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この宇宙(そら)の果てまでも

最終決戦(1)

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ぐっと腕を上にあげて身体を伸ばしてから、タキはぐっと起き上がった。この部屋に繋がれてからどれだけ経っただろう。タキが使えるうちは、害する気はないらしいが、待遇を改善するつもりもないらしく、硬い床で寝ている身体はぎしぎしと音をたてる。
じゃらりと足首についた鎖が神経を逆なでた。
「いつまでここにつないでおく気だ」
一人ごちるとトレイを掲げた男が入ってきた。トレイに乗っているのは、果物と野菜サラダだ。
食事に手をつけないタキに呆れたのか、それともベジタリアンだと思われたのか、ここのところトレイに乗ってくるのはいつも同じだ。だが、実際のところ果物と野菜だけは薬が入っていなかった。だから、それだけ口にしていたのだが、身体を維持するにはやはり無理がある。
するりと撫でた頬は以前よりシャープになっていた。
だが、さすがに傷つけると任務に支障が出ると思ったのか、あれからルカトがタキをいたぶることもなかった。
次にここを出たときが勝負だとタキは思う。
とにかく、この鎖を解かれて力が放出できなければ、自分もただ人とかわらない。暴れてもよかったが、カノンに何かされるかとおもうとそれはできなかった。
タキは目を上にあげる。
頭上に取り付けられたモニターに映るカノンは目を覚ます気配がない。こんこんと眠り続けるカノンを見つめてタキは顔を歪めた。
ああやって力を封じられて、その負担のために意識を手放してからかなりの時間が経っている。
あまりの力の負担はカノンの精神を蝕んでしまう。急がなければとタキはぐっと拳を握った。今はできることをできるだけすることだ。
目の前のトレイの上の果物に手を伸ばし、がりっと歯でかんだ。果汁が周りにとんでさわやかな香りが広がった。
「カノン」
囁く声に答えは返らない。
「絶対に助けてやるからな」
口の中で呟いて、タキは眠るモニターの中のカノンを睨み付けた。

外が騒がしいと思ったのは昼食をとって昼寝していた時だ。
やたらと扉の向こうを人が走りまわる音がする。タキは硬い床に寝ころんだまま、床の振動を感じていた。
音には銃がベルトに当たる音もするから、武装した警備兵かなにかだろうが、慌ただしい気配に何かあったなと思う。
繋がれている鎖を引っ張って軽く力を込めるが、同じだけの力で返されて、ESPシールドは解除されていないことを認識する。
キースか。それとも仲間割れか。
キースなら、タキの居場所に現れるだろうし、仲間割れなら、あの胸糞悪い変態野郎がタキを駆り出しに来るだろう。
どちらにせよ、基地内が混乱すれば、それに乗じて逃げられる。
力さえ出せて、戦えれば、いつだって勝機はタキにある。
「だてに能力者の間ですら化け物と呼ばれているわけじゃねえんだ」
自虐気味の言葉を吐きだして、タキは何が起こっても対応できる姿勢に身体を起こす。
さあて、どうするか。
その間にも外のあわただしさは増していく。かすかに床が振動した。
「爆発……?」
ふと顔を上げると、カノンが眠っているはず部屋のモニターがざざっとぶれている。一瞬暗くなり、次に点灯した時には、画像は一変していた。
「カノン?!」
呟いて画面を凝視する。先ほどまでベッドに横たわり、眠っていたカノンが見えない。
立ち上がろうとするとじゃらりと鎖が音を立て、タキの身体を壁に引き寄せた。舌打ちして座り込むが、タキの目はモニターから離れない。
どう見ても部屋は空っぽで、その上、ベッドはきれいに整えられていて、今、連れ出されたようにも思えない。
「どういうことだ」
理由をさまざまにシミュレーションし、そのどれもが同じ回答を叩きだして、タキは唸り声を上げる。
怒りが体内を荒れ狂い、その怒りが引き出した力が下腹の辺りから全身に回り始める。
カノンはいない。
……殺した。
あいつらがカノンを殺した。
多分、このESPシールドに耐えられなかったのだ。精神が内に籠って、衰弱したに違いない。
それをあいつらはタキに隠し、あまつさえ、カノンがまだ生きて眠っているように見せかけた。同じ映像をエンドレスで流すことで。
「カノン」
唸るように名を呼び、タキは鎖を手に握ったまま立ち上がる。強い力で身体を戻されるが、怒りに我を忘れたタキは力の限りその鎖を引き続ける。上腕筋が膨れ上がり、筋がうき、繋がれた手足の皮膚が切れるのも構わずに力を込める。
そのまま、一気に外へと力を放出した。焔や水力に変換せずに、純粋に持てる力をすべて放つ。ESPシールドがその力を跳ね返すが、タキはますます猛り狂い力を外へ外へと出し続けた。
辺りが閃光に包まれ、身体のあちらこちらが力の反動で傷を負っていく。
「うおおおおおお」
身体の各所から血が吹き出し、皮膚を赤く染めていくも痛みもなにも感じなかった。カノンを失った哀しみでもうなにもかもがどうでもいい。
自分もこのまま消えてしまいたかった。
ただただ、すべてが腹立たしく、やりきれない。
だが、消滅する前にやらなければいけないことがある。タキはさらに力を込めた。
金属が悲鳴を上げ、タキを戒めた金輪から白煙が上がる。
それでもタキは力の解放をやめない。制御など全くしない力任せのエネルギーの放出に、根を上げたのは縛めのほうだった。ESPシールドが跳ね返す力の上限をタキのエネルギーが超え、シールドがガラクタと化す。
その途端、部屋の壁という壁が吹っ飛んだ。がつと音を立てて、壁が外へ爆ぜた。内へと力を返してたシールドがはじけ飛んで、タキの力が壁に激突した結果だった。
もうもうと粉塵が上がり、視界が白く染まる。だが、意に介さないタキはふらりと足を前に進めた。身体の表面は傷を負い、出血もひどいが、移動するには支障がない。
頭にはカノンを害した敵に報復することしかなかった。
「あいつら殺してやる」
酷くかすれた低い声で呪詛のように唸ると、タキは瓦礫と化した部屋を出た。
「止まれ。止まらないと撃つぞ」
騒ぎを聞きつけた警備兵の一隊がこちらに走って来て、銃を構える。銃口はまっすぐにタキの心臓を狙っていた。
タキは足を止めて、口端を歪めて嗤った。片手を前にすっとあげて手のひらを開く。手首の先にちぎれた鎖が垂れ下がりじゃらっと音を立てた。
それが合図だったかのように、警備兵の銃が一斉に火を噴いた。同時にタキの手から炎がほとばしる。焔は銃弾をすべて溶かしつくして、そのまま警備兵団を焼き尽くす。
「邪魔だ」
まるで、妨害など何も存在しないかのように、タキの前に立つ者はことごとく、力の贄となる。
障害のなくなった行く手を迷いのない足取りで、タキは進んだ。
基地内は混乱をきたしているのか、タキを遮る警備兵は少ない。その運の悪い連中をすべて片付けながら、タキは中枢に当たるだろう部屋に向かって進んでいく。
怒りだけがタキの足を前へと押し出した。
十字路の通路手前で、タキは壁に身を寄せる。さすがに、四方から無防備に銃撃を浴びる気はなかった。目的地はさらに奥、目の前の直進の通路だ。
怒りに体中が熱くてもなぜか、戦闘の思考だけは冷めていて、もはや本能だけで動いている獣と同じだった。
ふと耳と冴えわたった感覚が右側からの数人の足音を捕える。右は、表向きのビルに繋がっていたはずだ。
そっちからの応援か。
壁に背を預けながら、そっとタキは右側の通路を伺う。
四人、いや五人か?
長いバレルの銃を構えて、装備も衣服もばらばらな男たちが、伺うように近づいてくる。真ん中に髪の長い華奢な肢体が見えた。
オンナ?
タキは、預けていた背を壁から離すとふらりと十字路の真ん中へ身体を押し出した。
がしゃっと男たちの銃が上がる。
タキはすっと手を差し出した。邪魔するものはすべて排除する。
「タキっ!」
名を呼ばれて、タキの上げた手がひくんと揺れた。声に覚えがある。
だが、むけられた銃口は下がる気配もなく、驚愕に目を見開いたまま屈強な男たちは、タキを狙っていた。
「邪魔をするな」
酷くしゃがれた声が出た。
「邪魔をするなら、殺す」
銃ががちゃりと音を立てるのを聞きながら、タキは無防備に立ちながら、手のひらを開いて、男たちに向けた。
「おい、タキ。俺たちがわからないのか」
先頭で銃を構える大柄男の吠える声に、タキは小さく首を傾げた。
この声も知っている気がする。それでも、相手が銃を下ろす気配はない。
ということは、こいつらも敵だ。自分の行く手を阻む奴らはすべて敵……。
「待って。タキ」
力をためる前に男たちに守られるように真ん中にいたやつが駆けだした。宙を長い茶色の髪が舞う。
「おい。シロタ、よせっ」
「タキは正気じゃない」
男達が慌てて、手を伸ばすが、シロタはそれをすり抜けてタキに走りよった。
シロタ?聞いたことある。
だれだ?
武器も持たずに駆け寄ってくる細い身体を見ながら、タキは力の放出を一瞬ためらった。タキに銃を向けていた男達もシロタに当たるのを恐れて引き金をひけない。
ただ、一人シロタだけが、なんの躊躇もなくタキに駆け寄り、
「タキ」
飛び掛かるように抱きついた。タキはとっさに左腕でその体を受け止めた。
「よかった。タキ。生きてたんだ。助けに来たんだ」
頬ずりされた、強く抱きしめられて、タキは困惑した。
「だれだ?」
「シロタだよ。忘れたの?地下の基地でともに戦っただろう?」
シロタの言葉に、アリの巣のような地下都市を思い出す。あれはいつだっただろうか。
「思い出して。僕たちは仲間だ」
タキの頬に両手を添えて、シロタがタキを見つめている。タキもその瞳を見つめ返した。潤むような瞳に覚えがある。
「また、俺に喰われに来たのか?」
口をついた言葉は無意識だった。タキの言葉に大きく目を見開いて、それからシロタは少し哀しそうな表情をした。
「食べてもらえなかったけどね」
戦闘へと本能へと傾いていた意識が現実に帰ってくる。
「シロタ……参謀?」
呟くとシロタがタキの背をギュッと抱きしめた。
「よかった。思い出してくれて」
「どうして、ここに?」
抱きしめられるまま、タキは前方の男達にも視線を投げる。
「トラン。それにトキ、ツルミ、サギネ」
「やれやれ、やっと正気に返ったか」
銃口を下げて、トランが歩み寄ってくる。その後ろから、三人も続いた。
「それにしても、ひどいかっこうだな。傷だらけ、ぼろぼろ。手負いの獣のようだ」
タキはぐっと拳を握って、腕を下ろす。まだ、自分にべったりくっついているシロタのこともあって、彼らが自分に手出しをする気がないのを悟ったから。
「ほら、シロタ。いつまでタキにくっついてんだ」
トランがシロタの肩に手を掛けるがますます、シロタはタキに身を寄せて離れようとはしない。
トランが肩を竦めた。
「ツルミが怒ってんぞ」
シロタの背後に立った三十代半ばほどのひょろりとした男も、タキと目を合わせると肩を竦めた。
「いいの。やっと会えたんだから」
場の空気が一気に緩んでしまったことに苦笑しながら、タキは五人を見渡した。手にしているのは長バレルの銃だけだが、腰にはナイフから手りゅう弾まで、フル装備だ。トキなど、その体格に見合うように、背に斧まで担いでいる。
「レジスタンスか?」
「そう。やっとここまで来た。目的地はお前と一緒だと思うが」
トランがにっと笑う。彼らの目的は、この国を牛耳っている裏の政府の黒幕を打ち破り、正常な社会を取り戻すことだ。
そして、自分は……。
「手出し無用だ」
腹の底で渦を巻く怒りが燃え上がった。渦をかいて胸の奥まで立ち上ってくる。
「そうはいかない。これは俺たちの戦いでもあるからな」
トランをはじめとした四人の隊長達の視線が険を帯びた。ささくれだった雰囲気が場を支配し始め、男達の闘争本能にスイッチが入る寸前、タキにしがみついていたシロタが唸り声を上げた。
「シロタ?」
「あー。うるさい」
両耳を押さえて、シロタは身体を離す。
「うるさい。いいじゃないか。少しくらい」
誰に話をしているのか、耳を押さえながら、シロタが視線を天井に投げて大きくぼやいた。
「はいはい」
「シロタ?何を言って?」
呆然と突然おかしくなったかのようなシロタを見つめているとシロタが懐に手を入れた。タキがいきなり重心を下げる。
「待った。武器じゃない。大体、襲うつもりなら抱きついた時点で刺しているって」
慌てて両手を前に出して、その手が空なのを見せるシロタにタキは顎をしゃくる。タキが何を言いたいか察知したらしいシロタはため息をついて、両腕を頭の後ろで組んだ。
タキはシロタに近づくと、懐に無造作に手を入れる。
「おいおい……」
トランが呆れた声を出すが、特に誰も止めない。相手は男なんだから、胸に手を入れたくらいで騒がれても困るが。
指にふれたものをタキは引っ張り出し、目にした途端、両目を見開いた。
「これ……」
震える指で輪郭をたどる。この基地に囚われた時に、取り上げられたバイザーだ。いや、まったく同じものではない。
それでも。タキは慌ててそれを頭に着け、スイッチを入れる。
『タキ!!』
装着した途端、、耳元で怒鳴られた。男の声だが、やわらかく耳触りの良い声。
「カノンっ」
タキも叫びかえしていた。部屋から消えたカノンは、あいつらに殺されたんじゃないのか。
『無事?誰も殺してない?』
「は?」
感慨も抱く間もなく告げられた言葉に、タキはあっけにとられるものの、これは紛れもなくカノンだと確信した。
「どういう意味だ」
『民間人に手をだしてないか、訊いてんの』
タキは思わずため息をついた。やっぱり、カノンだ。
「あのな。武器もった民間人がテロリストの基地内でうろうろしているわけねえだろうがっっ!!」
叫ぶと、「うるさい」と返ってくる。だが、その声の裏でほっとするようなため息が聞こえた。
無事なのかとか、どうなっているんだとか、聞きたいことは山ほどあったが、なんか今はどうでもよくなってしまった。これだけ元気なら、問題はないだろう。
「カノン」
低い声で問いかける。
『何?』
不安げな声が聞こえて、タキは口端を上げた。
「あの変態野郎をぶちのめすのは止めないな」
一応、確認はする。止められても聞く気はなかったが。また、盛大なため息が聞こえて、それでも、インカムの向こうでカノンが微笑んだのを感じた。
『いいよ。大佐もそっち行ってるから、鉢会うかもしれないけどね。どうせ、任務もテロの阻止と首謀者の捕縛だし』
あいつらまだいるのかとうんざりと思うが、まあ、目的が一緒なら邪魔はされないだろう。
「トランたちと行動を共にする。で、まずは、でかい花火を上げたいんだが、この研究所のメインコンピューターの場所を送信してくれ」
やるなら徹底的に破壊する。あいつらのデータも根こそぎだ。
『了解』
柔らかいカノン声を聞いて、タキも微笑んだ。
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