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「天空国の守護者」
トレジャ編

戦闘(2)

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地上では、タミル率いる黒軍が、トラルの寺院から出撃した僧兵部隊を追っていた。
気配を気取られぬように距離をあけて移動する。トラルを出て、北へ北へと向かう部隊を追いかける。
すでに、北の大森林地帯に入っている。僧兵部隊は馬で街道沿いに移動しているようだが、
ルシードの気配を追えばいいので見失うことはない。訓練の行き届いた黒軍は一糸乱れぬ動きでタミルに従い、ひたひたと人間の部隊を追っていた。こちらは徒歩だが、守護者は一瞬でかなり遠くの空間をつないで移動することが可能だ。
人間が馬で移動しようが、何ら問題がなかった。
「気配ありませんね」
カルアがタミルの側にやってきて言った。
ここまでの行程で、クアールの気配はない。あちらも気配を殺しながら、どこぞに潜んでいるには違いないのだが。
すでに上空では戦闘が始まっているだろう。最後の連絡で決戦日は本日と通達があった。
クアールの目的がその戦闘への奇襲攻撃であるなら、クアールがどこかにいなければならない。
人間の武器は上空で戦っている守護者には届かないから、届かすためにはクアールの力が必要なのだ。
「お前でも探知できないか」
「ええ。気配はゼロです。他にも感知能力に秀でたものを部隊外側に配置していますが、クアールの気配はなしとの報告ですよ」
守護者とはいえ、能力は人それぞれだ。他者の気配や感情を読む感知能力の強いものもいれば、タミルのよう物質を移動したり、空間を歪めたりする物理的な力が強いものもいる。
「すでに陣の下に配置済みで、人間の到着を待っているのかもな」
「ルシードの報告の場所が確かなら、あと1時間ほどの行程です」
「よし、追うぞ」
タミルの言葉にカルアは頷いた。

ルシードは馬で命令されたポイントへと傭兵部隊を牽いて移動していた。
すでに、後ろからタミルたちが追ってきていることも知っている。振り切ってしまわないように適当に距離を考えながら、行軍していた。
まったく、なんで俺が隊長なんだかな。
ルシードはまわりに気取られないように溜息をついた。この街に着いた時を思い出す。
まっすぐ寺院へ向かったあの日、弓を的にあてる試験とやらをやらされた。
「矢の数は10本、あの的にあててもらいたい」
革の胴着をつけた男が説明をする。今、立っているところは四角い広場になっており、辺の長いところの先に円い的が見えた。的は、サイズが大きいものと小さいものがある。手前にもいくつか立札のようになった的が立っていた。
「距離はできるだけ遠い方が点数が高い。的の中心に近い方にあてても点数が高い」
男の説明を聞きながら、ルシードは俯いていた。皮肉な笑みがどうしても堪え切れない。
戦争するのに、動かない的にあてるのが試験か。
ここまで人間は戦いを忘れているのが滑稽だった。
眼を瞑っていてもできそうだとルシードは思ったが、傭兵に潜り込むには好都合だと思いなおす。今回は、ここに紛れ込んでクアールを殲滅するのが任務なのだから。
黙って他の者が矢を射始めるのを伺う。
見始めて、ルシードはほうっと思った。
腕自慢が集まっているだけあって、何人かは正確性もあり距離もそこそこ出せるらしい。
的は動かないが、それなりの腕はあるってことか。
「次!」
声に弓を持ってルシードは前に出た。背が高く、すらりとした姿勢が人目を引く。守護者に人間の中で目立つなというのは限りなく無理があった。
ルシードは弓を構え、矢をつがえてゆっくりと引いた。
シュッっという風を切る音を携えて矢は一直線に一番遠いところの一つ手前の的を正確に射ぬいた。
「おおっ」
周りから感嘆の声が上がる。
目立ってはいけないという命令を思い出し、ルシードは今度は中距離の的を狙い、何本か連射する。当然、全てど真ん中だ。
ざわざわと辺りがざわめいた。
「すごい腕だな。名前は?」
「カインといいます」
ルシードはあらかじめ決めておいた偽名を使う。守護者にとって名前は神聖なもので、名を与えることは信頼と束縛を認める意味になる。
人間に教える気など毛頭ない。
「あと、1本でいい。あの一番遠くの的を狙ってみろ」
説明をしていた傭兵が命令する。
周りで見ている他の者たちは、あの距離は無理だろうとか、あいつならやるのではないかと口々に騒いでいる。
ルシードは頷いて、矢をつがえた。的を狙う。
周りで見ていた者たちが息を詰める。
しんとなった広場で、矢が風を切る音が聞こえ、たんっと的に当たる音が続いた。
矢は一番遠くの的のかなり端に突き刺さっていた。
うわあと歓声が上がる。
「すげえ」
「知ってるか」
一気に周りが騒がしくなった。
「おしかったな。真ん中ではないが良い腕だ」
説明していた男が近寄ってきて、ルシードを褒める。わざと外したのだがそんなことはおくびにも出さずにルシードは軽く頭を下げた。

あの時のことを思い出して、ルシードは溜息をついた。弓隊に潜り込んだは良いが、あの的にあてたのはお前が初めてだと言われ、隊長に任命されてしまったのだ。
目立たないように手加減したんだがな。
そう思った時にちりっと首筋に気配を感じた。
辺りを見回す。一行は森の中の広場に差し掛かっていた。しかし、辺りはのどかな森の風景が広がっているだけでどこといって変わりはない。
「そろそろポイントですか」
馬を寄せてきた男がルシードに告げる。
「そうだな。このあたりか」
ルシードはかなり広範囲の気配を探った。彼の探知能力もカルア程ではないがかなり強い。
遥か上空に多数の守護者の気配がある。それに混じってクアールの気配も感じられた。戦闘が始まったのだろう。また、自分たちの隊の後ろにも守護者の気配があった。こちらはタミルたちだ。
どれも距離がある。先ほど感じた微かな気配はすでに跡かたもない。
クアールか?
首の後ろを掌で撫でると産毛が逆立っていた。
「ふうん。あんたが隊長?」
気配もないまま目の前に黒髪の男が立っていた。
不覚にもルシードは一瞬、驚いた。あまりに唐突な出現。そしてこの気配はクアールだ。
目の前に立つ男は目にかかる前髪を鬱陶しそうにかきあげながら、にやにやと笑う。
「僧正様からの命令であんたたちをここで待ってた」
「何の用だ」
ルシードは守護者だと悟らせないようにしながら答える。
「隊はここで展開し、威嚇のために空に向かって一斉照射だと」
「威嚇ってなんだ。盗賊はこの木の上に住んでいるとでもいうのか」
ルシードは人間ならそう訊くだろうと言う質問を返す。
「煩えな。僧正様がそう云えっていったんだから従えよ」
この口が悪く、邪悪な気配のクアールは何者だろう。
「わかった。全員、この広場で展開」
ルシードの言葉につき従ってきた傭兵が散開する。
ルシードも馬から降り、できるだけ広場の中央に向かった。男が後からついてくる。
「あんた、ほんとに人間?」
後ろからのんびり男が問う。ばれたかと一瞬、身を硬くするが、ここは押し通すしかないとルシードは開き直った。
「何を言ってる?」
あからさまに不審そうな顔をしてやる。
「あんた、綺麗だからさ…」
男は後ろからつと腕を伸ばし、髪に触ろうとする。
「ロトっ!」
それを怒号が遮った。もう一人、目の前にいきなり男が出現し、ルシードは足を止める。
「あーあ。わかったよ、エムール。仕事が終わってからにする」
ロトと呼ばれた男は、嫌そうな顔をしたが立ち止まった。
「緊張感なさすぎだろう。すでに上空にあれだけの気配があるっていうのに」
あとから現れた男エムールは、ひどく不機嫌そうに続けた。
「まったく記憶操作しないといけなくなっただろうが」
「この男はいいよしなくて。仕事終わったら俺が持って帰る」
ロトはにやにやルシードを見て笑う。
こいつら一体何の話をしているんだ。
ルシードは心が読まれてもいいように適当なことを考える。本心では、タミルたちの到着をかなり心待ちにしていた。
何度もクアールと戦ったことはあるが、こんなけったいなクアールにお目にかかったことがない。いや、戦うだけでコミュニケーションをとったことはないから、クアールとはみんなこんなものなのか。
「そこをどけ。準備ができない」
目の前に立ったエムールにルシードは言ってやった。エムールは素直に道を開ける。
「合図は俺たちが出す。それに合わせて空にめがけて撃て」
ルシードの背中から、エムールは命令する。それには振り返りもせずにルシードは頷いた。
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