スポンサー広告

スポンサーサイト

 ←作戦決行 →脱出のもくろみ(2)
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。


にほんブログ村 小説ブログ BL小説へ

もくじ  3kaku_s_L.png 未分類
もくじ  3kaku_s_L.png はじめに
もくじ  3kaku_s_L.png リンク集
もくじ  3kaku_s_L.png Novel lists
もくじ  3kaku_s_L.png 奇跡の刻
もくじ  3kaku_s_L.png 平行線の恋
もくじ  3kaku_s_L.png 煉獄の恋
総もくじ  3kaku_s_L.png 天空国の守護者
総もくじ  3kaku_s_L.png 巡る季節と恋の順番
もくじ  3kaku_s_L.png 雑記
総もくじ  3kaku_s_L.png 山神の花嫁_昔話
もくじ  3kaku_s_L.png 告白の向こうへ
もくじ  3kaku_s_L.png 空の月を恋う
総もくじ  3kaku_s_L.png おまけ番外編ショート
もくじ  3kaku_s_L.png 遠回りの片恋
もくじ  3kaku_s_L.png 腕の中の迷い猫
総もくじ  3kaku_s_L.png 蒼い闇の化身
  • 【作戦決行】へ
  • 【脱出のもくろみ(2)】へ
  • TB(-)|
  • CO(-) 
  • Edit

この宇宙(そら)の果てまでも

脱走のもくろみ(1)

 ←作戦決行 →脱出のもくろみ(2)
カノンはゆっくり瞳をあけた。目に映るのは白一色の部屋。
ゆっくりと首を巡らせると、ベッドとその周りに幾多の機械が並んでいる。
目覚める前にみた風景と何も変わらない。
囚われの身になって、いったいどれだけが経過したのか。
ふと首に手をやって、ESPリングがないことに気付く。
内に閉じこもっていたのが功を奏したのだろう。だれにもわからないようにカノンはふと微笑んだ。
それでも、身体は鉛のように重い。両手首につけられた枷が力を抑えつけ、身体がそれに反発しているからだ。
カノンは瞳を閉じて感覚を外に広げる。部屋の外、更にその周りへ。
「だめか」
微かな声で呟いた。
部屋から外は何も視えない。シールドのせいもあるだろうが、部屋にもシールドが張り巡らされているらしい。
状況は最悪と言っていい。
たぶん、タキも捕まっているだろう。自分を人質にされている可能性は大だ。
そして、テロリスト達がタキを捕まえたなら、させることは一つ。彼の力を当てにした破壊だ。
逃げなければとカノンは思う。
自分さえ、彼らの支配下から逃れれば、タキは自由に動ける。
どうせあの男のことだから、カノンを捨てて一人で逃げるなんて考えてもいないのだろう。
いい加減なくせして、仲間意識だけは強い。
昔からそうだ。タキはカノンを見捨てない。カノンがタキを見捨てないように。
われ知らずカノンの口元にうっすら微笑みが上った。
彼に連合軍反逆の罪を負わせてはならない。
カノンは思考を巡らす。首のシールドがないおかげで、力が今なら少しは使える。タキと連絡を取るのは難しいだろうが、コンピューターの目をちょっとばっかり欺くぐらいはできるかもしれない。
ベッドから降りようと身じろぐとドアがシュッと音を立てて開いた。
ぎくりとカノンは身体をこわばらせた。
「おや、お目覚めのようだ」
カノンは表情を消す。目の前に立つ男には見覚えがあった。自分を捕らえて、ここへ連れてきた挙句、辱しめた男だ。
「そんなに警戒しなくても何もしませんよ」
男はにやりと笑う。カノンの背を冷たいものが流れた。表情も感情も表には出していないのに。
「何も訊かないんですね」
眼鏡を指で押し上げて、一言も発しないカノンを見つめながら、男はベッドに近づいてくる。
カノンはどうするか逡巡する。この男に脱出の手伝いをさせたらどうだろう。
自分に興味がありそうだったから、誘えば乗るに違いない。
だが、なにか違和感があった。ここは黙って相手の出方を見た方がいいような気がする。
ベッドの横に立った男は腰をかがめて、手をカノンの顔に伸ばす。
どうする……?
頭の中でさまざまな思惑が現れては消えた。
一瞬がひどく長く感じた。
――シュン
再度、扉がスライドして開く音がして、こつこつと靴音が鳴った。
「リトラン、抜け駆けはいけないな」
ベッドの側に立っていた男は嫌な顔をして、身体を起こした。
「ルカト……」
同じ顔した男が二人対峙している。カノンは二人を見比べ、違和感の正体に合点がいった。後から現れたほうが、自分を捕まえた男だ。
双子なのか……。
対峙してしまった二人の様子をカノンは黙って見守る。
「私はカノンさんの容体を見に来ただけです。あなたこそ何をしに?許可を出した覚えはありませんが」
リトランは眼鏡を指で持ち上げて、姿勢を正す。ひどく神経質そうだ。
「許可ね」
くっくっと喉を震わせて笑いながら、ルカトはリトランに近づいた。
「意識レベルが戻ったと測定装置が告げたんでね、見に来た。カノンの健康管理は私の仕事だと思ったが……」
すっと手を伸ばして、ルカトはリトランの顎を掴んだ。全く同じ顔が並ぶ。
「違うのか?」
吐息が届く距離で、ルカトが笑った。ぞっとするような笑みで。
「手を離しなさい」
嫌な顔をしたままリトランはルカトを睨みつけている。
「ふふふ。相変わらず、お前は言うことと思うことが違うな」
ルカトは舌でリトランの頬を舐めた。長く見えた舌が、まるで爬虫類の様だとカノンは思った。
「やめろっ!」
腕をふるって、リトランはルカトから逃れた。ぐっと腕で頬を拭う。
「何をする」
射殺しそうな瞳で睨みつけるリトランを眺めて、ルカトはくすくすと笑う。
「可愛い、リトラン。そんなに私がカノンに触れるのが嫌?」
「違うっ」
叫ぶリトランの脇をすっと通って、ルカトはカノンのベッドに腰掛けた。
カノンは現状が呑み込めずに言葉なく、二人を交互に見つめた。
「カノン」
うっとりと呟いて、ルカトがカノンに手を伸ばす。カノンは避けなかった。その代わりに心にシールドを張る。今は、両腕に嵌められたESPシールドもありがたい。普段なら、この時点で相手の心が視えている。
顎を掬われ、ルカトの方を向かされた。
「綺麗だ」
蒼い瞳をうっとりと眺めて、ルカトが唇を寄せる。頬に唇が触れてもカノンはじっとしていた。心のガードだけ強化する。相手の思考が流れ込んで来なければ、こんなことはどうってことはない。蚊に刺されたのと同程度だ。
「ルカト。カノンに触れないでください」
「なに?リトラン。妬いているの?」
視線だけそちらに流して、ルカトは訊いた。
「バカなことを言っていないで、その手を離しなさい」
横合いから腕を伸ばし、リトランはルカトの腕を掴んだ。
「リトラン」
ルカトの声のトーンが少し下がった。リトランがぎくりと身体を固くする。
「この手を離してもいい。だけど、その分、君が埋め合わせをしてくれるの」
リトランの瞳に怯えの光が走るのをカノンは見逃さなかった。この二人、どう見ても兄弟だが、そういう関係なのか。
「それとも、あの活きのいい方をくれるかい?」
ルカトの瞳が残虐な光を帯びる。
ぎくりとカノンの背中が揺れた。
タキ……。
「あの塑像のような身体が血に染まるのはさぞかし綺麗だろう」
「あの男はすでに任務に入っています。ここにはいません」
平坦な声で答えたリトランをカノンは見た。完全に隠しているつもりだろうが、よっぽどなのか、声には嫌悪が滲んでいる。
この状況も気になるが、カノンの耳を捕えたのは、『任務』と言う言葉。
遅かったのか……。
焦燥が身体を焼く。もしも、タキが自分を助けるために、民間施設を破壊するようなことがあったらと思うといても経ってもいられない。
だが、それを見せたら負けだ。いいように利用されて、タキを助けるどころか足枷にしかならない。
これ以上、重荷にはなりたくない。
カノンは、手のひらをぎゅっと握りこむ。
落ちていた沈黙はほんのわずかな間だっただろう。ルカトは面白そうにリトランを眺め、リトランは、感情を出さないように無表情を貫いている。
「なら……」
ルカトの艶めいた声にリトランは、唐突に二人に背を向けた。握りしめた拳が震えている。
「ここは監視されてます。それを忘れないでくださいね、ルカト」
足音も高く、リトランは部屋から出て行った。その背をルカトの笑い声が追いかけた。
リトランが出て行き、扉が閉まってもルカトは笑っていた。
この二人が首謀者で間違いない。この二人の間には何があるんだろう。それを使えないかとカノンはめまぐるしく、頭を働かせる。
やっと笑いの発作が治まったらしいルカトはそれでもなお、口元に笑みを張りつけている。
どうするか。と必死に考えていたカノンへとルカトが身体の向きを変え、カノンはどきっと心音を跳ねあげた。
この男はやっぱりヤバい。
「残念だったね。君の相棒はもうここにはいないみたいだよ」
にっこりと笑われる。いたぶるおもちゃを見つけた子供の様な目にカノンの背筋が寒くなった。
「リトランも自分の身が大事みたいで、いなくなっちゃったし。カノンが遊んでくれるんだろう」
さらに口を横にひいて、笑みを深めたルカトの言葉に、横に首を振りたいのをカノンは無表情でやり過ごす。
この男を手玉に取るのは無理かもしれない。
「何も訊かないんだね」
手を伸ばして、ルカトはカノンの頬を指の背で撫でた。
関連記事


にほんブログ村 小説ブログ BL小説へ

もくじ  3kaku_s_L.png 未分類
もくじ  3kaku_s_L.png はじめに
もくじ  3kaku_s_L.png リンク集
もくじ  3kaku_s_L.png Novel lists
もくじ  3kaku_s_L.png 奇跡の刻
もくじ  3kaku_s_L.png 平行線の恋
もくじ  3kaku_s_L.png 煉獄の恋
総もくじ  3kaku_s_L.png 天空国の守護者
総もくじ  3kaku_s_L.png 巡る季節と恋の順番
もくじ  3kaku_s_L.png 雑記
総もくじ  3kaku_s_L.png 山神の花嫁_昔話
もくじ  3kaku_s_L.png 告白の向こうへ
もくじ  3kaku_s_L.png 空の月を恋う
総もくじ  3kaku_s_L.png おまけ番外編ショート
もくじ  3kaku_s_L.png 遠回りの片恋
もくじ  3kaku_s_L.png 腕の中の迷い猫
総もくじ  3kaku_s_L.png 蒼い闇の化身
  • 【作戦決行】へ
  • 【脱出のもくろみ(2)】へ

~ Comment ~

管理者のみ表示。 | 非公開コメン卜投稿可能です。

~ Trackback ~

卜ラックバックURL


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

  • 【作戦決行】へ
  • 【脱出のもくろみ(2)】へ
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。