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「巡る季節と恋の順番」
冬―始まり

前編

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胸の前で腕を組んで、美玖(よしひさ)はふるりと身体を震わせた。
今年の冬はやけに底冷えがひどくて、こうして窓の前にたつとガラスから寒さが染みだしてくる気がする。
部屋に一つきりのエアコンは、ボーボーと音をたてながら、温(ぬる)い風を送り出しているが、部屋の温度はあまり上がった気がしない。築30年以上も経った古い団地で隙間が多いからなのか、それともエアコンが古くてぼろだからだろうか。
美玖の目の前のガラス窓には、首筋まである長い髪を持った細面の青年が映っている。寒さに強ばった口元、顔の中でやけに目立つ大きな瞳は、色が淡い。整った顔ではあるが、疲れて憔悴しているように見えた。
「さむい」
ガラスに映った自分を第三者的に見ながら、美玖は額をガラスに押し付けた。ぞくりとした冷たさが肌を伝わって、美玖は身体を震わせた。
「また、降ってきた」
地球温暖化も暖冬も嘘なんじゃないかと思うくらい、今年は寒い。普段の年に比べて、降雪の回数も多かった。すでに、この都心にも何回も雪が舞っていた。
そして今も――。
夕方から降り続いていた冷たい雨は、いつのまにか雪に変わったらしい。窓ガラスの外を白い綿みたいな塊がちらちらと風にそよがれて落ちてくる。
すでに氷河期が始まっているという学説があるとニュースで聞いたが、あながち間違えではないのかもしれない。いつか雪と氷で閉ざされる日が来るんだろうか。
窓の外を舞いながら落ちていく、雪を見ながら、美玖はまた身を震わせた。寒さが身の芯まで届きそうだ。だが、この冷たさは外気のせいだけではない。美玖の胸の中にもまた、雪が舞っている。否、氷が詰められているのかもしれない。
凍えそうなほど心が痛い。目を閉じれば、瞼の裏に思い浮かぶのは彼の相貌(かお)。
もう、忘れるって決めたのに……。
ぎゅっと目を瞑って、美玖はガラスに額を押し付ける。内からも外からもどんどん冷えていく。このまま冷たくなってしまったら……。
くぐもったインターフォンの音が部屋を渡った。
深く落ち込んでいきそうになった思考は、その音で遮られる。頭を振って、面影を脳裏から退けると美玖は玄関に足を向けた。
「なんだ?」
何か通販でも頼んだろうかと、自宅のチャイムが鳴る要素が、宅急便くらいしか思いあたらないことに自分の人間関係の希薄さを見た気がして、また、気が重くなる。
美玖は「はい」と返事をすると玄関の扉を開いた。
ひゅるりと冷たく湿った風が扉の隙間から部屋へと乱入してくる。だが、それを寒いと認識する間もなく、目の前に立つ人物に美玖は動きを止めた。
「……一條さん……?」
掠れた声が唇を震わせ、続く言葉は喉の奥に消えた。
開かれた扉を押さえて立っていたのは、背が高く、引き締まった体躯を黒の仕立てのよいコートに包んだ精悍な男だ。耳が隠れるほどの黒髪は、きちんとセットされていて、前髪も整髪料であげて形の良い額を出していた。すっと通った鼻筋に切れ長の二重の双眸、薄い唇は怒ったように引き結ばれている。
驚きながらも美玖は、つい目の前の男に見惚れた。さっきまで脳裏に描いていた忘れられない顔だ。それが目の前にある。いつ会っても美玖は一條に見惚れずにいられない。
夢を見ているのだろうか。
なぜなら、一條は美玖の家の場所を知らない。一度も美玖は教えたことはなかった。会うのはいつも一條が指定したホテルで、呼び出されれば、そこへ出向いていた。
驚きに目を見開いたきり、動かない美玖を前に、一條はポケットに右手を入れると無言でパスケースを取り出した。
「あっ」
見慣れたそのケースは美玖のものだ。確か、免許証を入れておいたはず。住所はそれで知ったのだろう。
「抜き取った……?」
「まさか。忘れものだ」
口端をあげて笑う一條の言葉は全く信用できなかった。この間、呼び出されたときにジーンズの尻のポケットから抜かれたのか。
まったく気が付かなかった。身分証が必要になる場面もなかったから、手元になかったことにすら気づいていなかった自分を心中で笑う。
扉から強い風が吹いてきて、美玖の全身を叩いて後ろへ流れていく。
寒い。
「入るぞ」
その言葉に否を唱えたかったが、扉は一條の腕で押さえられていて閉められそうにもない。その上、この狭い部屋で玄関を開けているとなけなしの暖はあっという間に寒風にさらわれていく。美玖は観念した。一度、唇を噛んでから、頷く。
「ああ。扉は閉めて。寒い」
一條は、一歩前に踏み出して玄関に入ると後ろ手に扉を閉めた。鍵のかかる音がし、その金属音がやけに耳の底に響いた。失敗したかもしれないとふと思う。
だが、いいと言ってしまった以上、仕方ない。
美玖は、無言で踵を返した。玄関で立ち話はなんだし、その上、足元からしんしんと冷えて辛い。
台所兼ダイニングを抜けて、その奥の六畳間に案内すると、一條は黙ってその後ろをついてきた。
リビングかわりに使っている部屋の入口に立って、一條は物珍しそうに、周りを見回している。壁際にカラーボックスが一つだけ、部屋の中央に小さな折り畳みテーブル、それだけしか家具のない部屋はかなり殺風景に映るだろう。寒さ避けのために床に小さなラグが敷かれているのが唯一の装飾だった。
部屋を眺めながら、コートを肩から滑り落とし、一條はそれを腕にかけた。その一連の動作に見惚れていた美玖ははっと我に返り、ハンガーを取るとコートを受け取った。
柔らかく温かい素材に、カシミアだと気付く。まだ一條のぬくもりの残るコートを胸に抱きしめそうになって、慌ててハンガーにつるし、鴨居にひっかけた。
「で、何の用?」
できるだけそっけない口調でそう言って、くるりと振り返ると美玖は一條を見た。頭一つ分は身長差があるため、どうしても見上げることになる。
「渡海美玖(とうみ よしひさ)。22歳。“みく”は源氏名だったんだな」
一條が苦笑を浮かべた。それに美玖は肩をすくめた。ウリなんてヤバいことするのに、本名なんて名乗るわけがない。
「その上、年までごまかしてた」
「ごまかしてない。そっちが勝手に勘違いしただけだ」
言ってはみたものの、勘違いはあたりまえなのだ。美玖が一條に初めて会った時には、高校生の制服を着ていたのだから。この辺りでは、名の知れた高校の制服をそこを卒業したという友人の弟から手に入れて、それで街を歩いた。育ちがいいと思われた方が良かったし、ウリは若い方がいいに決まっている。二十歳を過ぎたら、そうそう買い手がつかない。
「返せよ、俺のパスケース」
一條が手にしているものを差すと、一條は部屋の真ん中に置いてある折り畳みのテーブルの上に、それを置いた。何か交換条件を出されるのではないかとびくびくしていた美玖は、ちょっと拍子抜けをしたと同時に安堵した。だが、相手の真意がわからずに不安になる。
「で、何しに来たんだ。あんたとはもう終わったはずだ。専属契約も切ったし、別れも伝えた」
一條は美玖の言葉にあきれたような視線を向けた。
「別れ……ね」
大きくため息をつかれて、美玖は怒りもあらわに一條を睨んだ。だが、一條は冷たい瞳で美玖を見つめて口を開いた。
「一方的に破棄しただけだろう。契約は双方の合意が必要だ。俺は合意していない」
ぐっと美玖は言葉に詰まった。一條の言うことは正しい。あの最後の夜、抱き合ってシャワーを浴び、身支度を整えたあと、「もうこれっきりにしたい」と言った美玖に、一條は驚きの目を向けただけだ。
答えがないのを幸いと「もう、応じないから誘わないでくれ」と冷たい言葉を残して、美玖は部屋を後にした。
ただの客と男娼、身体だけの関係だ。普通はこれで終わる。一條の携帯とメールアドレスを自分の携帯の記録から消して、電話にも二度と出なかった。
「理由を聞こうか」
存外に穏やかな声音で告げられて、美玖は視線を床に流した。
「もう、必要がなくなった」
小さく呟く。嘘ではなかった。だが真実でもない。心に残ってしまったこの雪の塊がそれを証明している。
「必要?金か?」
怪訝そうな一條に、美玖はこの人は何にこだわっているんだろうと思った。一方的に契約を破棄されてプライドが傷ついたんだろうか。それとも気に入っていた玩具が反抗したのが気に入らないのだろうか。
だが、一條が問いかけたことは真実だったので、小さく美玖は頷いた。
発端は金だった。だいたい、ウリをするのにそれ以外の理由があるか。
そして一條に会ったのだ。
半年前――
まだ、夏の太陽が肌を焦がしていたあのころ……。

日付が変わったというのに、昼間の熱気がまったく冷めずに、むしむしと暑い繁華街を美玖は高校の制服を着て歩いていた。この辺りは、同性愛者が多く集う場所だ。
弟が大病をして、入院費と手術代が必要だった。父は幼いころに他界していて、生活は母が支えていたが、なけなしの貯蓄をはたいても数百万円足りなかった。美玖は、弟を救うため、母を助けるためにバイトをはしごして、寝る間も惜しんで稼いだが、たいした額にならない。そんな時、バーで働く同僚が妙なことを言った。
『身体で稼げばいいんじゃないか。お前、ルックスいいし、稼げるぜ』と。
もしかして、彼は、マダム相手に稼げという意味で言ったのかもしれない。だが、美玖は、あえて同性を選んだ。金額を釣り上げられると思ったことも事実だが、女を食い物にするのは気が引けたからだ。同性に抱かれるのに抵抗がないかと言えば嘘になるが、身体を売るという意味では、嫌なことのほうがいいような気がした。
街角に立っていればよかったのかもしれないが、じっとしていられなくて、美玖は男同士が連れ立って歩くのが目立つ通りを何度も行き来した。目線を左右に投げながらゆっくりと歩く。夜中に街を歩く高校生は珍しいのか、道端にたむろう男たちが時折、美玖に視線を向けた。だが、こちらに寄ってくる男は誰もいない。
こんなことしても無駄じゃないかと思うくらいの時間、美玖は通りを往復したが、美玖に声をかける人間は現れない。
莫迦なことをしたと苦々しく思い、駅に向かって踵を返した背中に声がかかった。
「待ち合わせ?」
美玖は振り返って、言葉を失った。隣あう店の入り口の間の煉瓦の壁に軽く背を預け、たばこを指に挟んで立っていたのは、背が高く、仕立てのよい夏物のスーツがやけに似合う大人の男性だ。眇めた瞳も立ち姿も一度見たら目が離せなくなるような存在感と艶のある男に美玖は言葉が出ない。
「それとも、相手を探している……とか?」
ふっと微笑んだ口元に、美玖は瞳を見開いて、それから小さく顎を引いた。
男が身体を壁から離し、大きな歩幅で美玖との距離をあっという間につめ、目の前に立った。
差し伸べられた指に頤をさらわれ、上向かせられる。
「つきあうにはどうしたらいい?」
「一晩、8万、一回なら5万。ホテル代はそっち持ちで」
情けないほど声が震えていた。相場は調べてきたが、それでもこんな金額払って男を買うのかは半信半疑だった。
「いいだろう」
あっさり了承した男に美玖は驚きの瞳を向けた。
ふっと男が笑う。
「名前は?」
「みく」
「そうか、俺は一條だ」
そのまま近くのホテルに行ってセックスした。
なんの感慨もなかった。ウリの最初の相手が男前でよかったと思っただけだ。
一條は気前がよく、何度か誘われて、美玖は応じた。何を気に入られたのか、逢瀬を五回ほど重ねた後に、専属になれと言われた。
価格も破格で、一條は無茶も変態行為もしなかったから、美玖にとっては上客だった。怖い思いも痛い思いもしなかったし、美玖は、いい相手に買ってもらえてよかったと思っていた。一月前までは。
夏の終わりに、心配していた弟の手術は成功し、容体も安定して、一月前に退院した。入院費は母親と自分の稼ぎだけでは賄えなかったが、母親の職場のカンパや今、母が付き合っている恋人の善意で完済された。世の中捨てたものでもないらしい。
そして、美玖が身体を売る必要はなくなった。

「金なら、あって困るものでもないだろう。」
掛けられた言葉に美玖は物思いに沈んでいた意識を現実に戻す。記憶を辿っていて、ぼんやりしていたらしい。
いつのまにか、目の前に一條が立っていた。身体を引くより前にすっと腕がのび、長い指で顎を掴まれ、上向けられた。まるで出会ったあの時のように。
美玖は唇を噛んだ。
こんなあの時を思い出すような状況は勘弁してほしかった。
一條のいうことは一々もっともだが、そういう風に稼ぐ必要はもうないのだと自分に言いきかせる。
自分は男娼で、この人とのつながりは金だけだ。たとえ、優しく抱かれても、その腕に抱きしめられても、相手は一時の快楽を買っているだけ。
顔をそむけて、美玖は一條の指を頤から外した。触れられたくなかった。
一條が入ってきたときに下がってしまった室温のせいか、やけに寒くて、美玖は自分の腕で自分を抱きしめる。
「寒いのか?」
美玖は首を横に振った。ぎゅっと目を閉じる。
「もう、帰って。二度と会わない」
別れを告げたのに、伸びてきた腕に捕らわれて、胸に抱き込まれた。その温もりに縋りたくなる気持ちから目を背けて、美玖は身体を捩って暴れた。
少し高い体温に触れていたら、きっと流されてしまう。心臓がどくんどくんと音を大きくし、足が震えた。
「離せよ。もう嫌だ」
この人と金で繋がる関係にはもう耐えられない。自分で始めたくせに、それに傷ついていたら世話はない。それでも、もう無理だと心が悲鳴を上げた。
暴れた拍子に緩んだ腕に、美玖は相手の胸に両手をついてぐっと身体を引きはがした。
相手のシャツを掴んだまま、美玖は床に崩れるように座った。
「もう……嫌だ」
呟きは湿っていた。鼻の奥がつんと痛い。瞼が熱くて、涙がこぼれそうだった。
「美玖」
名を呼んで、目の前に一條がしゃがみこむと、大きな手を頭をぽんと置かれた。
抱きあった後、一條がよく美玖にした仕草だ。そのまま、髪をくしゃくしゃと撫でられて、美玖の目尻から涙がほろりと流れた。
一條はいつも優しい。繋がるときも、酷くされたことなど一度もない。美玖が乱れて泣き出すとその腕で、抱きしめてくれた。
欲のはけ口を金で買っているはずなのに、一條はまるで好きな人を抱いているかのように美玖を扱った。だから、割り切れなくなってしまったのだ。
金銭と引き換えに身体を自由にさせているだけだと、これは仕事で自分が望んだわけではないと、何度も自分に言い訳を繰り返したのに、この腕が心地よいと思ってしまった。
もう会えないなんて考えられなくて、弟が元気になったあと、一條からの呼び出されたときにも応じてしまった。
心配事は片付いたし、ぜんぶ一條に伝えて、感謝を告げたいと思った。そうすることで何かが変わる気がした。
だが、あのとき、ホテルの部屋に入って、それを伝える間もなく、いつものように先に報酬を渡された時にその事実に気付いた。
この人は、客だということに。
一條は、けっして自分のものにならないことを思い知った。
その証拠に美玖は彼のことを何も知らない。何一つ、名前さえも真実かどうかわからない。
見当はずれに傷ついて、報酬に見合うだけ抱かれて、そして告げた。
『もうこれっきりにしたい』と。
あの時、一條はどんな表情をしていただろうと思って、まったく彼の顔が見られなかったことを思いだし、美玖は口端をあげて自分を嗤う。
大きな手で、髪を撫でながら、
「なんで、俺がここに来たと思っているんだ」
と一條が苦笑交じりに訊いた。
「忘れ物を届けに……」
小さく呟くと、大きなため息で返された。
「そんなわけあるか」
呆れたように言って、一條はまた髪を撫でた。大きな手の下で美玖の長い髪がもつれた。
「半年だ。それだけ一緒に過ごしたのにわからないのか」
わからないと美玖は呟いた。男の本意などわからない。わかるのはいつのまにか自分が一條を想っていたことだけだ。
「まさか、俺たちの間にあるのは金銭の契約だけだと思っているわけじゃないよな」
それ以外の何があるというのだろう。一條は美玖を抱いて金を払う。それだけの関係を半年続けてきた。
また、大きなため息が聞こえて、美玖は無言で男に責められている気がしてきた。
「なんだよ」
思わず顔をあげてしまい、頬を滑った手が睫毛に引っかかっていた涙を拭った。双眸(め)があって、一條の瞳の奥にもどかしさを伴った苛立ちを見る。
「おまえはバカだ」
「はぁ?」
「俺が好きだろう?」
貶されたと思ったら、そんな風に聞かれて、美玖は瞳を大きく見開いた。
どうしてわかったんだろうと一瞬思って、慌てて美玖は首を横に振った。これ以上、みじめになりたくなかった。割り切って始めた仕事なのに、相手に恋していたなんて、この人とずっと一緒にいたいと思っていたなんて知られたくなかった。
「俺はお前が好きだ」
否定のために首を振ったのに、続いた言葉に美玖は、動きを止めて一條を凝視した。
「お前と別れる気はない」
一條は何を言っているんだろう。身体を快楽を買っていたんじゃなかったんだろうか。
沈黙が落ちた。二人で見つめ合う。
一條の瞳の奥に苛立たしげなそれでいて、苦しげで痛そうな色が揺れている。
美玖は何を言っていいかわからずに、一條の目の奥を凝視した。睨み合うかのように、視線を交わし、一條が一度大きく瞬いた。
「あの夜」
先に口を開いたのは一條だった。
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