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「天空国の守護者」
天空国編

望み(1)

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窓際に椅子を寄せて、キリスエールは窓を見上げていた。広い室内は、クリーム色の毛足の長い絨毯が敷かれ、白のサテンのソファが並べられていた。同じ室内に文机と椅子、そして部屋の奥には大きな天蓋付きベッドがその存在を誇示していた。
レイラースのところで与えられた部屋より広く、その代わり1室に全てが収まっている。
カーテンを開けた窓の外にはまるい月が暗い闇を彩っていた。
部屋の扉をノックする音がする。だが、キリスエールはそれには答えない。もう、なにもどうでもいいような気がする。
答えないのに扉は勝手に開いて、セインが滑るように部屋に入ってきた。
「キリスエール」
呼ばれて、キリスエールはそちらを向いた。
「何をしていたの?」
キリスエールの側に寄りながら、セインが尋ねる。
「何も」
自分でも声に覇気がないと思う。
「そう」
困ったような微笑みを浮かべて、セインはキリスエールの髪に手を伸ばした。その髪を梳く。キリスエールはじっとしている。
「レイラース様とタミル様をどうするんですか?」
しばらくして、一番気になっていることを問うた。自分のせいで、あの人たちに危害が及ぶのは耐えられない。
「どうしようね」
髪に手を差し入れて、頭を引き寄せられた。
「キリスエールはどうしたい?おまえを傷つけたタミルを許せる?」
キリスエールは身体を震わせた。
「わかりません。でも、俺はタミル様が憎いわけでも怒りを覚えているわけでもない」
「そう。レイラースはひどく怒っていたけどね」
「レイラース様は優しいから」
ぽつんと呟くとセインが笑った気がした。
「レイラースのところに帰りたい?」
キリスエールは顔を上げた。帰りたい気もする。あそこの生活は穏やかで、寂しかった。今から、何もなかったかのようにあそこに戻ってももはや同じ生活は送れないこともキリスエールにはわかっている。気配が見えなかろうが、セインもタミルもやってくるだろうし、そうすればレイラースが自分を部屋からださないだろうことも想像がつく。
見つめた先のセインは優しげに微笑んで答えを待っている。
「わかりません。もう、同じではいられないから」
「そうだね。じゃあ、トレジャに戻りたい?」
それには首を横に振った。あそこには帰りたくない。ルイスには会いたいが、それだけだ。ここにいれば、タミルにもレイラースにも会えない。レイラースのところもしかりだ。トレジャにいたら、また怯えて暮らさなければならない。
どこにいても自分が望む生活は送れないのだ。
「キリスエール」
セインが腰をかがめて、前髪に口づけを落とす。
「私と一緒にここで暮らせばいい。会いたければレイラースにも会わせよう。お前がタミルにもあいたいというなら、それも叶えてもいい。ただ、僕とともに、お前が僕を選べば、お前のあとはお前の望むままに」
「選ぶって?」
不安そうに見つめると、セインはキリスエールの瞳をまっすぐに見つめた。
「僕と一生を共にするってキリスエールが決心するってこと。君たちの言葉を借りれば、伴侶とするってことかな」
「伴侶?!」
あまりな言葉にキリスエールは目を見開いた。それって結婚するってことなんじゃなかっただろうか。
「そんなに驚かなくても……。花嫁になれとは言ってないよ」
「俺は男ですから、花嫁にはなれません」
きっぱりと言ったらセインがくすくすと笑った。面白そうに肩を震わせて笑っている。
「セイン様」
「ごめん、ごめん。あまりに想像通りの答えだったから。だから、伴侶って言葉を使ったのに」
まだ、笑いながらセインは言葉を継ぐ。
「僕はキリスエールの心も身体も欲しい。トレジャでの逢瀬を忘れてしまった?」
睨みつけた瞳をキリスエールは床に落した。初めて他人に抱かれることを教えたのはセインだった。守護者に抱かれることは怖いことでも辛いことでもないと知った。セインもレイラースもそれは大切にキリスエールを抱く。
だが、あれは自分が贄だからだ。守護者の慰めが自分の身体なのだ。
「僕はキリスエールが好きだ。愛していると言ってもいい。だから、お前をだれにも触らせたくない。本当ならここに閉じ込めて僕だけを見て、僕だけのものでいて欲しいとさえ思ってる。でも、それじゃあ、お前は幸せになれないんだろう?だから、キリスエールが僕を選んでくれたら、その身体に触れるのも愛を囁くのも僕だけだと言ってくれたら、あとはお前の自由にここで暮らせばいい」
キリスエールは顔を上げられなかった。レイラースもセインもキリスエールを好きだという。愛していると。だから、選べと。
だが、キリスエールには自分の心はわからない。これがセインやレイラースの語る気持ちと同じなのかも。
贄として扱われるのは嫌だけど、この3人の守護者にならそれも許せるくらいにはキリスエールは3人を信用している。身体を求められても、一時の慰めにされてもそれでもいいとさえ思う。
「レイラースを愛しているのか?」
答えないキリスエールにセインは微かな苛立ちを込めて訊く。
「そうであったら、俺はここにはいないんでしょう?」
床を睨みつけてキリスエールは呟いた。レイラースの哀しそうな瞳が忘れられない。涙の熱さも。あのレイラースを泣かせてしまったのは自分だ。選んだと思っていたのに、あの手を取ったと思っていたのに、それは偽りだったのだ。
「そうだったな」
息だけで告げて、セインはキリスエールの腕を引いた。反動で立ちあがったキリスエールを抱き締める。
「キスしていい?」
訪ねるセインをキリスエールは見た。
「あなたの望みのままに」
キリスエールの答えにセインは痛そうに顔を歪めた。
指で頤(おとがい)を掬って、キリスエールを上向かせる。キリスエールは瞳を閉じずにセインを見つめた。
啄ばむようにセインはキリスエールの唇に触れる。キリスエールは瞳を閉じた。もう、何がどうでもよかった。贄である自分に抗う自由はないし、拒絶する気力もなかった。
「いいの?このまま抱くよ」
身体の力を抜くとセインが支えてくれる。断らなくても俺を好きにするんだから、別にお伺いをたてなくてもいいのにとさえ思う。
答えないでいると、セインの溜息が聞こえた。身体を離される。キリスエールは自分の足で立つ。目の前に立ったセインはまっすぐにキリスエールを見つめていた。
「お前の望みは何?」
「俺の望み?」
そんなものは、トレジャに送られて以来、持ったためしもかなえられた試しもない。
「そう、キリスエールの望むこと。僕はキリスエールの望みを叶えると言っただろう?」
優しいセインの目を見ながら、ああ、セインもレイラースも俺の望むようにと言ってくれていたことを思い出す。だけど、俺の望み。それは……
キリスエールは自問自答して、呆然とした。前は一番の望みは故郷に帰って平穏に暮らすことだった。なのに、今は。
俯いて、キリスエールは身体の脇に垂らした手をにぎりこんだ。
「レイラース様とタミル様の謹慎を解いてください。俺のせいで、争わないでほしい」
俺のために心を痛めないでほしい。レイラースの涙を思い出して、キリスエールは唇を噛んだ。
「自分のことじゃなくて、僕たちを心配しているの」
呆れた声に、キリスエールは鼻の奥がつんと痛くなる。どうしたらわかってもらえるんだろう。俺が原因で喧嘩するなんておかしいってことを。
「俺は贄で、誰のものでもなくて、だから、あなた方が争う必要はないんだ。そうでしょう?友達じゃないんですか」
セインは痛そうな顔をした。辛そうな切なそうな瞳でキリスエールを見る。
「友達ね。そうだったかもしれないし、違うかもしれない」
セインの言葉は全くキリスエールにはわからない。どうして、セインが傷ついているのかも。
「いいよ。キリスエールの望みを叶えよう。あの二人のやったことは厳罰ものだけど、今回は不問にする。公にはなっていないからそれも可能だろう」
セインはそう言って、手を差し出した。
「僕はお前を閉じ込める気も行動を制限するつもりもない。表屋敷であるなら、取り次ぎするなら、レイラースとタミルと会うことも認めよう。だから……」
セインは瞳を眇めた。長い銀の髪をかきあげる。
「おまえも僕の望みを叶えて」
セインの言葉にキリスエールは胸が痛むのを感じた。
守護者の望みを叶える。それはキリスエールの仕事だ。お前はトレジャの贄だと言われたも同義。だが、それがキリスエールの望んだことだ。
一歩、踏み出すとキリスエールはセインの手に自分の手を重ねた。
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