見上げっぱなしになった。
食べながら見ていた花火がいったん途切れて、美玖がビールに手を伸ばすと、一條に名を呼ばれた。
「なに?」
「こっちにおいで」
手招きされて、美玖は席を立って、座る一條のところに近寄った。ぐっと手首を引かれ、くるっと身体を反転させられて、美玖は一條の膝に座った。
「ちょ、と、隼也さん」
驚いて立ち上がろうとすると腰をぐっと抱き寄せられて、立ち上がれない。
「いいから。ここにいて」
後ろから抱きかかえられて、膝に座るという、なんだかいたたまれないくらい恥ずかしい状態に困惑していると、またそれは大きな花火が空一面に開いた。腹の底を震わすような重低音の爆発音が響く。
「2尺玉だな」
美玖の肩に顎を載せて、一條が呟いた。
次から次へと大きな花火が大音量の爆発音とともに、空へと上がっていき、見事な花を開かせる。
「きれい」
音に驚いたのは最初だけで、視界に収まらないほどの大きな花火に美玖は酔った。いな、酔ったのは背に感じる一條の体温だったかもしれない。
ゆるりと抱きしめられて、美玖はそっと腹に回っている腕に手を置いた。
一條がそっと美玖の髪に口づける。抱きしめる腕の力も強くなって、美玖は、キスしてほしくなった。
後ろを振り返ると一條と目があう。
「隼也さん……」
名を呼んで目を閉じると、「美玖」と名を呼びかえされて、唇を舌で舐められた。美玖もそっと舌を差し出すと、唇が重なって、舌が忍び込んでくる。
熱い舌で口腔内をかき回されて、美玖はごくりと喉を鳴らす。後ろを向いて、顎を捉えられている体勢が少し辛くて、小さく息を吐くと、「こっちを向いて」と囁かれた。一度立ち上がって、一條をまたぐように向かい合わせに膝に乗る。
首に腕を回して、美玖は自分からキスをねだった。
一條はためらいもなく、それに応えてくれる。啄むように唇を合わせ、歯で舌先を甘噛みされて、小さく声をあげると口づけはいきなり深くなった。
絡まる舌に夢中で舌を絡め、目の端に時折明るくなる色とりどりの光を認めながら、美玖は口づけに感じる。
口の中を弄られて、だんだんと身体が蕩けてきた。頭の中はキスと一條のことでいっぱいになって何も考えられない。
腰を抱かれて、さらに口づけを深めて、美玖は自分がどんどん欲深くなっていることに気付いた。
離れたくない。一條を独り占めして、誰にもあげたくない。
「好き、大好き」
唇が離れて、歯で舌と唇を甘噛みされて、美玖は吐息と共に呟いた。
「美玖」
どんな顔をしていたんだろう。目の前の一條は切なそうに眉を寄せて、啄むようなキスをくれた。
その優しい感触に溺れているといきなり身体が浮き上がった。
「え、なに?」
抱えあげられたと思ったら、いきなり甲板に仰向けに転がされた。
上から、のしかかってきた一條が美玖の首筋に唇を当てる。
「と、隼也さん、花火みるんじゃ……」
いきなり外で、首筋を舐められた美玖は焦って、一條の肩を押す。
「うん、美玖は花火を見てなよ」
確かに仰向けに寝ているから、空に上がった花火は見えるけど、舌で首筋を舐められ、一條の手がシャツの下に滑り込んでくるとそれどころではなくなった。
「だ、だめ」
「嫌なの?」
「いやじゃないけど、だけど……」
ふるふると首を横に振ると、一條がにやりと笑う。その顔がちょっとイジワルで美玖はドキッとした。
「じゃあ、流されちゃいな」
「えー……あんっ」
胸の突起を指先で撫でられて、美玖は背を浮かせる。
「それにここでしたりしないから」
そう言いながらも一條の手の意図は明らかに艶っぽくて、指先で手のひらで、美玖を撫でまわす。
「んっ」
甘い吐息が鼻を抜けて、なんだか甘えたような声が出る。触られて肌はざわめくし、腰も揺れて、またはしたなくもその気になってしまった美玖は膝を擦り合わせた。
でも、ここは外で、いくらなんでもまずいよなあとだんだんぐずぐずに溶けていく思考の隅で思う。
「やぁっ」
鎖骨に歯を立てて、舌先で舐められて、美玖は腰を跳ねた。
慌てて両手で自分の口をふさぐ。こんな声をだしたら何をしているかバレバレだ。
「や、隼也さん。ここじゃ、やだ」
鎖骨と首筋にキスをおとす一條の身体を押し返しながら、美玖が囁くが、一條は笑うばかりで取り合わない。
「隼也さんてば」
「じゃあ、どこならいいわけ?」
珍しく抵抗していると、顔を上げた一條がまっすぐに美玖を見下ろして訊く。すでにその表情は欲に濡れていて、ぞくりとした。
「どこって、部屋で?」
ベッドとは口にできなくて、つい曖昧な言葉を告げ、ついでに語尾が上がってしまった。
「へやなら、ここでも同じだろう?」
どこが同じなんだと思ったが、指先で胸をぐりぐり弄られて、美玖は背をたわませた。
「触っているだけだし、誰も見てないよ」
船影が周りにあったはずだ。こんなところで重なりあってたら、シルエットだって、何をしているかわかってしまう。
「うそ。周りに船が」
「見えないって」
手のひらで身体をまさぐられ、まくり上げたシャツの下の肌を唇で辿られて、頭の中がくらくらする。
「いいから、美玖は花火を見てて」
そんなの無理だ。身体の奥がざわめいて、目を開けていられない。一條のシャツをぎゅっと握りしめる。
一條は鼻づらをシャツの中に突っ込んで、唇で肌をたどる。鼻先も肌を掠って美玖は小さく吐息をこぼした。
一條はじゃれているだけかもしれないけど、美玖にとってみれば、いっぱいいっぱいで、一條の体温を感じているだけでも身体が疼いた。
「んっ、やっ」
大きな手が背やわき腹を撫でていく。
「そんな声出すなよ」
手が腹の下の際どいところを掠って、背を跳ねて美玖は声を上げる。一條の笑いを含んだ声に首を横に振った。
もう、花火どころじゃなく、美玖はじりじりと焼けるような焦燥に身を捩る。
「やだっ。きらい。もう……」
ここ2日間、欲望だけならいやってほど吐き出しているはずなのに、身体は勝手に熱くなって暴走している。一條の戯れを笑って受け止めるような余裕はなくて、美玖は目尻に涙をためた。
「美玖」
「やだ、きらい」
首を横に振って、緩んだ抱擁から美玖は身体を取り返し、一條の下から逃れた。
すでに、欲望は猛っていて、ひくひくとその身を震わせているし、たぶんすでにはしたなくも濡れているだろう。
起き上がって、膝を引き寄せ、美玖は膝に額をつけた。
「美玖」
伸びてきた手に肩を抱かれて、ひくんと身体が跳ねた。ふるふると首を小さく振るとため息が聞こえた。
「ごめん。美玖が可愛すぎて、羽目をはずした」
艶を含んだ声が落胆を示して、うまく大人のあしらいのできない自分に美玖は嫌気がさす。きっと、一條の今までの相手だったら、微笑んで、こんなのかわすのだろう。
美玖は隣に座った一條に両手を伸ばして、首筋にぎゅっと抱きついた。
でも、美玖には一條の誘いを笑ってかわすなんて無理だから。それよりも、こんなに熱くなってしまった責任をちゃんととってほしい。
「隼也さんがいい」
欲しいとはいえなくて、囁きで自分の欲を告げ、さらに腕に力を込めた。
腕の中の一條の身体が強ばったのを感じて、美玖は怯みそうになる。やっぱり、子供っぽいって思われた?と腕を解こうとすると、反対にぎゅっと抱きしめられて、そのまま抱えあげられる。
「と、隼也さん」
慌てて一條にしがみつくと、心底困ったようなため息が聞こえ、そのまま運ばれた。
ちらりと一條の顔をうかがえば、眉間に皺をよせて、前を見ていて、美玖と視線を合わせない。
ぎゅっと心臓が縮み上がって、美玖は泣きたくなってしまった。二人っきりの最後の夜なのに、嫌われたらどうしようと昏くてどろどろした気分にさいなまれる。
一條は唇を真一文字に結んだまま、美玖を中二階の寝室まで運ぶとベッドに身体を下ろした。
背にやわらかなシーツを感じて、美玖はそっと目を開ける。ひどく近いところに一條の顔があった。
「隼也さん?」
一條は真剣そのもので、美玖の瞳を覗き込むように視線を合わせてくる。
「怒ってる?」
小さく訊いてみると、一條は美玖の頬に手を添えた。
「なんでそうなる」
「だ、だって。楽しそうにしてたのに、今は、怖いくらいだから」
ますます眉間に寄ってしまった皺に美玖はどうしていいかわからない。怒ってないなら、どうしてこんなにじっと美玖を見つめ続けるんだろう。
「愛しているんだ」
唐突に呟かれた一條の言葉に美玖はきょとんと一條を見返す。
「だから、自覚なしに誘うのは勘弁してくれ」
自覚はあると思う。そのつもりでさそったんだから。というか、こんな風に美玖を昂ぶらせたのはそもそも一條のはずだ。
「ふわふわ甘やかしたいのに、そんな風に誘われるとまた我を忘れてしまう」
甘やかしたい?我を忘れる?
昨日も一昨日も美玖が音を上げるまで、執拗に一條に抱かれたことを思い出して、美玖は頬をかっと朱に染めた。
「今夜はゆっくり甘くしようと思ってたんだが、無理だから」
「とし……」
訊きかえそうとすると噛みつくようにキスをされた。
関連記事


にほんブログ村 小説ブログ BL小説へ

総もくじ 3kaku_s_L.png 天空国の守護者
総もくじ 3kaku_s_L.png 巡る季節と恋の順番
総もくじ 3kaku_s_L.png 山神の花嫁_昔話
総もくじ 3kaku_s_L.png おまけ番外編ショート
総もくじ 3kaku_s_L.png 蒼い闇の化身
もくじ  3kaku_s_L.png 未分類
もくじ  3kaku_s_L.png はじめに
もくじ  3kaku_s_L.png リンク集
もくじ  3kaku_s_L.png Novel lists
もくじ  3kaku_s_L.png 奇跡の刻
もくじ  3kaku_s_L.png 平行線の恋
もくじ  3kaku_s_L.png 煉獄の恋
総もくじ  3kaku_s_L.png 天空国の守護者
総もくじ  3kaku_s_L.png 巡る季節と恋の順番
もくじ  3kaku_s_L.png 雑記
総もくじ  3kaku_s_L.png 山神の花嫁_昔話
もくじ  3kaku_s_L.png 告白の向こうへ
もくじ  3kaku_s_L.png 空の月を恋う
総もくじ  3kaku_s_L.png おまけ番外編ショート
もくじ  3kaku_s_L.png 遠回りの片恋
もくじ  3kaku_s_L.png 腕の中の迷い猫
総もくじ  3kaku_s_L.png 蒼い闇の化身
  • 【2】へ
  • 【4】へ

~ Comment ~

管理者のみ表示。 | 非公開コメン卜投稿可能です。

~ Trackback ~

卜ラックバックURL


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

  • 【2】へ
  • 【4】へ
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。