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この宇宙(そら)の果てまでも

二人

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エンジン音が腹の底に響いて、タキはほっとする心地を味わっていた。
スクリーンに映し出される空は、相も変わらず真っ黒で、時折、恒星の輝きが遠く横切るだけだ。
「なあ」
隣の操縦席に座ってまっすぐ前を睨み付けているカノンに声をかけるが、返ってきたのはかたくなな拒絶。
タキは大きなため息をついた。
まだ、怒ってる。
シートを後ろに倒して頭の後ろで手を組んで、天井を眺めながら、タキは困ったなともう一度ため息をついた。
やっと全部終わったのに。
狭い空間にカノンと二人きりという日常が返ってきたというのに、相棒はタキをみようともしない。すでにこの状態で、二日間が過ぎている。
話をしようにもカノンは取りつく島もない。
星の海を眺めながら、エンジン音が自動航行に切り替わったことを察して、タキは席から身体を起こした。
自分を見もしないカノンに腕を伸ばして首筋を指先で撫でる。
「なあ、カノン」
カノンがひくんと身体を震わせた。
「操縦の邪魔」
こちらに向かずに言葉を投げるカノンの声が尖っている。
「カノン、わかるだろう?」
いつもの誘い文句を口にした。
「わからない。力を使ったのは、ずっと前だし、点滴に栄養剤に治癒力を上げる力も注いでもらっただろう」
確かにカノンのいうことは正論なのだが、誘い文句なんだから察してほしいとタキは思う。
そんなこと口にはしないし、直接抱かせろとも言えず、ここまでくればタキも意地になっていた。ついでに、このままもとに戻ってしまえばいいという打算もある。
「少し痩せたか?」
タキの言葉にカノンがこちらを振り向いた。少し痩せたような気がする頬のラインにタキは、眉を顰めた。
伸ばしていた指でそっと頬をたどる。その腕を手で跳ねのけられる。
「触るな。そんなことない」
目の下に隈もある気がする。
「いや、痩せた。確かめるから、脱げよ」
「ふ、ふざけるな」
そんなつもりはない。本気で心配しただけだ。怒っているのも眠れていないせいなのかもしれない。ここの所、他人との接触が多かったから、カノンの疲れが溜まっているのだろう。
ずっと他人の意識を遮断することに力を使うのは疲れると聞いたことがある。
「約束」
頑ななカノンにタキは彼にとってみれば、見過ごせないだろう言葉を口にした。
「あ、あれは無効だ。あと二日もすれば、目的地に着く。そこで休暇だ。今回は働きを認められて、二週間の休暇だから」
「カノン」
言葉を遮った。だが、カノンは席から立ち上りざま、怒鳴った。
「人肌が恋しいなら、なじみのオンナのところにいけばいい」
「はあ?」
訳のわからない言い分に、怒りを抑えていたはずのタキも頭に血が上る。
「いい加減にしろよ。無効って何だよ。休暇とそれと何の関係がある」
タキも椅子から立ち上がった。カノンと向き合う。
「あるだろう。二人しかいない宇宙空間ならともかく、そうじゃないんだから、俺である必要はない」
面と向かって拒絶されたのは初めてで、タキは呆然とカノンを見た。
カノンにとっては、肌を合わせられるのがタキだけだから、性欲処理くらいにしか思われていないことはわかっていたつもりだった。それでも、いつでも甘い声をあげて欲しがってくれるカノンを見ているうちに、カノンも自分を思ってくれているんじゃないかなんて期待を抱いていた。
幻想だったってことか。
誰よりも何よりも大事で愛しい相棒。繊細で、綺麗で、誰よりも好きなカノン。
怒りと悲しみがタキを襲い、もう、なんだかわからない想いが胸の中を渦巻いて、目の前が暗くなる。
想いまで否定された気がして、黒く染まっていく思考に、タキは拳を握りしめた。足を大きく踏み出し、二人の距離を一気に詰める。
腕を大きく伸ばして、カノンの髪を鷲掴み、自分の方へ引き寄せた。
髪を引っ張られていたかったのだろう顔を歪めたカノンに顔を寄せ、唇を奪う。腕の中で身体を固くしたカノンの唇を無理やりこじ開け、舌を差し入れた。
「ぐっ」
腹を膝で蹴られて、タキの息が詰まり、背を丸める。
「離せっ」
口づけを解いたカノンが怒鳴り、腕の中で暴れはじめる。
「ばかにするな。俺はお前の相棒であって、欲望のはけ口じゃない。星に降りるまで間があく上に、力を使ってどうにもならないならともかく、なんで」
腕を振りほどいたカノンが声の限りに怒鳴り、そして、言葉を詰まらせる。
「カノン?」
名を呼ぶと首を左右に振られた。
「もう、嫌だ」
小さく呟かれた言葉に、タキは衝撃を感じて、目を大きく見開いた。自分が利用しているのではなく、カノンに利用されているんだとすら思っていたのに、カノンはタキのために身を任せていたという。
ぐっとタキは一度目を閉じて開いた。腕を伸ばして、カノンの手首を掴むと自分の心臓の上にその手のひらを当てさせる。
「読めよ。俺の心を。感じるだろう」
どんなに大事にしてきたと思っている。カノンがいなければ生きている意味すらないと思うほど、恋焦がれているのに、どうしてわかってもらえていないんだろう。
カノンは潤んだ瞳で驚いたようにタキを見て、それから、ゆっくり首を横に振る。
「無理。知っているだろう。おまえの心は読めないし、わからない……」
「カノン、俺を見ろ」
低く命じる声で告げる。ひくんと肩を跳ねて、カノンはタキと視線を合わせた。戸惑うような哀しげな光がカノンの青い瞳の中で揺れていた。
胸に手を置かせたまま、タキは視線をカノンから外さずに大きく息をついた。心が凪いでいく、なのに、鼓動は早くなった。
「おまえは俺の唯一無二だ」
厳かに告げる。
「カノンがこの世から消えたら、俺も消える。おまえの側だから生きていける」
「相棒だから」
「違う、いや、そうだ。だけど、それだけじゃない。この腕に抱くのもお前だけがいい。おまえに触れるものも俺だけがいい」
小さく瞬いて、カノンの瞳の奥の奥を覗いて、この気持ちを心をくみ取ってほしいと切に願う。
「カノン、愛している」
カノンの瞳が大きく見開いた。驚くカノンに、いままでまったく気持ちが伝わっていなかったことを知り、タキは哀しんだ。
タキにとってカノン以外はどうでもいい存在なのに。
「だ、だけど」
カノンが言いたいことを察して、タキは言葉を継ぐ。
「同性を抱いたのはカノンだけだ。休暇で星に降りた時、オンナを抱くほうが、欲求のはけ口だったんだ。おまえが俺に身体を許すのは、義務に感じていると思ってたから」
力を使ったからなんていうのは口実に過ぎない。身体が熱くなるのは事実だが、人肌で発散しなくてもしばらくおとなしくしていれば直る。
それでも、苦し紛れの口実でも、カノンが欲しかった。
「タキ……」
掠れるような声を上げて、カノンは反対の腕を上げて、タキの頬に触れた。
「違う。義務なんかじゃない。俺は……」
タキはカノンの手の平に頬を摺り寄せる。カノンの瞳は、彼の感情をそのまま映していて、ひどく扇情的だ。涙の膜で潤んだ淡いブルーの瞳、赤く色づいた頬も、カノンにとってタキが大事だと伝えてくれた。
「カノン、抱きたい。俺の想いを確かめて、おまえの心をくれ」
まっすぐにカノンの瞳を捉えて、タキは告げる。
カノンがゆっくりと頷いた。腕を伸ばして、タキはカノンを力を込めて抱きしめた。
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