スポンサー広告

スポンサーサイト

 ←望み(2) →決められない心
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。


にほんブログ村 小説ブログ BL小説へ

もくじ  3kaku_s_L.png 未分類
もくじ  3kaku_s_L.png はじめに
もくじ  3kaku_s_L.png リンク集
もくじ  3kaku_s_L.png Novel lists
もくじ  3kaku_s_L.png 奇跡の刻
もくじ  3kaku_s_L.png 平行線の恋
もくじ  3kaku_s_L.png 煉獄の恋
総もくじ  3kaku_s_L.png 天空国の守護者
総もくじ  3kaku_s_L.png 巡る季節と恋の順番
もくじ  3kaku_s_L.png 雑記
総もくじ  3kaku_s_L.png 山神の花嫁_昔話
もくじ  3kaku_s_L.png 告白の向こうへ
もくじ  3kaku_s_L.png 空の月を恋う
総もくじ  3kaku_s_L.png おまけ番外編ショート
もくじ  3kaku_s_L.png 遠回りの片恋
もくじ  3kaku_s_L.png 腕の中の迷い猫
総もくじ  3kaku_s_L.png 蒼い闇の化身
  • 【望み(2)】へ
  • 【決められない心】へ
  • TB(-)|
  • CO(-) 
  • Edit

「天空国の守護者」
天空国編

謹慎明け

 ←望み(2) →決められない心
セインは約束を守った。
だが、おとがめなしはさすがにまずかったらしく、レイラースもタミルも3日の謹慎だけは免れなかった。公の理由は命令違反。だが、それが何かは誰にも告げられないまま、事は済んだ。
副官たちの不満を除いて。
「レイラース様」
黄軍の執務室の扉を開けるなり、アミルが怖い顔で出迎えた。
執務室は将軍のも隊長のも作りは同じだ。ドアの向かいに大きなデスク、床は絨毯で、入り口側にソファが置かれている。デスクの前にアミルが、ソファの後ろにサルファが控えていた。サルファはとくに怒っている様子もなく、いつも通り無表情だ。
「アミル、サルファ。おはよう。どうした?朝の訓練は?」
部屋に入るなり、副官が2人とも勢揃いしていて、面食らったようなレイラースは部屋の奥にある自分のデスクに向かって歩きながら、声を掛けた。
「どうもこうもありません。謹慎3日ってどういうことです?」
デスクについて、アミルの文句を聞きながら、レイラースは溜息をついた。
「説明してください。具体的な説明なしに、納得できません」
確かに、命令違反とは軍人にとっては無視できない理由だ。言い訳にしてみれば都合はいいだろうが、された方はたまったもんではない。
「セイン将軍と意見が対立しただけだ。ちょっと喧嘩になっちゃってね」
「喧嘩って。それだけですか。それで、黄軍は命令違反の汚名を?」
アミルの怒りはもっともだ。隊長を侮辱されたと思っているのだろう。
「迷惑をかけた」
今回の所業もセインの態度もはらわたが煮えくりかえるほど怒りを覚えているが、副官を巻き込むのはまずい。そのくらいの判断力はレイラースにも残っていた。事が大きくなれば、困るのはキリスエールだ。
「レイラース様を責めているのではありません。納得がいかないだけです。セイン将軍は黄軍を軽く見ておられるのでは……」
「アミル」
言葉を遮ったのはサルファだ。偉丈夫なサルファの声は低いが通りが良い。
「すみません。言葉が過ぎました」
アミルは悔しそうに黙りこんだ。
「だが隊長、このままでは指揮にかかわります」
サルファの声にレイラースは笑った。
「笑い事じゃありません」
「アミル、サルファ。いつものことだろう。平時の私の評価はいつもそんなもんだ。いまさら兵士も気にしないさ。大きな戦は終わった。しばらくは出撃もないだろう。だから、大丈夫だ」
さらりと微笑まれて、アミルとサルファは口を閉ざす。
そう、大丈夫だ。平時ならいままでもこういうことはあった。僕に傾倒した姫の恋人が決闘を申し込んできた時も、くだらない会議をすっぽかした時も、謹慎はくらっている。
「今回はなんだったんです?」
サルファの言葉にすっとレイラースは瞳を細めた。色違いの瞳に睨まれて、サルファは口を閉ざした。
「この話しは終わりだ。黄軍が軽んじられることもないし、これでなにか我が隊が不利益を被ることはない。明日の朝の訓練には私も参加する。そう通達しておけ」
アミルとサルファは姿勢を正して、敬礼を送る。そのまま二人は部屋を出た。

「タミル隊長。入りますよ」
返事も待たずに私室に入ってきたのはカルアだ。普通の隊なら厳罰ものだろうが、黒軍は隊長が堅苦しいことが苦手とあって、この辺りの規律が他の隊より緩い。それもレイラースやセインは自分の屋敷に住んでいるのに対して、タミルは兵士たちと一緒に黒軍の宿舎暮らしをしているので、私室にも押しかけやすいというのも理由の一つだった。
「なんだ、カルアか。何か用か?」
謹慎がとけて、黒軍の訓練へと向かう準備をしていたタミルは突然の来訪者に驚いた顔だ。
「なんか用かじゃありませんよ。怪我が治ってやっと宿舎に戻ってきたと思ったら、謹慎って。あなたいったい何をやらかしたんです」
いきなりやってきては怒りをあらわにしているカルアにタミルは溜息をついた。この部下は苦手だ。いつも怒られている気がする。
「ちょっとな」
「ちょっとなじゃありません。少しは軍のために働いてください」
詰め寄られて、タミルはふっと笑った。帰国してこっち、怪我をして療養という名の謹慎、その後、キリスエールを探しまわり、それから、この謹慎で確かにまったく仕事をしていない。
「いくらルシードと私が代行しているといっても隊長はあなたなんですからね」
「わかっている。いつも悪いと思っているよ」
そう言うとカルアに睨まれた。
「怪我のせいなんですか?」
睨まれたまま尋ねられ、話が見えないタミルは怪訝な顔をした。
「黒軍が隊長を負傷させたうえ、敵を逃がしたまま帰国したのが原因か訊いているんです」
タミルは首を横に振った。
「違う。黒軍の働きは国主も認めている。藍、紅両軍への敵の攻撃の阻止、その後のクアール掃討も、任務は果たした。あれがあったから、北側は圧勝だったと。ゲリラ戦を途中で切り上げるよう指示したのも国主だ。あれ以上の深追いはメリットが無いという判断だった。国主から祝福と表彰をもらっただろう」
カルアは頷いた。
「今回は全くそれとは関係ない」
「じゃあ、何だったんですか」
タミルはカルアを見つめた。どう説明していいかわからなかった。キリスエールのことは言いたくない。何もかもが間違った方向にいっている気がしてならない。それが自分の軽率さが招いたことであるのが一番許せないのだが。
黙っていると扉がノックされた。
「隊長。ルシードです」
もう一人の副官だった。入室を許可するとするりとルシードが部屋に滑り込んできた。
「なんだ。カルア来ていたのか」
「ええ。たぶん、同じ理由でね」
怒りもあらわなカルアに苦笑して、ルシードはタミルを見た。
「なるほど、カルアに絞られていたんですね。隊長」
まっすぐにタミルを見て、ルシードは口元を引き締めた。ルシードから、強い思いが視線を通して伝わってくる。
「もう、黒軍、整列していますよ。あとは我々だけです。みんな、あなたの傷を心配していましたからね。元気なところを見せてやってください。訓練もつけていただけるとありがいですがね」
「ルシード!」
何も訊かない。いさめもしないもう一人の副官にカルアが声を荒らげる。
「俺はあなたを信じてますから」
「ルシード……」
名を呼ぶしかできなかった。カルアも口を閉ざす。怒られるよりも詰め寄られるよりも重い言葉だった。
「待ってますから、早く来て下さい」
そう告げて、ルシードは踵を返す。
「カルアも行くぞ」
軽く舌打ちをして、カルアはルシードの後に続いた。閉まる扉を見つめて、タミルは唇を噛んだ。
関連記事


にほんブログ村 小説ブログ BL小説へ

総もくじ 3kaku_s_L.png 天空国の守護者
総もくじ 3kaku_s_L.png 巡る季節と恋の順番
総もくじ 3kaku_s_L.png 山神の花嫁_昔話
総もくじ 3kaku_s_L.png おまけ番外編ショート
総もくじ 3kaku_s_L.png 蒼い闇の化身
もくじ  3kaku_s_L.png 未分類
もくじ  3kaku_s_L.png はじめに
もくじ  3kaku_s_L.png リンク集
もくじ  3kaku_s_L.png Novel lists
もくじ  3kaku_s_L.png 奇跡の刻
もくじ  3kaku_s_L.png 平行線の恋
もくじ  3kaku_s_L.png 煉獄の恋
総もくじ  3kaku_s_L.png 天空国の守護者
総もくじ  3kaku_s_L.png 巡る季節と恋の順番
もくじ  3kaku_s_L.png 雑記
総もくじ  3kaku_s_L.png 山神の花嫁_昔話
もくじ  3kaku_s_L.png 告白の向こうへ
もくじ  3kaku_s_L.png 空の月を恋う
総もくじ  3kaku_s_L.png おまけ番外編ショート
もくじ  3kaku_s_L.png 遠回りの片恋
もくじ  3kaku_s_L.png 腕の中の迷い猫
総もくじ  3kaku_s_L.png 蒼い闇の化身
  • 【望み(2)】へ
  • 【決められない心】へ

~ Comment ~

管理者のみ表示。 | 非公開コメン卜投稿可能です。

~ Trackback ~

卜ラックバックURL


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

  • 【望み(2)】へ
  • 【決められない心】へ
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。