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この宇宙(そら)の果てまでも

レジスタンス(2)

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三日目の夜。
「ちょっといいか」
タキはトランの部屋の入口にある垂れ幕に声を掛けた。中から、おうと声が返る。
タキは垂れ幕を手で持ち上げると部屋に顔を出す。
彼の部屋は作戦本部、兼、私室になっていて、基地にいる誰の部屋よりも広い。入り口に近いところは居間になっており、奥に寝室と二部屋に分かれていた。
「タキじゃねえか。どうした?入れよ」
トラン一人なのを確かめて、タキはするりと部屋に入った。
作戦会議用に使われるのだろう居間を占拠している大きなテーブルの前に立つ。
「何か飲むか?」
トランが瓶を持ち上げるのに、タキは頷いた。
透明な合成酒をグラスに注いで、トランはタキに手渡す。
「どうも」
受け取ってタキはそれに口をつけた。小さくむせる。ひどい味がした。
「なんだ、これ?」
「いいだろう。強いだけだけどな。まあ、てっとり早く酔える」
そう言いながら、杯をあおるトランは強いのだろう。顔色一つ変わっていない。
「もうちょっとなんとかなんねえのか?」
眉間に皺よせて、グラスを睨み付ければ、トランが、大きな声で笑った。
「そんな上品な玉か?」
げらげらと笑われて、タキはさらに顔を顰める。さすがに、こんなに笑われると面白くない。
「で?」
笑いをおさめると、唐突にトランが目線と声で話を促す。何か問題でもあるのかと心配そうな色が瞳に浮かんでいた。
さっきのあれは、タキの気分をほぐそうとしたつもりなんだろうか。
タキは、トランの気遣いに呆れると同時に肩の力を抜いた。
こんなくだらない会話をしに来たんじゃなかった。
真顔でタキはトランを見る。
「驚かずに聞いて欲しい」
タキの言葉にトランは呆れたような顔をする。
「いきなりやってきてそう言われてもな」
「そうなんだが。あんたが俺の言うことを信じて、ここに連れて来てくれたことを俺は感謝している」
どう言っていいものか散々悩んできたタキだったが、そう切り出す。
「信じたかどうかは怪しいもんだが、お前は戦力になると思ったからな」
はっきりと言いきってにっと笑ったトランにタキは苦笑を返す。こういう男だからこそ、二千人の人間を束ねてレジスタンスの親玉なんてめんどくさいことをやっていられるんだろう。
「俺の言ったことは嘘はないが、本当でもない。この星の政府を裏で牛耳っている奴らがお前たちをよく思っていないことは知っているか?」
トランは頷いた。タキは内心驚く。政府批判はここへ来て何度も聞いたが、あの裏で政府を動かしている連中の話は出て来なかったからだ。
「驚いたって顔だな。俺たちにもいろいろ情報網がある。それにお前が中央の研究所みたいなところから逃げてきたと言っただろう?政府は表向き、軍がらみの研究所なんて持っていない。だが、表向き会社の顔をした施設はいくつも保有しているのさ」
トランの言葉にやっぱりこいつはただものじゃなかったとタキは思う。
「そいつらが、この基地を殲滅したがっているのも?」
トランは頷く。
「それなら話が早い。俺はそれをしろとここへ送りこまれた」
その言葉にトランの眉が上がった。
「一人で何ができる」
「俺には力があるからな」
「そうだったな。おまえはそれを使わないし、使わなくても十分、兵士として強いから忘れそうになる。だが、一人でここにいる人間を砕いて回ることは不可能だ」
トランの言葉にタキは口の端を上げた。背筋が寒くなるような冷たい笑みだった。
「おまえたちの言葉で言えば、俺はバケモノだ。作戦はこうだ。政府軍がここの施設の入り口七か所を爆撃する。混乱に乗じて、俺がここの基地の温度を数十度、上昇させる。あっという間に死体の山の出来上がりだ」
トランの顔色が一気に青ざめた。机についた拳が震えている。
タキの言葉通りのことを想像したんだろう。
だが、そんなことできっこないとはトランは言わなかった。どこかでこいつならやりかねないと本能が察知したのかも知れない。バケモノだと。
タキは口端を自嘲気味に上げた。慣れてる。人間にバケモノ扱いされるのは。
「なんでそれを俺に話す」
奥歯を食い締め、唸るようにトランは言った。喉から絞り出すような声に、タキは我に返る。
「俺はここの誰も殺したくない。ここは軍事施設でないし。俺は民間人を殺す趣味はない」
「民間人?」
言葉に違和感を覚えたのか、トランが疑問を口にする。
「俺は連合軍所属だ」
言う気もなかった言葉が口をついた。お前たちを殺しに来たと告げた相手を怒鳴りつけるでも殺すこともなく、話しを続ける目の前のリーダーのせいだ。
「連合軍……」
トランは呆気にとられた顔をした。辺境地域では連合軍の名は遠い世界の話なのかもしれない。
「協力してくれ、トラン。俺はここを壊したくないし、誰も殺したくない。だが、このまま逃げれば、俺の仲間が殺される」
「人質に取られているのか」
「ああ、そうだ。ここを殲滅したら、解放すると」
「信じているのか?」
怒鳴るように告げられた言葉にタキは首を横に振った。
「だったら……なんで」
「それでもやらなきゃ、あいつらは俺の見ている目の前で相棒を殺すだろう。俺の世界で存在しているのはあいつだけなんだ。信じられるのも一緒にいられるのも。それを……」
タキは顔を歪めた。
なんで俺はこんなことを話している?こんな話をする必要はない。
頭の隅でもう一人の自分が警告を発する。誰も信じず、一人で生きてきた。背中を預けられるのはカノンだけだ。それ以外はみんな敵だ。なのに、まだ、会って三日しかたたないこの男に俺は何を伝えようというんだ。
沈黙が落ちた。トランもタキが告げた言葉をどうとらえていいかわからないようだった。空間を白い光だけが満たす。重い空気が二人を押し潰す。
「……どうするつもりだ」
掠れた声でトランが訊いた。
「信じてくれるのか」
「選択肢がないだけだ。お前が冗談でこんなことを言うわけがない。信じなきゃ死ぬだけだろう。信じても何も変わらない。だったら、リスクの少ない方をとる。それだけだ」
トランの言葉にタキは頷いた。
「逃げてくれ。この基地なら、爆撃には耐えられる。そうだろう?襲ってくる日がわかっていれば、だれも怪我一つしない。基地の最下層に籠ってやりすごすか、どこかに逃げ道があるんだろう?」
トランは肩をすくめた。呆れたような感心したような仕草だった。
「透視能力もあるのか。それもこの岩山を見通すような?」
「は?」
トランの言葉にタキは間抜けな声を上げた。
「あるわけない。十五キロ四方はあるような岩山を透視できる能力を持つ奴がいたらお目にかかりたいもんだ。あんたが言ったんだ。空気穴が一番苦労したって。基地を歩いてみればわかるさ。空気穴が床下にも開いていた。あれは、さらに下にも空間があるってことだ。それに、行き止まりになっている通路の天井や床にも空気穴がいくつも見られた。あれは、行き止まりに見せかけて通路があるんだろう?」
両肩を竦めて、トランは両手を上げた。
「参ったな。ちょっとお前を見くびっていたようだ」
その言葉を合図にするかの様に寝室を隔てる垂れ幕がめくられ、そこから四人の男たちが顔を出した。
「いつからそこに」
「最初から」
トランの横に立ったのは、シロタだ。タキは片眉を上げた。
その後ろに、三人の隊長が控える。さすがに目つきがきつく、歓迎しているムードはない。
「ここ二日、基地の中をうろちょろしていましたよね?そろそろここへ来るだろうと思っていました。それと日に一度の通信。疑って下さいって言っているようなものだったから」
なるほど。最初から信用もされてなきゃ、バレバレだったってことか。
昨夜、俺の部屋をこいつが訪れたのもそれが理由か。
タキは脇を嫌な汗が流れるのを感じた。自分の身を捨ててまで、俺を探りに来たわけだ。
「通信の中身までは解読できませんでしたけどね」
「シロタ。どうする?お前の言う通りになった。中央が何か仕掛けてくるのはわかっていたが、こんな作戦だったとはな。一人に二千人を殺させるなんて、敵は性根まで腐っているらしい」
嫌な顔してトランはシロタを見た。
「タキがせっかく申し出てくれたんですから、これに乗ったらどうです?作戦決行日程もタキの連絡次第でしょう。この基地をしばらく放棄せざるえないのが痛いですが、仕方がありません」
「こいつを殺して、中央に送るっていうのもできるぜ?」
口端を上げて、トランはタキを睨みつけた。タキはそれを受け止める。
「トラン、無茶を言わないでください。この人はそう簡単に殺せませんよ。それこそ我々が死体になりかねない」
「だが、こいつが嘘を言って、俺たちを嵌めようとしている可能性だって否定できない」
トランの言葉にシロタは微笑んだ。
「報告しましたよ。タキは嘘はついていません。彼が我々に敵意を持っていないのは私が証明済みです」
その言葉にタキははっとシロタを見た。
「能力者」
「そう。弱い感応力ですけどね。身体を密着させないとわからない程度ですが」
だからかとタキは唇を噛んだ。彼らがあっさりと俺がエスパーだと信じたのも、さほど驚かなかったのも、バケモノ扱いしなかったのも、このシロタがいたせいなのだ。
「だからって、他人のベッドにもぐるのか」
ため息交じりに告げた言葉に、シロタはくすくすと笑った。
「趣味も兼ねてますからお気づかいなく」
シロタの言葉に後ろに控えた隊長が顔を赤らめてそっぽを向いた。心当たりがあるのか、それともあからさまな言葉に反応したのか。
「タキの言葉に従うべきです、トラン。そして、逆にあいつらの戦力を少しでも削いでおきたい」
シロタは嫣然と微笑んだ。明らかに残酷なほどうつくしい笑みで。
「仕方ねえな」
トランの言葉にその場にいた残りの隊長は固い表情で頷いた。
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