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「天空国の守護者」
天空国編

提案

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セインの元に身を寄せて、1月が過ぎた。地上はすでに冬支度の真っ最中だろうが、天空国では袖の無い服では寒いか程度の気候だ。
ここにいても何もすることが無いと言ったキリスエールにセインは天空国について学び、剣をならうことを勧めた。本来なら、セインがそれを担当したかったが、将軍としての執務がある以上、そうもいかない。仕方がないので、部下から信用のあるものを選んで、キリスエールの教師とした。自分より下位で、人間に偏見はないが興味のない者。選ぶのは苦労したが、それなりにうまくいっているようだ。
最近、キリスエールもすこし、笑顔を見せるようになっている。
夜、部屋を訪れ、キリスエールから学んだことを聞く。もちろん、キリスエールの復習のためだが、嬉しそうに習ったことを話すキリスエールを見るのは楽しかった。癒されたとも言っていい。
手を伸ばして、身体に触れてもキリスエールは拒まない。可愛い声で啼くし、乱れる。だが、それだけだ。拒絶しないのと受け入れるのは違う。
きっとセインが他の誰かの元に通ってもキリスエールは何とも思わないだろう。ほっとするかもしれない。
もどかしく苦しい想いをセインは抱えていた。誰かを愛することなんてないと思っていた。一夜の夢欲しさに、姫を渡り歩いていたレイラースと違って、セインはそういうことには興味がなかった。
ああ。一度だけ、スミレ色の瞳のあの人には焦がれていたこともあったか。敬愛と親愛を持って、見つめていた気がする。
それも、もはや遠い過去の出来事だが。
「セイン様」
呼ばれて、はっとセインはもの思いから我に返った。
「ああ、なんだ?」
執務室で仕事をしていたことを思い出して、セインは名を呼んだ副官を見る。
「黄軍隊長がお見えです。お通ししても?」
「ああ」
そう答えて、セインは首を傾げた。レイラースは今日、セインの館に行っているはずだったからだ。キリスエールとの逢瀬。考えるだけでも胃の底を絞れられるような気がする。
副官の前触れ通り、扉から入ってきたのは、確かにレイラースだ。金の髪が日の光をはじいている。
「珍しいな。副官がここにいるのは」
つかつか入ってきながら、レイラースは睨むようにセインを見た。
「お前こそ、非番だったんだろう?」
「そうだな」
レイラースは珍しく歯切れが悪い。纏う雰囲気も険悪だ。セインは副官に席をはずすように申しつけ、副官はそれに従う。
部屋にはレイラースとセインの二人きりになった。
「キリスエールと会っていたんだじゃないのか」
「ああ。会ってた」
イライラとレイラースは言葉を吐く。キリスエールに触れられないのはセインのせいだ。そう言わんばかりの瞳に射すくめられて、セインは苦笑した。
誰を側に置こうが、関係なしに、キリスエールに寄り添っているくせにとセインは思う。キリスエールをテーブルに座らせて、それこそ身体中にキスの雨を降らせていたなんて報告も入っている。見るに堪えませんと使用人からも苦情が来ているくらいだ。だが、それもレイラースの作戦だ。呆れて人が離れるのを狙っている。
その隙にキリスエールを取り戻したいと思っているのだ。
触らせたくないし、会わせたくもない。だが、キリスエールが心を決めるまでは閉じ込めるわけにもいかない。望みを叶えると約束した。愛しているからこそだ。
「そのわりに機嫌が悪いな。キリスエールを返せという話なら聞かない」
「違う」
レイラースは疲れたように目の前のソファに乱暴な動作で座った。
「タミルに会うって」
ソファの背もたれに身体を預け、顔を仰向けて天井を睨むとぽつりとレイラースが告げた。
「は?だれが?」
「キリスエールが」
「そんなはずない」
大きな声がでた。腕の中で震えていたキリスエールの身体を思い出す。あんなに怯えて、嫌悪していたのに、会うわけがない。
「僕は聞いていない」
「そうだろうね。先に僕に話したそうだから。一番、怒っているのは僕だからだって」
吐き捨てるように言ったレイラースの口調にありえないと、憤っているのがわかった。
「あんなことされて、ぼろぼろに傷ついて。なのに恨んでいないって憎んでいないって言うんだ」
セインはキリスエールが傷ついているのは見ていない。生気を吸って殺してしまうつもりかとセインが詰った時のタミルの姿を思い出す。あんな呆然としたタミルを見たのは初めてだった。
黙っているとレイラースがこちらに視線を投げていた。
「見る?」
レイラースはその時の記憶を映像を見るかと問うていた。感応力に優れたセインなら記憶をトレースしているレイラースの心の映像が読めるからだ。
だが、セインは首を横に振った。キリスエールが泣いているところは見たくない。
「いい。見なくても想像はつく。タミルは戻ってきた時、傷と戦いの興奮とで殺気立ってた。誰も近寄れず、治療もできないとの報告だった。それが、会いに行ってみれば、いつものタミルだった。それがどうしてか考えればわかるからな」
本能の赴くまま、キリスエールを求めたんだろう。許せない。セインは机の上に置いた手をぐっと握った。
「それで、僕達に立ちあって欲しいんだって」
セインはレイラースを細めた目で睨んだ。セイン将軍の氷の視線。誰もがそう呼ぶ視線だが、レイラースはどこ吹く風だ。呆れたような溜息をついて、面白そうにセインを見ている。
「やっぱり怒るよね」
「あたりまえだろう」
「僕も腹が立ったから、キリスエールを置いてきちゃった。でもさ……」
「二人きりで会わせたくはない……だろう?」
セインの言葉にレイラースは頷いた。
「どうする?」
レイラースの言葉にセインは難しい顔をした。キリスエールの望みは叶えると約束をした。タミルに会いたければ会ってもいいと。
決めかねて、口を開かないセインにレイラースはふっと笑った。
すっと立ち上がる。
「まあ、いいや」
レイラースは肩にかかった髪を鬱陶しそうに跳ねあげた。金色の光が躍る。
「いつになったらキリスエールを返してくれる?勝手に愛人にされても困るんだけど。彼は誰の物でもないんだし」
視線をレイラースに投げると思いのほか真剣な眼差しでこちらを見ていた。
「返さない。お前のものじゃないしな。キリスエールは嫌がっていない」
「受け入れもしないけどね」
ぎっと視線を強くしてレイラースは告げると踵を返した。
「僕の忍耐はあまり長い方じゃないから」
背中を向けたまま告げられた言葉には明らかに殺気が込められていた。ひらひらと手を振って、レイラースは部屋を辞した。
机を手のひらでセインは叩いた。怒りの持って行き場がわからない。キリスエールは誰の物でもないし、誰のものにもなる。レイラースが連れて帰れば、レイラースに抱かれるだろう。いま、手のうちにあるからって、それがキリスエールの選択でもない。
レイラースの言葉は宣戦布告だった。このままだと掟なんか無視して、レイラースはキリスエールを取り戻すだろう。そうなったらどうするだろう。守護者同士の戦いは禁じられている。だが、レイラースにキリスエールを奪われたら平静でいられない自分がいる。
どうすれば。
虚空をにらみつけて、セインは苦い想いを噛みしめた。
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