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「天空国の守護者」
トレジャ編

援軍そして決戦

 ←国主 →決戦
朝日が昇る前、薄闇が白く色づき始めるころ、砦には北から一万五千の援軍が到着した。率いてきたのは、黄軍副官サルファだ。
「レイラース隊長」
部屋に入ってくるなり、サルファは嬉しそうにレイラースの前に跪いた。
「遅れてすみませんでした。援軍一万五千と補給物資、ただいま到着いたしました」
「サルファ。ありがとう。助かったよ。それにしても、援軍の数が当初聞いていたより多いな」
それににっと笑いかけて
「一万を率いて都を出たんですけどね。途中でもう5千を送るから合流して行けと命令が来まして。その間に補給物資の調達をというセイン様からの命令で、そのせいで1日到着が遅れました」
サルファはそう告げる。
「それからこれが命令書です。こちらも昨日都から伝令により届きました」
サルファが立ち上がり、レイラースに文書を手渡した。
それを受け取り、レイラースは文書を広げ目を通す。赤と緑の瞳が細められる。
「どうされました」
アミルが横から心配そうな顔をする。こちらも疲労の色が濃い。
レイラースは丹念に命令書を読みなおした。誰もが固唾を飲んでその様子を見守った。
「明日、東と西に陣を張っていた翠軍五千と白軍五千がこちらに合流する」
「なんですって」
「なんだと」
アミルとサルファが声を合わせた。
「やはり本命は南だったってことだ。クアールも援軍を待っている」
レイラースの言葉に二人の副官が固まった。
決戦……。
その単語が誰しもの頭をよぎる。
「本来なら東か西を回ってくる援軍をそこで撃破できればいいんだろうけどね。それはさすがに相手も読んでいるだろう。どこを通して援軍を南にまわしてくるかはわからないが、我々もここでそれらを迎え撃つ。こちらの兵力は約三万。向こうも同じくらいはよこすだろうな」
淡々と述べるレイラースでさえ、眉間にしわが寄っている。あまり感情を表に出さない人だがそれでも覚悟のほどがうかがえる。
「どこからの情報なんです」
アミルが震える声で尋ねた。
「予見だ。国主の予見。命令はできるだけ徹底的にクアールの戦力を削げとのことだ」
「予見……」
守護者の国主は誰よりも強い異能を持ち、守護者の誰もがもちえない予見の能力に長けていた。その力が彼を国主にしたと言ってもいい。
「我々は勝利するのでしょうか」
予見ならわかるのではとアミルが小さくなる声で訊く。
「それは書いてない。国主の予見は自分のことはわからないんだ。それに、未来が見えるわけではないからね。確定した事実が垣間見えるだけ」
たおやかな外見をした国主をレイラースは思い起こす。
「どう違うんです?」
サルファが問う。この男は、特に予見と聞いても決戦と聞いても怯えた様子はない。筋骨隆々な見かけの通り、偉丈夫なのだろう。
「すでにクアールがここに向けて援軍を送っているということ。到着するからそれは確定事項。そういうものが見えるんだよ。だけど何かで変わってしまう未来は見えない。不確定要素があると未来はすぐに変化するからね」
ということは、まだこの決戦の勝敗は確定していないということだと副官二人は思った。
「サルファ。到着した軍勢に鬨の声を上げさせて。旗や鳴り物も派手にね。二万五千から三万の援軍が大挙して到着したとクアール側に知らしめる」
レイラースの命にサルファはさっと膝をつき、頷いた。
「今日は攻めても無駄だと思わせたい。明日、一万の兵と翠軍隊長カミールと白軍隊長ヴァイスが到着すれば、展開も変わってくるだろうしね」
「承知」
サルファが頭を下げる。横にアミルも跪き、頭を垂れた。


その日の戦闘は、朝方に守護者軍が援軍到着を華々しく告げたことにより、レイラースの読みがあたり、戦闘は小競り合いだけとなった。
守護者軍から送った先陣とクアール側の迎撃部隊が、両軍の狭間で戦闘を繰り広げ、ほぼ互角の戦いで幕を閉じた。
被害もほとんど出なかったが、相手へのダメージも少なかった。
そしてその晩、思ったより早く翠軍、白軍合わせて一万が到着した。城内は明るいムードに包まれ、歓喜の声があちこちからあがった。
「レイラース」
先に指令室に入ってきたのは、白軍隊長ヴァイスだった。腰まで届く白く長い髪を後ろで一つに束ね、片手に兜を持ったままだ。
「ヴァイス。よく来てくれた」
レイラースは立ち上がると手を差し伸べ、入室してきたヴァイスと握手を交わす。
「よく持ちこたえましたね。外から見る限り、城塞にも被害はあまりないようじゃないですか」
ヴァイスはこんなときでも丁寧な言葉使いでレイラースをねぎらった。
「そうでもないけどね。明るくなったらわかるよ。兵の被害は最小限だと思うけど、すでに戦闘と修繕で僕の隊の兵士は疲労がピークだ」
最初からいた5千はあまりあてにならないとレイラースは告げる。
「黄軍5千は後方支援に回しましょう。我が軍か翠軍で前線は引き受けますよ」
「それは、カミールが来てから相談しよう」
レイラースの言葉にヴァイスは頷いた。
副官のアミルにお茶の用意をさせ、今までの戦況と状況をレイラースはかいつまんでヴァイスに話した。
「遅くなりました」
そこに音も立てずに翠軍隊長カミールが入ってきた。
「カミール。待ってた。西はどうだった」
立ち上がり、レイラースは手を差し伸べた。カミールがその手をしっかり握り返す。
「静かなものです。南への補給を断つくらいの役には立ちたかったんですけどね。影も形もありませんでしたよ」
アミルからお茶を受け取って席に着くと、カミールは答える。
緑の髪が白い顔の横で揺れ、男性にしては繊細な指がカップを口へ運ぶ。思慮深くたおやかな容貌だが、守護者軍一の軍師と名高い男だ。
「東も同様です」
ヴァイスが答える。
「カミール、ヴァイス」
改まって、レイラースは二人に呼びかける。
二人も真剣な顔でレイラースを見つめた。
「セインからの命令は聞いた?」
二人は頷く。
「国主の予見も?」
それにも首を縦に振る。
「すでに同じ命令書を見てると思っていいのかな」
「でしょうね。これが決戦になると思ってるんでしょう。レイラース」
カミールが逆に尋ねた。
「そうだ。君たちが来てくれたから、すでにこっちの戦力は三万。向こうは一万五千」
「今日明日にはあちらも三万近くになるでしょうね。それでも城塞戦ですからこちらが有利」
ヴァイスがうっすらと微笑む。
「それは向こうもわかっているでしょう。何か罠がありそうなきがしますよ」
カミールは慎重だ。
「何だと思う?僕には皆目見当がつかないんだけど」
二人の顔をみてレイラースは訊いた。
「それは戦闘が始まらないと何も言えないですが、向こうも不利なのは分かっているでしょうから、真っ向対決だけではないと思ったんですよ。ただ、シールドと移動制御を強化した方がいいでしょうね。内側に入り込まれるのが一番厄介ですから」
その言葉に嫌な予感がレイラースの背筋を震わせる。
「人間を使う可能性もあると思う?」
「あるかもしれませんね。南はクラサ国とスーザ国ですね」
表情(かおいろ)一つ変えずに、カミールは答える。
「セインからパラドースに門を閉じるように要請をかけさせよう。ついでに5千の軍をそちらの警備にまわす」
「人間を守るのですか」
嫌な顔をしたヴァイスをレイラースは睨む。
「パラドースになだれ込まれたら厄介だ。パラドースの人間どもは戦えないし、そっちを突破されたら前後から挟み撃ちにされる」
「それにパラドースが蹂躙されたら私たちの存在意義もなくなるということです」
さらりとカミールが付け加える。
守護者はパラドースの人間を守るためにいるのだから、そちらを蹂躙されては本末転倒だ。それが本意でなくとも。
「それがいいでしょうね。戦力が2万5千になりますが、城塞を盾にすればとくに問題にもならない数でしょう。人間が何万いても守護者5千の軍にはかなわないと思いますし」
お茶を優雅に口に運びながら、明日の天気の話をするようにカミールは答える。
「戦力は2万だ。すでに最初からいる兵たちは疲労が激しい。初期の戦闘には使えない。その話をカミールが来る前にヴァイスとしていたんだ」
「なるほど。では、それで戦略を立てましょう。相手の援軍が到着する前なら、こちらから打って出るのもいい手ですしね」
守護者軍の最高軍師の言葉にヴァイスとレイラースは深く頷いた。


朝日が昇る。
レイラースは城壁の端に立って、明け始めた空に瞳を据えた。
薄墨色の空が青に染まったかと思うとオレンジの色彩が広がって、光が生まれる。太古の昔から繰り返されてきた光景。それでも、レイラースにはこの朝の日の出は特別に見えた。
すでに、守護者軍2万は戦闘準備を終え、彼の命令を待っている。朝の冷たく澄んだ空気が緊張をはらみ、身が痛いほど張りつめている。
対するクアール軍1万5千。こちらは援軍が到着した様子はない。
昨夜、カミールが助言したとおり、シールドと移動制御は感応力の強い能力者によって強化されていた。これで、クアールといえども迂闊に空間移動で飛んでくることはできない。無理に飛べば、身体がつぶれる。
レイラースの隣には、カミール、ヴァイスが並び立ち、ともにクアール軍を見つめた。すでに明るくなった空には黒い帯のように相手の軍が展開しているのが見えた。
「行くのか」
ヴァイスに問われて、レイラースは頷いた。
「君たちがきてくれたから、僕が後方に張り付いている必要はなくなったからね」
鮮やかにレイラースは笑う。金の髪が陽光に映えて、きらきらと輝いた。
「黄軍の総司令官なんですよ、あなたは」
カミールが諦めたような口調で、昨夜から繰り返す言葉を再度贈った。
「わかっているけど、見ているだけっていうのは性に合わない。ここのところの戦闘でずいぶんストレスがたまったからね。貰ったものはそっくり返さないと」
明るいレイラースの口調の中に恐ろしいほどの戦闘欲をみて、二人は口をつぐんだ。見かけは豪奢で、まるで塑像のように美しいのに、レイラースの内面は炎よりも熱いということを彼らはよく知っている。この見かけに騙されて、彼を誤解している者は必ず、痛い目を見てきたのだから。
「先陣切って攪乱してくるよ。できるだけ数を減らせたらこっちが有利だ。それに、追い詰められれば、手の打ちも明かすでしょう」
罠のことを指してにっこり笑うレイラースから二人は目を逸らす。ひどく華麗であまりにも危険な雰囲気だ。
気まぐれで過激な金の天使。これがレイラースの本性。
「無理はしないでください、レイラース。深追いはいけません。それは今後の作戦に支障をきたしますから」
無駄だとは思いながらカミールは釘を刺した。しかし、レイラースの攪乱作戦がどう転ぼうが、自軍に有利なのは明白であり、レイラースが命令に従わなくても特に問題はない。
「隊長」
控えていたアミルが、レイラースに声を掛ける。
「そろそろだな」
槍を受け取り、レイラースはアミルにも笑いかける。
「お前も来るんだね」
「当然です。私は貴方の副官ですから」
視線を交わして二人は不敵に笑った。

高らかにラッパの音が鳴り響き、決戦が始まった。
なだれ打つように、守護者軍はクアール軍に押し寄せる。先陣を切るのは黄色のひれを兜につけた黄軍だ。最近到着した5千の兵がレイラースに従い、一気に敵陣へと突っ込んでいく。
あっという間に天空に上った太陽が、守護者の白銀の鎧を煌めかせ、彼らが通った後には、黒い鎧が地面へと落下していく。
レイラースは槍を振り、踊るように優雅に敵を沈めて行く。クアールの武器はレイラースに掠りもしない。
彼の強い感応力の影響で、相手の狙った攻撃が逸らされるからだ。
彼らが飛びぬけて行く先は、黒の軍が分かれ散り、また群がる。
黄軍に負けじと翠、白両軍も奮闘し、クアールの先陣をけ散らかした。相手の援軍が到着するまでにできうる限りの戦力を削る。これが、彼らの使命だった。
そして、レイラースは戦いながら、クアール軍の気配を探る。援軍の気配を捕まえたらその時点で撤退するために。
城壁の上ではカミールが戦況を見つめている。ヴァイスも白軍を率いて出陣していた。
絶えず、戦果がカミールのもとに報告された。
「緒戦の戦果としては上々です」
カミールはひとりごちる。
しかし、心に湧く不安は消えない。ざわざわと嫌な予感がした。それが何かは今は全くわからない。
黒い瞳を閉じる。クアールの気配が鮮明に届き、視覚があるときよりもよく視えて、くらりとする。
その気配が下がるように思え、カミールは瞳を開けた。
「撤退の合図を」
クアールの主陣へと陣が移動するのがはっきり見え、カミールは側に控える兵に撤退の合図を出すように命じた。
ラッパの音が違う音色で響き渡り、守護者の軍が城壁に向かって、徐々に後退した。

殿を務めてもどってきたレイラースは、指令室になっている部屋へと鎧姿のまま現れた。
「切り上げるのが早かったんじゃない」
兜を小脇に挟んで、足高に部屋に入るなり、レイラースは言った。
「動きが見えたんですよ」
机上に広げた地図を挟んで立っていたカミールとヴァイスは、レイラースを迎い入れる。
「動き?」
「そう、クアール側が後退したんです。深追いは罠の可能性もある。戦果は上々です。あなた方黄軍のおかげでね」
にこりと笑ったカミールに、答えることもなく、レイラースは兜を机の上に置いて、地図を眺める。
「どのくらい減ったと思う?」
「多くても、2、3千ってところでしょうね」
ヴァイスの答えに、レイラースは眉をひそめた。
「もうちょっと蹴散らしたと思ったが」
「相手もそうそう致命傷は負わないでしょう」
カミールの言葉と同時に3人は顔を上げた。クアールの気配が押し寄せる気がする。
「援軍が到着したようですね」
言葉にしたのはカミールだった。3人が3人とも感応力で気配を読み、すでに援軍がクアール軍に合流したのを感じる。
「仕掛けてきますね」
カミールの言葉に3人は目を見かわした。
「相手も後がない」
「仕掛けられた罠も発動するでしょう」
レイラースとヴァイスのセリフにカミールが深く頷いた。
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