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奇跡の刻

交差点

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PCの電源を切って、聖はデスクから立ち上がった。
手にしたファイルを社長室の扉にいちばん近い席に座る吉井に手渡すため、移動する。デスクの脇に立つと、聖は吉井に声をかけた。
「高郡くん、終わった?」
差し出したファイルを受け取って、吉井は聖に微笑み、中身の書類に目を落とすと確認する。
「本当に助かったよ。これで、仕事は全部だ。五日間、おつかれ」
最終日の仕事が終わった。あっという間の五日間だった気がする。
「いえ、こちらこそ。いろいろありがとうございました」
「これが報酬。受け取りにサインして」
引き出しから吉井が取り出し、差し出した封筒を受け取り、聖は受取書にサインをした。借金の形に働いたはずなのに、報酬をもらってしまったと内心、苦く思う。
「ありがとうございました」
再度頭を下げる。
「短い間でしたけどお世話になりました。いい社会経験になったと思います」
「うちへの就職も考えておいてくれよ」
聖のきちんとした働きぶりとその能力を吉井は高く評価しており、この言葉は御世辞ではなかった。こういう人材が集まったら会社はさらに良くなっていくだろう。
「ありがとうざいます」
荷物をまとめて、今日も結局、社長室にいたにもかかわらず、顔を合わしていない神栖にも挨拶をしようと奥の扉に向かいかけると、その扉がバタンと開いた。
「神栖さん、今日が最後……」
聖の挨拶に重ねるように
「行くぞ」
とだけ告げ、出口へ向かう。まったくもってこの人の言動は謎だと聖はあきれた。
意味はさっぱり分からないし、高慢極まりないが、この人の言うことに抗うのは並大抵の精神力ではできない。理由がわからないから余計かもしれない。
「どこへ」
なんとか、気力を振り絞って尋ねることができただけましかもしれない。
「バイトの打ち上げ」
結局、押し切られてついていく羽目になる。
聖にも何故この人の無茶に逆らえないのか自分のことながら不可解だ。
「それでは、吉井さん失礼します」
吉井に挨拶だけ済ませ、慌てて後を追った。取り残された吉井は、いつになく必死な様子の神栖に対して苦笑いを浮かべた

打ち上げと称してカジュアルなイタリアンレストランに連れて行かれ、一緒に食事をすることになった。
相変わらずワインを食事代わりにする神栖を尻目に、聖は普通に食事をする。
「夕食は食べないんですか」
「飲む方が多いな。おいしい酒とつまみがあればそれが夕食。聖はあまり酒を頼まないが嫌いなのか」
「ビールや焼酎なら飲むこともありますけど、あまりアルコールに強い方ではないと思います」
聖の答えに少し微笑って、
「嫌いでないなら、ワインでもなんでもいいものを少し飲むといい。少量のアルコールは身体にもいいんだ」
神栖は言った。
「ワインは奥が深そうで、どれを飲んだらいいかよくわからないんです」
「そんなことなら、俺が幾らでも教えてやる」
でも、借金返したらあなたとの接点はもうない。
神栖の言葉に聖は胸の内で言葉を返す。
この一週間、楽しかった。
聖は目の前の神栖を見ながら思う。毎日会えたわけではないが、かわした言葉、神栖の仕事ぶり、それらで聖の中の神栖への印象は変化した。
憧れが尊敬に変わり、思ってたより変わっているところもあって、それでいて常人と同じ所もある血の通った人間へと。
本来なら交わるはずのない道が偶然交差しただけだったんだ。そして離れて行く……。
目の前でグラスを傾ける神栖を見ながら、聖は心の中で呟く。
憧れの天上人のままにしておけばよかったのかもしれない。ブラウン管の中のアイドルのように。そうしていたら、このまま離れても、こんな空虚な哀しみを覚えることはなかったのに。
寂しさと悲しさがじわじわと胸の奥に広がる。
天上人などではなく、同じ熱き血の通う人間だと認識してしまったから、もう、この人と同じ場所に立てないことが、その体温から引き離されるのがつらい。
「そうですね」
相槌を打つが神栖の言葉は社交辞令だと自らに言い聞かせる。この食事が終わったら、もう会うこともないだろう。本当の意味の打ち上げだと聖は皮肉に思う。
微笑みを顔に張り付けながら、聖は胸が塞がれていくような思いを覚えた。

聖の返事が心ここにあらずなことに神栖は苛立ちを感じていた。このやけに折り目正しい青年は、自分に対する態度をあまり親しくない目上の先輩から頑なに変えようとしない。
硬い態度、距離のある言葉。
神栖は持ち前の容姿とその態度のおかげで、気に入ったものはなんでも手に入れてきた。それは人間も例外ではない。神栖の気のあるそぶりに、反応を示さなかったものは皆無だ。唯一の例外が、目の前の青年。
弁償を盾にバイトを引き受けさせたのも手放したくなかったからだ。そばに置いて、もっと自分を知って欲しかったのかもしれない。最初は手に入れるのが難しい獲物をどう狩るかを楽しむゲームだったはずなのに。
昨日、新製品の試着に駆り出して触れた身体の感触が手のひらから去らずに、それが余計神栖を苛立たせる。
神栖はテーブルに置いた手を拳に握った。
服越しに触っただけなのに、手のひらにはその体温が残っている気がする。
最近、忙しくて禁欲が長かったせいで人肌が恋しいだけだと言い聞かせ、昨夜は数いる情人の一人と過ごしたのだが、余計にむなしくなっただけだった。
もう引きとめておく口実はない。無理に自分のモノにしてしまうこともできたが、それでは望む関係は得られない。
どうするか。
他愛ない会話をしながらも、神栖は次の手を考える。
食後のエスプレッソが運ばれてくるころになっても、妙案は浮かばなかった。
目の前の聖を見つめながら、神栖はいらいらとする感情を噛みしめた。
そして聖も――
一時でも引き延ばしたいとどこかで願っていた幕を引く時間が一刻一刻近づいてくる音を聞いた。
けりは付けなければいけない。
聖は心を決める。
このまま従属する関係は耐えられない。例え相手が社会的にも年齢的にも聖の手の届かない人であったとしても、この人とは同じ地面に立っていたい。
借りは返さないといけない。
それが、絆を断ち切ることになるとは皮肉だけどな。俺とこの人の道は交わったこと自体が、間違いみたいなものだし。
その考えに胸の奥が冷たくなる。だが、今の身代は、借りを返すまでは神栖の物と同義だ。
膝の上で、手のひらを握りこむ。腹に力を入れて、聖は一度ゆっくり瞬きをした。
ジャケットの内ポケットに手をいれると封筒を取り出す。
「神栖さん」
姿勢を正し、改まって神栖の名を呼んだ。神栖も「なんだ」と視線で問うた。
「労働で返すはずだったお金です。あなたの会社にいただいたお金で返すというのも変な話ですが、これで全額お返しできます」
差し出された封筒と聖の顔を交互に眺めた神栖は、自分の苛立ちに火が付き怒りに変わったことに気付いた。
あくまで俺との関係は賠償だけだと言いたいわけだ。
金など神栖にとってはただの口実であったのに、その口実そのものを消し去ろうとする聖の律儀さに神栖はひどく怒りを覚えた。
これで俺とはそれっきりのつもりなのか。
腹の底から湧きあがる熱い感情に、がたっと席を立つと神栖は無言で聖の腕を掴み、乱暴に店の入口へと向かう。
「痛っ。離してください。急にどうしたんですか」
問う聖を無視して、勘定をすませ外にでる。
「神栖さん、離して下さい」
神栖が急に怒り出した理由が聖には分からず当惑しながら、とりあえず腕は取り戻そうともがく。それも力で押さえつけて、タクシーを捕まえると無理やり聖をタクシーへと押しこんだ。
「何するんですか、説明してください」
タクシーに行き先を告げ、それきり何も言わない神栖に聖は詰め寄る。神栖が今まで見たこともなく怒っていることだけが感じられる。詰め寄ってもあっさり無視されて聖はどうしていいかわからない。
タクシーは神栖のマンション前で停車し、聖は神栖に引きずられるように部屋へと連行された。


「神栖さん!!」
怒鳴ると腕を突き放され、反動でリビングの床に転がされた。神栖の切れ長の眼が怒りにすがめられ、聖は言葉を失った。
そのまま、転がった聖に近づくと床に膝をつき、聖の腕に手を伸ばす。聖はそのまま床を後ずさる。
睨みつけられて神栖の瞳から瞳が離せない。見つめあったまま、じりじりと後退させられ、壁際まで追い詰められた。
神栖の手が伸びてきて聖の腕を掴もうとするのから逃れようとすると逆の腕で退路を断たれた。
「く、くるすさん」
壁を背に座った格好の聖の二の腕を力いっぱい掴むと引き寄せる。
「弁償したいんだろう」
息がかかるほど近くに顔を寄せられ、低く怒りを含んだ声で神栖は聖に告げる。
「そ、それは、さっき……」
「俺はお前の二十四時間を買うと言った。まだ、あと五時間は残っている計算だ」
神栖の怒りは収まらない。
聖には神栖の怒りの理由が分からない。しかし、神栖が意図していることはただ一つだとさすがの聖にもわかってしまった。
「神栖さん、離して下さい」
顔をそむけて聖はもがく。
「律儀さを通したいなら望み通りにしてやる」
神栖は言うなり、右手で聖の顎を捉え無理やり上向けると唇に唇を重ねる。
嫌だ。
賠償の代わりに身体を差し出せと言外に告げた神栖に聖は暴れだす。それを体重で押さえこまれ、さらに深く口づけられる。舌が口腔内に入り、聖の舌を絡め取る。
嫌だ。息ができない。
吐息までも吸いつくすような口付けに聖の身体から力が抜ける。抵抗すら封じ込められて、悔しくて、哀しい。
抵抗できなくなったのを見計らうかのように神栖は唇を解放した。
「……はぁはぁはぁ……」
詰めいていた吐息が自由になり、聖の肺は空気を求めて激しく呼吸を繰り返す。片手で後ろの髪を掴み引かれて仰向かされているせいで、神栖の怒りに満ちた視線から逃れられない。
神栖はまた顔を聖に近づけて、聖の首筋に唇を押しあてた。
神栖の怒りそのままに、触れた唇は熱い。触れられたところから波のように妙な感覚が身体を伝わっていく。
「っん……」
思わず身がすくみ、声が出た。
本気だ。本気で俺を……。
「い、嫌だっ!!」
腕を突っ張り神栖を引き離そうとする。大きな声で怒鳴る。
「離せよ、嫌だ。俺は物じゃないっ!」
そう、俺は物じゃない。借金の形代じゃない。
「俺は……。俺は……」
ちゃんと一人の人として俺を見て。そう言いたいのに言葉が喉に絡まり外に出ない。
せり上がってくる感情に聖は眩暈を覚える。
いままで感じたことのない強い想いに喉が詰まる。
そして、ああと思う。
聖はこうまでして、神栖に借りを返したかった理由に思い至った。
対等な場所で、この人に俺と向き合って欲しい。
物じゃなくて、高郡聖という人間として、見てほしい。
俺を俺として側に置いて……、
「こんなのおかしいだろう。俺は神栖さんあなたにただ……」
「先に自分を物扱いしたのはお前の方だ」
瞳を覗き込んで低く怒りを含んだ声で神栖が告げる。
「違う!」
「違わないだろう。俺とお前の間にあるのは、賠償だと、金だとお前が宣言したんだ。そうだろう?」
聖は大きく瞳を見開いた。そう、神栖さんと俺の関係は、友人でもなんでもなく、ただ、賠償者と被賠償者それだけ。
「ちがう……俺は借りは返した」
「お前が貸し借りにこだわっているうちは、終わってない」
まっすぐに瞳を睨みつける神栖の視線から瞳を離せない。強い視線に縫い止められたようだ。
貸し借りにこだわっている?俺が?そうだ。なぜなら、これがなくならないと神栖さんと対等に向き合えない。
「そして、それが終わらないうちは、お前をどう扱うかの権利は俺にある」
「違う!」
嫌だ。こんな風な関係は。このままこの人に隷属したまま抱かれるなんて絶対に許せない。
それなら、自由になったら……。
一瞬、聖の理解の範疇を超える想いを見た気がしたが、聖はそこから目を背けた。
「違わない。俺にとっては、金も賠償も別にどうでもいいことだ。拘っているのはお前で、俺はそんな関係には我慢できないし、するつもりもない」
低くゆっくり語られる声に身体が震える。
「お前が借金の形だと思うなら、そう思っていればいい。それでお前の気が済むのなら」
神栖は聖の身体を引き寄せ抱きしめる。
「お前が欲しい」
耳の横で囁かれた言葉に、聖は双眸を見開いた。そして、思考も身体の自由も停止する。
凍ったように動かない聖を抱きしめる腕に神栖は力を込めた。
神栖さんは何て言ったんだ。
止まってしまった思考の向こうで聖の心が問う。
俺が欲しい?それは俺の望み……。同じ地上で、同じ目線で共に…ずっと……。
でも、ずっとそばにいていいの。もう俺をあなたに繋ぎ止めておくものはないのに。
理論の鎧が機能を止めてしまったために、聖の心が自分の想いを主張する。その声が聖にもようやく届く。
失いたくない。このまま、そばであなたを見ていたい。
だめだ。いまなら引き返せる。後でこの人を失ったら俺は俺でいられない。
心が正反対の想いを口にし、ばらばらに引き裂かれそうだ。
他人との関係は距離を置き、踏み込まず、踏み込ませず、そうすれば、傷つかない。今までそうしてきた。これからもそうしていくべきだ。
だが、この手を放せるのか?
出会った瞬間に境界線には目もくれずに踏み込み,棲みついてしまった人。憧れが血肉を持って熱を感じてしまった。
神栖の腕の熱さが服越しに伝わり、彼の怒りが熱を持ってじりじりと聖を焦がしているような気がした。誰にも踏み入れさせずに傷つかずに心の真ん中で膝を抱えて、拒絶と言う名の固い殻で自身を覆って、感情からも心からも目も耳もふさいできたのに、その殻すら、神栖から伝わる熱で温度を上げる。灼熱の炎が殻を焼き、硬化していく。
「聖。お前を抱きたい」
かしゃん。氷が割れるような高く涼やかな音がした。心の奥底で、その音が何度もこだまする。
自分を守ってきた心の鎧……聖が閉じこもっていた心の殻に罅が入り、ばらばらに砕け散る。
聖は両目を閉じた。きつく固く目を閉じる。
何かが変わるのだろうか。このまま流されてしまったら。
思った瞬間、抱きしめられたまま、唇を神栖の唇で塞がれた。深く捉えられ、舌が挿ってくる。口腔内を舐め、逃げた聖の舌を絡め取り、口蓋も舌の裏までも舌先で舐られて、深く深く口づけられる。
永の時が経ったかと想うような甘く濃厚なキス、吐息も全て捉えられ、胸が苦しい。
「……っはぁはぁ……」
唇が離れても視界がかすんでいる。息が上がり、鼓動が速い。
神栖は聖を抱きしめたまま立ち上がった。聖もそのまま立ち上がらせられる。そのまま聖を抱えあげ、神栖はすぐわきの扉を開き、奥の部屋に入ると聖を抱きしめたままベッドに倒れこむ。
聖の額に手を滑らせ、再度、唇を重ねる。ゆっくり味わうような優しい巧みな口付けに、聖の思考は機能を止めたままだ。視界が霞み、甘い声が上がる。
「……っん……」
あっという間にシャツのボタンを外され、前をはだけると神栖の大きな手が肌を滑る。
「……あぁっ……」
身体をざわざわと得体のしれない感覚が駆け抜ける。そのまま唇は耳まで移動し、耳たぶを甘噛された。
「あっ……っん」
甘い声が上がるのに自分で驚く。この感覚には馴染みがない。不快ではないが、落ち着かない。鼓動が高鳴り身体が熱い。
神栖の手が聖の胸の突起に触れると、ビクリと腰が浮いた。爪の先で、痛いくらいに押し込んで、それから指の腹でこねる。痛みと感じたことのない官能で聖は腰をよじった。
「いや……やっ……」
神栖は聖の拒絶の言葉など聞こえないかのように、きめの細かい肌触りを確かめながら、手を滑らしていく。腰や背を掌が滑ると聖の腰が浮き、甘い吐息が上がる。薄い肌の下は、きちんと筋肉がついていて、それが華奢な身体をさらに引きたてた。
「綺麗だ」
神栖は唇を胸にあてる。指で散々弄られた胸の突起は赤く色付いて、膨らんでいる。濡れた感触にそれを含まれると、身体の奥が熱をもって、聖の腰が揺れた。
「やぁっ……っん…」
胸の突起を舐め上げると聖の口から甘い声が漏れたが、すぐに噛み殺す。こんなことに甘い声を吐息をつくのはおかしい。
「声を殺すな。感じているんだろう」
神栖がまっすぐに聖の瞳を見つめて告げるのに、聖は首を左右に振る。
拒絶が気に入らなかったのか、神栖は聖の左の胸の突起を舌の先でぺろりと舐め、右を指先で転がした。
「んっ…や…」
腰が浮き、身体の奥からひっきりなしにざわついたどうにもならない感覚が上がってくる。それでも、聖は指を噛んで声を殺した。恥ずかしいのか、悔しいのか、聖にもわからない。ただ、神栖に組み敷かれて、胸を舐められただけで、声を上げる自分はおかしいとだけ思う。
「強情だな」
神栖は囁くと胸の突起を舌先で弄んだまま、右手で聖のベルトをはずし前を寛げる。
そのまま股間に手を滑らせ聖を握りこむ。聖は両目を見開いた。
こんなのは知らない。こんなのは嫌だ。
「あっ、ああぁっ。いや。嫌だ」
手足をめちゃくちゃに動かし、身体を反転させて逃げようとする聖を後ろから抱きしめ、神栖は聖を押さえつけた。
「神栖さん、離して、いやだ。こんなのおかしい」
「離さない。観念しろ」
右手で聖を扱き、左手で胸を抱き込む。
「あぁっ……や……っん……ああぁっ」
後ろから抱きかかえられ、敏感なところを根元から扱きあげられて、聖は身悶え、腰を揺らす。穿いていたものを膝上までおろされ、膝立ちで立った後ろから割って入った足で、足を開かされる。秋の夜の冷たい空気に肌がさらされ、ひどい恰好をしていると聖は頭の隅で思う。
「俺に全部委ねてしまえ。受け止めるから、お前を全部」
「だめ……いやっ……だっ……はなせっ……はぁっ……」
聖自身は拒絶とは反対にどんどん勃っていく。その感触を楽しみながら神栖は聖を追いつめる。膝が閉じないように神栖の膝に座らされ、聖は翻弄される。緩急のついた神栖の手の動きは、自分でするより感じておかしくなりそうだ。抱きかかえられた背中から神栖の熱い体温が伝わってきて、身体に熱がこもっていく。
「……だめ……や……あっあぁぁっ」
あっという間に登りつめさせられ、聖は背筋をのけぞらせ果てた。腿に白濁が散り、聖自身をも大量の精液が伝った。
「聖」
名前を呼ばれて後ろから強く抱きしめられる。全力で走ったあとのように息が上がり、心臓の鼓動が速くて苦しい。前のめりに身体を傾けると神栖がそうっと聖をうつぶせに寝かせた。
上がった息を整えていると膝に引っ掛かっていた服をすべてはぎ取られた。背中にのしかかられて、背骨に沿って神栖の唇が移動する。肩甲骨、腰と好き勝手に触れられているが、抵抗する気力はもはやなかった。それに、不快感もない。優しい愛撫に肌が熱を上げる。
神栖の唇が背筋や腰に触れると背筋をざわざわする感じが駆け抜け、そのたびに身体に熱が蓄積されていく。
この熱さはなんだろう
と、急に下半身の双丘に粘度のあるとろりとした液体が、注がれて聖は、頭を上げた。
「神栖さん?」
疑問の声は唇で塞がれる。目を開くと神栖の瞳とぶつかった。ふわりと笑われて、こんなときなのにカッコイイと思ってしまう。
神栖が身体を起こすのを追おうとして止められる。神栖は両の手で液体を広げ、そのついでに聖の膝を曲げる。
足を伸ばそうとするが、それも止められ、聖は困惑する。
「神栖さん……」
香りのするローションを塗り広げられ、双丘の谷間に手が滑りこんだ。
「ああっ、やだ!」
聖が叫んで身体を引くのをのしかかって抑えられる。自分の指にローションをたっぷり含ませ、神栖は聖の蕾に触れる。何度もその上を指が行き来し、ふっくらと立ち上がるまで、丹念に濡らされた。
嫌がって叫んで、逃げようとするが、許されず、腰をがっちりと抑え込まれる。神栖の指が蕾を何度か押し、そのたびに聖は息をつめた。
「やっ……」
変な感覚が蕾から周りに広がって、内腿がひくりと痙攣する。それを感じ取ったのか、神栖の指が蕾をかき分け、中へと侵入する。
「あぁぁ…っああぁ…っあ…」
かなり狭い中をゆっくり奥まで指を滑らされ、そしてまたゆっくりと抜かれた。今まで誰も触ったことのないところを触られ、変な感覚に下腹に力を込めると中に入った神栖の指を締め付けた。
「くっ……くるすさん……やめっ」
「わかるか。俺の指にお前の中が絡みついてくる」
かすれた神栖の言葉に聖は首を左右に振った。
そんなはずはない。異物を押し出そうとしているだけだと口にしたいのに、口を出るのは甘い吐息だけだ。
「はぁっ……やっ……」
最後まで抜かずに神栖はまた奥まで指を入れる。聖の抗議には耳を貸さずにこれを繰り返され、聖はたまらずにシーツを固く手でつかんだ。
「熱いな。どうされたい?言えよ」
「やめっ……」
拒絶は鼻で笑われた。
「ここはそうは言ってないけどな」
言いながら、神栖はひねるように指を奥へと滑らせる。壁を指の腹が撫で上げて、聖はさらにきつくシーツを握る。
「……んっ……はぁっ……」
いままで経験したことのない感覚が聖を翻弄する。内臓を擦られる感覚に腰が逃げる。逃げる腰を押さえられ、何度も何度も指を抜きさしされ、変な感覚はだんだん熱を帯び、指の動きに腰が動く。指の数を増やされ、抜き差しは繰り返される。気持ちがいいのか悪いのかわからない感覚が背筋を掛け上がった。
「聖、力抜いて」
「……むり……や……め……」
「むりじゃない。何も考えないで、俺だけ感じろ。」
開いている手を聖の股間に伸ばし、聖を掴むと握りこむ。別の刺激に聖の腰が震える。
達したはずの聖自身は、また固く張りつめて、先から透明な液を溢れさせていた。
「気持ちいいんだろう。こんなに濡れてる……」
「……っはあぁ……んっ……」
強すぎる刺激でおかしくなりそうだ。耳を嬲る神栖の吐息混じりの言葉が、聖を煽る。それに合わせるように、指を増やされ中をかきまわされた。
甘い悲鳴が吐息に乗り夜気を震わせる。思考は形をなさなくなり頭の中に霞みがかかる。わかるのは神栖の手の感触と体内を蠢く感じたことのない快感。
「聖」
名前を呼ばれて、指を引き抜かれた。壁をめくり上げる感触に聖は嬌声をあげる。埋まっていたものが抜けると物足りなくて、聖は腰を捩った。
「神栖……さん……?」
顔だけ後ろを向こうとすると双丘を両手で割られ、散々嬲られた蕾を指で広げられた。
「……聖」
息で告げられた名前とともに、指で広げられた入り口から指ではないもっと大きなものが侵入してくるのに聖は悲鳴を上げた。
「あああぁぁっ……やぁっ」
狭い中を分け入って入ってくる異物に身が竦む。腰を前に逃がそうとし、聖は身体をこわばらせた。
「っ痛……力いれるな。ゆっくり息を吐くんだ。そう、大丈夫だから」
こんなにつらいのに何が大丈夫なのかわからない。上体を倒した神栖の胸が聖の背にひたりと接し、その熱さと肌の感触に聖は息をゆっくりと吐いた。それに合わせるように、差し入れられた熱く固い肉棒が、聖の内壁をかき分け奥へと進んでいく。何度も息を吐いた入り吸ったりして、神栖の言うとおり、できるだけ締め付けないようにした。身体の奥の方まで異物は侵入し動きを止める。伸びてきた腕で後ろから抱きかかえるように抱きしめられた。
「熱いな」
情欲にかすれた声でささやく神栖の声に、聖は自分の体内で鼓動に合わせて脈動する神栖を感じる。
熱い……
神栖の熱が伝わってくる。中から外から神栖を感じて、聖は頭の中が白くかすんでいく。
「神栖さん」
呟いたと思った声は、音になっていたかどうか。だが、神栖には伝わったらしい。
一度動きを止めた異物がゆっくりと動き出した。少し引き抜かれ、再度、差し入れる。それを繰り返されて、痛みの向こうから内壁を擦られる言葉にできない感覚が襲ってくる。快楽なのか苦痛なのかも区別がつかない。身体の中壁をえぐられ、突かれ、揺さぶられて、さらに、握られた自身を神栖の手で扱かれて、中からも外からも激しい刺激を受け背筋を駆け上がる甘い疼きに聖は喘いだ。
「っあ……っはぁ……ぁぁ。……っんん……ああっ……」
すでに発する言葉は意味をなさず、声だけが聖の喉をつく。背中越しに神栖の荒い息遣いを感じる。
打ち寄せる激しい快楽の波が聖を攫い、さらに追いつめる。もう何をしているのか何をされているのか分からず、ただただ、頭の中を白い光がスパークする。
何度も何度も背筋を走り抜けるざわめきは、今まで知らなかった快楽を聖に知らしめ、あまりに気持ちがよくて、揺さぶられる身体はさらに追い詰められた。
頭の中を飛びまわる白い光が何度もフラッシュし、せりあがってくる射精感に聖は
「ああああ……」
長く尾を引く悲鳴を上げた。下腹が痙攣し、腹に熱い飛沫が飛ぶのを感じる。
「まだだ」
さらに後ろを穿たれる速度が上がり、達したあとの敏感になった肌が、内壁がざわめいて、神栖を締め付けた。
身体を揺さぶられ、聖は声を上げる。あまりに強すぎる快楽に身も心も翻弄されて、聖は感じるままに、甘い啼き声が夜気を震わせる。
「はぁっ……ああっ……やぁっ」
身体がばらばらになってしまいそうだ。熱くて硬い神栖の肉棒が聖の内壁をこすりあげ、えぐる。
「もう……はぁぁっ……ああっ……」
声は意味をなさず、聖は自分が何をしているかもわからない。入口付近まで引き抜かれた神栖自身を聖の内壁が無意識に引き留め、神栖は奥の奥まで、自身を突き入れた。
聖の背がのけぞって、高い悲鳴のような嬌声が上がる。
「くっ……」
微かに神栖がうめき、聖は自分の中の最奥がじんわりと熱を持って広がっていく感覚に聖は長く息を吐く。
それが聖の認識した最後の記憶だった。
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