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この宇宙(そら)の果てまでも

掃討作戦

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研究所の廊下は白々とした光に満ちて、相変わらず勘に触った。
わき目もふらずにタキは先を急ぐ。隣に並んだ人間のことなどどうでもいい。それも、自分を脅している奴ならなおさらだ。
「地図はバイザーの方にデータとして送っておきました」
リトランの言葉にタキは装着したバイザーを起動させて確認をする。
「で、ここに潜んでいるやつらを全滅させればいいわけ?」
「そうです。反政府の連中で、穴倉に引っ込んでなかなか鬱陶しい。とにかく、殲滅してくださればいいです」
ふうんとタキは思う。ただの殲滅作戦とはずいぶん楽な仕事だ。力の強すぎるタキにとって、人を救出するだとか、爆弾を止めるだとか、修理のために出向くとかそういうのはあまり向いていないし、神経も使ってめんどうくさい。
破壊しまくればいいという任務はいままであまりなかったが、それは自分にとってはかなり向いた仕事だ。
「カノンは?」
任務が破壊だけなら確かにそうだ。だが、俺が出かけている間にカノンに手出しされては堪らない。
「カノンの無事を保証しろ。命もだが、指一本あいつに触れるな。あいつに何かあったら、俺はお前達をぶっ殺す」
唸るように告げるとリトランが苦く笑う気配がした。
「わかってますよ。任務とはいえ、あなたにESPシールドも嵌めずに行動させるんです。こちらもリスクは理解しているつもりですよ。カノンさんの無事は保証します」
「あいにくだが、俺は誰も信じない。あいつの部屋の映像を常に俺に見えるようにしてもらおうか」
腕につけられたESPシールドが重い。カノンはこれを両手と首にまでつけられていた。それだけでも体力の消耗はひどいだろう。
自分ですら、両手首につけられたシールドだけでいつもの何倍も身体が重い。
「それでは、カノンさんのプライバシーに触れませんか?」
「お前達が二十四時間監視しているんだから同じことだろうが。つべこべ言わずに、カノンの無事を常に俺が把握できるようにしろ」
仕方ありませんねと男は溜息とともに呟いた。片手で眼鏡のブリッジを押し上げる。これがこの男のくせのようだ。
あれからタキの感覚では三日が過ぎている。その間に差し入れられた食事の回数からも間違っていないだろう。
それだけあれば、あの変態野郎がカノンに何かをすでにしていてもおかしくはない。
「あいつは無事なんだろうな」
「もちろんですよ。大切なお客様ですからね。いくらかデータ収集にはご協力願いましたが」
データ収集の言葉にタキは嫌そうに鼻にしわを寄せた。軍の研究所でタキも散々、同じようなことをされた経験があったからだ。そして、カノンも。
横を歩く男を射殺しそうな瞳で見つめると男は困ったように肩をすくめた。
「脳波を取ったり、ESP計測器をつけたりしただけです」
その言葉にもタキはどうだかなという視線を返し、そのまま前を向く。
大げさな溜息が横から聞こえた。
「わかりましたよ。映像を送ります」
男の言葉が終わらないうちに、バイザーに映像が現れる。
「カノン……」
白い寝巻のような服を纏ったカノンがベッドに腰掛けていた。他に人はおらず、カノン一人のようだ。
バイザーを操作し、カメラのズームをカノンに合わせる。
表情のまったくない顔で、カノンは虚空を見つめていた。瞳の焦点が合っていない。
白い顔に金色の髪が一房落ちて、まるで人形のようだ。
くそっ。めちゃくちゃヤバいじゃないか。
タキは心の中で毒づく。
こうなったカノンを見るのは実は初めてじゃない。
壊れてんじゃなきゃ、意識をどっかに退避させたんだ。
タキは映像のカノンをぐっと睨む。自分を守るために殻に閉じこもった状態。
検査が昔の記憶を呼び起こしたからだろうか。
イライラとタキは部屋の様子とカノンを見つめる。しかし、カノンとて訓練された職業軍人だ。そんな柔じゃない。
「どうなっている?」
敵がこれをどう思っているのか探りたくて、タキはリトランに怒りをあらわにした声で話しかけた。
「ああ。反応がないことですか?ずっとこんな感じです。ESPリングの影響ですよ。外界を感応力で探れないことが怖いと言ってましたが」
ぎっとタキは奥歯を噛みしめた。カノンの体力だとリング三つは荷が勝ちすぎるのだ。
「首のをはずしてやれ。このままだと自分の中から戻って来れなくなる」
「そうですね。それも検討中なのですが、勝手にあなたと連絡を取られるのも困りますし」
タキは横の男の足を片足で払って、胸倉をつかみあげると壁に叩きつけた。ぐっとリトランが喉を鳴らす。
「そんなことできねえよ。このままだとカノンが壊れる。廃人になった能力者なんて掃いて捨てるほど見てきているだろう、お前たちはっ!」
掴みあげた胸倉をぎりりと絞るとリトランは苦しげに眉を寄せた。逆上するかと思いきや、タキを見つめる瞳に熱はない。その冷静さが鼻について、タキはさらに胸倉を絞る。
「ぐっ……」
「あいつが壊れたら、仕事に支障が出る。お前達が得たデータの半分も俺は動けない。あいつをただの能力者のモルモットだと思っているなら、お前はバカだ」
こういう奴に人情を説いても無駄だとタキは判断する。俺達、能力者なんてただの道具ぐらいにしか思っていないに違いない。それなら、手ゴマとして、威力が半減すると脅すほうが効果的だろう。
それに……。
タキは睨みつけながら思う。
俺が熱くなればなるほど、カノンが俺の弱みだとこいつらに晒すことになる。そうなれば、あいつの身が余計に危ない。
ぐるぐる回る思考と目の前の冷静な男に苛立ちが募った。
「全く、あなたは……」
リトランはタキの手を無理やりもぎはなし、ずれてしまった眼鏡を直す。息ができなかったのだろう。咳き込んで、苦しげに喉を撫でた。
「はぁはぁ。いいでしょう。シールドの強度を落としましょう。それでいいですね」
「ああ」
タキは身体をリトランから離した。
「じゃあ、そろそろ任務についてご説明してもいいですか」
乱れた服を正し、リトランは何もなかったように、タキを見る。
タキは頷いた。

移動した先は作戦ルームのようだった。
バイザーに表示されたのと同じ地図が、真ん中の卓上に映しだされている。
「これが反政府軍が隠れている場所の地形です」
指示棒で指しながら、リトランが説明を加える。かなり大きな岩山だった。東西に長く伸びる岩だけでできた山の周りは小石と砂の荒れ野だ。
「何箇所か入口があるな」
「そうです、わかっているだけで七か所」
リトランは各入り口を示した。岩山の地面に近いところに五か所、山腹に二か所の洞窟が見えた。
「反政府軍の規模は?」
「ざっと見積って二千」
タキは口笛を吹いた。それを自分一人で皆殺しにしろというんだろうか。
「多いな……」
呟いたタキにリトランは冷たい笑みを返す。
「できませんか?」
「さあな。一人で殺るには数が多い。司令官だけでもいいのか?」
「殲滅して下さい。一人残らず」
リトランの凍えるような声にタキは思わず背筋を震わせた。戦いとはこういうものだが、逆らった者は皆殺しでは、最後には誰も残らないんじゃないかと思う。
「わかった。で、内部の地図は?」
「それはこちらです」
地形図に被るように縦横無尽に走る通路が現れる。中は長い洞窟が広がって迷路のような様相を呈しているようだ。地図にはかなりの空白部分が存在した。道が途切れていたり、つながりが不明瞭だったり、完全に真っ白のところもあった。
「この空白部分は?」
タキの問いにリトランは、わずかに困ったような顔をして、「不明地帯です」と答える。
タキは舌打ちした。こんな地図もないところに潜入して、二千人を殺して来いとは、無謀な命令にもほどがある。
「この通路は衛星からの透過映像です。地上部分の山のなかの洞窟はある程度見えますが、それ以外は、どうなっているかわからないのです」
タキは嫌な顔をした。要は、自分の手駒の軍を潜入させても情報が足りなさすぎて、戦果が上がっていないのだろう。だから、タキの力がいるというわけだ。
人に在らざる力なら、その不利益を補えると思っているらしい。もしも失敗してもこの男の腹は痛まない。
タキは地形図と内部の地図を交互に睨む。力を放出させてもいいが、それにはこの内部構造は複雑で、簡単にはいかない。それに、不明な地域も多すぎる。
だが、洞窟なら基本的にはつながっているだろう。迷路のように行き止まりはあっても隅から隅まで、たどれる道筋があるはずだとタキは思った。
「七か所の入り口全てをミサイルで爆破できるか?」
「どうするんです?」
「入り口がつぶれれば、逃げ道がなくなる。その後、洞内の温度を一気に上昇させる」
何でもないことのようにタキは言った。
「俺に機密服と空気タンクを用意してくれ」
満足げにリトランは頷く。
「他に逃げ道があって中の奴らが出てきたら、それはそっちで始末しろ」
「わかりました。必要なものはこちらで用意します」
口元にうすら笑いを浮かべて、リトランはタキを見た。
その瞳の酷薄さにタキはぞっと背を震わせた。
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