スポンサー広告

スポンサーサイト

 ←カノン_Kanon side ※ →ありえない出来事
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。


にほんブログ村 小説ブログ BL小説へ

もくじ  3kaku_s_L.png 未分類
もくじ  3kaku_s_L.png はじめに
もくじ  3kaku_s_L.png リンク集
もくじ  3kaku_s_L.png Novel lists
もくじ  3kaku_s_L.png 奇跡の刻
もくじ  3kaku_s_L.png 平行線の恋
もくじ  3kaku_s_L.png 煉獄の恋
総もくじ  3kaku_s_L.png 天空国の守護者
総もくじ  3kaku_s_L.png 巡る季節と恋の順番
もくじ  3kaku_s_L.png 雑記
総もくじ  3kaku_s_L.png 山神の花嫁_昔話
もくじ  3kaku_s_L.png 告白の向こうへ
もくじ  3kaku_s_L.png 空の月を恋う
総もくじ  3kaku_s_L.png おまけ番外編ショート
もくじ  3kaku_s_L.png 遠回りの片恋
もくじ  3kaku_s_L.png 腕の中の迷い猫
総もくじ  3kaku_s_L.png 蒼い闇の化身
  • 【カノン_Kanon side ※】へ
  • 【ありえない出来事】へ
  • TB(-)|
  • CO(-) 
  • Edit

この宇宙(そら)の果てまでも

次の任務

 ←カノン_Kanon side ※ →ありえない出来事
要人の送り届けは滞りなく終了し、また、二人きり、宇宙空間へと滑り出た船は次の目的地へと進路をとっていた。
「ほんとに休みなし?」
操縦席に座ったタキは、自動航行へと切り替えるなり、隣のカノンへ問いかける。カノンは何も答えずに座標の確認作業を続けている。
「連続の仕事ってどうよ。俺たち便利屋じゃないっての」
タキの軽口に他意はない。ただ言っているだけだ。
タキにだってわかっている。どうせ言っても仕事がなくなるわけじゃない。ただのストレス解消。
「タキ」
冷たい口調で呼びかけられ、ぴたりとタキは口をつぐんだ。この愚痴は相棒の機嫌を損ねたらしい。そっとカノンを伺うように首を巡らせる。
背筋を伸ばして、タキを睨みつけたカノンの蒼い瞳が冴え冴えとした色に変わる。
やばい。怒らせたか。
「うるさい。大した仕事じゃないし、これが終わったら休みやるから」
窺うように見つめていると、カノンは溜息を一つついて、口調を緩めた。瞳の蒼色に深みが増した。
それに内心ホッとして、タキはカノンを見つめる。この世にもうつくしい相棒は、その瞳に感情を映す。冷たい蒼色に変わった時には要注意なのだ。怒らせるとしばらくは口もきいてくれないし、笑ってもくれない。冴え冴えとした視線を送ってだんまりを決め込む。
何物をも恐れないタキでもそれは勘弁願いたかった。この船の乗組員は二人だけだ。それなのに相棒に拗ねられると身の置き所がない。
じっと見つめているとカノンが何だと視線で問うた。
「大体どっからの依頼だよ。連合軍じゃないんだろう?」
タキたちへの依頼は大抵、宇宙連合軍からだ。宇宙の秩序を守る連合機関だ。
人類が宇宙に進出して久しい。縦横無尽に宇宙を行き来できるようになった結果、多くの国家や機関が誕生し、それぞれが法をもって機能し始めると、争いも絶えなくなった。
そこで、各国家や機関からそれぞれ代表を出し合って連合機関を作り、全宇宙共通の法律を設定し、それを守らせるため軍を持たせた。それが宇宙連合軍だ。最近は国家の争いより、海賊やら盗賊団やらと社会の秩序を乱す連中の取り締まりが多く、どちらかというと警察機構のようになっている。
その宇宙連合軍が必要と判断するとタキとカノンに仕事を依頼するのだ。目立ちたくないとき、また特殊能力を必要とするときに。
「国だよ。もうちょっと辺境に跳んだあたりに、ルーランド星系ってのがあるんだけど、そこ」
「知らねえなあ」
タキはまったくやる気がない。
「で、何をするわけ?」
「テロリストの基地からの人質奪還」
「はあ!?」
タキの嘆きももっともだった。そんなものは、連合宇宙軍の管轄ではないからだ。
「仕方ないだろう。国家に力がなくて、連合軍に泣きついてきたんだから」
ちらりとカノンに視線を流して、タキにもカノンも実は乗り気ではない依頼だったことがわかってしまった。
「やめないよ」
先に言われてしまい、言葉がない。
「わかったよ。だけど、これ終わったら絶対休暇だからな。約束だぞ」
「了解」
片手を上げて先制するようにカノンは告げた。
「俺の端末に情報全部送って」
タキはそう言うと席を立つ。部屋に籠って情報の確認をするつもりだった。
「よろしく」
振り返りもせずに言ったカノンに手を振って、タキは艦橋(ブリッジ)を後にした。


ルーランド星系、第三惑星、トライアン。
陸地と海が半々の惑星の一番大きな大陸にある首都にタキたちは降り立った。
政府高官に、テロリストの基地と説明された建物はやけに近代的なビルだった。体裁はとある大手企業の本社ビルとなっている。
下からビルを見上げて、タキは眉間に皺を寄せる。やけに高いビルは二つの棟からなっていて渡り廊下でつながっており、白い外壁が日に白く輝いていた。デザインより機能性を重視した外観に、口をへの字に曲げる。
「企業本社っていうより研究所ぽいよなあ」
嫌な思い出が浮かんできそうになるのをタキは意思の力で押しとどめた。帽子を目深にかぶりなおし、足を前に出す。清掃員の制服に制帽、掃除道具のカートを押して、ビルの入口を潜った。
からからとカートが大理石の床を転がって音をたて、うつむき加減にタキは、受付を通過する。
「ちょっと」
受付から、やけに綺麗な女性が声をかけた。
「おはようございます」
平静を装ってタキはにっこり笑って答えるが、深く帽子をかぶっているから、見えたのは口元だけだろう。それでも相手が驚きの表情を浮かべたのに、タキは内心ひやりとした。が、身長の高さにでも驚いただけらしい受付担当の女性はすぐさま口元を引き結んだ。
「困ります。ここから出入りされたら」
丁寧ながら、自分より下の階級だと高をくくっている傲慢さが見え隠れし、タキは内心、美人なのに惜しいなと思った。
「業者用の入り口が駐車場側にありますから、そちらからお願いします」
「わかりました。駐車場から回ればいいんですね」
愛想良く答えて、タキはいったん建物から出ようとする。
「そちらから出入りされると目立ちますから、そっちのエレベーターを使ってください」
呆れたように言われて、タキは軽く肩をすくめた。
そのまま奥のエレベーターへ行き、地下へ降りた。
なんだか呆気なくビルの中に入れてしまい、タキはちょっと拍子抜けだと内心呟く。それにしても人間の受付嬢とは恐れ入った。この星系での人件費は高くないんだろうか。受付のためだけに人間を置くなんて、中央では考えられない。人間が一番高くつくのだ。大抵は精密なアンドロイドか、ロボットを置く。
だいたい、あんなお姉さんじゃ襲われたらひとたまりもないだろう。ビルの受け付けは入口の警備を兼ねるのが普通なのに。
駐車場まで降りて、業者入り口と書かれたプレートに従って移動する。
「カノン。第一関門クリア。っていうか普通の会社だぜ。始業時間も近いからか、かなりの社員が社員証を片手にゲートを抜けてった。ほんとにこのビルでいいのか?」
目立たないように、耳に入れる小型のトランシーバーで通話する。マイクは襟に仕込んであった。
『表示ではそうだ。実際登記されている会社部分の構造ははっきりしているが、外見と中身の配分が合わない』
カノンが手にしているだろうビルの構造図をタキは思い出す。
「で?その、設計図にない分はわかったのか?そっちに侵入するんだろう?破壊しないんだったら、そっちが必要」
いかにも清掃業者が清掃のためにビルの奥に向かってますという体を装いながら、タキは小声で、カノンと話した。
『無理。とにかく、内部のネットか回線にアクセスしているコンピューターと接触しないことには、そっちは手に入らない。表のコンピューターはホントに会社なんだ。そういうの探してよ。その画像送ってくれれば、そっから俺がコンピューター内に入る』
データを得るにはカノンのコンピューターを誑し込む特技がとにかく必要だ。後方支援担当のカノンは実働には向かないという理由から、依頼主の作戦室に置いてきた。
しかし、それは正確ではない。
カノンも銃の扱いはもちろんプロだ。潜入捜査の訓練も受けている。それでも、タキは一緒には作戦行動しない。何かあった時に力の発動した自分の巻き添えを食わせると困るからだ。
カノンは不服がったが、タキの足手まといになる可能性がゼロではないため、しぶしぶ引きさがった。
「わかった。とりあえず、作戦通り、役員室のあたりをうろちょろしてみるさ。なにかあたったらまた連絡する」
『了解』
耳に優しい柔らかな低音にタキは口元に笑みを浮かべて、通信を切った。


カートを押しながら、廊下を渡る。タキはドアプレートを眺めながら、廊下を進んでいった。どうみても普通のビルで普通の会社だ。
ただ、さすがに役員の階だけあって、床は絨毯を敷いてあるし、ドアはどれも木製だ。
いいねえ。儲かっているようで。
鼻歌でも歌いそうにのんきに廊下を歩いていたタキは、ふいに立ち止った。
研究開発本部長室。ドアプレートにはそのように銘打ってある。
大体、胡散臭いことにはこういう連中が噛んでいるんだよな。
そう思いながら、ドアに身をよせた。物音は聞こえない。
誰もいないと良いけどな。
一旦、ドアから身を離し、カートの掃除道具を取るふりをして、タキはカノンを呼びだした。
「カノン。俺のいる場所わかるか?」
『ああ。探知している。十三階だな。なんだ?』
さすが、相棒。唐突な質問にも余計なことは言わない。
「俺が立っている前の部屋は無人か?」
物音も気配もなかった。多分、十中八九は無人だ。タキはそう踏んだが、こんなところで誰かに見られるとそれはそれで、厄介だ。一応、念には念を入れる。
『ああ』
ビンゴだ。
「サンキュ。このまま部屋に侵入する。このまま通信つないで待機」
『了解』
カノンが通信を待機に設定するのを音を拾うことで確認し、タキはカートを押して、一気に部屋の中に飛んだ。
ヒューっと口笛を吹いた。やけに金のかかった部屋だった。革張りの応接セットに重厚なデスク。広さはざっと三十畳以上あるだろう。床の絨毯は足が軽く沈む程の毛足で、デスクは一枚板の本物の木だ。
タキはさっさとPCの前に行くと立ちあがっているPC画面を見た。
「カノン、ロック掛かっている」
『いい。カメラを向けて』
タキは画面に小型のカメラを向けた。できるだけ動かないように固定する。カノンがパスワードを告げるのを入力した。ロックが外れる。
タキはコンピューターに簡易通信装置をつなぐ。これで、ここの中身はカノンの手元のコンピューターと繋がる。
カノンは自分のところのPCからこちらのコンピューター回路に侵入する。それもハッカーがやるようにプログラムを介してではない。精神パルスで回路に入るのだ。
カノンに落とせないコンピューターはない。
いきなり画面がすごい勢いで変化を始めた。
次々、セキュリティが解除になっているのだろう。シークレットの文字が踊っては消えて行く。
『見つけた』
カノンの声が聞こえ、出力した画面が、転送という文字でカノンのPCへと情報を流していることを示した。
「その上の階から研究所が始まるみたいだけど十三階に入り口がある」
画面では立体的な地図が百八十度回転した。
わかるかと訊かれて、タキは画面を見つめる。あっという間に地図を頭にたたきこんだ。
「OK。覚えた。入り口は、ちょっとやそっとじゃ開かないだろう?」
『まあね。誰か捕まえて、IDカードを貰うのがいいかな。だめか。入り口が遺伝子と網膜チェックになっている』
どうするかな。と呟く声がインカムから聞こえた。
「飛んでもいいけどな。どうせ、中は人だらけだろう?」
人のいるところにテレポートするのは避けたい。騒ぎになるし、危険も大きい。
『そうなんだけど……』
「どうした?」
珍しく歯切れの悪いカノンにタキは怪訝そうに訊いた。
『お粗末だけど、ESPシールドが張られている。なんか嫌な感じだな。やっぱり俺も行けば良かった』
ESPシールドとは御大層だ。タキはにやりと笑った。
「テロリストチックになってきやがった」
『だね。しょうがない。タキの情報をここのホストにインプットするよ。IDなしで行けるようにホストを説得するから待って』
いとも簡単に告げるカノンの声に呆れたような顔で、タキはしばし待つ。回路に侵入し、ハックするだけでなく、ホストそのものに言うことを聞かせてしまうのは古今東西、カノンだけの能力だ。
五分ほどで、よしっと声が聞こえる。
『もういいよ。そのまま隠れビルへ向かって。普通に指と瞳のチェックで入れるから。服だけはどっかで調達した方がいいよ。ほとんど白衣だろうから、清掃員は目立つ』
「了解」
笑いを含んだ声でタキは応じる。いつも思うが鮮やかな手並みだ。カノンが相棒だと仕事が早くて助かる。
PCをもとの状態に戻し、通信機を回収する。そして、出る時は普通にカートを押して部屋を出た。
関連記事


にほんブログ村 小説ブログ BL小説へ

もくじ  3kaku_s_L.png 未分類
もくじ  3kaku_s_L.png はじめに
もくじ  3kaku_s_L.png リンク集
もくじ  3kaku_s_L.png Novel lists
もくじ  3kaku_s_L.png 奇跡の刻
もくじ  3kaku_s_L.png 平行線の恋
もくじ  3kaku_s_L.png 煉獄の恋
総もくじ  3kaku_s_L.png 天空国の守護者
総もくじ  3kaku_s_L.png 巡る季節と恋の順番
もくじ  3kaku_s_L.png 雑記
総もくじ  3kaku_s_L.png 山神の花嫁_昔話
もくじ  3kaku_s_L.png 告白の向こうへ
もくじ  3kaku_s_L.png 空の月を恋う
総もくじ  3kaku_s_L.png おまけ番外編ショート
もくじ  3kaku_s_L.png 遠回りの片恋
もくじ  3kaku_s_L.png 腕の中の迷い猫
総もくじ  3kaku_s_L.png 蒼い闇の化身
  • 【カノン_Kanon side ※】へ
  • 【ありえない出来事】へ

~ Comment ~

管理者のみ表示。 | 非公開コメン卜投稿可能です。

~ Trackback ~

卜ラックバックURL


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

  • 【カノン_Kanon side ※】へ
  • 【ありえない出来事】へ
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。