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「天空国の守護者」
天空国編

すみれ色の国主

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後始末に追われた翠、白、黄軍が帰ってきたのはそれから2週間も経った頃だった。
まだ、南に5千の兵を残しての帰国だ。
クアール軍は新月の進軍に敗走し、そのまま撤退した。守護者の軍も深追いはしない。それでも、この戦いの勝利は火を見るより明らかだった。
推計でしかないが、相手の戦力は半分以下にまで減り、クアールのもくろみはことごとく失敗に終わった。
これで、しばらくは大きな戦いはないだろう。天空の国は戦勝に湧きかえっていた。続々と国に出陣した兵が返ってきた。
レイラースもその一人だ。


「無事でよかったよ。二人とも。よくやったね」
国主の私室に招かれた3人は、国主の前に軍装のまま跪いた。
「国主の予見のおかげです。我々だけではあのもくろみはわからなかった」
レイラースが頭を下げる。
「まったく、堅苦しいな。それはもうわかったから、3人とも立って。今日はお茶しに来て貰ったんだから。そうだろう?」
国主はにこにこと笑うと3人をテーブルに着くように促した。
すでに、謁見の間での戦勝報告も国主の寿ぎも3日も前の話だ。国主の戦勝報告で国中が祭りの様子を呈している。藍、紅軍もすでに帰国した。守護者側にも被害は出たが、全面戦争だったわりにこちらの損傷は軽微だ。
「タミルの傷はどう?」
席につくなり、国主は絶やさぬ笑みで訊く。
「もう塞がりました。先に帰国させていただきましたから」
怪我をした肩に手をやって、タミルは答える。
「ひどい傷だったってきいた。肩をざっくりやられたんだろう」
「申し訳ありません」
首を横に振って、タミルは謝罪を口にする。
「なぜ、謝る?怪我をしたのはタミルなんじゃないの」
「敵を仕損じましたから。その上、逃がした……」
悔しそうにうつむくタミルに国主はにこりと笑った。
「そうだね。あれは災いだ」
国主の言葉にはじかれた様にタミルは顔を上げる。
「大丈夫。リベンジのチャンスをあげるよ。近いうちにまた相見えるだろうからね」
明日の天気でも占うような口調で、国主は告げる。
「それは予見ですか?」
レイラースの言葉に国主はくすくすと笑った。
「言ったろう。あれは災い。ほっといてもそのうちタミルを狙うってこと。相手も恨んでるだろうからね、タミルのことをさ」
「それはタミルにとっての災いなのですか。それとも天上界の?」
セインの言葉に、国主はカップを優雅に持ち上げて口元に運ぶ。
「どうかな。どっちもじゃないかな。どっちにしろ敵なんだから」
どうでもいいように言われて、3人は顔を見合わせた。幼馴染であるのに、相変わらず国主の考えていることはよくわからない。
「油断しないことだ。特にタミルは。相当だよ、逆恨みだと思うけどさ」
タミルが頷いたのに満足げに国主は笑う。
「もう、捕虜には会われました?」
レイラースの言葉に国主は嫌な顔をした。
「あれね。嫌な感じだった。気の長い作戦って言うか、厭らしいっていうか。訊いてみたらさ、なんでもよかったみたいだ。暗示が掛かっていればね」
意味がわからず、レイラースとタミルはセインを見る。
「国主?」
「だから、暗示がかかった連中を紛れ込ますだろう、発動したら周りの守護者にも暗示をかけるんだ。命令はその場に応じて、『もっとも守護者の不利になるように行動すること』。ここなら、僕の命を狙うとか。城攻めだったから、奇襲の日に内部攪乱および、門を開くだったんだろうね。移動中だったら、食料を燃やされていたかも」
国主の口調はのんびりしていて、まったく危機感がない。国なんかどうでもいいように聞こえた。
「陰険っていうか、嫌な奴だ、クアールの国主は」
そこだけさも嫌そうに言われて、3人は驚いた顔をする。国主にとって嫌なのは相手の国主の思惑だけなのだ。
「あ、そうそう。紛れ込んでいたクアールは4人だけだった。あとは、うちの兵士で、暗示にかけられていただけ。どうするの、セインは?」
「罰しませんよ。彼らは何も覚えていませんし」
セインの声は相変わらず硬い。
「ふうん、そう」
「何か問題が?」
「ないよ。暗示は解いたし」
目の前のケーキにフォークを差して、ぱくっと国主は口に放りこむ。そうしていると、この綺麗な青年が国を背負っていることを忘れてしまう。
「他にはいないのですか?暗示に掛けられている者は?」
レイラースの言葉に、国主は鼻にしわを寄せた。そんな表情ですら、見るものを魅了する。彼は本物の天使だと。
「それがさ、全員を精査しろって言われたんだけど、どう思う?」
「誰に?」
国主を見ているとだんだん、畏まっているのがバカバカしくなったらしいタミルが、普通に訊く。
「宰相」
「だってさ。うちの軍隊って何万もいるんだよ。そんなの精査してたらどれだけ日数がかかると思っているんだろうな」
「日数?」
レイラースも幼馴染の顔になる。
「そうだよ。10日はかかる。めんどくさい」
何万もいるのに10日なのかとレイラースとタミルは驚きの表情だ。国主の力は歴代国主の中で、創国の国主と匹敵すると言われているが、それはあながち間違えではないらしい。
子供の時は悪戯好きのただのお兄さんだったのに。
「それよりさ、このケーキ、おいしいと思わない?最近、雇ったシェフが、おかし作りがうまくて」
にこにこと口にケーキを運ぶ国主をタミルとレイラースは苦笑いで見つめる。とても年上とは思えない。
「最近、雇われたのですか?」
たいして、セインの口調は変わらない。彼だけは昔に戻ることがない。
「そう。なんか悪い?」
「いえ」
安全を危惧したのだが、国主を害せる者などいないことにセインは思い当る。精神障壁も聞かない唯一の者だ。誰も彼には心を偽れない。
「セインは食べないの?」
まったく手をつけていないのを見て、国主の表情が曇った。
「ああ。いただきます」
セインもフォークを握った。それに、にこりと国主は笑う。この濃紫の瞳に見つめられて微笑まれたら大抵のものが魂を手放す。それを良く知っているセインは、すっと視線を逸らした。国主の瞳が瞬きを止めた。
「しばらくはまたあっても小競り合い程度だ。その間に、士気を養っておくように」
セインがフォークを口に運ぶのを黙って見ていた国主は、組んだ手の上に顎を乗せて告げた。
退出の合図だ。
3人は席を立つ。
「ごちそうさまでした」
頭を下げる3人をにこにこと国主は送りだす。くるりと踵を返し歩きだす背に、国主は声を掛けた。
「セイン。君にはまだ話がある。もう少しここにいて」
ぎくりと背を震わせて、セインは立ち止った。ゆっくり振り返る。
口端をあげて微笑む国主の紫の瞳は笑んでいなかった。セインは大きく瞳を見開いた。
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