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この宇宙(そら)の果てまでも

逃れられない命令

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しばらくして白衣を着た数人の人間が軍服を着た連中とともに現れ、ソファにつながれていた四人を軍服の連中に引き渡すのをタキは檻の真ん中にどかっと座って見つめていた。
通信が切れてから、タキは檻の柵にも触れてみた。しかし、高圧の電流が身体を突きぬけいらぬ苦痛を得ただけだった。天井も床も全て、壊せないか試してみたが、すべてが頑丈につくられ、人間の筋力ではどうにもならない。携帯していた武器も使用したが、それでも焦げ付き一つ作ることができなかった。
万策尽きて、タキは相手の出方を見ることにした。
カノンが相手の手の中にある以上、あまり無謀なこともできない。力の放出はとくに察知されやすいようだ。人間がする範囲のことをしても誰も現れない、通信も開かないところをみると、そこの対策は万全で、気にも留めていないということがわかり、タキは奥歯を噛みしめる。
白衣の連中は、タキに一瞥をくれるとそのまま退出し、タキは一人部屋に残された。
時間だけが無駄に過ぎて行く。
床にどっかと座ったまま動かず、瞳を閉じて黙とうしているか眠っているように傍目には見えただろうが、カノンを腕に抱いた男の映像が繰り返し脳裏に浮かんで、タキは内心穏やかでなかった。
カノンの感応能力は並ではない。近くにいれば、人の思考は手に取るように読めるし、肌に触れたら、その人の、無意識の部分まで読めてしまう。自分が知りたいとも思わない相手の心が否応なく流れ込んでくるのは苦痛以外の何物でもない。
訓練である程度、遮断しているにせよ、身体を愛撫されて、官能に身を任せるとその制御が効かなくなり、見たくもない相手の欲望や心が見えて、カノンを傷つける。
タキには感応能力はないので、カノンに聞いた以上のことはわからないが、本来ならカノンは他人と触れあうことはできない。ましてやセックスなど論外なんだそうだ。
それでもタキの考えていることだけは、タキの心だけは読めないとカノンは言う。だから、カノンはタキに身を開いた。そういうことだと。
それが何故かもタキにはわからない。自分には感情を制御できる術はもちあわせていないのだから。
あの映像の男は明らかにカノンに欲情していた。この間にもあいつがカノンに触れたらと思うとタキは身を灼かれるような焦燥が募るのを感じる。
なにも防御できない状況で、あんなサド野郎になんかされたらカノンの気が狂う。
イライラとタキは誰かが交渉を持ちかけてくるのを待った。
あの男はやって欲しいことがあると言ったのだから、間もなくあいつ自身かまたは誰かやってきてそれを伝えるだろう。

「なかなか肝が据わっていると見えますね」
どのくらいの間放置されていたのだろう。焦燥に身を焦がしていたタキの前にあの男が姿を現し、にっと笑った。
短くきちんと整えた黒髪に銀のフレームの眼鏡をかけた男は、一見、科学者のようだが、目が違った。なにか底知れぬものを感じさせる細い瞳には感情がない。
爬虫類のようだとタキは思う。
「待ちくたびれたぜ。俺に何かさせたいなら早くしてもらいたいもんだ。こちとらそんなに暇じゃないんでね」
「そう言わずに。いろいろ準備が大変でね。せっかく手に入れたカノンさんも丁重に扱わなければなりませんし、あなたからもいろいろ得たい情報がある」
声にも感情はない。あるとすれば、絶対の優位を疑わない声音と権力者にありがちな命令口調だけだ。
カノンの名に反応しそうになる自分をぐっと抑える。
「おや。カノンさんがどうしているか、訊かないんですね」
面白そうに男はタキを細い目を更に細めて見つめた。
タキは答えない。
「私の資料によれば、あなた方は恋人の関係にあるとか。同性愛者でもなさそうですが」
科学が進歩し、性愛行為が多様化している現代において、性別などはほとんど問題視されなくなった。人種も姿形も多様化しすぎて、その一つに性別が加えられているくらいの話だからだ。しかし、それでも、辺境の星系ではいまだに差別の対象だ。
「偏見野郎か。資料はあてにならないな。俺とカノンは恋人じゃない」
恋人だと思うからこそのあの扱いだ。そう思われない方が得策だとタキは判断する。実際、カノンとタキの関係は、恋人とは程遠い。
「そうですか。調査ミスですね。それでも、最も近しい関係ではある」
ファイルをめくりながら、まるで実験動物でも見るように男はタキに言う。
「仕事仲間だからな。それだけだ。それより御託はもうたくさんだ。俺に何をさせたい。連合軍まで偽の情報で嵌めたのは褒めてやるけど、あんま調子に乗ってんじゃねえぞ」
どうでもいい話にうんざりして、タキはできるだけ早く交渉へと移りたいことを示す。
「まあまあ、慌てないで。残念ながら、連合軍を欺いたりしてませんよ。ここがテロリストの本拠地で、人質奪還をというのは本当の話です」
相手はさっさと取引に入る気がないらしい。ファイルから顔を上げて、タキを見つめた。
「はあ?」
タキにとっては、この任務が嘘だろうがホントだろうがあまり問題にならない。嘘だった場合、連合軍がそれをつきとめれば見過ごさないだろうと思うだけだ。
「あなたが助けようとしていた、この部屋の四人も本物ですよ。この星の政府高官です」
男は口端を上げて、にっと笑った。まったく面白くもなさそうに。
「ただ、裏政府が我々だっていうことを除いてはね」
「あんた、バカじゃねえの。俺にそんな内情べらべらしゃべっていいわけ?」
相手の意図が読めずにタキは苛々した口調で告げる。
「バカとは御挨拶ですね。内情を話すのは、今日からあなた方は仲間だからです。連合軍、特殊任務隊は、任務と称した依頼の最中に敵と通じてそのまま傭兵となったって筋書きですよ。すでにあなた方はお尋ね者だ」
くつくつと喉の奥で男が笑った。
「冗談じゃねえ。そんな話し、ぜってえ受けねえからな」
「ご自分の状況を見てから吠えてくださいね。あなたは受けざるを得ませんよ」
男はスーツの胸につけたネームプレートか階級章のようなものに手を触れた。
タキの目の前にスクリーンが浮かびあがり、そのなかでベッドに座るカノンが見えた。
「カノンっ!」
叫ぶがこちらの音声は届いていないのだろう。うつろな瞳のカノンからは反応がない。
白い寝巻のような服を着て、首にはESP制御リングを着けている。両手首にもリストバンドのような金具が見え、そこから鎖が伸びていた。
目の前の男と同じ顔をした男が画面の中にも見えた。
「どういうことだ。これは録画か?」
「いえいえ。中継で送らせている映像です。あそこにいる男が気になりますか?」
同じ顔、同じ背格好の片や白衣を着た人物がカノンに近づく。
「どういうことだ?」
タキは同じ質問を目の前の男にした。
「双子の兄です。私は男に興味はないが、兄は違います。カノンさんを捕らえたのも兄ですよ」
侮蔑の籠った口調で、男は画面の同じ顔の男を評す。仲間で兄弟であるのに、目の前の男は映像のもう一人の自分を憎んでいるようだった。
映像の白衣の男はゆっくりとカノンに近づき、その頤を指で持ち上げた。カノンの視線が揺らぐ。
『ごめんなさい。もうやめて……。ごめんなさい』
顎に手をかけられただけなのに、映像のカノンは相手に許しを請うていた。
『違うだろう。謝らなくていい』
白衣の男はカノンの首筋に唇を押し当てる。
『お願いします。やめて……』
焦点のあわない瞳で宙空を見つめて、カノンが呟く。白衣の男がゆっくりとカノンの着ている寝巻のような白い服のボタンに手をかけた。それを一つずつ外していく。
合わせ目からするりと滑り込ませた掌にぴくんとカノンの上体が跳ね上がった。
『さあ、どうする?強請ってごらん。どうして欲しいか言うんだ。君には視えているだろう。私が君にどんなことをしたいと願っているかを』
カノンは首を横に振る。金色の髪が白い肌を打った。瞳には怯えが走る。カノンには何が視えているんだろう。
『いやあっ』
身体をこわばらせたまま、カノンは何もない虚空を睨みつける。その瞳が潤んで涙が溢れた。
「やめろっ」
見ていられなくて、タキは画像から目を離し、目の前の男を睨みつけた。
「あいつに何をした」
「まだ、何も。ESPリングを三つもしているんですよ。相手の心が視える訳がない。なのに、すごいですね、カノンさんは視えているようだ。兄はただ自分の中の欲望をカノンさんに見せているだけ」
目の前の男は瞳に嫌悪をにじませているものの、カノンがどうなってもどうでもいいという言い方で答えた。
『お願い……もうやめて……ああぁぁっ……』
画像からカノンの叫び声が聞こえる。確かに白衣の男は何もしていない。愛しげに頬を撫でているだけだ。
精神を犯されて、カノンは闇を彷徨っている。
「やめろ。お前達、心を遮断する能力を持っているだろうが」
ぎりりと奥歯を噛みしめて唸るように告げたタキの言葉に目の前の男はおやと言うように眉を上げた。
「よく気がつきましたね」
「だからか。相手が能力者でなくても自分が望む映像も見せられる」
ESPシールドを三つだ。さすがのカノンも能力を封じられているだろう。それにある程度はカノンも相手の思考をシャットアウトできる。
それでも視えるのだ。心をこじ開けてみせているとしか思えない。
「やめてくれ。このままだとカノンが壊れる。俺達に何をさせたい。玩具にするためにこんな手の込んだ罠を張ったわけじゃないんだろう」
消え入りそうな声で俯いたタキに、男は満足げな笑みを浮かべた。
『もう……お願いします……何も見たくない……』
画像からは相変わらず、涙声のカノンの言葉が聞こえる。
「今すぐだ」
タキの言葉にカノンの言葉が重なった。
『お願い……ルカト様……思考を止めて。俺を……抱いて』
「やめろっ!」
いきなり立ちあがったタキの全身から炎のようなエネルギー波が渦を巻いた。タキを閉じ込める檻の中を炎の竜巻が陽炎を揺らしながら立ちあがる。
檻の柵がぴしぴしと音を立てる。
「ほう。これはすごい能力だ」
髪を焦がすほどの熱風を感じるだろうに目の前の男は涼しげな顔で、呟いた。
タキは現れた炎の竜巻を檻に向かって拡げて行く。
「うおおおおお」
タキが叫んで両手をひろげたのと竜巻が檻を呑み込んだのが同時だ。しかし、そのエネルギー波は一瞬にして、タキへと返り、彼の身を焦がした。
「うあああぁぁっ」
タキの身体を炎が包み。のけ反った身体が後ろに崩れ落ちる。それと同時に炎など幻だったかのようにふいっとその姿を消した。
「無駄ですよ。対ESPシールドを最高レベルで掛けてあります」
それを倒れた床の上で荒い息を繰り返しながら、タキは聞いた。
さらに目の前の男と同じ声が画像からも聞こえる。
『いい子だ。可愛い、カノン』
「ルカト。いい加減にしてください」
目の前の男は画像に向かって、冷たい声を放った。
「その人に手を出すのを許可した覚えはありませんよ」
『リトラン。いいじゃないか。カノンが望んでいるんだ。望みをかなえてやりたいんだよ』
ルカトと呼びかけられた白衣の男は愛しげにカノンの頬に指を這わす。カノンの身体がぴくりと震えた。
「ダメです。手を離してベッドから下がりなさい」
タキの目の前の男、リトランはさらに温度の低い声で、ルカトに命ずる。
ルカトが舌打ちするのが聞こえた。それでも渋々、カノンから手を離す。ルカトの身体が離れるとそのままカノンは壊れた人形のようにくたりとベッドに倒れ込んだ。
「寝かせてあげてください。その後はだれも彼には指一本触れないように。この後、すぐにそちらに行きます。いいですね」
リトランは画像に命ずると通信を切った。
そして、仰向けに床に倒れているタキを見る。
「服が燃えてしまいましたね。服と食事を持たせましょう。他にも要るものがあったら言ってください。任務に必要なら善処します」
「カノンを」
荒い息でタキはそう呟く。
「任務にカノンさんが必要ですか?」
「ああ。あいつがいないと動けない」
寝転がったまま痛みをこらえるようにタキは言った。
「会わせられませんが、通信はできるようにしましょう」
そういうとリトランは踵を返した。その所作に無駄も隙もないことをタキは視界の隅で確かめた。
なんとか、カノンと逃げださなければならない。さもないと、カノンが壊れる。カノンが壊れたら、俺もまた……。
天井を見つめながら、タキは大きく息を吐いた。
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