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この宇宙(そら)の果てまでも

ありえない出来事

 ←次の任務 →逃れられない命令
白衣姿のタキは白く伸びる廊下を早足で歩く。黒く長い髪を後ろで括り、眼鏡をかけた姿は、ぱっと見れば研究者に見える。眼鏡はいつも使っているバイザーの役も果たしていた。カノンから送られてくる情報が見える。
しかし、タキの内心は穏やかではない。任務の時は冷静沈着が最も大事だが、タキにとって研究所は鬼門なのだ。
能力の発現は早かった。物心ついた時には力を当たり前に使っていたと思う。しかし、そのせいで、タキは早々に両親から引き離され、ESPを研究する施設へと収容された。そこで待っていたのは検査という名の拷問と忍耐力を要求される訓練だった。
殺されなかっただけましかもしれない。
一緒にいた仲間たちのうち、気がふれてしまった者も少なくなかったから。
喉の奥でタキは唸り声を上げる。
おさえつけていないとずっと神経が逆立って、暴れまわってしまいたい衝動がタキを襲った。
『タキ』
インカムから唸り声が聞こえたのか、柔らかい声が耳元で名を呼ぶ。
『タキ、状況は?』
「異常なし」
端的にいらついた声で告げられる報告に、カノンの溜息が落ちる。
『落ち着いて、大丈夫だから。そこはただの企業の研究所だ』
「んなのわかってるって。ただ胸糞が悪いだけだ」
カノンの声を聞くと不思議と落ち着きが戻ってくる。それでも苛立ちは消えないが。
「これ終わったら、お前抱くから」
苛立ちまぎれに言ってみた。カノンが気を悪くするだろうことはわかっていたが、この嫌な感じはカノンの甘い肌じゃないときっと収まりがつかない。
『タキ。任務中』
呆れてはいるが、怒っていない口調で、カノンが言う。
「わかってる。でも、覚えといて」
『了解』
柔らかい囁き声にタキは一瞬、耳を疑った。お堅いカノンがこんな状況でOKするなんて嘘みたいだ。
「まじ?」
『ああ』
「忘れんなよ」
自分が今までイライラしていたことなんて吹っ飛んでしまうほどの衝撃に、タキは念を押した。
くすくす笑う声が耳をくすぐって、タキは自分が任務中だってことすら忘れそうになった。
『そろそろ目的地じゃないか?』
その気分をカノンが引き戻す。
よし、それならこんなやなことはさっさと終わらせて、カノンと休暇を楽しもうとタキは目的の部屋の前に立った。
『熱源四人分』
「人数あってんな。それにしてもここまで誰にも会わなかったぜ。ここ、ほんとに本拠地か」
言いながら入り口のロックを眺める。
かちっと音がしてロックが外れた。カノンがホストと交信して外させたのだ。
しゅんと音がして入り口が開き、タキはドアに身を隠して、中を伺う。
「だれだ?」
中から声がする。
「ルーランド政府の関係者?」
質問にタキは質問で返す。
「そうだ」
「動けるか?けが人は?」
ドアに身を隠したままタキは訊く。
「動ける。だが、一人怪我をしている。ちょっと歩けそうにない。それよりお前は誰だ」
「依頼されて助けに来た」
タキは、懐から命令書を出すと床に落とし、足で部屋のなかへ蹴りいれる。
誰かが身をかがめてそれを拾い、開くのが気配でわかる。
「助けだ」
ざわざわと中から他の男の声もする。安堵が声ににじんでいた。
「出てこい」
タキの声に無理だとの声がかかる。
「なんで?」
「つながれているからな」
その声に仕方なくタキは部屋へと入った。広い部屋だった。おおきな応接セットが部屋の入り口付近にあるだけで、奥は広く開いている。部屋の隅、二か所に葉の大きな観葉植物の鉢植えが置かれていた。
ひどい違和感がある。それが何か分からないが、うなじの後ろがぴりぴり逆立った。
見渡すとその応接セットに男が四人固まって座っていた。足を拘束されている。それも床から生えた金属の縛めにだ。
レーザー銃を構えて側に寄った。
「だめだ。レーザーだと反射する素材だ」
先ほどからタキと会話しているリーダー格らしい男が言う。
「どうしてわかる?」
「開発したのが俺たちだからだ」
どうもこの政府関係者は軍事用の物質の開発かなんかをやっている奴ららしい。その技術にテロリストが目をつけたんだろう。
「スイッチがあっちの壁際にあるはずだ。俺たちをここに繋いだ奴があっちの広いところで何かやってた」
タキは立ち上がり、部屋の奥を眺める。
「カノン。どうだ?」
声を低めてタキはカノンに訊いた。
『ホストと連動してないね。命令だしたけど解除されない。確かにそこの配線は、壁際に向かっているけど……』
それでもなにか変だとカノンも思っているようだった。タキは足を踏み出す。一歩一歩、足先で探りながら、進む。
罠の可能性も捨てきれない。そんな不安が二人の間にあった。
しかし、その不安をあざ笑うかのようにその広い空間には何もない。きれいな床が広がるだけ。
「どのへんだ?」
「わからない。壁際のあたりで何かしていたが」
タキの問いに、ソファの男は答える。
用心深く壁際を探る。部屋の角の観賞植物の葉を持ち上げて、その裏を覗きこんだタキは、ほっと息を吐く。
「あった」
コンソールパネルが、壁の下部に葉に隠れて設置されていた。解除の印がついたボタンに手を伸ばしそれを押したのと、インカムから悲鳴のようにタキの名を呼ぶカノンの声が響いたのが同時だった。
『タキっ!!』
カノンの声をかき消すように、天井から金属の棒が何本も降ってきた。タキは頭を腕でかばう。ものすごい音が響き渡った。金属の棒は、全て床に突き刺さる。ソファでも悲鳴が上がった。
「なんだ、これ」
轟音が止んだ。腕を下ろして見渡すと、タキの周りを囲むように金属の棒が檻の柵を形成している。
「カノン」
呼びかけてもカノンから応答がない。
「カノンっ!」
叫ぶが、返って来るのは、ざざっというノイズだけだ。
罠か。
ぎりりと奥歯を噛みしめて、タキは一気にここから脱出することを決意する。両腕を身体の脇に垂らして力を抜く。テレポートすれば、瞳を明ければ、そこは外のはずだった。
「ぐあぁぁぁっ」
しかし、飛ぶ瞬間、身体を電撃が走った。対ESPシールドだ。がくりと膝を床についた。
「ふざけんなよ」
視線の先では、助けるはずだった人質が心配気にこちらをうかがっている。
こうなったら実力行使だ。ESPシールドも所詮は物理的なシステムなのだから、破壊してしまえばいい。
身体に力をため、一気に放出する。タキの身体が一回り大きくなったように見え、彼の身体を中心に球体がその半径を増した。
檻とタキの力がぶつかりあって、白い光があたりに満ちる。しかし、檻はびりりと震えただけで、びくともしない。
さらにタキは力の放出力を上げた。さらに光が強くなる。タキの黒髪が光に煽られて宙を舞う。
「そこまでだ」
耳元のインカムから知らない声が聞こえた。
「これを見ろ」
言われて、バイザーに表示された映像に、タキは力の放出をいったんやめた。
「カノン」
見知らぬ男がカノンを腕に抱いている。気絶させられたらしく、カノンは首を前に倒して、ぐったりと男の腕の中にいる。
「カノンに何をしやがった」
唸るような声でタキはインカムに向かって告げる。
『何も。ちょっと麻酔銃で眠ってもらっただけです』
ありえないとタキは思った。カノンの感応力は並ではないのだ。そんなそぶりや意思があれば、カノンを騙すことはできない。心の中が丸見えなのだから。
「何をした」
『疑り深いですね。あなたに気を取られていましたからね。その隙にちょっと』
確かに人質の解放にカノンが気を取られていたのは本当だ。しかし、そんなことで後れをとるような奴ではない。
こいつも能力者だ。
とっさに思う。ずっとカノンから心を隠し通すことはできない。それでも能力者で、訓練を積んだ奴なら、少しの時間、接触さえしなければ隠し通すことは可能だ。この男の顔は見たことがない。政府関係者の中にはいなかった。きっとその瞬間まで、離れたところにいて、絶妙のタイミングに外から一気に作戦室に押し入って、決したのだろう。
『納得していただけました?それにしても綺麗な人ですね、カノンさんは』
男はわざとゆっくり指をカノンの喉に伸ばし、そのまますくい上げて、喉が晒されるように上向けた。
「ESP制御リング……」
バイザーに映った映像にタキは歯噛みをした。カノンの喉にまるで首輪のように光る金属のバンドが嵌っていた。
『似合うでしょう?これでカノンさんの能力は十%も出せない。その上、身体は僕の腕の中だ』
うっとりと囁く声に、タキの腕に鳥肌が立った。そのうえ、男の指がゆっくりとカノンの喉元を辿っている。
「やめろ。カノンに触るな」
嫌な予感がする。この男は危険だ。それも、タキが最も嫌悪するタイプの危険。人をいたぶって快楽を得る輩だ。
『どうしようかな。こんなに綺麗な肌も見たことがない。このまま僕のモノにしてしまいたくなる』
カノンの頬をべろりと男が舐めるのが見えた。タキはぐっと目を閉じる。
『でも、あなた次第です。あなたにやっていただきたいことがありましてね』
容赦なく男の声が耳を打つ。
『話はそちらでゆっくり。後ほどお目にかかりましょう』
「おいっ!」
通信も映像もあっけなく切れた。一方的にだ。叫ぶタキの声だけが部屋に響く。ソファの四人はそれを不安げに見つめている。
タキにはどうしようもなかった。
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