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「天空国の守護者」
トレジャ編

国主

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昼下がり。柔らかい陽光が窓から射し、カーテンが風でさらりと揺れていた。とても、クアールとの戦いが起きていると思えないような平和な守護者の国の午後だ。戦場は遠い空の下で、国には戦況だけがもたらされる。
戦闘の報告だと先触れしたにも関わらず、今セインがいるのは、謁見の間ではなく、私室へ続く控えの間だった。どうして、私室なのだろうかとセインは溜息をつく。各地で激しい戦闘が続いているのに、こののどかな天空国に身をおく国主には今の状況の悲惨さが、わからないんだろうか。
「どうぞ、国主がお待ちです」
物思いに沈んでいたセインは案内の者の声に振り返った。窓から離れて、扉に向かう。
セインに対して、腰をかがめた案内の者は、大きな両開きの扉に手を掛ける。ゆっくりと両扉があけ放たれて、セインは重い足取りで入室した。
「セイン、よく来たね。」
部屋で待っていたのは、白く小さな卵型の顔を縁取るスミレ色の髪、切れ長の瞳の色は濃紫、ほっそりとたおやかな肢体の青年だった。
「ご無沙汰しております。国主。ご機嫌麗しく僥倖です」
膝をついて、深々と礼をとり、セインは正式な挨拶を述べる。
「相変わらず、堅苦しいなセインは。ここは僕の部屋なんだから、いつも通りでいいのに」
微笑む顔はまさに天使の言葉にふさわしい。
しかし、セインは国主と瞳を合わせなかった。この微笑みが曲者なのだ。下手をすれば魂ごと絡め取られかねない。
「そうはまいりません。戦況報告にきたのですから。れっきとした正式な謁見です」
「まったく、堅いよね、従兄どのは」
国主は溜息をつき、はらりとスミレ色の髪をかきあげた。
守護者の国主は総じて紫の色彩を持つ。それを多く持っているほど力が強く、国主にふさわしいと言われている。目の前の国主もまた、髪の色も瞳も紫を持ってる。特に濃紫の瞳はいままでにも例のないほどだ。
セインもまた、瞳の色が紫だが、色の濃さは国主に及ぶべきもない。しかし、二人は従兄同士と血が近い。
「そんなに状況が悪いの?」
国主の言葉にセインは立ち上がり、姿勢を正した。
「北の戦闘はほとんど決着がついています。あちらは囮だったので、戦況が不利になったら撤退に入るでしょう。我々が押していますし、あちらの被害もかなり出始めていますから時間の問題です」
セインの言葉に国主が頷く。続きを促される。
「黒軍はその真下で、残党狩りをしています。こちらは手間取っているようです。ゲリラ戦ですから仕方がないのですが。こちらも北の戦闘が終了次第、引き揚げさせます。これらの残党が我らの軍を奇襲しなければいいのですから」
「あまり被害がでないうちに、引き揚げさせた方がいいね。できるだけ早い方がいい。そこでゲリラ戦をしてもあまり益はなさそうだ」
国主はセインを見つめて言った。まるで、世間話のようだが、この国主は他に見えないものを見る。過去も現在も未来さえも国主に見えないものはない。報告など必要ないのではないかと時々、セインは思う。
「南もかなり善戦し、持ちこたえています。戦闘に入って3日たっていますが、被害は死傷者千五百ほど、一部の城壁が壊れて修理に追われています。心配だったのは戦闘と修繕に追われる兵士たちの疲労ですが、本日には援軍も到着しますから、こちらも解決するかと」
南に関しては、セインの予想した最悪のシナリオだったにもかかわらず、なんとか持ちこたえて良かったと思う。
「指揮はレイラース?」
その問いにセインは頷く。
「まだ、安心しない方がよさそうだ」
国主の言葉にセインは眉を寄せた。
「それは、予見ですか」
「まさか。クアールは、南が本命だろう?あちらの国主ならまだ罠がありそうだなって思っただけだ」
この人には何が見えているのだろうとセインは背筋が寒くなる。
「西と東の軍も全部、南へ」
国主の言葉にセインは目を見張った。国主は穏やかに微笑んでいる。
「決戦は南だ。どうせなら、クアールの戦力を徹底的に削いで。ここでうまくやれば、かなりこちらに有利だ」
決戦。そこまでクアールは手を打ってくるだろうか。
それなら最初から、南が手薄なうちに大量の軍を送れば良かったのではないか。
「こちらが油断するのを待っているんだよ」
心のうちを見透かされて、セインは嫌な顔をする。この人には、考えたことがなにもかも筒抜けだ。心的障壁を設けてもほとんど意味がない。心の動きを全てみられているのは不快だった。
「我が軍の半分の兵力を南へ向けます」
その言葉に国主は満足げに頷いた。そして、セインに近づき、目の前で止まった。
銀の髪を一房掬いあげる。
「綺麗だ」
そのままその髪に口づけた。セインは身を震わせた。
「君たちに祝福を」
唇を髪につけたまま国主は告げる。
震えを悟られないように、セインは軽く膝を折り、それに答える。
国主は髪を掬った手の指の背でセインの頬を撫でた。
「終わったら、レイラースとタミルを連れておいで。最近、君も含めて誰も来てくれないんだ」
辿られる頬の感触にセインは瞳を閉じる。この手を待ち焦がれた時もあったのに、どうしてこんなに遠くなってしまったのだろう。
「寂しいよ」
指の背で唇を辿られ、セインは背を震わせた。
「わかりました。全てが終わったら彼らにも伝えます」
「約束だよ。3人でここへ来て」
優しく甘く告げられた言葉にセインは頷いた。
国主はにこりと微笑み、髪から手を離した。どこから見ても天使の微笑みにしか見えないたおやかで優しい容貌。心から祝福を授けているようにしか見えない国主の本当の姿をセインは知っている。
幼い時に憧れた従兄はもうここにはない。
セインは膝をつき、再度正式な礼を取ると国主の部屋を後にした。


城壁に槌をあてる音が響く。
砦を囲んだぐるりと囲んだ城壁はあちらこちらが、クアールの攻撃によって傷んでいた。大きな穴が開いていたかと思えば、積み上げたレンガが崩れているところもある。直さなければ護りにならない。崩れた部分を槌で砕いて除き、接着用の石材を塗り、そしてレンガを組あげる。
夜を徹しての城壁修復作業は進んでいく。
兵士たちの顔には疲労の色が濃く滲み出ている。だれしもが眠れず、絶え間のない戦闘に疲れ切っていた。
城壁を見回るレイラースの顔色も悪い。指揮を執る身であってみれば、兵が寝ずに作業をしている時に眠れるものでもない。
「あ、隊長」
レイラースが作業現場を通りかかれば、兵士たちは気軽に声を掛けてくる。戦闘中の連帯感が日ごろの兵士と隊長の距離を縮めていた。
「どうだ。様子は」
「今日の被害は少ない方でしたからね。もう、間もなく修復も終わります」
「向こうもだいぶ疲れてきている。補給路もないからね。明日には援軍も到着する。もう少しの辛抱だ」
励ますレイラースの言葉に、周りの兵士も深く頷く。
兵士たちはレイラースの的確な采配のおかげで、被害が最小限であることを知っている。日頃は浮き名を流し、風流で典型的な貴族というイメージで、色つきの無能扱いしていた下級兵士でさえもこの戦闘でのレイラースの活躍には感服していた。
副官が引きとめなければ、戦闘のまっただ中へ自ら兵を率いて出て行きかねないくらい実は無鉄砲なことも兵の士気を高めていた。
しかし、裏をかえせば、この戦闘がそこまでレイラースが手を掛けなければいけない状況だということだ。
いままでの適当さでは対処できないことを示しているのだから。
「終わったらできるだけ休め。明日も明るくなったら攻めてくるだろう」
そう言ってレイラースは、城壁の南を睥睨した。
遠くに松明の明かりが見える。クアールの陣だ。夕方の戦闘は初日だけだった。急襲したつもりが、万全の態勢で迎えられ、夜の戦闘が全く効果を生まなかったためだ。
クアール側の指揮官も馬鹿ではない。思惑が外れる度に戦法を様々に変化させた。
見えない指揮官を睨みつけるように、レイラースはクアールの陣形を見つめる。
レイラースにとっての救いは、その指揮官がセインと同じような考え方をする奴だったことだ。戦法を変えられてもどうするかが読みやすい。
明日、こちらに援軍が到着し、数で不利なのを察して兵を退いてくれればいいのだが。
じっと見つめていた視線をふっと外し、レイラースは踵を返した。白いマントがふわりと風をはらんで浮き上がった。
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