スポンサー広告

スポンサーサイト

 ←メンテナンス終了 →楽園(2)
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。


にほんブログ村 小説ブログ BL小説へ

もくじ  3kaku_s_L.png 未分類
もくじ  3kaku_s_L.png はじめに
もくじ  3kaku_s_L.png リンク集
もくじ  3kaku_s_L.png Novel lists
もくじ  3kaku_s_L.png 奇跡の刻
もくじ  3kaku_s_L.png 平行線の恋
もくじ  3kaku_s_L.png 煉獄の恋
総もくじ  3kaku_s_L.png 天空国の守護者
総もくじ  3kaku_s_L.png 巡る季節と恋の順番
もくじ  3kaku_s_L.png 雑記
総もくじ  3kaku_s_L.png 山神の花嫁_昔話
もくじ  3kaku_s_L.png 告白の向こうへ
もくじ  3kaku_s_L.png 空の月を恋う
総もくじ  3kaku_s_L.png おまけ番外編ショート
もくじ  3kaku_s_L.png 遠回りの片恋
もくじ  3kaku_s_L.png 腕の中の迷い猫
総もくじ  3kaku_s_L.png 蒼い闇の化身
  • 【メンテナンス終了】へ
  • 【楽園(2)】へ
  • TB(-)|
  • CO(-) 
  • Edit

「天空国の守護者」
天空国編

楽園(1)

 ←メンテナンス終了 →楽園(2)
大きな木製の机に拡げた地図を睨むようにタミルは見つめた。あちこちにチェスの駒に似た白い石でできた飾りが立っている。
「昼間は無理だな」
机の反対側から地図をのぞき込んで、レイラースが深く溜息をついた。
「本当は国主が公務で留守の時を狙いたい。だけど、これだけ行動範囲が広いとつかまえられない」
国主の屋敷内のキリスエールの気配を辿るのはまず無理だった。何度も試してみたが、感応力の強さでは、天空国でも5指に入るレイラースでさえ、キリスエールの気配を見つけることすらできなかった。国主の館の護りに加え、シスルが力を練ってあるのだろう。
「夜なら部屋にいるんだな」
「そう。だけど、当然、国主も一緒」
苦々しく告げて、レイラースは指でキリスエールの部屋の場所を叩いた。
彼らの前に拡げられた地図は国主の館の見取り図だ。おおざっぱだが、記憶と過去の記録と情報を繋ぎ合せて作られている。
そして、キリスエールの行動した場所を駒を置くことで示した。自室、厨房、庭、更に遠くの森、廊下、塔。
館の中の行動を制限されていないキリスエールは、国主のいない昼間は様々な事をして過ごしているらしい。
これらの情報はレイラースが集めてきた。国主の行動については口を割らない館の使用人も、国主のもとにいる人間にはその限りではないらしい。
それにキリスエールは国主の館の使用人にもかなり評判がいい。だから、ちょっとレイラースがその気のあるそぶりをすると、簡単に教えてくれた。主に女性だったが。
それでも、これだけの情報を集めるのに、冬中かかった。
「いっそのことどこかに閉じ込めていてくれた方が楽だったかも」
物騒なことを言いながら、レイラースは指でキリスエールの移動線を辿る。キリスエールがいるところには誰かしらが必ずいる。押し入って、攫ってくるにしても無理があった。
気配が読めないから、ここぞと思うところにいてくれないと館中を探す羽目になる。それは現実的でないし、成功する確率も限りなく低い。
「昼より前は食事をつくっていることが多いらしい。狙うなら、ここしかない」
とんとんと指でたたいた先は館の北側に位置する厨房だ。
「だが、使用人も大勢詰めている場所だ。誰にも見られずにキリスエールを連れ出すのは無理だ。騒がれたらすぐに国主と守護隊が駆けつけるぞ」
「そんなのわかっている。だけど、他に方法がないだろう」
館の見取り図もキリスエールの居場所も集められるだけの情報は集めた。それなのに、この作戦が成功する確率は上がらない。
「そうなんだが……」
何度も考えた。キリスエールに事前に知らせて、どこかで待っているように伝えようかとも思ったが、首尾よく手紙が渡せてもキリスエールがそれを国主に隠し通せるとは思えなかった。
国主の感応力は抜群の感度なのだ。キリスエールの心の中なんて手に取るようにわかるだろう。
「結局、手詰まりか」
悔しそうにレイラースは見取り図を睨む。動乱期ならまだ手の打ちようがあったが、今は先の戦いで大勝したこともあって、小競り合いすらない。クアールも沈黙を保っている。
こんな平和だとちょっと何かしようものなら、すぐに見つかるし、騒がれる。どさくさに紛れるという真似ができないのだ。
「どうすれば……」
再度、駒の配置と見取り図を見て、タミルが唸るように呟いた。
「公務終了直後がいい」
後ろからいきなり声がして、二人は顔を上げ、そちらに振りむいた。
「セイン……」
後ろ手に扉を閉めて、セインが立っていた。心なしか顔色が悪く、痩せた気がする。
「不用心だな。鍵くらいしたらどうだ」
扉を護るように背を預け、セインは物憂げに2人を見つめる。
「鍵はかけていないが、結界は張っておいた。セインだから抜けられたんだ」
レイラースの言葉にセインは目を瞠った。レイラースはうっすらと微笑んだ。
この計画にセインが参加する余地を今の今まで残しておいた。来ても来なくても計画は続行する。だが、キリスエールにここまで関わったセインであれば、レイラースとしては、最後の最後で締めだすことはしたくなかった。
セインは目を見開いたまま、レイラースをまっすぐに見つめた。その表情からレイラースの思惑を汲んだようだと判断する。
セインは扉から身体を離し、まっすぐ机に歩み寄ると、手を伸ばした。指でキリスエールの自室を指さす。
「公務終了直後には、国主はここでキリスエールとお茶の時間を過ごす」
よく知っているなとレイラース、タミルはセインを見た。セインは口元に苦い笑みを浮かべる。
「国主が言ったんだ。このところ、お茶の時間は甘いものが充実しているんだと」
臣下が並ぶ会議室で、国主は世間話のようにそう告げた。
だが、意味がわからずレイラースは続きを促すようにセインを見る。
「国主は毎日、お茶の時間の前には館に帰る。なにがあろうと公務を片づけてね。最近うちに来た子が、クリームの乗ったお菓子作りに挑戦していて、毎日、楽しみだと笑ったんだ」
キリスエールのことをセインのいる前で国主が話題にしたことに驚きを隠せない。セインの苦々しげな顔からも、セインに向かってわざと口にしたとセインが思っているのがわかった。
「そこでだ。この時間を狙う」
「国主と一緒にいるのに?」
レイラースの疑問にセインは一瞬、言葉を切って、息を吐き、それから、ゆっくり吸う。
「足止めすればいい。公務が終わった国主を引きとめて、時間を稼ぐ。その間にキリスエールを連れ出せるだろう」
タミルとレイラースはセインを見た。まっすぐにスミレ色の瞳を射るように見つめ、先を待った。
「引きとめるのは、僕がやる」
きっぱりとした口調だった。腹を括ったんだとタミルは思った。
「僕が国主を足止めしている間に、頼む。キリスエールを助けてくれ」
「時間は?」
ほんのわずかの時間を稼いでもらっても、大したことはできない。キリスエールに接触し、あの館から完全に姿を消すまでの時間が必要だ。
「1刻はいけると思う。だが、確約はできない……」
こころもとない言葉だった。
「どうやって足止めするつもりだ?」
タミルの言葉にセインはタミルの方に顔を向け、まっすぐに見つめた。そして、ゆっくり首を横に振る。
「聞かないでくれ」
沈黙が落ちる。並々ならぬ覚悟がセインから感じられた。それこそ国主と刺し違えてもいいと思っているくらいに。
「わかった」
レイラースは息をゆっくり吐き出した。セインの決意に水を差したくない。それに、この申し出は何よりありがたい。
これで、なんとかめどが立った。レイラースは顔の横に落ちてきた髪をかきあげた。
「キリスエールを連れ出すのはタミルがやるといい」
唐突に響いたセインの言葉にレイラースはなんでだと目線で問う。
「タミルはキリスエールと主従の関係を結んでいる。契約があるから、国主の力の干渉も少しは抑えるだろう。それに感知されない可能性もある」
セインの言葉にレイラースはなるほどとうなずいた。本来なら、自分がやりたかった。
きっと待っているだろう助けの手を差し出すのは自分でありたかった。だが、成功率が上がるのなら、自分の気持ちは押さえるべきだ。
「わかった」
重くつぶやいた言葉に、横に立つタミルも深く頷いたのがわかる。
計画は決まった。
「それでだ、セイン。キリスエールをこの部屋から連れ出したら、俺たちは……」
レイラースの言葉を手を上げることで、セインは遮った。
「言うな。何も。知らない方がいい」
セインの感情のない声音にタミルは背を震わせた。
「まさか……?」
セインは肯定にも否定にもとれる笑みを浮かべた。
「セイン。だめだ。おまえもちゃんと来い。キリスエールが知ったら絶対、悲しむ」
それにもセインは哀しそうな笑みを返した。
「大丈夫だ、僕のことは。それより、キリスエールを……頼んだぞ」
微笑みを浮かべて、告げたセインに2人は一度顔を見合わせ、それからきっぱりと頷いた。

目の前の書類に、国主の印を思いっきり押し付けてから離した。
そのまま後ろにうんと身体を伸ばし、「終わったー」と叫んだ。
「お疲れさまでした」
書記官が書類を揃えて、纏めるのを見つめながら、今日のおやつはなにかなとシスルは窓越しに空を見上げた。
「そういえば、セインのところに押し入った守護者の処分が決まったらしいね」
ふと思いついて、シスルは空を見上げながら、呟く。
「書類に判を押したのは国主でしょうに」
そう言って、書記官は柔らかく笑った。
「そうだった。まあ、降格処分くらいで妥当だよね。将軍の屋敷に武器持って侵入しただけだし。セインは留守だったしね」
伸ばした身体を元に戻して、書記官を見るとシスルは微笑む。
「守護者の資格のはく奪も考えたけど、あの能力は惜しいし。まあ、紅軍お預かりの1兵卒ってだけでも、あの自尊心の高い彼のことだ。かなり堪えるだろうし。すでに、3カ月は、謹慎喰らっているわけだしね」
「国主の寛大な処分に、みな感心しておりました」
口元に笑みを湛えて、告げる書記官を目を細めて、シスルは見つめた。
「それって嫌味?」
「まさか」
即答で返され、書記官は更に笑みを深くした。
「この距離ですよ。私が何を考えているかよくご存じでしょうに」
まったく食えない男だとシスルは思う。この書記官は見てくれはたおやかだが、その実、けっこうなくせものだった。
実際、そちらから感じられる気配は、完全な崇拝だけ。
「寛大かどうかは、微妙だと思うけどね。知っていると思うけど、守護者は人手不足。遊ばせておける人材はいないってこと。今回は騒ぎも小さいし、傷ついた者は皆無だし」
シスルの言葉に書記官は頭を下げた。さらりと肩を長い髪が滑り落ちる。
同意を示したつもりらしい。
「お客様のようです」
そう思ったら、書記官の口からそんな言葉が聞こえ、彼が頭を上げた。
国主の書記官を務める彼は、高い事務能力の他に他のものが持たない力を持っていた。方向性のない感応力だ。シスルはあまりに強い力を持つがゆえに、他人の気配をできるだけ遮断している。その分、無防備だ。
だが、書記官はそんな国主の代わりに執務室から一定範囲にいる者を常にサーチしていた。それを意識せずにできるのが、彼の特殊能力だった。
言われてシスルも部屋の外に意識を向ける。慣れた気配が執務室に近づいてくるのを感じた。
「ふうん、まるで話を聞いていたかのようだ」
軽く顎を上げると心得たように書記官がすっと動いた。扉まで歩み寄る。
その扉が外からノックされ、書記官は目の前の扉をさっと開いた。
「ようこそ、セイン。珍しいね。君がここに来るなんて」
開いた扉の向こうに立つセインにシスルはにっこりと微笑んだ。
関連記事


にほんブログ村 小説ブログ BL小説へ

総もくじ 3kaku_s_L.png 天空国の守護者
総もくじ 3kaku_s_L.png 巡る季節と恋の順番
総もくじ 3kaku_s_L.png 山神の花嫁_昔話
総もくじ 3kaku_s_L.png おまけ番外編ショート
総もくじ 3kaku_s_L.png 蒼い闇の化身
もくじ  3kaku_s_L.png 未分類
もくじ  3kaku_s_L.png はじめに
もくじ  3kaku_s_L.png リンク集
もくじ  3kaku_s_L.png Novel lists
もくじ  3kaku_s_L.png 奇跡の刻
もくじ  3kaku_s_L.png 平行線の恋
もくじ  3kaku_s_L.png 煉獄の恋
総もくじ  3kaku_s_L.png 天空国の守護者
総もくじ  3kaku_s_L.png 巡る季節と恋の順番
もくじ  3kaku_s_L.png 雑記
総もくじ  3kaku_s_L.png 山神の花嫁_昔話
もくじ  3kaku_s_L.png 告白の向こうへ
もくじ  3kaku_s_L.png 空の月を恋う
総もくじ  3kaku_s_L.png おまけ番外編ショート
もくじ  3kaku_s_L.png 遠回りの片恋
もくじ  3kaku_s_L.png 腕の中の迷い猫
総もくじ  3kaku_s_L.png 蒼い闇の化身
  • 【メンテナンス終了】へ
  • 【楽園(2)】へ

~ Comment ~

管理者のみ表示。 | 非公開コメン卜投稿可能です。

~ Trackback ~

卜ラックバックURL


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

  • 【メンテナンス終了】へ
  • 【楽園(2)】へ
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。