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この宇宙(そら)の果てまでも

タキ

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「お帰り」
ブリッジの扉が、空気音をさせて開くと操縦席についていた男が振りむいてそう言った。こちらも二十代前半の男性だ。
金色の長めの髪を首の後ろで細い銀色の紐で括り、大きな瞳は深い蒼色、肌は透けるように白い。通信機を通しても柔らかかった声は、じかに聞くとさらに甘い。
カノンだ。
「任務完了。船から離脱」
その隣のシートにどさっと腰を下ろすとタキはそう告げる。
「了解」
簡単に応答し、船はドックからゆっくり宇宙空間へと滑り出た。まるで、観光船が宇宙港から出るくらいあっけなく、船は敵船を離れた。
「仲間の船と誤認させるようにしたから。ブリッジには連絡が行かないようにしたし。出入りされていることも気付かないだろうね」
「相変わらず、誑しだな」
船を離脱させているカノンの横顔を見ながら、タキは呟いた。相変わらず、冴え冴えとした容貌に見惚れる。何度見ても慣れることがない。
初対面なら息を飲むか、しばし目を離せないだろう美貌をもったカノンは、ムッとしたきつい瞳をタキに向けた。
「その言い方やめろって言った。あんな旧型の船のコンピューターをどうやって誑し込めって言うんだ。無理だから。報告通信経路をちょっといじったのと、船体の個体識別を誤認させただけ」
もっと最新のコンピューターなら、楽だったのに。
後半は口の中でぶつくさ呟かれた。容貌だけみていれば、うつくしく、おとなしそうなカノンは、口を開けばかなりきつい。だが、それすらもカノンの魅力を増している。きつい眼差しをタキは真っ向から受けた。
「それでも、機械の頭の中を読んで、命令を出しなおせるのは古今東西、お前くらいだ」
カノンはその言葉に寂しそうに笑った。タキは誤解させたかと、慌てた顔で言葉を足す。
「褒めてんの」
「わかってる」
タキの言葉に即答し、カノンはそれでも寂しげな笑みを消さなかった。
カノンはテレパシストだ。それも人間の感情や思考だけでなく、機械の思考パターンまで読める力の持ち主。さらに、人の思考をトレースできるので、過去見ができる。扉のパスワードをあてたのも、あの前に立った人間が残した思考をトレースしたためだ。
操縦に集中するためか、ふいと前を向いてしまったカノンの横顔をタキは、眺める。
白く伸びた首筋に、幾本か結んだところからこぼれた髪が纏わりついて、やけに扇情的に見えた。どくんと大きく心臓がなって、身体が熱くなった。
「なあ。カノン」
右腕を伸ばして、タキはカノンの首筋に触れた。すっと首の後ろを撫でる。ぴくりとカノンが身体を震わせた。
これは、二人の間で自然に取り決められた合図だ。
力を使ったばかりのタキは、この静かでうつくしいカノンが欲しくてたまらない。
タキもまた能力者だ。物理系の力が強い。あまりの強さにすでに歩く兵器と言ってもいい。空間も飛べるし、炎も出せた。
だが、力を使うと、身体が熱をもって興奮する。精神も高揚して、眠れなくなることすらある。これを宥められるのは、カノンの滑らかな肌だけだ。
だから、いつでも手を伸ばす。その身をこの腕に抱きたいという意味を込めて。
「まだ、任務中」
甘くさえ聞こえる声が、まったく取りつく島もない言葉を告げ、こちらを向きもしないカノンにタキは苦笑を浮かべた。
意味は汲んでもらったらしいが、相変わらずのつれない態度だ。
カノンにとってみたら、タキの相手は仕事上、仕方のないことなのかもしれないが、それにしても毎度毎度のやり取りに、やるせない気持ちは否めない。
「じゃあ、人質降ろしたらさ……」
「次の仕事の予定が詰まってる」
甘えるように、さらに誘ってみたが、カノンの言葉は業務から離れない。もう一押ししようと思っていたのに、カノンの言葉から聞き逃せない単語を拾ってタキは目を瞠った。
「は?次の仕事?」
予定では、しばらくは仕事がないから、休暇をとるという話になっていたはずだ。
ここのところ、宇宙空間での仕事が立て込んでいたから、久方ぶりに陸地に降りて、のんびりしようと思っていたのに、それはない。
「おい。この仕事終わったら、しばらく仕事ないって言ってなかったか?」
「急に近場で仕事がはいったから、受けた」
ありえない言葉に、タキは渋面を作った。
「どのくらい、星に降りてないと思ってる?人質奪還に海賊退治、ついでに、護衛任務もあった。いい加減、地面が恋しくならないか?」
まっすぐ背筋を伸ばして、スクリーンに広がる宇宙空間を見つめるカノンにタキは言い募る。
「仕方ないだろう。任務なんだから」
ちらりとタキに視線を投げて、前を向きなおしたカノンは、仕方ないなんてこれっぽっちも思っていないことがまるわかりだ。
カノンの性質上、人が多いところは、心の雑音が多すぎて辛いらしいから、星に降りない方がいいんだろうが、タキにしてみれば、いい加減にしてほしい。
宇宙船にカノンと二人きりで、そのカノンはタキが満足するほど、伸ばす腕に答えてはくれない。
それもそのはず、口実はただ一つ、「力を使って火照った体を沈めてくれ」だからだ。
思われてなくても、その口実につきあってくれるカノンは、仕事熱心で、得難い相棒なんだろう。それに、タキが満足できなくてもだ。
それでも、今はその口実があるから、この腕をのばすことができる。山ほど力を使ったし、タキは餓えるほどカノンが欲しい。
つれないカノンに眉を顰めてタキは立ちあがった。カノンの後ろに回って、背後からカノンの首にタキは腕をまわして、抱きしめる。
「カノン……わかるだろう……」
精いっぱい切なげに、カノンをかき口説く。演技でもなんでもなく、本心なんだが、きっとカノンはそうは受け取っていないだろうと寂しくおもいつつ、タキは腕に力を込めた。
「カノン」
掠れる声で名を呼ぶと、カノンはタキの腕に手を重ねてきた。
「仕方ないな。じゃあ、この任務が終わったらね」
柔らかい声で告げられて、タキはカノンの髪に唇を落す。
「待てない」
船に積んでいる客人を送り届けるのに、三日はかかるだろう。この腕の中の身体を離して三日も待つなんて、無理だ。
「タキ」
咎めるような声にもタキは首を振る。
「今回、かなり力を使ったからな。本当に待てない」
鎮めてくれ。懇願に近い言葉を口にすると、腕の中のつれないきれいな相棒は小さく頷いた。
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