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この宇宙(そら)の果てまでも

作戦決行

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いつもは市場が立つ広場をタキはぐるりと見渡した。
この空間に普段であれば、満ちていた喧騒も色とりどりの屋台も今はない。人っ子一人いない閑散とした空間に、準備がすべて整ったことを悟って、タキは小さく笑った。
こうやってみるとただの洞窟だ。地下の街だなんて信じられないくらいだ。
暢気な感想を持ちつつ、タキは予定通りの場所に立つ。
不燃性の衣類で身体を覆っているものの、今日のタキは丸腰だ。燃えるものはできるだけ持たない方がいいから、邪魔にならないよう、髪も後ろで結わき、前髪も後ろに流した。
戦闘の緊張感はない。多少暴れても、人的被害を出さないからかなり気が楽だ。
シロタが協力すると言った夜からさらに三日後。
基地にいた二千人の人々は普段生活している基地の更に下、空気穴が別の経路になっている場所へと移動し、避難を完了していた。
怪しまれないように外から見える七か所の入り口にあるものはほとんど動かさなかった。ただ、飛行機やヘリ、戦車の燃料を爆発しないように抜いた。
トラン率いる部隊は残ると言い張ったが、タキが邪魔だと一蹴し、全員追い払った。
「一人で本当に大丈夫か?」
最後にトランと交わした会話をタキは思い出す。
「ああ。っていうか、一人じゃないと困る。決行は被弾してから三十分後だ。いいかできるだけ、この階からは離れろ。ここより上層の空気の温度を上げるからな」
タキが念を押すとトランは心配気にタキを見た。
「お前は?」
「俺がやるんだから、自分が巻き添え食うわけないだろうが」
この期におよんでもタキをバケモノ扱いしないばかりか、心配までするトランにタキは苦笑を返す。レジスタンスなんてやっているくせに、この男は妙に人を信じている。
「いいか、三十分だからな。全てが終わって、あいつらがここを引きあげてもしばらくはこの基地へ戻るな」
あいつらは戦果を見るためにここへ偵察に来るだろう。それに鉢合わせたら、なんのための避難かわからない。
「わかっている。ただ、あいつらにここを渡すわけにはいかない。その時は……」
トランはそう言って言葉を切った。それをタキに言っても仕方が無いと思ったのだろう。だいたい、その時には、タキはもうここにはいない。
「じゃあな。もう行け」
聞かなかったことにして、タキは会話を切りあげた。
「タキ。無事を祈る」
手を差し出して、まっすぐにタキをみつめ、トランは言う。タキは何度か瞬いた。ひどく困惑した顔をし、苦笑を浮かべて、トランの手を握り返す。
「そっちもな」
頷くとトランは手を離し、踵を返した。
まったく、かわった男だったとタキは思い出して、口の端を上げた。しかし、悪くない。
遠くから地上爆撃機のエンジン音が岩山を震わせるのをタキの耳は捉えた。しんと静まり返った岩が微かに震える。常人では聞こえないだろう音と熱量をタキは感知する。
バイザーのスイッチを入れる。ベッドに腰を下ろしたカノンが見えた。今朝はベッドに座って、微かに身体を揺らしている。夢見るような表情で天井を見つめる瞳もゆらゆらと揺れる。うっすらと開いた口元が何かを口ずさんでいた。
「カノン。もう少しだ」
顔を歪めてタキは呟く。
「絶対、助けるからな」
自分に言い聞かせるように言うとタキは作戦遂行のため、バイザーのスイッチを切り替えた。
バイザーに熱源の移動が見え、カウントダウンが表示される。
六十から始まった数字がどんどん小さい数へと変わっていくのをタキはじりじりした気持ちで待った。
「五、四、三、二、一」
最後の五秒を口の中でカウントするとすさまじい衝撃を感じ、爆音が洞窟内にこだました。
がらがらと岩が崩れる音がする。
タキは衝撃が去るのをまって、バイザーのタイマーを三十分に合わせた。くるくると秒数が刻まれていく。
その横に表示されたこの基地の地図では、爆破された箇所が赤く点滅している。火は出ていないが、損傷が激しかったのだろう。
爆破箇所ではいくつもの熱源が右往左往している。この基地の地図をリトランにタキは送っていた。前に貰っていた3Dの地図は古いと説明し、最新のものを熱源の探索も可能なように細工して送信した。ただし、この熱源はダミープログラムだ。地図の存在する最上層にはいまやタキしか人間はいない。だが、地図には二千人の熱源が点滅していた。
タキは動かない。三十分が経つのを待っていた。
二十五分が経過した。その時点でタキは口端を笑みの形につり上げた。
「やっぱり信用されていないわけだ」
爆破された入り口のうちの二か所で熱源がいきなり増えた。どれだけの被害が出たか見てこいと言われたか、もしくはタキがしくじると思っているのかもしれない。
「予想の範囲だけどな」
基地に侵入した人数を確認し、タキは笑う。こんなことも予想して、入り口には装備をさせた訓練用の人形を配置してある。爆破直後だから、死体に見えるだろう。
だが、あいつら死ぬ気だろうか。ここの温度を上げるという作戦をきいていないのだろうか。それとも、耐火服を着てきやがったか。
バイザーの時計が一分を切った。
タキは両方の足を軽く開いた。身体の中心に力をためはじめる。空気中の水分子に熱を与え、振動エネルギーをあげていく、空気の温度が一気に上昇をはじめた。
ふわりとタキの長い黒髪が宙に浮く。身体の回りに淡い光が躍った。
「さてと時間だ」
一気にタキは貯めていたエネルギーを放出する。タキから放射状に力が通路を走った。空気の温度が変わっていく。水蒸気が立ちこめ、さらに熱をあげていく。
誰もいない洞窟では変化は見られない。ただ、バイザーに表示された気温の数字が変化していく。
摂氏30度、34度、45度……。
入り口から中へ侵入する熱源の数は変わらない。奥へ奥へと点が進んでいく。
ちっ。きちんと耐熱装備させてきたってところか。
バイザーのスイッチを通信に切り替えるため腕を上げたタキは後ろに飛び退った。
「よく気づいたな」
タキがもといた地面がごっそり抉れている。視線を上げた。
「お前は……」
「久しぶりだな、タキ」
目の前に立つキースにタキは嫌そうな表情(かお)を向けた。
「なんでここにいる?」
キースの冷静な問いにタキはさらに眉間にしわを寄せた。
「それはこっちのセリフだ」
「わかっていると思うがな」
キースの言葉に、タキは溜息をついた。
定期連絡か。
確かに、ずっと連絡を入れていない。それどころじゃなかった。
めんどくせえなと思う。だが、こんなところで足止め食う暇はない。
「説明したいが、長くかかる。今は時間が惜しい」
「そんな言い訳が通用すると思っているのか?」
「思ってねえけど、事実だ。この星のテロリスト連中にカノンを拉致られた。ああ、俺もか」
構えもとらずに無造作に立ち、きちんと説明しないタキに相手は苛立ちを隠さない。
「相変わらずだな、タキ」
「怒るなよ、キース。連合軍ごと嵌められてんだ。はじめは、お偉いさんの救出だった。テロリストに攫われた政府関係者を助けろっていうのが命令だ」
明らかに面倒くさそうにタキははらりと落ちてきた前髪をかきあげた。せっかく固めたのに、一気に崩れる。
殺気を感じた。
タキの姿が揺らぎ、ふっとかき消える。タキのいた場所を炎が走った。
「タキっ!」
「おいおい。説明きくんじゃなかったのか」
キースの左手側、数メートルの地点にタキが立っていた。殺気を察知して、空間を跳んだのだ。
タキは、呆れた表情をしたが、内心の苛立ちは隠せない。怒りの波動が身体を取り巻いている。
「カクラ、やめろ」
炎が上がった後ろにカクラの姿が見えた。タキを射殺しそうな目で睨んでいる。
「まったく勝手に飛びこまないでよね、カクラ」
カクラの後ろに唐突に現れた猫目の男がこの場にそぐわないのんびりとした口調で言った。
「なるほど、揃いも揃ってってところか」
先ほどと同じ体勢だが、明らかに警戒の度合いを強めたタキが三人へと視線を走らせる。
「アルもカクラも手を出すな」
キースがタキから目を離さずに告げる。タキもキースを睨み付けたまま視線を固定させた。
カクラが舌打ちしたのが聞こえた。
「で、続きは、タキ?」
説明を促されたが、くっちゃべっている暇はない。だいたい、怒らせたのは、相手が先だ。応じてやることもあるまいとタキは肩を竦めた。
「もう、めんどくせえ。全部済んだら、カノンに訊いてくれ」
バイザーの表示にはテロリストが送りこんだ軍の連中が基地内を奥へと辿っている光点が見える。あまり奥に入られると人間が一人もいないのがバレる。
「カノンはどこだ?」
「だから、テロリストに捕まっているって言ってんだろう」
バイザーの光点は固まりながら奥へと移動していく。タキは嫌な汗が脇を流れるのを感じた。
まだ、あいつらに疑われるわけにはいかない。
タキは天井を見る。
「どこへいくつもりだ」
さすがに能力者だ。タキの仕草でタキが逃げようとするのを察知したらしい。
「もちろん、カノンを助けに」
にやりと笑ったタキの足もとが不意に爆発した。タキは後ろに飛んで避け、舌打ちをする。
「逃がすか。お前は俺たちと一緒にいろ」
「やだね」
タキは腰を落した。どうしたって、今はこいつらと一緒に行くわけにはいかない。それがあとでどう不利に働いても。
「アル、カクラ。タキの身柄確保」
戦闘態勢に入ったタキにたいして、キースが命令を飛ばす。
「殺すなよ。つかまえろ」
その声が合図になったように通路を爆風が駆け抜けた。
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