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「天空国の守護者」
天空国編

楽園(4)

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「んっ……あぁっ……やぁっ……」
揺さぶられて、身体の下で、背をのけ反らすセインをシスルは抱き締める。午後の光が窓から差し込み、執務室の毛足の長い絨毯の上に模様をつけた。
セインの肌を滑る汗が日に光る。
「いいよ。セイン……すごい……」
さらに奥を抉ると、セインの中がぐいぐい自分を締めつける。
「あぁぁっ」
荒い息と掠れた声がますますシスルを煽る。力の加減はしていないから、物理的な刺激以外からもセインは感じているだろう。
「シスル……もう……」
セインの腹の上は自分で放ったもので、白く濡れている。達してさらに敏感になった身体が、肌をまさぐるたびに震えた。
「まだだよ」
シスルはぐっと下腹に力を入れた。身体の奥から解放を願う欲望をぐっと押さえつける。
まだだ。まだ、この身体を離したくない。このまま、ずっと溺れてしまえばいい。この快感とその恐怖に。
「もっと腰振って。あたっているだろう?」
セインが首を横に振る。銀の髪が床の上をうねる。
「きれいだ」
呟いて、シスルはのしかかりながら、首筋に歯を立てる。さらに結合が深くなったからか背を反って、セインが啼いた。
「セイン」
腕の中の熱い身体が、彼の上げる甘い声が、愛おしい。この銀の天使さえ手に入るなら、他に何もいらない。闇を照らす唯一の光源。僕の月。彼を失ったら、真の闇が僕をのみ込むだろう。嬌声を吐息とともに上げるセインを深く穿ちながら、シスルは細胞の隅々まで、満たされていくのを感じる。
「いいよ。セイン」
「あ……ああっ……はあっ……あっ」
跳ねる身体に舌を這わせ、シスルは最奥まで貫く。
全てを僕で満たして、二度と離れないで。
「やっ……あぁぁっ……」
身体の奥深くに欲望を解きはなって、シスルはセインをかき抱いた。セインの身体がひくんと震える。
優しく抱きしめて、シスルはゆっくりと自身を抜いた。
「んっ……」
銀の髪を手で掬って口づける。
「セイン。屋敷にくるよね」
抱きしめて囁く。荒い息をつきながら、セインは小さくかぶりを振った。だるそうに腕を伸ばし、シスルの首に絡めた。
「まだ。まだ、足りない。もっと」
囁き声すら熱くて、シスルは眩暈すら覚えた。が、ふいに違和感を覚える。
目の前のセインにではない。彼は理性を手放すといつもこんな感じに可愛い。もっとと箍が外れたように求める。
なんだ……?
張っておいた力がぷつんと切れるような感触。
それも唐突に内側から力任せに破られた膜のようだ。
頭を殴られたような衝撃がシスルを襲った。
まさか……。
シスルは肩を両手で掴んで、セインを自分から引きはがした。強く見つめたセインの瞳は潤んでいる。まだ、快楽の波に囚われたままで焦点があっていないようだ。
「セイン」
名を呼ぶと何度かセインが瞬いた。銀色の睫毛が揺れる。
「何?」
「何じゃない。屋敷に掛けた結界が解(ほど)けた……」
ぎくりと腕の中のセインが身体をこわばらせた。そのわずかな振動がシスルを不安にする。
「セイン?」
瞳を覗き込むと情欲の影はすっかり消えて、セインが視線をシスルから離した。
「偶然……なわけないよね」
いきなりやってきて、抱いてくれと言ったセイン。そして謀ったように解けた結界。だが、こんなに近くにいてもセインの心にはそんな兆しは何も見えなかった。
「どういうつもり……?」
自分の中の暗黒がぶわりと音をたてて広がるのを感じる。目の前のセインの瞳に怖れが浮かび、組み敷いた身体が細かく震えだした。その震えを感じるたびに、シスルの中で抑えのきかない怒りと黒い思考が膨れ上がり、このまま全てをのみ込んでしまいそうだ。
「キリスエールのため?」
言葉を紡ぐ舌が乾く。あんなに満ち足りていたのが嘘のようだ。身体の中から大事なものがごっそりと零れていく。
「全部、嘘だったんだ」
セインは首を横に振る。
「違う。シスル。あなたに嘘はつけない」
瞳に哀しみを湛えて、セインはシスルを見つめる。
「告げたことは本当です。僕はあなたが怖い。怖いけど忘れられない」
「キリスエールは?」
声が震えた。シスルはセインを見つめながら、何も言わないでくれと祈る。
「彼は……」
口を開いたセインを睨むようにシスルは見つめた。
「僕の希望です」
はっきりと告げられた言葉にシスルは瞠目した。絶望という強い感情に心が音を立てて崩れていく気がする。
「希望を守るため、怖れに身を任せたと……そう言いたいの?」
「わからない。あなたにもわからないんだ。自分ではもっとわからない。シスルへ向かう気持ちとキリスエールを想う気持ちは違う。真逆だと思うくらいに。だけど、あなたに抱かれたのは……」
「うるさいっ」
全部を聞く前に怒鳴ることで遮った。
聞きたくなかった。キリスエールのためにあんなに嫌がっていた自分に自分から誘ってまで、身を任せたなんて。自分を満たせるのはセインだけなのに。キリスエールはシスルを慰めてはくれたけど、満たしてはくれなかった。
「嫌だ。何も言うな」
低く唸るような声で告げると執務机の引き出しが勝手に開き、中にしまっておいたはずのペーパーナイフが宙を飛んだ。日の光をきらきらと受けて弧を描いて飛んだナイフは床に突きたち、セインの髪を一房切り裂いた。
「こんなことするべきじゃなかった。セイン。希望を守りたいなら、僕を消せばよかったんだ」
窓から差し込む光がナイフに反射してきらりと輝く。
「簡単なことだよ。これで僕の喉を裂けばいい。セインにならいいよ」
セインが驚きに目を見開き、身体を震わせる。そのセインの手を引いて起こすと
「やりなよ」
床に突きたったナイフを抜いて、シスルはセインの手を取った。手のひらを上向かせ、その上にナイフをそっと乗せる。
「ほら、ここだよ」
首を傾げて、喉をさらけ出す。セインが手に入らないのなら、何でも同じことだ。この世に未練なんてない。セインがいなければ、全てが闇の中なのだから。
セインはナイフの柄を握った。手が震えるのかナイフの先が細かく揺れる。スミレ色の瞳がまっすぐにシスル濃紫の瞳を見つめる。視線ははずされない。だが、当惑しているのか恐怖からか、瞳が揺らめいていた。
長いような短いような沈黙が二人の間に落ちた。
セインはシスルを見つめたまま、震えている。シスルはセインを見つめたまま動かない。
「……できない」
セインは震える声を紡ぎだした。
「できない。そんなこと望んでないんだ。シスル」
ナイフを握ったままセインが呟く声に、シスルは喉で嗤った。おかしさがこみ上げて来て、笑いがとまらない。肝が冷えるような愉悦だ。
くつくつとシスルは嗤い続ける。
「そうだよね……そうだった」
笑いながら、シスルは言った。
「僕がいなくなったら困るんだよね、セインは。紫色を纏うものが国主だ。天空国の不文律の掟。僕の次はセイン、君だったはずだ。僕を消したら、次の国主は望まなくても君で、そして、そうなったら二度とこの国から離れられない。いま、僕がこの国に縛られているように」
「違う。そうじゃない」
独白するように言い募るシスルをセインは遮った。
「ちがうんだ。シスル。そういう理由じゃない」
「じゃあ、なに?僕をキリスエールから引き離したかったのは、彼を助けるためじゃなくて、彼の代わりに僕の側にいるため?」
そうだと嘘でもいいから、そうだと言ってくれとシスルは願う。キリスエールに僕を取られた気がして嫌だったと。
お願いだとシスルは強く願った。
「あなたが望むなら」
シスルの願いは届かない。返ってきた答えは、望むのとは反対のもの。
「もういい」
シスルはセインから身体を離した。そのまま立ちあがり、ふらりと後ろへ下がる。
「シスル?」
「もういい。どこへでも行ってしまえばいい」
できるだけセインから離れようとシスルは後ろへと後ずさる。運命の歯車は回ってしまった。シスルが全く望まなかった未来へと回ってしまったのだ。
「シスル。どうして……」
「行けよっ!どこへでも。もう、お前なんかいらない」
シスルは怒鳴り、セインから目を反らした。床を見つめる。手にするはずのものが全て指から零れ落ちていく感覚に頭の芯がくらくらと回る。
絨毯を踏む足音がして、扉が開いて閉じるまで、シスルは顔を上げなかった。扉が閉じる音に、床に座り込む。
涙は出なかった。身体も心も空っぽで何も考えられずにシスルはしばらくそのまま座っていた。
「国主。国主」
肩を揺さぶられ、シスルはぼんやりと顔を上げた。
「どうしたんです。何があったんです」
目の前に立って、肩をゆさぶっていたのは書記官だ。呼ばれないのに何で来たんだろうと頭の片隅で思った。
「なんでもない」
そう言って、自分が服すらまともに着ていないことに気づく。ボタンひとつ止めずに、前の開いたシャツを羽織っているだけだ。
黙っていると肩から毛布を掛けられた。それを自分の前でかき合せる。
「風邪を召されます」
掛けられた言葉がこの場にそぐわずにシスルはくすりと笑った。何があったかなんて察しているだろうに、やっぱり喰えない男だとシスルは思い、立ちあがる。すでに執務室には薄闇が落ちている。
「帰る」
そう言って、シスルは書記官を見た。
何も言わずに彼は自分の前に立っている。
「2刻後に屋敷に」
それだけ告げるとシスルは一気に屋敷へと跳んだ。
「かしこまりました」という書記官の声だけが一緒についてくる気がした。
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