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この宇宙(そら)の果てまでも

任務-人質奪還

 ←あらすじ →タキ
白々とした光に照らされた長いリノリウムの廊下を男が歩いている。
二十代前半くらいだろうか。背の高い引き締まった体躯に、小さな頭、長めの黒髪に覆われた顔は整っているようだが、目元に大きな黒いバイザーをつけていて顔立ちははっきりしない。
船内の誰もいない通路を男は無造作に歩いていく。不思議なことに足音はほとんど聞こえない。
廊下の突き当たりまで来ると、男は長身の鍛えられたしなやかな肢体を壁にピタリとつけ、辺り気配を油断なく伺った。
『タキ。先に人質救出。その後、動力炉の停止』
突然のインカムからの声に、タキと呼ばれた男は、廊下の先を見ながら、眉間にしわを寄せ、嫌そうな顔をする。
「人使い荒いぞ」
インカムに向かって、ぼそりと呟いた。
『もともとそういう作戦。文句言うな』
ちっと舌を鳴らして、タキは長めの前髪をかきあげた。黒くしなやかな髪が大きな手で持ち上がると秀でた額があらわになる。やけに男の艶を感じさせる仕草に、女性がいれば黄色い声が上がっただろう。
「で、人質はどこだって?」
言いながら、バイザーのスイッチをいじり、目線の先に船内の地図を表示させた。ちょうど瞳の上のグラスに船内の地図が3Dで映し出される。このバイザーは光避けだけのために装着しているわけではない。通信装置に、地図、さらに、刻一刻変わる状況や情報を映し出すモニターまでついた小型のコンピューター端末なのだ。
『第2階層。地図に部屋の位置を転送した。そこへ向かって』
インカムから聞こえる男にしては柔らかい声が、指示を告げる。
「了解。カノン」
コンソローラを操作し、受けとった地図を開き、部屋の位置を確認した。現在地との位置を比較し、最短の道程を検索する。
『気をつけろ。前方に熱源探知。その数二十』
インカムからのカノンの警告にタキは舌打ちをする。
「団体さんだな。めんどくせぇ。通信しばらく切るぞ」
『了解』
応答を聞くや、インカムのスイッチを切り、タキは前方を睨みつける。何人もの足音が響き、タキはにやりと笑った。唇の端から長めの犬歯が覗いた。
軽く足を開き、腕を前に突き出す。廊下の角から現れた一団がいきなりレーザー銃を構えた。
「誰だ」
誰何の声に獰猛に笑い返すと、タキの周りの空気がゆらりと揺らめいた。気温が上昇する。
相手が一人だと見て侮ったのだろう。一団の兵士たちは、レーザー銃の引き金を引くタイミングが遅れた。
タキが走り出したのと廊下に炎が走ったのが同時だった。
「わああぁぁ」
叫び声がし、兵士たちがぱっと散開した。銃から放たれたレーザーは壁を焦がす。
「武器はなんだ?」
「火炎放射器か」
口々に叫ぶ声が廊下にこだました。混乱に乗じて、タキは兵士たちの脇をすり抜ける。向かってきた奴は、拳で沈めた。
誰かが通報したのだろう、船内にサイレンが鳴り響き、
「シンニュウ者。火気探知。防火壁、サドウ」
機械の音声が聞こえた。
それに舌打ちしながら、タキは全力で廊下を駆け抜ける。手近なリフトに滑り込むと上を目指した。
「ふう。待ち伏せされてんだろうな」
リフトの天井部を見上げ、天井部のパネルを押し上げた。こういうときには百九十センチもある身長が役に立つ。
そのまま、その場で飛ぶと天井部に開いた穴の縁を掴み、かるく足を前後に振った反動を利用して、リフトの上に身体を持ち上げた。
四階で停止したリフトが開くや否やレーザー銃の一斉射撃がリフトを襲う。
おいおい。そんなに派手にやったら船にもダメージがでるんじゃないか。
内心思ってタキはリフトの上からレーザー銃で焼かれるリフトの内部を眺めていた。
「やったか?」
「誰もいない」
外から銃を撃った連中の声が聞こえた。内部を確認するためにだろう、リフトの中に2人の兵が入ってきた。あちこち見まわし、天井に目を向けるのを確認し、タキはその開いた穴から兵士目がけて飛び降りた。げっと喉から妙な声を出して、兵士はタキの足の下で、そのまま意識をなくす。
気配に気付いたもう一人を回し蹴りで倒し、タキはそっと外を伺った。
「これだけか」
そっと一人ごちて、しばらく様子を伺った。誰もやってくる気配はない。
インカムのスイッチを入れて、呼び出し音を鳴らした。
「カノン。人質の部屋の周りの熱源探知のデータを送ってくれ」
『なにやったんだ?船内が慌ただしくなってる』
怪訝そうなカノンの声に、「まあな」と答え、送られてきたデータをタキは確認した。
「やっぱり、こっちの守備を固められているか」
人質の部屋の周りには人の体温程度の熱源が多数見えた。
「先に動力炉でもいいよな」
確認ではなく、断定的にタキはカノンに告げる。それにインカムからため息が聞こえた。
『止めるだけなら。傷つけるのも爆発させるのもなしだからな』
「了解。宥めるだけにするさ」
動力炉は第三階層の後方部だ。現在位置は第四階層。このまま、後方部へ移動し、警備が手薄なところを下へ降りるのがいいとタキは判断した。

人質の救出に来たと思われているのだろう。動力炉までは誰にも会わずに辿りついた。
思っていたよりも乗組員が少ないのも幸いした。古い宇宙船ということもあって、セキュリティーシステムもお粗末なものだ。
最新式なら、IDを示すものを身につけていないと天井部につけられたレーザーで狙い撃ちされて、廊下も歩けない。
まあ、侵入されるなんて思ってないんだろうな。
タキの感想はもっともだった。辺境宇宙の小さな海賊団の宇宙船だ。普段なら辺境を旅する小さな貨物船から積荷をちょろまかしている。
それが、先週、何を血迷ったか、この星域にある小国の政府御用達船を襲い、乗り合わせていた政府要人を人質にとったのだ。
人質解放の条件は身代金で、その額、国家予算一年分に相当した。
「欲ばっちゃあ、いけないよな」
当然、そんな金を払うわけにはいかない政府は、人質の奪回に乗り出した。
そんな事情で、駆り出されたタキは動力室の前でのんきに呟いた。
「分不相応はだめだろう」
バイザーのデータを読む。中には熱源が三つ。一つは動力炉だ。後の二つはオペレーターだろう。
どうするかな。できたらこっちに人を引き付けておきたい。
しかし、派手にやり過ぎると船が爆発する。
腰のホルスターからレーザー銃を抜き、タキは出力を最低にセットする。
「とりあえず、船を止めたら、様子ぐらい見に来るか」
口の中で呟いて、タキは無造作に扉を開けた。
中の人間がいきなり開いた扉に向かって、顔を向ける。
見知らぬ黒ずくめの男と瞳が合い、一瞬二人は何が起きたかわからずにぽかんとした。
「どうも」
道で会ったかのような軽い挨拶をして、タキは部屋に駆け込んだ。一瞬で、二人との距離をつめ、手にしていた銃で後頭部を殴りつける。
二人は何が起きたかわからないまま昏倒した。
「あっけなかったな」
口にして、つかつかとコンソールの側による。スイッチを切ろうと手を伸ばして、ブリッジからの遠隔操作で、再起動されても面倒だと思う。
「壊した方がいいか」
コンソールの前面のパネルをこじ開ける。いとも簡単にコンソールの前面を覆っていた鉄板がべりりと剥がれた。
中には無数のコードが絡まないように綺麗に束ねられて、配線されていた。銃を腰のホルスターに戻し、その脇につっておいたナイフを手に取る。
様々な色の配線を目で追って、幾つかを手でとる。
「この辺か」
無造作にタキは刃の長い大型ナイフで、配線されたコードの束を切る。いくつか切ると、情けない音を立てて動力炉が停止した。
室内が沈黙に包まれる。
しばし、タキはその場に立って待った。長いような短いような静かな時間が過ぎる。
船内通信のベルが動力室に響き渡った。
マイクのスイッチをオンにする。
『どうした。船が止まったぞ。故障か?』
船橋(ブリッジ)からのようだ。
「動力炉は止まった。この船はもう動かない。お終いにしないか?」
なんの感慨もなく、タキは通信にそう返した。
『だれだ。お前』
「さあね」
通信した奴の後ろで慌てふためくブリッジのざわめきが聞こえた。
侵入者警報装置が一斉に鳴りだす。
タキは先ほどカノンから送られた第二階層の熱源データを更新した。人影が船体後方へ動くのがわかった。
動力室は、第三階層の最後方にある。爆発の危険もあることから、切り離せる構造に大抵の宇宙船は設計されており、当然、ここから逃げ出すためには、船の中央部へと行かなければならない。扉は目の前の一つだけ、直の上下への移動経路も存在しなかった。
廊下から人の気配と足音が聞こえる。
タキは口角を吊り上げた。かなりの数の兵隊をこっちへ送ったようだ。
「ふつうなら袋の鼠ってところだが」
うそぶいて、タキは瞳を閉じた。瞬きするような気軽さで。
入り口がシュンと自動ドアの音を立てて開く。兵士が銃を持ってなだれ込んだ。
床にオペレーターが二人倒れている。侵入者の影はない。兵士は動力炉の裏へと足を進め同僚に向かって首を横に振った。
「誰もいない……」

第二階層の廊下は無人だった。誰もいない廊下に侵入者の警報が鳴り響き、天井の赤いランプが点滅していた。
その廊下の真ん中に唐突に人影が忽然と現れた。タキだ。
何もない空間への突然の出現。ただの人間だったらありえない現象。
だが、それをした張本人であるタキは当然、気にすることもなく、廊下を数歩、歩くと、中ほどにある船室の扉の前にタキは無造作に立った。入り口は当然、施錠されている。
「穏便にいきますか」
呟いて、呼び出し音を鳴らした。
『タキ、どうなってんの?現状報告して』
「動力炉停止完了。今、人質の部屋の前にいる」
バイザーの通信装置に向かってタキは淡々と語る。
『ちょっと待って。確認する。確認完了。で?』
「パスワード送って」
何のともどうやってともタキは言わなかった。
人質のとらわれている部屋は電子ロックがかかっている。パスワードを知らないと開かない仕組みだ。
『電子ロックを見て』
バイザー越しにカノンに言われるままタキは視線を電子ロックのキーを打ちこむパネルに合わせた。
『そのまま見てて』
カノンの声が聞こえ、音声が途絶える。一分くらいの沈黙の後、ほうっと息を吐く音が聞こえた。
『言うからそのまま入れて』
カノンの声通りにタキは、パネルを押していく。三十桁近いパスワードだった。
かちっと音がして、扉のロックが外れた。
「サンキュー。人質はこのままドックへ連れて行く。そこで拾って」
『了解』
カノンの柔らかい声を聞きながら、うっすらとタキは微笑み、無造作に扉を開いた。
軽い音がして、自動ドアは横にスライドした。
中には三人の男性がいた。胡散臭げにこちらを睨んでいる。
両手を上げて、タキは扉の外から声を掛けた。
「無事か?」
「誰だ」
中から命令に慣れた男の応えが返った。
「あんた達を解放しに来た特殊部隊の者だ。政府の依頼で動いている」
「証明できるか」
疑り深い言葉にもタキは顔色一つ変えない。胸ポケットからカードを出すと前方に投げた。
三人のうちの一人がそれを拾って、スイッチを入れる。カードは政府発行の任務の命令書だった。
カードには「政府による人質の解放と船の動力炉の停止」の命令が記録されている。
このカードを偽造することはできない。それくらい精密で複雑な機械だ。
カードを手にした一人がほかの二人に頷いた。本物だと認識したのだろう。
「この部屋から出て、ドックに向かう。走れるか?」
タキは余計なことは言わない。簡潔に必要なことだけを口にした。三人も状況は把握しているらしい。黙ってうなずく。
部屋を出てきた三人の男性は、政府要人にしては、年齢も若く、頑強な身体をしている。
足手まといにはならないとタキは判断する。
「銃は扱えるな」
一人にレーザー銃を手渡す。銃を持った者を最後尾にし、間に二人挟んで、四人はタキを先頭に走り出した。
武器は渡したが、こんな素人を連れての先頭は本来なら勘弁だ。
「カノン。兵士とかちあわないルート送って」
通信装置に告げるとすぐにデータが送られてきて、バイザーに表示される。
それに従い、ドックまで移動した。道中、まったく敵兵には会わずにドックに辿り着く。カノンの手際の良さにいつものことながら、感心する。
辿りついたドックでは、すでに、タキの宇宙船が、四人を待っていた。
「敵船の中なのに……」
政府要人の感嘆の言葉は無視して、タキは用心を船内に促し、四人は船に乗り込む。
まっすぐに、タキは人質になっていた三人をこの船で一番いい船室に案内した。リビングが一つに寝室が二つ隣接している貴賓室だ。それでも三人だと少し狭いだろう。
「狭いがここにいてくれ。アカイダの宇宙ステーションに迎えが待っている。危ないから出歩くな」
短く告げたタキの言葉に、宇宙船と言うことと、移動時間がそう長くはないと言うことを理解したのだろう要人たちはとくに不満も口にせず、頷いた。
タキは、それに頷き返すと、ブリッジへと向かうべく、船室を後にした。
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