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奇跡の刻

バイト初日

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「おはようございます」
指定された時間にオフィスの扉を開いた聖は、開口一番挨拶を口にした。
「ああ、きたね。おはよう」
壁際のキャビネットの前でファイルを開いていた吉井は、聖に挨拶とともに笑いかける。
「荷物を置いて、PCを立ち上げたらこっちへ。早速、ファイルの整理をお願いするよ。日付順にファイリングしてくれるかい。やり方は金曜に説明した通りだ」
「はい」
席につくと早速PCのスイッチを入れ、吉井からファイルと書類を受け取ると作業を始める。その様子を見ていた吉井は、満足げにうなずくと自分の席に戻った。
席へ向かう吉井の背を聖は視線で追った。
しかし、何故、副社長が秘書の仕事、それも運転手までやっているのだろう。
作業を始めながらも、聖はこの間から疑問に思っていることを再度思う。この部屋も社長室の前室で、秘書用の部屋だ。
そんなことを考えながら作業を進めていると、扉が開いた。
入ってきた人の姿に、どきりと聖の心臓が大きく脈打った。神栖は相変わらず、濃い色の仕立てのよさそうなスーツに身を包み、それをさりげなく着こなしている。姿勢がいいのだろうか、すっきりとした印象につい視線が吸い寄せられた。
「おはようございます」
作業の手を止めて立ち上がると聖は、すっと頭を下げる。どきどきと鼓動が煩い。聞こえはしないかと聖は身体を硬くした。
「ああ、おはよう」
挨拶をした聖を見て神栖は目を細めた。聖もスーツ姿だった。黒に近い紺地のジャケットに白のシャツと定番だが、聖の清廉な雰囲気を助長していた。神栖の口端が満足げに上がった。
聖は頭を上げ、そのとたん神栖と瞳が合って、息を飲む。数秒、視線が絡み、聖は神栖の黒い瞳に魅入られて、息ができない。
「輝、おはよう」
じっと聖を見つめていた神栖の視線は、反対側の机から聞こえた挨拶に吉井に移る。吉井の顔を見ると神栖の口元が引き締まった。
ビジネスマンの顔になった神栖は瞳が力を増し、聖の鼓動が我知らず跳ねた。
「おはよう。先に打ち合わせをしておきたい。五分後に部屋に来てくれ」
神栖は吉井にそれだけを伝えた。答えを待たずに歩きだす。
「了解」
背中で吉井の回答を聞くと神栖は、社長室に消えた。
聖は詰めていた息を吐く。視線はまだ扉に据えたままで、鼓動は正常よりも早い。
軽く頭を左右に振って席に着く。あの迫力はどこから来るのだろう。男として桁が違う。
座ったまま、顔をあげると机に広げたファイルに視線が止まり、聖はそれに手を伸ばし、猛然と作業を再開した。
負けられない。追いつくとはとても思えないが、何か一つでも役に立ちたいと悔しさと意地を伴って、聖は思う。
「高郡くん」
作業に戻ってすぐに吉井に声を掛けられて、はいと返事をし、聖は顔をあげた。
「初日なのに悪いんだが、打ち合わせのあと外出の予定でね。多分、君の勤務時間内には戻って来られないと思う」
聖の手元の資料の量を吉井は目で確認する。
「それ、もう終わるよね」
吉井の問いに手元の資料の量を見て聖は頷いた。
「それ終わったら、こっちの名刺をPCに入力後、アルファベット順にファイリングしておいて」
そういうと吉井は席を回って聖に名刺の束を渡し、聖の目の前のPCを操作した。名刺整理用のファイルを開き、入力項目をざっと説明されて、気になる点について、いくつか聖は質問を返した。
「このソフト使ったことあるのかい?」
目を瞠った吉井に訊かれて、聖は首を横に振る。
「すごいな。要点をとらえるのも質問事項も的確だ。この調子だとすぐに終わってしまいそうだね。今日は、終わったら帰っていいから。よろしく」
「はい」
聖の返事に、嬉しそうに微笑んで、吉井は席に戻り、机上の資料をかき集めて纏めてファイルすると社長室に消えた。

吉井に頼まれた作業は単純だが量が多く、時間はあっという間に過ぎていく。
社長室の打ち合わせは三十分くらいだっただろうか、二人で部屋から出てきたと思えば、そのまま出かけて行く。慌ただしく出て行った二人をいってらっしゃいと見送って、聖は大きく溜め息をついた。扉が閉まって数秒後に、そのまま崩れるように椅子に座る。
さすがにかなり緊張していたらしい。
特に、神栖に会ったらどんな顔をすればいいだろうとずっと思い悩んでいたのに、相手はかなりそっけなしだ。土曜、日曜と考える時間があった分だけ深刻に考えていたのだが、それは聖の取り越し苦労だったと再度溜息をつく。
指で無意識に聖は唇を辿った。このところ時々そういう仕草を繰り返していることに聖は気づいていない。
聖には神栖の言動のかなりの部分が理解できない。「身体で払え」は冗談だったとしても、なぜキスなんてしたのだろう。
何度も陥る思考のループを頭を振って追い払う。考えたって答えはでない。それでも考えてしまう自分が嫌だった。
とにかく、バイト料払うだけの価値が自分にあるくらいには思ってもらわないといけない。
認めて欲しい。聖という一人の人間を。
無意識にそう思っていても、表層的にはその想いは漠然とし、聖の中で形にはならない。
ただ、神栖に失望だけはさせたくないと聖は強く思う。
そう、とにかく頑張らないと。
自分に言い聞かせるように目の前のPCに視線を落とした。
「さて、片づけてしまおう」
物思いは綺麗に消して、聖は目の前に積まれた仕事に戻った。
ものの十分ほど後だろうか、かちゃりと音がして、秘書室の扉が開いた。
吉井が帰ってきたのかと聖は顔を上げる。しかし、扉を開けて入ってきたのは見も知らぬ人だった。がっしりとした体つきの男性だ。
「あれ?吉井さんは?」
相手も知らない人間がいて面食らったようで、ひどく驚いた顔でそう問うた。
「外出されました。お戻りは遅いと伺っています」
立ち上がると聖は緊張した面持ちで答える。
「君は?」
「あっ。今日からしばらくアルバイトでお世話になる高郡といいます。よろしくお願いします」
「ああ。そうなんだ。俺は、総務の豊山とよやまだ。よろしく」
頭を下げた聖に豊山はさわやかな笑みを向ける。まだ、若い。大学をでて、五年は経っていないだろう。
「だけど、困ったな。社長のアポを取ってもらおうと思ったのに」
聖は首を傾げた。
副社長が社長のアポとりをしているのか。秘書の仕事をやはり吉井が兼任しているようだ。副社長で、秘書で、運転手?
「どうせ、社長も一緒に出かけたんだろう?」
悩んでいる聖をそっちのけで豊山は、質問を継ぐ。それに聖は頷いた。
「どうするかな」
目の前で頭をかいている豊山を聖も困った顔で眺めた。
「夜は帰ってくるって?」
「吉井さんはそうおっしゃってましたけど」
再度首をかしげると、目の前の人は聖が何を訝しんでいるか察したらしい。
「吉井さんが社長の面倒みているのが不思議?」
相手の言葉に聖は驚いた顔をして、それでも素直に頷いた。
「吉井さん、副社長なんですよね」
聖の問いに相手は面白そうな顔をした。聖はあわてて失礼だったかと視線を落とす。
「いいって。初めてのやつはみんなそう思うから。俺もだけど」
恐縮する聖に豊山は朗らかに笑った。四角い顔が笑みを浮かべるとやけに愛嬌がある。明るくてとっつきやすい人だと聖は思う。
「この会社は社長と吉井さんが立ち上げたから、二人は共同経営者なんだ。便宜上、地位をわけているけど基本的に立場は一緒。秘書はね、何度も変わっているんだよね、これがまた。社長の神栖さんはあの通りだから、秘書雇ってもみんな居つかなくって。まあ、元ベンチャーで機密も多いから、そう滅多に人を寄せられないっていうのもあるけどね」
あの通りってどういう意味だろうか。意味が分からなくて、聖は怪訝そうな顔をした。
「あれ?社長の知り合いかと思ったけど、違ったのか」
豊山は困ったようにまた、頭をかいた。彼の癖らしく、困ると頭を指で触る。
「言葉通りだよ。社長はわが道を行く人だから。こっちがついていかないといけないし、他人には冷たいし、個人的な付き合いは悪いし、評価もきつい」
全然違う人のことを話されている気がしながら、聖は豊山の言葉を聞いていた。
聖の知っている神栖は愛想も良いし、人付き合いが悪いようには思えなかった。顔をみては面白そうにくすくす笑われてばかりいる。
わが道を行く人なのは心当たりがあった。評価に限っては、されてないからわかりようもない。
総合的に見ても豊山の語る神栖像には違和感があった。
「だけど、そこがいいんだよな。あの人には付き従いたくなるオーラがあるっていうか。面白そうなことしそうな気がするっていうか」
豊山の続けた言葉には聖も頷く。あの雰囲気には誰もが感銘を受けるだろうと思う。豊山の口調からも彼が神栖を崇拝しているのが伝わってくる。もしかすると、社員すべてがこんな感じなのかもしれない。
誰をも惹きつけて、成功を勝ち取る選ばれし者。
「やたらともてるしさ。それもさあ。すこぶる美人ばっかり」
豊山の最後の言葉に、聖は瞳をぱちくりと瞬いた。
「え?」
女性だよな。女性にももてるのだ。
でも、神栖さんって女性に興味ないんじゃ……?
疑問に思ったがさすがに訊けない。聖はそのまま言葉の続きを待つ。
「社長もあの容姿だから、当然っちゃ当然なだけど。羨ましいよなあ」
本気で言っているらしい豊山をじっと聖は見た。
「だけどそれが秘書が長続きしない理由ともなると笑えないんだけどさ」
「どういうことです?」
「相手が本気になっちゃって、仕事どころじゃないわけ。社長室でラブロマンスなんて洒落にならないし。業務に差し障り出るし」
『相手』がというところになぜか聖はほっとする。神栖が美女を口説いているなんて考えたくないし、想像もできない。聖の神栖像にはそういう人間臭い感じが無い。
「吉井さんは古くからの付き合いで、その辺のことよーくわかっているから、そうすると必然的に彼が社長の面倒をみることになるらしいよ」
一方的に話をしていた豊山はそこで、はたと我に返ったらしい。
「やば。くだらないこと言ったか。これは噂を統合した俺の意見だから、その辺は適当に差し引いといてな」
噂という割には詳しかったようなと思いながらも聖は律義に頷いた。
「吉井さんにはメールしとく。もし会えたら、高郡くんからも伝えといてくれるか」
はいという聖の返事を聞くや、そういい残し、豊山は入ってきたとき同様、あっという間に出ていった。
呆気にとられた様子で聖は豊山を見送ったが、はっと気付くと席に戻り、作業を再開する。作業の残りはそう多くはなかったので、一時間半ほどで片がついた。
誤りや落としがないか再度チェックをする。こういう雑事や神栖のお伴を吉井がやるのは時間の無駄な気がする。神栖とずっとやってきたということはあの人も神栖と同等の実力があるってことだ。
そこで、来週から補充が入るときいたことをふいに思い出す。豊山の『美人ばっかり』という言葉も。
嫌だなと何とはなしに思う。
来週、自分はここにはいない。美人の秘書が神栖のもとで働くのを想像して、聖はもやもやとした気分を味った。
社長室の扉をちらりと見る。重厚な木の扉は重く締まっていて、聖を拒絶しているように見えた。その扉の向こうにも神栖はいないのに、神栖自身に拒まれているようで、聖は溜息をついた。
気付くと神栖のことばかりを考えている。
「おかしいだろう」
もう二度と会うはずのない人に再会し、その人のため働くことになっただけだ。こんなのは変だ。
あの神栖の部屋での出来事があまりに衝撃的だったから、それでなんだか気になって仕方がないんだと聖は思う。
あれは神栖流の冗談なのだと聖は今では思っている。
ちょっとからかわれただけだと。それが証拠に、ここに来てからほとんど口もきいていない。
挨拶しただけ……。
懇親会の席で初めて神栖にあった時と何の進展もない自分に聖は呆れた。
先週の食事の席が夢だったのかもしれない。たわいない話ばかりだったけど、楽しかった。
オレンジ色の照明とキャンドルの明かりに微笑んだ神栖を思い出し、聖は少しうろたえる。冷たい印象はどこにもない。いつも面白そうな顔。
聖は頭を左右に振った。いくら、自分にとっての憧れでも、こんなに彼のことばかりを思い出すのはおかしい。
考えを頭から振り去って、聖は目の前の書類の最終チェックに没頭した。

「ったく。あの狸が!」
足音も荒く、神栖は自分のオフィスに戻ってきた。先に別件で外出してすでに帰社していた吉井が顔を上げる。
「この期に及んで、コンペだと。何考えてんだ」
怒鳴るように吠え、デスクに鞄をたたきつけるように置く。それでも気が済まなくて、手近にあったゴミ箱を蹴倒した。
「おいおい。モノにあたるなよ。どうしたんだ?」
苦笑いを含んだ声に神栖は吉井を睨みつける。
「どうもこうもない。今日の会合で承認印をもらって、契約締結のはずだったんだ。今頃、祝杯をあげているはずだっただろうが」
「菱久コーポか」
吉井の問いに神栖は頷く。
「出向いたら、やっぱり公平なコンペをやって、それから決めたいだと。ふざけんなよ。約束違いもいいところだ。それも、部長が一人出てきただけだ」
神栖の説明に吉井も苦い顔をする。
「担当誰だ?」
「沼田だ」
吐き捨てるように言って、神栖はPCのスイッチを入れる。
「あの部長、たしか親戚か友人かが競合社にいたはずだ。たぶん。メンツをつぶさないでくれと泣きつかれたんだろうさ」
神栖から分厚い書類を受け取りながら、吉井は冷静な声だ。
「コンペやって負けたらそれでもメンツがつぶれるだろうが」
「わかっているだろう、輝。やるだけのことをやりました。でも、ダメでしたって体裁を整えたいんだよ、相手は。ついでに運が良ければ契約自体をご破算にしたんだろうさ」
ばらばらと書類をめくって、吉井は顔を上げた。
「で、どうするんだ?」
デスクの革張りの椅子にどさっと腰をおろして、嫌な顔で神栖は吉井を見た。
「やるさ。相手のご希望通りに」
大きくため息をついて、神栖はPC起動のためにキーボードをたたく。
「コンペともなれば、提案書は今のままじゃだめだ。それは、競合がいないときの提案だからな」
吉井は頷く。
「比較資料を足す。マーケットセグメントの資料もだ。うちのサービスのどこが優れていて、どれだけ事業の効率化を図れるかについても比較がいるだろう。あとは、アトラクティブじゃないとな。今の提案書では堅実すぎる」
「期日は?」
「明日の夕方」
神栖の言葉に吉井は絶句した。何か言おうとするが言葉がでないらしい、何度か口をパクパクさせた。
「明日?!ありえない」
「だから言っただろうが。あの狸って。本当なら今日、承認の今月末、支払いなんだ。それをなんだかんだ理屈をこねて一週間だけ延ばしたんだ、あの野郎は。社長へのプレゼンは来週。そっちは今までのものの手直しに、今回足したデータを入れ込めば終わりだ」
吉井が両手を中途半端に上げて、天井を仰いだ。神栖にも吉井の気持ちは痛いほどよくわかる。同じことを思ったからだ。
クライアントの我儘はいまに始まったことではないが、今回は一番たちが悪いかもしれない。だが――
「取引中止にするにはでかすぎる相手だ」
「わかってる」
静かに言った神栖の言葉に吉井は即答する。
「明日の予定は?」
神栖の問いに吉井はちょっと待てといいおいて、手帳を取り上げた。
「明日は、一日ここにいる。来週配る予定の資料の印刷くらいか」
「よし。それなら、提案書の骨子は今夜、お前と俺で決める。明日の俺の訪問予定はお前が代わりに行ってくれ。俺はこの資料をここで明日の午後五時までにあげる。データは……。いま何時だ?」
腕時計を眺めて、午後四時半なのを確認し、神栖は「まだ、いるな」と呟いた。
「マーケの連中にデータを出すように言ってくれ。確か、過去にも一度くらい調べているはずだ。それに最新データを足すだけでいい。マーケセグメントもすぐできるだろう、連中なら」
「残業決定だけどな」
「仕方ない。社運がかかってるとでも言っとけ」
神栖はにっと笑った。
「大体、今夜、俺たちは徹夜だぞ、たぶん」
神栖の言葉に吉井が大げさにため息をついた。それを一顧だにすると、さっさと書類のかきなおしに入ろうと神栖は画面に向き直る。一度決めてしまえば、もう振りかえらない。神栖はそういう男だ。
書類が立ちあがるのを待ちながら、ふと顔をあげて、神栖は吉井を見る。
「明日、俺のサポートには聖を貸してくれ」
マーケの連中に指示を出しに行こうとした吉井は足を止めて振り返る。
「は?」
「お前が外出だと明日、俺のサポートがいなくなる」
別にふざけているつもりはないと輝は真剣な顔で、吉井を見た。
「サポートって、コピーだけとるわけじゃないだろう?」
「文章の校正と印刷、体裁の指摘かな。まあ、お前がいつもやってくれてることだが」
何か問題かと目で問いかける。
「いまから、マーケに行くから誰かに頼む」
「骨子が決まってなきゃそれでいいが、今回のは俺たちが決めたことで変更なしだ。変えている時間ないしな。マーケの誰かだと主張が強すぎて、いろいろ変更を加えたがるだろう。それでは、提案自体が散逸するからだめだ」
確かに輝の言うとおりだがと吉井の目は語っている。
「だが、高郡くんは学生だぞ。無理だろう」
「どうかな。おれはできたぞ」
「お前と一緒にするな。お前は規格外だろうが」
声を荒らげられて、神栖は肩をすくめた。そんなに怒ることは言っていないと思う。
「そうか?ま、とにかく、時間も人手もないからそれで行く。使ってみてダメそうなら、誰か呼ぶさ」
簡単に言われて、吉井は大げさに天井に顔を向ける。
「この件はお前の責任だ。俺は知らん」
そのまま吉井はくるりと背を向けるとマーケ部へと出向くため、部屋を出て行った。
それを見送って、神栖はPCに向き直る。
あの滝川教授が褒めた学生だ。そこそこは働いてくれるだろう。
使えるモノはなんでも使う。それが神栖の流儀だ。
まずは、この提案書をある程度形にしなければ。
神栖は真剣な面持ちで、キーボードに向かった。
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